匿名でお坊さんに相談!Q&Aサイト『hasunoha』をご紹介
ライフエンディング業界で活躍する企業や個人を取り上げたライフエンディングジャーナル。
第14弾となる今回は、普段あまり接する機会がないお坊さんに悩みを相談できるサイト『 hasunoha(はすのは) 』をご紹介します。
お坊さんに悩みを相談できるサイト『 hasunoha 』とは?
日常生活で抱えている悩みや疑問を相談し、その悩みに対して回答僧として登録しているお坊さんから答えをいただけるQ&Aサイトです。(2012年11月にリリース)これまでの相談件数は4万5千件以上。さまざまな宗派のお坊さんから癒しや救いの言葉、喝を入れる言葉をいただけます。1,500年以上ある仏教の歴史に基づいて生活されているお坊さんだからこそ、かけていただける言葉もあります。家族や周りの友人・知人には相談しづらいことを、匿名という形でお坊さんに相談できるQ&Aサイトです。
『 hasunoha 』で掲載されている質問・回答を元にした書籍も販売中です。筆者自身、お坊さんについて調べていくうちに、『 hasunoha 』にたどり着きました。
この記事では、どのような想いで『 hasunoha 』を立ち上げ、運営しているのかについて運営者の堀下さんにお話を伺い紹介いたします。
供養についての質問はもちろん、お坊さんに人生相談ができるこのサイトの魅力が皆様に伝わると嬉しいです。
取材・文/Life.編集部
この記事の目次
『 hasunoha 』でユーザーができること
『 hasunoha 』では、会員登録をすると悩みの投稿が可能です。そして、その悩みや疑問に対し、『 hasunoha 』に登録している回答僧から回答をいただけます。
実際に『 hasunoha 』でお悩み相談するときの流れに関して、簡単に下記の図で説明します。
1. ヘッダーのボタンから新規登録ページに移動し、メンバー登録(ニックネーム・メールアドレス・パスワード or Facebook)を行う- 2. 登録メールアドレスに来る、メールアドレス認証を行う登録完了
- 3. 登録した情報を元にログイン
- 4. ヘッダーの『Q.質問する』ボタンから質問投稿画面へ移動
- 5. 質問内容を投稿
5つの手順でお悩み・疑問投稿が完了。簡単にメンバー登録ができ、疑問・質問の投稿を行うことができます。
しかし、現在かなり多くの質問がサイトに寄せられているため、質問受付に制限がかかることがあります。質問の受付に制限がかかる場合は、時間を改めて投稿画面を訪れてみてください。
また質問を投稿した後、その内容への回答がいつされるのかは明確に定められていません。登録しているお坊さんが回答できるときに回答を行うので、ゆったりとした気持ちで回答を待つのをお勧めします。
『 hasunoha 』というサイトが誕生した背景
お坊さんに悩みを相談できるサイト『 hasunoha 』が誕生した背景が気になりますね。サイトを立ち上げられた代表の堀下様に、お話を伺いました。堀下さん、よろしくお願いいたします。
堀下さん:よろしくお願いいたします。
では成り立ちについてお聞きします。2011年の東日本大震災後、家族との会話をきっかけに「日本人の美徳のひとつに仏教の教えがある」と気づいたことからサイトを立ち上げることになったと伺いました。堀下様はそれ以前より、仏教の教えなどにご興味をお持ちだったのでしょうか?
堀下さん:特別そういったことはないです。自身が僧侶でもなく、家がお寺でもなく、仏教に特別な知識や思いがあったわけではありません。
お寺や仏教に対して、平均的な一般人であると考えています。
お墓参りは年に1回とか2回行くし、お葬式があったらお坊さんにお経をあげてくださいとお願いしますが、その程度のものでした。
震災後の社会情勢をきっかけに、日本人の誇りや美徳を感じ取り、その源泉のひとつに宗教(日本では仏教や神道)があると直感したのが始まりです。
震災後の社会情勢から美徳を感じられたのですね…。具体的には、どのような事からそのように感じられましたか?
堀下さん:震災後にテレビやネットで見た、被災地の様子からです。大変な状況のなか、被災された人たちがお互いに助け合う姿を見て感銘を受けました。
また、同時に海外からもその行動について称賛の声が上がっているのを知り、「日本に眠っている美徳を呼び起こせば、もっと元気で幸せになれる。」と思ったからです。
日本人の美徳とは、どのようなものを考えていらっしゃいますか?
堀下さん:昔から受け継がれている日本人が持つ価値観です。
そして、その美徳はどこから来たかを考えたときに、「教育・宗教・生活の知恵」といったものが混ざり合って形成されてきたものだろうと思いました。
その一つに「仏教の教え」があると思い、インターネットを通じて仏教(=お坊さん)とつながるサイトを考え始めたのです。
日本人の美徳の一つである、「仏教の教え」に触れるという発想からサイトの構想が出来たのですね!震災後の被災地の様子から構想までの流れが、つながっているんだなと納得ができます。
『 hasunoha 』を運営することで叶えたいこと
もともと「仏教の教えで日本中を幸せに」というコンセプトで開設されたhasunohaを通じて、叶えていきたいことを教えていただけますでしょうか。
堀下さん:『 hasunoha 』を立ち上げる前には、子どもの誘拐やオレオレ詐欺といった犯罪をどうやったら取り締まれるのか、犯人を見つけ出せるのかを実現したいと考えていました。
しかし、『 hasunoha 』を形作っていくなかで仏教やお坊さんと意見を交わすうちに、犯罪を取り締まるのではなく、罪を犯さないようにしようと思う心を育てる方が本質的だと考えるようになりました。
犯罪や他人を中傷したり攻撃したり他人にやさしくできない心は、まず自分が満たされていないからだと思うに至ります。自利利他(じりりた)です。
自分を認めることで他人を認め、そして社会や地球のことも気にかけるようになっていける。そんな思いの元運営をしています。日本中が幸せになるには、まず自分の足元から。
そして幸せになる近道は、優しくなれることだと思っています。自分にも、他人にも、社会にも、地球にも、優しくなれることです。それを『 hasunoha 』のスローガン「ニッポンを優しく」に表しています。
自分を認めることで、他人にも優しくなれる社会にしていくということですね。仏教の考えに基づき、日本中が優しさで包まれるために自分に優しくするって素敵な考えですし、そのような社会になって欲しいと思います。
ニューノーマルな時代に入った日本人の悩みにこたえる
サイトを立ち上げられたときの東日本大震災直後の日本の状況と、現在のコロナ禍にある日本社会の状況には似ているところが多いかと思います。そういったなかで、約10年経った今だからこその新しい取り組みや、『 hasunoha 』の在るべき理想の姿への変化などございますでしょうか?
堀下さん:サイトを運営した約10年で、Q&Aの相談が4万5千を超えました。その相談の一つずつが、誰にも話せないような心の奥底にあるものを吐き出すような、大変貴重で、内容の重いものです。
それらを分類していくと、大よそ現代社会において連日ニュースで取り上げられている全ての諸問題―自殺、いじめ、虐待、貧困、家族の不和、不倫、パワハラ、不登校、精神疾患などに分類されていきました。その数は400を超えます。
これだけの苦しみに満ちた現代社会をどう幸せに生きていくのか、それを追求していくのが『 hasunoha 』の取り組みです。
サイトを拝見すると、とても深刻な悩みもありますよね…。どう幸せに生きるか、それを追求するという取り組み…深いです!
堀下さん:『 hasunoha 』のようなQ&Aサイトの利点は多くあります。書くこと、考えること、自分を客観視できること。そして時間に縛られないということです。
それに加えてさらに問答の幅を広げていきたいと考えています。例えば3月11日にはじめたオンライン個別相談がそうです。
遠く離れたお坊さんとオンラインで直接個別にお話をすることで、Q&Aではできなかった、表情や口調を感じながら深いやりとりを非公開でできるよういなりました。
『 hasunoha 』を長くやってきたからの信頼があるので、「あのお坊さんとオンラインで話したい」という指名がスタートから既に何件も入っています。
いろいろな方法でお坊さんとつながる方法を提案するのが、今進めている取り組みの一つです。
『 お坊さんオンライン個別相談 』とは
2020年3月11日、『 hasunoha 』で新しく『 お坊さんオンライン個別相談 』をサービスリリース。ビデオ会議ツールの『 zoom 』を使用し、希望するお坊さんと対面で相談できます。もちろん、匿名非公開での個別相談も可能。費用はシステム利用料として、時間【30分/60分/90分】に合わせた3つのプランから選ぶことができ、『 hasunoha 』にお支払い。相談のあとにおきもちを渡すことで感謝も伝えられます。(オンライン個別相談の詳細はこちら)
今後のお坊さんと一般社会との距離について
今後、日本においてお寺と一般の人たちとの距離はどのようになっていくと思われますでしょうか?また、このような関係を築いていきたいといった思いがございましたら教えてください。
堀下さん:檀家制度が崩れ始めていることは周知の事実です。お寺を支える檀家の数も寄付をしてくれる檀家さんも減少し、存続できないお寺が増え、10年20年後には今の半分くらいに減るかもしれません。
減少していく檀家さんだけを相手に、お墓や葬儀など死んだ後の関係だけで存続していくのは難しくなってくると思います。
四苦八苦。本来仏教が説いている、苦から抜け出し、どう人生を歩んでいくのか。それを伝えられる宗教者が新しい関係を人々と作って行くと思っています。
それはネットでも地域コミュニティでも、祈れる場所としてでも、悩み相談でも寺子屋でも介護でも手段は問いません。そんなお坊さんと一般の人々をつなげる役目を今後も担っていければと考えます。
インターネットという気軽なツールでお坊さんとつながることができる。そこから、一般の人たちとお坊さんとの新たな形ができているのだろうと思います。
『 hasunoha 』概要
『 hasunoha 』TOP | https://hasunoha.jp/ |
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運営法人 | ロータスリーフ合同会社 |
ロータスリーフ合同会社 事業内容 | ・インターネットメディア「hasunoha」の運営 ・インターネットマーケティングに関するコンサルティング事業 ・損得だけのビジネスに善悪の軸を付加した善得なビジネス ・誰も気づかない独自な視点で新規ビジネスを創出 ・すぐそこに人がいるような「あたたかいネットサービス」 ・既存事業のインターネットによる革新 |
運営会社 ロータスリーフ公式HP | https://lotusleaf.co.jp/ |
今回インタビューに応えてくださった、堀下氏について。
堀下 剛司氏
お坊さんとに相談できるQ&Aサイト『 hasunoha 』を運営する、ロータスリーフ合同株式会社代表。ITで社会を幸せにする活動を行っている。ミッションは、「ニッポンを優しく」。ヤフー、グリー、鎌倉新書などのIT企業でwebプロデューサー、企画を歴任してきた。2018年にロータスリーフ合同会社を設立。
編集後記
堀下さん、この度は『 hasunoha 』に関してお話をお聞かせいただき有難うございます。目に見えないウイルスによって生活の仕方が変わりつつある昨今、なかなか友人や家族に相談できない悩みを抱える人は増えているんだろうなと思います。そういったなか、あたたかな言葉をお坊さんからいただくことで、心が軽くなり救われる人は多いのではと思います。また、インターネットというツールを利用し、お坊さんとの新たな関係性が築かれていくことで社会が変わっていくのが楽しみです。ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。