墓地の管理者は3つの墓地の形態によって異なる!
墓地の管理者とは?徹底解説
- 墓地の管理者は寺院、民営、公営の3タイプに分かれる。
- 管理者の仕事には埋葬許可や墓地の記録管理、自治体報告が含まれる。
- 管理者が不明の際は親族や石材店、お寺など複数の方法で確認可能。
- 管理者になるには資格不要だが、関連する民間資格がある。
墓地へお墓参りに行ったことがある人は多いでしょう。
しかし、墓地の管理者について細かく把握している人は少ない傾向です。
私たちから見ると、墓地の管理者が何をやっているのかは非常に分かりにくいですね。
この記事では、あまり知られることのない墓地管理者の業務や対応していることなどについて解説していきます。
墓地管理者の仕事や対応していることを知ることで、より一層お墓についての知識を深めることができるでしょう。
また、お墓を建てる際にもスムーズな関係を作ることができるようになりますよ。
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この記事の目次
墓地の管理者
墓地の管理者とは、ひとことでいえば、墓地利用者の窓口となり、さまざまな業務の橋渡しをする人です。
主に墓地の管理を任されている責任者であり、実務を行っている人ともいえます。
墓地の種類によっても誰が墓地の管理者になるかは異なりますので、業務の内容も含めて見ていきましょう。
墓地管理者は3種類の墓地の形態によって異なる
墓地の管理者は「寺院墓地」「民営墓地」「公営墓地」という3種類の墓地によっても異なります。
墓地経営者と墓地管理者は同じように感じてしまうかもしれませんが、異なることが多いです。詳しく内容を確認しておきましょう。
寺院墓地
寺院墓地の墓地管理者は住職になります。お寺の経営主体は宗教法人です。
民営墓地
民営墓地の墓地管理者は運営会社の責任者です。
民営墓地の場合、経営主体は宗教法人や公益法人などが行い、運営会社は民間企業(石材店など)というケースが多いでしょう。
公営墓地
公営墓地の墓地管理者は主に自治体の職員になります。
経営主体は自治体のため、公営墓地の墓地管理者は自治体の職員が行っているケースが多いです。
墓地の種類 | 経営主体 | 墓地管理者 |
---|---|---|
寺院墓地 | 宗教法人 | 住職 |
民営墓地 | 宗教法人や一般社団法人など | 運営会社の責任者 |
公営墓地 | 自治体 | 自治体の職員や関連会社の職員 |
墓地管理者が行っている業務
墓地管理者が行う業務は主に事務方の仕事が多いです。
墓地にお墓を建てようとしている人への案内はもちろん、必要書類の提示、申し込み手続き、受理した書類の精査および管理など多岐にわたります。
書類の作成や自治体への連絡業務なども役割の一つです。
墓地管理者が対応可能なもの
墓地管理者はさまざまなことに対応可能です。
墓地埋葬法第12条~18条において、墓地管理者の役割はしっかりと定められています。
ここでは、その一部について確認していきましょう。
埋葬許可証や改葬許可証などの提出
墓地管理者はさまざまな許可証を自治体へ提出する役割があります。
墓地埋葬法第14条において「墓地の管理者は埋葬許可証、改葬許可証、火葬許可証を受理した後でなければ埋葬や納骨ができない」と規定されているのです。
霊園・墓地内の図面や帳簿、書類などの管理
墓地内の図面や帳簿などの管理も重要な任務です。
墓地埋葬法第15条では「図面や帳簿、書類などを備えなければならない」とされています。
また、同条2項では、「墓地使用者などから図面や帳簿の開示を求められた場合、閲覧を拒んではならない」となっていますので、速やかに対応することが必要です。
毎月5日に自治体への報告
自治体への報告も墓地管理者が対応可能なことの一つです。
墓地埋葬法17条では、「毎月5日までに前月の埋葬や火葬の状況を自治体に報告しなければならない」と規定されています。
墓地管理者は、墓地経営者と利用者との間で事務処理を行うことがメインですが、裏方で自治体への報告や書類提出なども行っているのです。
ふだんは気にもしないような内容かもしれませんが、しっかり法令に基づいて仕事を遂行しているのですね。
墓地の管理者が分からない場合に知る6つの方法
墓地の管理者が分からない場合、いくつかの方法があります。
墓地を使用しない人にとってはとくに墓地管理者が分からなくても支障をきたすことはないでしょう。
しかし、墓地を利用している人や、これから利用しようとしている人にとっては問題です。
なぜなら、墓地管理者が分からないと、埋葬や改葬などの手続きが進められないからです。
ここでは、墓地管理者を判明させる方法を網羅していきます。
1.地元の親族や知り合いに確認
お墓の近くに住んでいる親族や知り合いに確認することも良いでしょう。
手軽に確認できるため、まずは親族に尋ね、親族がいなければ知り合いに聞くのが無難です。
その地域の自治会長に確認するのもよいでしょう。
墓地管理者以外にも、その墓地のさまざまな情報を聞くことができるかもしれません。
2.近隣の石材店に確認
近隣の石材店に確認することも貴重な情報源です。
長年地域に根差しているということや、墓地にお墓を建てたという実績がある可能性も高いでしょう。
そのため、情報の信憑性は高いといえるのではないでしょうか。
3.お寺に確認
寺院墓地の場合は、お寺の住職に確認しましょう。
おおむね寺院墓地は住職が墓地管理者となっているケースがほとんどです。
ただし、はっきりと墓地管理者が分からないときは確定させるためにも電話や訪問で確認することが賢明です。
4.近隣の葬儀社に確認
近隣の葬儀業者に確認するというのも一つの方法です。
葬儀社は葬儀だけでなく、お墓に悩んでいる人の相談など幅広く行っています。
そのため、地域の墓地管理者情報も把握している可能性があるのです。
もし自分が葬儀社を利用して葬儀を行ったのであれば、その葬儀社に確認するのがスムーズでしょう。
5.自治体に確認
管轄の自治体へ確認してみることは確実といえます。
墓地埋葬法第12条において「管理者の本籍、住所、氏名を自治体へ届けなければならない」
と定められていますので、自治体には確実に墓地管理者の情報があるでしょう。
6.不動産登記簿謄本で確認する
墓地の不動産登記簿謄本を取得して確認してみることも方法の一つです。
墓地管理者がすでに亡くなっているような場合は、自治体に登録されている情報が正確とは限りません。
墓地の所有者を確認することで、もしかすると相続手続きが完了して現在の所有者が分かる可能性があります。
不動産登記簿謄本を取得するにはインターネットや法務局の訪問で行えますが、費用が掛かってしまうという点はデメリットです。
ここでは、墓地管理者が分からない場合の判明させる方法について解説しました。
どうしても分からないときは自治体の担当者に相談したうえで、どのように手続きを進めたら良いのかを検討しましょう。
墓地管理者がいないお墓もある
墓地管理者がいないというお墓もあるので注意が必要です。
墓地埋葬法が制定されたのは1948年になります。
そのため、それ以前からある墓地の場合、墓地管理者が選定されていないということがありえるのです。
地方のほうが再開発されているような都心部よりも、墓地管理者がいないケースは多いでしょう。
なかには、墓地管理者が判明しても亡くなっていたり、相続手続きもされていなかったりということもあります。
墓地を管理している経営主体
墓地を管理している経営主体は、墓地の種類によっても異なります。
ここでは、経営主体の観点から確認していきましょう。
宗教法人や公益法人
寺院墓地の場合、経営主体は宗教法人になります。
また、民営墓地の場合は、宗教法人や公益法人が経営主体となることが多い傾向です。
自治体
公営墓地の場合は自治体が経営主体です。
墓地の管理者に資格はなくても問題ない
墓地管理者を行うに当たっては特に資格がなくても問題ありません。
お墓に関する資格は、「お墓ディレクター」「お墓相談員」「墓地管理士」など民間の資格はさまざまです。
なくても問題ありませんが、利用者にしっかり内容を伝えたり、安心感を与えたりするのであれば、資格はあったほうがよいと感じる人もいるでしょう。
ここでは、墓地管理士とお墓ディレクターについて解説します。
墓地管理士とは
公益社団法人全日本墓園協会が主催するお墓の資格が「墓地管理士」です。
主に、墓地管理者やその業務補佐を養成するための資格とされています。
墓地管理者を目指す人にとっては、ぜひとも取得しておきたい資格ですね。
受講資格
「墓地管理講習会」を修了した人かつ、墓地関係者が対象です。
受講料
一般が3万円で、会員は2万5,000円
通信授業期間
4月初旬から8月初旬
資格の有効期限
墓地管理士の有効期限は5年間です。
再交付の際は試験が必要になります。
1回目の更新費用は一般が1万円、会員が8,000円、2回目の更新費用は一般が5,000円、会員4,000円です。更新を行わないと除籍されるので注意しましょう。
お墓ディレクター
一般社団法人日本石材産業協会が主催するお墓の資格が「お墓ディレクター」です。
お墓ディレクターには1級、2級の区分があります。
お墓に関する幅広い知識や教養がないと合格が難しいでしょう。
検定試験の内容は、お墓の歴史や石材の種類、神社、仏教、家紋など多岐にわたります。
受検資格
お墓ディレクター1級は、実務経験が3年以上かつ、2級の取得者でないと受検できません。
また、お墓ディレクター2級は、お墓関係者であれば、実務経験は問われません。
受検料
受検料は、お墓ディレクター1級・2級ともに3万500円です。
ただし、会員や会員企業の従業員、全建石会員は1万8,500円になります。
墓地管理者となるには資格がなくても大丈夫ですが、より一層知識を深めるには「お墓ディレクター」や「墓地管理士」のような資格を検討しても良いでしょう。
まとめ
墓地の管理者の仕事内容や、法令に基づいた行えること、お墓に関する資格などさまざまな観点から墓地の管理者を見てきました。
墓地管理者は客観的に見ると何をやっているのか分かりにくい仕事ですが、墓地の利用者と墓地、さらに自治体とのかけ橋になっている重要な業務ですね。
簡単に墓地の管理者についておさらいしてみましょう。
- 墓地の管理者は墓地の種類によっても異なる
- 墓地の種類は主に「寺院墓地」「公営墓地」「民営墓地」の3種類
墓地の種類 | 経営主体 | 墓地管理者 |
---|---|---|
寺院墓地 | 宗教法人 | 住職 |
民営墓地 | 宗教法人や一般社団法人など | 運営会社の責任者 |
公営墓地 | 自治体 | 自治体の職員や関連会社の職員 |
- 墓地管理者は墓地埋葬法12条~18条にのっとって業務を遂行している
- 墓地管理士のできることは主に「許可書の提出」「図面や書類などの管理」「自治体への報告」など
- 墓地管理者が分からない場合の方法は主に6つある
- 最終的に確認したいときは自治体への確認が無難
- 墓地埋葬法が制定された1948年以前の墓地では管理者がいないこともある
- 墓地管理者は資格がなくてもなれるが、「お墓ディレクター」「墓地管理士」などの民間資格がある
お墓に関する内容に携わる墓地管理者は、お墓のさまざまな知識が必要となる仕事です。
また、知識はもちろんですが、お墓という繊細な内容のため丁寧な対応や相手を安心させるようなノウハウも大切でしょう。
お墓に納骨したり、お墓の改葬をしたりする際には墓地管理者を通しての手続きが必要になります。
墓地管理者の業務内容をしっかり把握して、複雑な手続きがスムーズに行えるようにしていきたいものですね。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
自治体が運営するお墓の中でも、近年は指定管理者制度を利用しているところが増えています。指定管理者制度とは、2003年施行の地方自治法の一部改正により導入されたシステムで、公の施設(スポーツ施設、都市公園、文化施設、社会福祉施設)などの管理を株式会社をはじめとした民間事業者が包括的に代行する制度のこと。お墓も例外ではなく、民間ノウハウを活用しつつ、多様化するニーズをとらえて効果的・効率的に管理できるように各事業者が工夫を凝らしています。
指定管理者制度導入前後を比較すると、管理棟で花やロウソクの販売があったり、終活講座などを積極的に開催している霊園もみられます。防災拠点として地域との連携を深めている霊園もありました。このように、霊園管理の面でも近年サービスの向上がみられます。