墓地の3つの種類をマスターしよう!さまざまな特徴がある墓地
墓地の種類とは?徹底解説
- 墓地には寺院、公営、民営の3タイプがあり、運営や宗派に違いがある。
- 墓地と霊園は檀家の有無が異なり、共に墓を建てる場所。
- 永代供養墓など、管理が楽な供養方法が多くある。
お墓について真剣に考えるときは人生の中で何度もあるわけではありません。
そのため、「いざお墓を建てよう」と考えたときに困ることは内容がよくわからないことではないでしょうか。
この記事では、墓地の種類や様々な特徴などを解説していきます。
よくわからないまま墓地契約をしてしまい後悔してしまわないよう、自分や家族が納得できる墓地探しを徹底して行っていきましょう
墓地の特徴を理解しておくと、現地へ見学したときも細かい疑問点について確認することができるようになりますよ。
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墓地は大きく分けて3つ!経営主体や運営が異なる
墓地は大きく分けると主に3種類に分けられます。具体的な内容としては「寺院墓地」「公営墓地」「民営(民間)墓地」です。自分の家のお墓がどのタイプなのかを確認してみましょう。
- 寺院墓地
- 公営墓地
- 民営(民間)墓地
寺院が管理する寺院墓地
寺院が運営管理する墓地のことを寺院墓地といいます。
寺院の敷地内を墓地として提供していることが多い傾向です。
運営および管理とも宗教法人が行い、宗派宗旨など制限がある場合もあるため、確認しておく必要があります。
また、寺院墓地で契約する際に注意したいのが檀家です。檀家とは、お寺の会員になってお寺を金銭的にサポートするというイメージになります。
そもそも、お寺は墓地を利用している檀家がお金を出し合いお寺を維持していくという考えがあるのです。
そのため、多くの寺院墓地では、檀家になることが条件になっていますので、必ず墓所契約を結ぶ前に檀家になる必要があるかを確認しておきましょう。
公益法人や宗教法人などが管理する民営(民間)墓地
経営主体が宗教法人や公益法人で、管理は民間企業という形式をとっているのが民営(民間)墓地です。
広大な敷地を再開発して、さまざまな利用者のニーズに合わせた墓地を選びやすいことが特徴になります。
民営(民間)墓地のように宗旨宗派で縛られることが少なく、自由に墓地や墓石をデザインできることも魅力の一つです。
管理している民間企業は石材店が行っていることが多く、土地開発にお金をかけているケースも少なくありません。
そのため、若干年間管理費が寺院墓地や公営墓地に比べて高い傾向です。
地方自治体が管理する公営墓地
公営墓地は、運営や管理とも自治体が行っている墓地です。各自治体で運営管理を行っているため、管理費が安い傾向であることが特徴といえます。
どの形態の墓地でも、墓地を借りるための費用として永代使用料を支払い、墓所契約を結ぶことになりますが、公営墓地は地域によって永代使用料が大きく差がありますので注意しましょう。
なぜなら、都心部に関しては地方に比べて地価が高いため、それに比例して永代使用料も高くなるからです。寺院墓地のように宗旨宗派で制限されることはありません。
募集に関しては、公募という形態をとっており年に1~4回程度の募集を行っていることが多い傾向です。
自治体によって募集の時期や回数は異なりますので、希望する公営墓地の自治体へ確認してみましょう。公募人数よりも申込者が多い場合は抽選になります。
墓地の種類 | 経営主体 | 運営 | 宗派宗旨の有無 | 募集時期 | 生前契約 |
---|---|---|---|---|---|
寺院墓地 | 宗教法人 | 宗教法人 | ある場合が多い | 空きがあれば随時募集 | 可能 |
民営(民間)墓地 | 宗教法人・公益法人など | 民間企業(石材店など) | ない場合が多い | 空きがあれば随時募集 | 可能 |
公営墓地 | 自治体 | 自治体(管理事務所) | なし | 年に1~4回程度の公募(募集人数より申込者が多い場合は抽選) | 要相談
|
墓地と霊園の違い
墓地と霊園はどちらもお墓を建てる場所です。しかし、呼び方が異なるのはなぜなのでしょうか。ここでは、墓地と霊園の違いを確認していきます。
墓地
墓地とは、一般的に寺院の敷地内にあるものを指します。また、檀家制度のあるお寺のお墓が墓地と呼ばれたようです。
霊園
墓地以外のお墓を建てる場所を霊園と呼びます。
公営墓地や民営(民間)墓地の公園のようなスタイルが霊園と思っている方も多いですが、細かくは檀家の有無で呼び方が異なると考えておくとわかりやすいでしょう。
墓地も霊園もお墓を建てる場所ということは変わりありません。一番の違いは檀家になるかならないかということ違いがあるのですね。
墓地の種類の違いは理解できたでしょうか。墓地と霊園の違いや墓地の種類の違いは、ややこしく感じるかもしれません。しかし、明確に違いを把握しておくことで墓地選びもしやすくなりますね。
形態別に解説!さまざまな特徴のある墓地
墓地にはさまざまな特徴があります。
ここでは、墓地形態の特徴という観点から違いを見ていきましょう。
敷地が広く緑が多い公園墓地
公営墓地や民営(民間)墓地に多いのが公園墓地です。寺院墓地のような昔ながらのお墓のイメージとは異なり、公園と併設されているような墓地形態になります。
広大な土地を開発して墓地にしているため、自然も十分に残されており、すがすがしい気持ちでお墓参りをすることができるでしょう。
みなし墓地や野墓地
墓地埋葬法が施行された1948年5月31日以前に、自治体で認められていた墓地を「みなし墓地」といいます。
また、慣習的に地域や自治会などで管理していた墓地を野墓地(のぼち)もみなし墓地の一つです。
なぜなら、墓地埋葬法第26条で
この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす
厚生労働省から引用
とされているからです。
自宅の敷地内にあるお墓などは、みなし墓地であることが多いでしょう。
現代においては、墓地埋葬法10条により、新しく個人が自分の土地に墓地をつくることは非常に難しくなっています。(沖縄県を除く)
ペット墓地
その名の通り、ペットを埋葬するための墓地です。廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条によると、動物の死体は一般廃棄物という扱いになります。
そのため、2019年時点で人間の骨を埋葬するような厳しい法制限がありません。つまり、自分の家の敷地にお墓をつくっても問題ありませんし、業者がペットの死体を預かり自社の土地に埋葬することも問題ないのです。
しかし、2010年4月にはペット供養業者が埼玉県飯能市の山林に犬猫の死体約100匹を遺棄して逮捕されるという事件が起こっています。
このように、ペット墓地は法整備がされていないグレーゾーンの状態なので利用する際には十分注意が必要です。
管理の手間がかからない供養の種類
永代供養墓では、年間管理費のかからない墓地が多いです。
お墓を建てる際は、墓地を借りるための費用である永代使用料(1回のみ)や、共用部分の維持や管理をしていくための費用である管理費(毎年)がかかることが一般的です。
しかし、永代供養墓は契約時に永代使用料を支払いうことで管理が必要なくなる供養方法が多いです。
一言で永代供養墓といっても種類はさまざまです。
ロッカータイプなどコンパクトな納骨堂
遺骨を納骨するためのスペースが納骨堂です。
一般的に多いのは、コインロッカーのようなスタイルの納骨堂です。
納骨堂でも永代供養できるタイプや、管理費を支払う必要があるタイプなどさまざまな種類があるので、永代供養としたい場合は、自分の希望に合った納骨堂を探すことが重要になります。
短期納骨堂
遺骨を一時的もしくは数年間保管しておく場合は短期納骨堂がよいでしょう。
明確に何年までが短期納骨堂などの定義はありませんが、多くは別の場所に納骨するまでのつなぎとして利用する人が多い傾向です。
長期納骨堂
10~30年など長期的に納骨堂を利用する場合や、永代供養として納骨堂を利用したい場合は長期納骨堂の利用がおすすめです。
永代供養として利用する場合は、一定の年数を経過後に遺骨は合祀墓に移されることが多いので確認しておきましょう。
自然に遺骨を還らせてくれる樹木葬
樹木葬タイプにも永代供養タイプのお墓があります。
例えば、埋葬する土地の真ん中に1本木を植えて合同で遺骨を布で包んで途中に埋めていきます。
長い年月をかけて遺骨は土に還っていくので、お墓のようなタイプを好まない人に人気の永代供養方法です。
永代供養が可能な合祀(合葬)墓
シンボルとなる墓標を一つ建てて、その下にたくさんの遺骨を納骨して供養するタイプが合祀墓(合葬墓)です。
シンボルとなる墓標は、塔のようなタイプや、墓石のようなタイプ、墓誌のようなタイプなどバラエティ豊かといえます。
管理費などを毎年納める必要がないため、身寄りがいない人や子どもにお墓の負担をかけたくない人などに人気の供養方法です。
一度納骨してしまうと、遺骨を取り出しできないことが多いので注意しましょう。
大海原という大自然にときはなつ散骨
遺骨を海へまいて供養する方法が海洋散骨です。
船をチャーターして親族のみで散骨する方法や、船をほかの人と合同でチャーターし散骨する方法、業者へ遺骨だけ郵送して散骨を依頼する方法などを選ぶことができます。
親族へ墓守を引き継ぐことがない供養方法なので、近年行う人が多い傾向です。昔からある和式墓地とは異なり、墓地のさまざまな特徴の供養方法があることがわかったのではないでしょうか。
墓地を探す際は、予算を考えることも大切ですが「どのようなスタイルの供養をしたいか」という観点で選んでいくと納得のいく供養ができるかもしれません。
まとめ
墓地の種類は主に3種類あることがわかりましたね。
どの種類の墓地がよいかは、人それぞれです。
管理費の安さや、墓地がなくならないという安心感なら公営墓地、毎日手厚く供養してもらいたいなら寺院墓地など、自分自身や故人の希望が十分反映される墓地を選定するとよいでしょう。
もう一度、この記事の内容をおさらいしていきます。
・墓地の種類は「寺院墓地」「民営(民間)墓地」「公営墓地」の3種類ある
墓地の種類 | 経営主体 | 運営 | 宗派宗旨の有無 | 募集時期 | 生前契約 |
---|---|---|---|---|---|
寺院墓地 | 宗教法人 | 宗教法人 | ある場合が多い | 空きがあれば随時募集 | 可能 |
民営(民間)墓地 | 宗教法人・公益法人など | 民間企業(石材店など) | ない場合が多い | 空きがあれば随時募集 | 可能 |
公営墓地 | 自治体 | 自治体(管理事務所) | なし | 年に1~4回程度の公募(募集人数より申込者が多い場合は抽選) | 要相談
|
- 墓地とは、寺院にある墓地のことで檀家になる墓地のことを指すといわれている
- 霊園とは、墓地以外の墓園のことをさし、檀家になる必要がない
- 広大な土地を利用した公園墓地は、公営墓地や民営(民間)墓地が多い
- 墓地埋葬法ができる前に、つくられた墓地は「みなし墓地」と呼ばれている
- 自治会や地域で管理している墓地は、野墓地(のぼち)と呼ばれている
- ペット墓地は、法整備がされていないため利用の際は注意する
- 永代供養タイプのお墓は、管理費などが不要のため墓守を選定する必要がない
- 納骨堂は、ロッカーのように屋内に遺骨を納められる形式の納骨方法
- 樹木葬は、樹木をシンボルとした区画に遺骨を納める納骨方法
- 合葬墓は、家単位ではなく他人と一緒に遺骨を納める納骨方法
- 海洋散骨は、粉骨した遺骨を海にまく葬送方法
お墓を建てるかを悩んでいるときは、どうしても「墓石にどれぐらい費用がかかるのか」ばかりに目が行きがちです。
しかし、墓地埋葬法で墓石は、墓地以外に建てることはできません。
また、墓地によって建てられる墓石の大きさやデザインが制限する場合もあります。
そのため、お墓のことを考える際は、まず墓地の種類をしっかり把握して希望の墓石が建てられるような墓地を選ぶことが重要です。
「永代供養を希望しているので墓地はいらない」と思っている人も、墓地の種類を押さえておくと選択肢が広がるので重宝しますよ。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お墓はどこでも建てられるわけではありません。「墓地・埋葬等に関する法律」を根拠法に、自治体から墓地として認められた土地でお墓を購入することになります。
では、墓地として認められた土地というのはどのような場所になるのでしょうか。ひとつは自治体が持っている土地、これが「公営墓地」になります。もうひとつが寺院の境内など、宗教法人が持っている土地、これを「寺院墓地」と称されています。近年、郊外などに大規模に造成される「〇〇霊園」「〇〇メモリアル」等の名称で売り出されているのが「民間墓地」というタイプです。「民間墓地」の経営主体の多くは宗教法人ですが、開発に関して石材店や開発業者の資本が多く入っています。民間業者は経営主体ではないため「民営」と言わず、「民間」と言われているのもそのためです。
「公営」「寺院」「民間」それぞれ特色があります。お墓を建てるときは、立地、宗教・宗派、使用料、環境等を考え検討します。