墓場についてわかる!墓地との違いや由来まで
墓場とは?徹底解説
- 「墓場」は「墓地」とも呼ばれ、法律上の正式名称は「墓地」。
- 公営、民営、寺院など墓地の種類は多様で、選ぶ際の基準がそれぞれ異なる。
- 墓地選びは宗派適合、アクセス、環境、コスト、管理状況、石材店指定を考慮。
- お墓探しは石材店、ネット、広告、市の情報を活用。
よく耳にする「ゆりかごから墓場まで」という言葉。
生まれてから骨になるまでの人間の一生を表すことわざとして使われますよね。
この記事では、「墓場」についてまとめています。どのような時に使用されるのか、墓地との違いは何なのか解説しています。
また、自分にふさわしいお墓を建てる場所の決め方についてポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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墓場とは
墓場とは、墓地のことです。
普段はあまり用いられない言葉です。
筆者はこの業界に携わって長いのですが、お寺や石材の業界などで”墓場”という呼び方はあまりしません。
もっと卑俗的で比喩的な表現(たとえの言葉)として用いられることが多いようです。
たとえば、「ゆりかごから墓場まで」という言葉があります。
これは第2次世界大戦後のイギリスの社会福祉政策スローガンですが、「生まれてから死ぬまで」という意味のたとえです。
「結婚は人生の墓場である」という言葉も、自由が失われることを死にたとえています。
映画やアニメなどでは「ここがお前の墓場だ」などのステレオタイプの捨て台詞がありますし、水木しげるさんの『ゲゲゲの鬼太郎』のもともとのタイトルが『墓場鬼太郎』だったことはファンでは誰もが知っています。
墓場と同じ意味で使われる言葉
墓場と同じ意味で使われる呼び方に、「墓地」「メモリアルパーク」「霊園」などがあります。
どれも、亡くなった人の遺体や遺骨を埋葬する区域のことを指します。
登記上の地目は「墓地」とされています。
ちなみに、これらの呼び方に明確な線引きはありません。
墓地の管理者がどのように名乗るのかによって変わります。
しかし、なんとなくの傾向があるのも事実。
筆者が推測するに(あくまで推測です!)、以下のような分類ができるのではないかと思います。
墓地
墓地と名乗っているところの多くは、明治時代以前からある墓地です。
その最たるものが寺院墓地、そして村落の住民のための共同墓地(村墓地)です。
もちろん、明治以降に墓地を切り開いた場合に、その管理者が「墓地」と名乗ればそれが適用されているでしょう。
霊園
明治以降に開設された墓地は「霊園」と名乗るところが多数あります。
もともと仏教は「霊」の存在に執着しておらず、むしろ神道の概念でした。「御霊」と書いて”みたま”と読ませたりしますね。
江戸時代の墓地は基本的には仏教寺院が管理していたために「霊園」とは呼びませんでした。
明治新政府が国家神道を推進する中で、葬儀や供養も神道化が図られていきました。
たとえば、東京都の都立霊園(青山霊園や雑司ヶ谷霊園など)は、明治時代に神葬祭の専用墓地として開設されました。
これらももともと「墓地」と名乗っていましたが、明治22年から東京府が東京市に移管される頃に、「霊園」の名が使用されるようになりました。
以降、墓地を名乗る際に「霊園」が多く使われるようになったのです。
現在では、寺院が経営する墓地でも「霊園」と呼んでいるところが多数あります。
メモリアルパーク
「メモリアルパーク」とは「霊園」と同じ意味の呼び名です。
ただし、この呼び方には、マーケティング的に聞こえがよく感じられます。
「霊」の文字はどうしても忌々しい印象を与えてしまうので、メモリアルパークという呼び名が浸透したものだと思われます。
そのほとんどは、民営墓地が使用している名称です。
一部、公営霊園などでも見かけることができます。
墓地の種類
墓地にもさまざまな種類があり、特色が異なります。
ここではそれぞれの墓地の特色を見ていきます。
公営墓地
公営墓地とは、地方自治体が管理運営する墓地のことです。
自治体が直接管理する墓地もあれば、管理会社に委託されている墓地もあります。
公営墓地の特徴は、管理者が自治体であるために、管理が安心だということです。
共益部分の清掃などは定期的に行ってくれますし、倒産や廃寺などの心配がありません。
その分、人気が高く、取得が難しいという面があります。
▼ 公営墓地のメリット
- 管理が自治体なので安心
- 費用が比較的安い
- 宗教宗派を問わない
▼ 公営墓地のデメリット
- 人気が高く、取得が難しい
- 申込資格の条件がある
- 寿陵墓(生前墓)が認められないこともある
民営墓地
民営墓地とは、民間業者が管理運営する墓地のことです。
実際には会社法人による墓地経営は認められておらず、寺院の名義として、実際の管理運営を民間業者が行うという形をとることが多いようです。
寺院が独自に経営している場合もあります。
宗旨や宗派などを問うこともなく、利用者目線で墓地設計がなされています。
ただし、全般的に公営墓地より割高の傾向にあります。
▼ 民営墓地のメリット
- 宗旨宗派を問わない
- 区画面積や、お墓のデザインを自由に選ぶことができる
- 駐車場や共益部分などの設備が充実している
▼ 民営墓地のデメリット
- 費用が比較的割高である
- 石材店が決められている
- 管理会社が倒産する可能性がある
寺院墓地
寺院墓地とは、寺院の境内にある墓地のことです。
檀家向けの墓地の場合と、寺院が経営する一般向けの墓地の場合があるので、事前に確認しておきましょう。
檀家にならなければならない場合は前者。宗旨宗派を問わず、誰でも購入できる場合は後者だと思えばいいでしょう。
場合によっては、ただ墓地を購入するだけでなく、お寺付き合いが必要なこともあります。
事前に確認しておきましょう。
▼ 寺院墓地のメリット
- 都市部でも墓地を持つことができる(お寺が都市部にある場合)
- 寺院の家族が24時間いてくれるため、供養や管理の面で安心感がある
- 法要の際に、場所の移動などの手間が省ける
▼ 寺院墓地のデメリット
- 比較的費用が高い
- お寺の檀家、あるいは信徒になることを求められることもある
- 石材店が決められていることもある
墓地の探し方から決め方まで
素晴らしい墓地と巡り合えますように。墓地探しと、その決め方のコツをまとめました。
その地域の石材店を訊ねてみよう
墓地探しに一番いいのは、まずはその地域の石材店に相談することです。
公営墓地であれ、民営墓地であれ、寺院墓地であれ、石材店はさまざまな墓地の情報を持っています。
ただし、石材店によっては得手不得手もあります。
その石材店が勧めたい墓地もあれば、施行業者として入ることのできない墓地もあります。
ですから、2~3で構わないので、複数の石材店に相談してみることをおすすめします。
公営墓地の場合
公営墓地を探す場合には、市の広報やホームページなどをチェックしましょう。
また、直接役所に問い合わせてもいいでしょう。
空きがある場合は、現地を確認して、気に入った場所があればすぐに申し込むことができます。
しかし、公営墓地の場合、空きがないことがほとんどです。
市は返還墓地の再貸付(利用者がいなくなった墓地を再利用すること)を定期的に行います。
申込期間に限りがあり、用意しなければならない書類などもあるため、早めの情報取集に努めましょう。
また、申込者が多い場合は抽選になるでしょう。
民営墓地・寺院墓地の場合
民営墓地や寺院墓地については、インターネットや広告などから探してみましょう。
空きがあればすぐに購入できます。
ただし、民営墓地の場合は石材店が決められていたり、寺院墓地の場合はそのお寺との付き合いが始まったりと、なにかと条件がありますので、焦らずに慎重に選ぶことをおすすめします。
墓地選びのときに気をつけること
墓地を選ぶ時は、以下のことに注意しましょう。
- 宗旨宗派
その墓地は、あなたの宗旨宗派のお墓を建てても大丈夫ですか?
公営墓地や民営墓地であれば問題ありませんが、寺院墓地の場合は宗教の制約を設けているところもありますので、事前に確認しておきましょう。 - アクセス
自宅からのアクセスは便利ですか?
車で行く場合。公共交通機関を利用する場合。
それぞれのケースを想定してみましょう。 - 立地・環境
その墓地の立地には満足していますか?
また、周囲の環境は気に入りましたか?
現地に立ってみないと分からないことがあります。
周りの雰囲気が静かでお墓参りがしやすいや、木が近くに立っていて落ち葉の汚れが気になるなど、その時に思った直感を信じましょう。 - 費用
その墓地の費用は予算内ですか?
墓地価格はさまざまな要素が絡み合って設定されていきます。
地価が高いほど墓地価格も高騰する傾向にあります。
安い墓地を探すのも大事ですが、自分たちの予算と照らし合わせて、お墓参りしたくなる墓地を見つけることが理想です。 - 設備・管理・バリアフリー
駐車場は充実していますか。
車を止めてから墓地までは歩きやすく設計されていますか?
水回りや歩道などの共益部分はきれいに清掃管理されていますか?
その墓地の設備や管理の充実度を見ることで、管理者の姿勢を見ることができます。 - 石材店
石材店は指定ですか?
それともどの石材店も工事ができますか?
指定の場合、複数の業者に相見積もりをとることができません。
墓地費用が安くても、墓石の値段が相場よりも高くなることがあります。
まとめ
いかがでしたか?
墓地はご先祖様の大事な住まいとなる場所です。
焦ることなく、じっくりと選んで、最良の墓地と巡り合うことができればよいですね。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お墓については墓地、霊園、墓苑等、さまざまな呼び方がありますが、法律では、死体を埋葬、または焼骨を埋蔵する施設を「墳墓」といい、この墳墓を設けるために墓地として都道府県知事の許可をうけた区域を「墓地」といいます。また焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を得た施設を「納骨堂」といいます。つまり霊園、墓苑等は、法律で定義づけられた言葉ではなく、解釈も厳密ではありません。漠然としたものではありますが、「霊園」というと宗旨宗派問わず、公園型の墓地をイメージする人が多いような気がします。ただしあくまでイメージにすぎませんので、実際に現地へ行って見学することが大切です。