デジタル情報を残すことの大切さを普及する、日本デジタル終活協会を紹介!
この記事を読まれているほとんどの人が、スマートフォンをお持ちではないでしょうか。では、そのスマートフォンのパスワードを自分以外に知っている人はいますか…?
もしも自分が亡くなったときに大切な情報がスマートフォンにしか入っていなかったら、困るのは残された家族です。
よって、常日頃からデジタル機器のログイン情報を別途保管する等の対策が必要です。そういったもしもの最期に向けて、デジタル機器の個人データ整理をすること等を「デジタル終活」と言います。
デジタル終活とは
パソコン・スマホ等の電子機器内のデータ及びインターネット上にあるデータ(あわせて、「デジタル遺品」とします)に対する死後の取り扱いについて考える活動。つまり、デジタル遺品に対する死後の取り扱いについて考える活動のこと。(※参照:日本デジタル終活協会)
ライフエンディング業界で活躍する企業や個人を取り上げたライフエンディングジャーナル。
第16弾となる今回は、デジタル終活を普及する活動をしている「日本デジタル終活協会」をご紹介します。インタビューに対応いただいたのは、日本デジタル終活協会の代表である伊勢田篤史氏。
協会でどのような活動をされているのか、デジタル終活では何が大切なのかをお聞きしました。
日本デジタル終活協会とは
任意団体 日本デジタル終活協会は、デジタル遺品対策や終活対策を普及する活動を行っています。
今回のインタビューに応じてくださる弁護士の伊勢田篤史氏が代表を務めています。
日本デジタル終活協会の主な活動は、下記の2つです。
○デジタル遺品対策・デジタル終活対策- 一般市民に対するデジタル終活に関するセミナーの企画・開催
- デジタル終活用エンディングノートの保管
- 死後事務委任契約
- ホームページの開発・運営
- デジタル終活用エンディングノート開発・販売
- 動画作成による普及
日本デジタル終活協会は、「相続で苦しめられる人を0に」という活動理念を掲げて活動しています。
それでは、実際に伊勢田さんにお話を伺っていきます。
日本デジタル終活協会が誕生した背景
弁護士・公認会計士の資格を持つ伊勢田様が、そもそも相続に興味をもったきっかけについて教えてください。
伊勢田さん:相続問題は、日本人であれば誰もが一度は経験する身近な法律問題であり、最もトラブルに発展しうる問題の一つでもあります。
相続トラブルは、本人のちょっとした対策で防げるケースが多いにもかかわらず、本人による対策が全くなされないまま、相続トラブルとなり遺族が苦しむケースを多く見てきました。
相続トラブルにおいて、揉めたくて揉める人は誰もいません。また、相続トラブルに勝者はいません。相続人全員が、感情的なしこりを一生抱えることとなり、いわば敗者となります。
私は、揉める必要のない相続を無くしたい、相続で苦しめられる人を0にしたいと思い、相続に興味を持つようになりました。
それでは、日本デジタル終活協会を立ち上げることになった背景を教えてください。
伊勢田さん:上記のような経緯から、元々「終活弁護士」として、終活から相続対策を考えましょうという活動をしていました。そのような活動の中で、「デジタル終活」という存在を知り、是非この活動を広めたいと思い、日本デジタル終活協会を立ち上げました。
なぜ、「協会」を立ち上げたのでしょうか。
伊勢田さん:デジタル終活を普及する活動にあたって、「終活弁護士」のときのように個人名義での活動では難しいだろうと思い、協会を立ち上げることにしました。その方が、認知の観点からも望ましいと考えたからです。
また、当時、「デジタル終活」に関する協会や団体が存在していなかったというのも大きいですね。
協会の活動
それでは、具体的に日本デジタル終活協会の活動内容を教えていただけますでしょうか。
伊勢田さん:大きく分けると2つの活動を行っています。
1つ目は、デジタル遺品やデジタル終活への対策です。デジタル終活用エンディングノートの保管や、もしもの時に備えた死後事務委任契約がそうです。
死後事務委任契約とは、簡単に言うと亡くなった後に発生する事務手続きを代わりに行うための契約のことです。
2つ目は、デジタル終活の普及です。
一般市民に対するセミナーや、デジタル終活用エンディングノートの開発や販売等です。また、ラジオやテレビ、雑誌等のメディアを通じた普及活動も行っています。
協会を立ち上げ、地道にセミナーの回数を重ねていくうちに、ありがたいことにメディアの方々からお声がけをいただく機会が増えてきました。
セミナーだけではなく、ラジオやテレビへの出演を行うと一気に多くの人に知っていただくことができますもんね。
伊勢田さん:本当にそうですね。やはり、協会を立ち上げて団体として活動をしているのが上手くいっているポイントかなと思います。
引き続きメディアを通じた形で情報発信を行い、より多くの人にデジタル終活を知ってもらえたらと考えています。
活動にあたって、課題になっていることはどのようなことでしょうか?
伊勢田さん:デジタル終活に対する認知度がまだまだ低いということですね。まだまだ協会として頑張らないといけませんね。
デジタル終活の始め方
デジタル終活も、情報を整理すると考えるとやらなければいけないことは多そうです…。よって、まずはこれから始めるべき!というポイントを教えてください。
伊勢田さん:これは、セミナーや講演で何度も繰り返して言っているのですが、とにもかくにも、パソコンやスマートフォンのログインパスワードを紙に書いて、家族と共有してもらいたいと思います。
パスワードが分からない場合、遺族はどうすればよいのでしょうか?
伊勢田さん:パソコンについては、データ復旧の業者に依頼されるとよいでしょう。業者にもよりますが、5~10万円程で、比較的容易にパスワードを解除してデータを復旧してくれると思います。
スマホについては、思いつく限りにパスワードを入力する・・・ということは、絶対にやめてください。
スマホの場合には、一定回数パスワードを間違えると、スマホ内のデータが初期化される機能が使用されている場合があり、最悪の場合、スマホ内のデータはすべて飛んでしまいます。
スマホについてもデータ復旧の業者に依頼することはできますが、20~30万円程かかり、パソコンのデータ復旧と比べると高額になります。また、ログインパスワードが4桁を超えると、パスワード解除が非常に難しくなるようです。
今後の活動で叶えていくこと
それでは最後に、今後の活動を通して叶えられたいことはどのようなことでしょうか?
伊勢田さん:自分自身の「万が一」のことを考え、その対策をすることが当たり前となる社会になればと思います。「デジタル終活」が、そのとっかかりになる役割をもってくれると嬉しいですね。
『 日本デジタル終活協会 』概要
任意団体 日本デジタル終活協会 サイトTOP | https://digital-shukatsu.net/ |
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代表理事 | 弁護士・公認会計士 伊勢田 篤史 |
所在地 | 〒102-0083 東京都千代田区二番町8-7 二番町パークフォレスト11階 (となりの法律事務所内) |
設立日 | 2016年1月1日 |
今回インタビューに応えてくれたのは、
弁護士・公認会計士 伊勢田 篤史氏
任意団体日本デジタル終活協会の代表理事を務める。弁護士・公認会計士の資格を活かし、「相続で苦しめられる人を0にする」という協会理念のもと、セミナーや講演会等でデジタル終活の普及活動を行う。
編集後記
デジタル終活が「残される家族」のために行うこと、という言葉がとても心に響きました。デジタル終活に限らず、終活を行うのは「自分のため」に行うのと同時に「家族が困らないようにするため」という考えが重要です。よって、情報を隠すという対策ではなく、必要な情報をしっかりと伝えられる形で残すという対策が大切です。デジタル化が進んでいる現代社会だからこそ、しっかりと向き合うべき内容ですし、そのための普及にライフドットしてもお力添えをしていきたいと思いました。
ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。