日常に溶け込む祈りの形『LOTUS memories』をご紹介
近年、住宅内のインテリアにマッチする小ぶりな手元供養品がたくさん販売されています。
お墓が遠方にあってなかなかお墓参りに行けない人や、大きな仏壇を置くスペースがない人が重宝できる手元供養品の人気は今後も高まっていきそうです。
今回のライフエンディングジャーナルで紹介する『LOTUS memories(ロータス メモリーズ)』は、2020年に販売開始されたばかりの新しい手元供養品です。
しかし、これまでの商品にはない魅力が詰まった商品といえます。
どのような思いで作られたのか、ポイントはどこにあるのか、開発担当者へのインタビューを交えてご紹介します。
この記事の目次
『LOTUS memories』について
『LOTUS memories』は、家などの手元で供養ができる「小型のお祈り壇」です。東京都世田谷区に本社を構える株式会社Map&RSが展開しています。
株式会社Map&RSは元々化粧品のパッケージやディスプレイデザインを手掛けている会社でした。
しかし、直葬や墓じまい、仏壇を手放す選択をする人が増加している昨今。この時代に、宗教や宗派に関係なく、大切な人を偲ぶことができる手元供養品を作りたいという思いから『LOTUS memories』を考案されました。
『LOTUS memories』は一見高さ30cmもない箱ですが、内部には位牌と骨壷をセットでき、開いて立てることでどんな場所でも故人を偲び、祈ることができます。
開いた形状は蓮の花のようで、祈る人をやわらかく迎えてくれるような印象があります。
現代のライフスタイルにもしっくりなじむ形状で、ちょっとした棚やリビングダイニングのカウンターなどに置くと、大切な人がそっと寄り添ってくれるような感覚をきっと覚えるはずです。
商品一覧
『LOTUS memories』の既存シリーズは「木 MOKU」と「箔 HAKU」のふたつで、いずれも厨子、位牌、骨壷がセットになっています。
近日、新シリーズとなる「HASHIRA」もリリース予定です。
MOKUはシンプルなデザインですが、HAKUはデザインバリエーションが豊富で、中身がゴージャスになっているものもあります。
木 MOKU | 箔 HAKU | |
---|---|---|
セット内容(cm) | ・厨子/位牌などを収納する外箱で、内側は純金箔 ・位牌/個別の名前印刷可能 ・サイズ/厚さ0.9×横6.6×高さ17.4 ・位牌基部/位牌と位牌基部は抜き差し式になっていて基部の位牌後部に骨壺収納可能 ・骨壺/真鍮製、少量の遺骨を保管可能 ・サイズ/直径2.6×高さ3.9 ・付属品/遺骨を包む和紙、リーフレット | |
サイズ(cm) | ・閉じた状態/縦8×横8×高さ21 ・開いた状態/縦8×横16×高さ21 | |
材質 | 厨子、位牌、位牌基部は桜材。骨壺は真鍮製(BSBM) | |
金額(税込) | 140,000円 | 330,000円 |
柄 | 1種のみ | 7種類 |
購入ページと購入方法
商品は『LOTUS memories』の公式サイトから購入できます。印字オーダーシートに記入して戒名を注文することも可能です。内容に不明な点がある場合は、お問合せするのをお勧めします。
『LOTUS memories』の飾り方
『LOTUS memories』はスペースが限られている家屋内でも本棚や戸棚など、ほんの少し空いたスペースに置くことができます。木肌を生かしたディティールは現代のインテリアにもなじむものです。普段は厨子を閉じて保管し、命日や季節ごとのしきたりの時だけ開いて、お祈りすることもできます。
とてもシンプルな形状の『LOTUS memories』がどのようにして誕生したのか、気になるところですね。
今回は株式会社Map&RSの開発担当者に、誕生秘話や供養に対する思いを伺いました。
『LOTUS memories』の開発担当者へインタビュー
素朴な味わいながらもインテリアにフィットした『LOTUS memories』はとても魅力的ですね。貴社は元々葬儀関連業を展開していたわけではないようですが、なぜ『LOTUS memories』が生まれたのでしょうか?
担当者:弊社の代表取締役である野口が葬儀運営会社の方から聞いた、海洋散骨をされたご遺族が「少しでも遺骨を残しておける入れ物があればよかった」という声が出ているという話がヒントになりました。
そこで故人を偲ぶための装置を考えて欲しいというご依頼をいただき、プロジェクトが始動したのです。
確かにすべて海にご遺骨を撒いて、何も残らないというのも寂しいものですね。商品名であるLOTUSの由来を教えていただけますでしょうか。
担当者:「LOTUS」は植物の「蓮(ハス)」を意味します。
『LOTUS memories』は立方体を斜めにカットしていて、まるで蓮の花のような形状になっています。蓮の花のように祈る人を柔らかく迎えてほしいという気持ちを込めたことが由来です。
確かに、本物の蓮のように見えて作り手の工夫が伺えます。このモダンでおしゃれなデザインに込められた思いを、製作過程の印象的なエピソードを交えて教えてください。
担当者:スペースの限られた住居内でも、カウンターテーブルや本棚などちょっとした場所に置け、なおかつ現代のライフスタイルにもなじむようなデザインを目指しました。
そのために大手化粧品メーカーで多数の広告やパッケージのデザインを手掛けてきたアートディレクターと組み、形状・素材の選定にはとことんこだわりました。最終的には風合い・サイズ感・たたずまいともに都市の住宅事情やインテリアにマッチしたデザインになったと感じています。
工夫という点では、手元供養のデザイン・商品開発を手がけるのは初めてでしたが、「コンパクト」かつ「荘厳」さを感じられるデザインになるように意識しました。
漆や箔を使用した制作で、どうしても「自然差=仕上がりの差」が出てしまうことに苦労しましたが、やがてそれこそが伝統工芸ならではのエッセンスと認識できるようになりました。
手元供養品ならではの生みの苦しみがあったのですね。最近では、手元供養品を展開する事業者様が増えていますが、他社との差別化や『LOTUS memories』ならではの魅力を教えていただきたいです。
担当者:『LOTUS memories』は厨子の中に位牌・骨壷が収納できる点が他社にはない強みで、現在特許申請中です。
「お祈り壇」として住宅内の小スペースでお祈りスペースを好きな場所、時間につくっていただけます。供養品だからといって、必ずしも常に厨子を開けておく必要はございません。
普段は厨子の中にお位牌を納めて命日や季節ごとに開き、手元でご供養していただく、新しい祈りのカタチを叶えられます。
宗教・宗派を問わず、骨壺にはご遺骨だけではなく故人が大切にされていたアイテムを、位牌にはお好きな詩・言葉を入れていただくことが可能です。
すごく自由度の高い製品で、これまで根強くあった供養品の常識を覆してくれそうですね。そんな『LOTUS memories』をどのような人たちに使ってもらいたいと考えていらっしゃいますか。
担当者:当初は海洋散骨や樹木葬をされたご遺族様の手元供養のために始めたプロジェクトでした。
しかし、開発を進めるなかで寺じまいや墓じまい、高齢者施設への移動、終活などによる仏壇廃棄など、幅広いニーズに対応できるのではと感じています。
弊社で「祈りのアンケート」を行ったところ、日常生活の中で祈りの時間を持っている人の割合は全体の19.5%で、5人に1人にあたることがわかっています。若年層の祈りの習慣は低下傾向にあるようですが…。
その一方で「祈りはこれからの世の中に必要だと思いますか?」という質問には、56%の人が「必要」と回答したことも事実です。
ここから新型コロナウイルス感染症の流行を背景とした、先の見えない未来への不安を祈るという行為で心理的に軽減させたいという意識が垣間見えます。
これらの結果を踏まえ、今後は手元供養をご検討されている方はもちろん、モノへの愛着心が強い団塊ジュニアやミレニアル世代の方々にも製品を見ていただき、新しい選択肢のひとつとして認知していただければと思っています。
なるほど、供養の形が変わっても「祈りが必要」と考える人は一定数存在するのですね。現在供養も簡素化されていると感じる人が多いようですが、今後はどのように変わっていくと思われますか。
担当者:宗教観やライフスタイルが変わったとしても、「ご家族を偲びたい」「そばに感じていたい」という気持ちは変わらずに残ると考えています。
ご遺骨を「お墓に埋葬する」という選択はこれまで通り一般的であっても、WithコロナAfterコロナのなかでお墓の維持や管理方法はまた見直されていくのではないでしょうか。
その一方で、個人個人が「祈りの本質」に触れ、自分ごととして考える機会はきっと増えてくるはずです。
それらを踏まえると「散骨」や「樹木葬」やこれまで少数派であった供養スタイルは、今後さらに需要が増えると予想しています。
故人を偲ぶ場所が身近に存在することで、供養そのものが生活の中の当たり前になっていきます。そこでささげる祈りのお手伝いを、『LOTUS memories』というプロダクト(製品)を通して提供できれば幸いです。
コロナ禍を経て人の価値観は間違いなく変わっていきそうですね。最後に現在手元供養を検討している方へのメッセージをお願いいたします。
担当者:2020年は大きな社会変化や生活変化が起こった年でした。「故人を偲ぶ」という行為そのものをライフステージ・ライフスタイルに合わせて変化・順応させていくことは良いことと私たちは捉えています。
『LOTUS memories』という祈りの場を現代のライフスタイルに取りいれることにより、皆さまの生活に「癒やし」と「安心」の場所をつくるお手伝いができればと考えています。ぜひ一度、『LOTUS memories』の世界観に触れてみてください。
変化する供養の形に寄り添ったプロダクト・『LOTUS memories』に対する熱い思いが伝わってきました。貴重なお話をどうもありがとうございます!
販売する株式会社Map&RSの概要
企業名 | 株式会社Map&RS |
所在地 | 東京都世田谷区若林2-14-6 |
『LOTUS memories』 公式サイト | https://lotus-m.com/ |
【PR】サイト内に掲載のコラムについて
今回ご紹介した『LOTUS memories』の制作以外にも、株式会社Map&RSではデザイナーと開発担当者様で宗教者や葬祭関係者、研究者などの祈りの有識者に話を聞き、そこで得た情報をコラムとして発信しています。
- 暮らしの中で「祈り」の時間や場を持つことの意義
- 「祈り」が与えてくれるもの
- 葬祭の形、供養の形が変化していく現代の中でこれからの「祈りの姿」とは?
- あなたにとって「祈り」とは
など、多くの有識者から祈りに対する思いを伺っていますので、こちらも合わせてご覧ください。
編集後記
他業界から葬儀・供養業界に参入するのは大変だったかと思いますが、インタビューを通じて『LOTUS memories』に対する熱い思いが伝わってきました。どのような住宅にもなじむ『LOTUS memories』の今後の広がりに期待が持てますね。インタビューコラムも楽しみにしています。
ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。