墓碑と墓石・墓誌との違いを解説!違いを理解して手を合わせよう
墓碑とは?徹底解説
- 墓碑と墓石はほぼ同じ意味
- 墓碑はお墓の主役で、建立者の想いを込める大切な場所
- お墓づくりは、霊園選び・墓石選び・墓石の仕様決めの3ステップ
墓碑という言葉を聞いたことがあっても、意味はよく知らないという人は多いでしょう。
お墓を買うとき、「墓碑には何を刻みますか?」と突然聞かれたら、ちょっと困ってしまいますよね。
多くの人にとって、お墓は一生に一度しかない買い物です。
勝手がわからず戸惑うのも、無理がありません。
この記事では、以上のような疑問や悩みを持つ人のために、墓碑の意味や刻む文字について、またお墓を買うときの手順についてご案内します。
最後まで読めば、お墓を買うときの悩みが解消されますよ。
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墓碑と墓石はほぼ同じ意味
墓碑と墓石は、ほぼ同じ意味ととらえてもらって差し支えありません。
例外はありますが、ごく一般的なお墓を建てる場合、墓碑は、墓石の一番上に位置する、文字が刻まれた石を指すためです。
墓石と聞いて多くの人が思い浮かべるのも、「○○家之墓」などと書かれた石でしょう。
ですから、墓碑と墓石は同じようなものとイメージしていいのです。
ただ、厳密には、墓碑と墓石の意味合いは少し違います。
他にも、墓石に関連して「墓誌」や「墓標」といった言い方があり、それぞれ意味合いが少しずつ違います。
それぞれ説明しましょう。
墓碑はとくに名前などが刻まれた参拝対象の石塔を指す
墓碑は、故人名や戒名、故人をあらわす印象的な言葉などが刻まれた、参拝対象の石塔を指します。
墓碑には、戒名や俗名の他、没年月日や略歴などが刻まれることがあります。
埋葬されている人のことがわかる石塔なので、訪れた人は墓碑に向かってお参りをすることになるのです。
どっしりとした背の高い石板など、とくに墓碑部分が非常に大きいお墓のことを
「お墓」や「墓石」とはいわず、「墓碑」と呼ぶことがあります。
歴史上の人物や、有名人のお墓は大きいものが多いため、「墓碑」と呼ばれることも多いです。
墓石は墓地に建てられる石塔や石板全てのこと
墓石は、墓地に建てられる石塔や石板全てを指します。
お参りの対象となる墓碑部分はもちろん、これから説明する墓誌、土台部分なども、全て墓石の一部です。
なお、外柵や灯籠などを「墓石で作られている」と表現するのが可能なことから、墓石は「お墓のための石材」をあらわすという見方もできます。
墓誌は故人名や没年月日などが書かれた石板のこと
墓誌は、メインとなる墓石のそばに置かれる、埋葬された人々の没年月日などが書かれた石板を指します。
墓碑との決定的な違いは、墓誌が参拝の対象にはならないことです。
墓誌は、墓石でできた記録版のようなものととらえていいでしょう。
墓標はとくに遺体や遺骨がある場所の目印のこと
「墓標」は、とくに遺体や遺骨がある場所の目印という意味を持っています。
石でなくとも成り立つのが、墓石や墓碑との違いです。
土葬の時代は、木の棒に個人名や没年月日を書き入れ、墓標とする地域も多くみられました。
また、現代においても、木の墓標は使われています。
墓石がまだ建てられていない墓地に遺骨をひとまず埋葬する場合、目印として白木の角柱を建てるのです。
以上、墓碑と墓石、そして墓誌や墓標との違いをご紹介しました。
一般的には、墓碑イコール墓石と考えてよいということが、おわかりいただけたかと思います。
さて、墓石ではなくあえて「墓碑」と表現する場合、「何らかの文字が刻まれた墓石」という意味を暗に含んでいるのが一般的です。
「墓碑に刻む文字は、どうされますか?」などと石材業者から聞かれることがあるでしょう。
次章では、墓碑に刻む文字にはどのようなものがあるか、また、どう選べばよいかを解説します。
墓碑に刻む文字には3つのパターンがある
墓碑に刻む文字には、3つのパターンがあります。
墓碑に刻まれる文字は、そこがまぎれもなくその人のお墓であることの目印になります。
仮に、お墓になにも刻まれていなければ、誰のどんなお墓かわかりませんよね。
よって、固有名詞が刻まれることが多いですが、最近では、例外もあります。
- 先祖代々墓、○○家之墓など家族の墓を示す文字
- 個人名や戒名
- 印象的な言葉
お墓の種類や家の事情によって、墓碑に刻むべき文字は変わってきます。
どのように選んだらよいか、それぞれ例をまじえながら説明します。
先祖代々之墓、○○家之墓など家族の墓を示す文字
従来、一般的な墓碑の文字として多かったのが、「先祖代々墓」「○○家之墓」など、家族の墓を示す文字です。
お墓の継承者がいる場合に向いています。
現代では、子どもがいない、あるいは子どもがいてもお墓は継がせられないという事情のある人が多いため「先祖代々之墓」「○○家之墓」という文字は、使い勝手の悪いものになりつつあります。
「先祖代々之墓」「○○家之墓」と刻まれたお墓を、文字を変えてそのまま使うケースも見られます。
その際は、墓碑の表面を削り、違う文字を刻むことになりますが、石塔がもろい石でできている場合や、薄くなって倒壊の危険性が強まる場合は、あまり推奨されません。
個人名や戒名
一人用のお墓や夫婦墓などの場合は、個人名や戒名を彫る例が見られます。
継承しない墓であり、納骨される人が決まっているときにとられる選択です。
夫婦墓であれば、名前を左右に並べて彫刻します。
男性の名前を向かって右側、女性の名前を左側に刻むのが一般的です。
一方が亡くなり、もう一方が生きているときには、生きている方の名前に朱を入れます。
生きている人の名前を刻むときに朱を入れるのは、一人用のお墓でも同じです。
印象的な言葉
「ありがとう」「心」など、印象的な言葉を墓碑に入れることがあります。
「継承墓を買ったが、『○○家』がどれほど続くかわからない」という不安を抱える家に人気です。
また、一人用のお墓であっても、「名前ではなくお気に入りの文字を入れたい」という人に人気があります。
人気の文字には、次のようなものがあります。
- 和
- 心
- 歩
- 夢
- 縁
- 絆
- ありがとう
- 感謝
- Thank You
- 一期一会
- 倶会一処(どんな人とも、最終的には極楽浄土で会えるという意味。とくに浄土真宗でよく使われる)
- 慈愛
- やすらかに
文字を選ぶ際には、一緒にお墓へ入る人と相談し、家族が抵抗を感じないものにするのが大事です。
以上、墓碑に刻む文字にはどのようなものがあるか、どのように選ぶのがよいかについて解説しました。
「墓碑のことはわかった。お墓を建てる段取りについて、もう少しよく知りたい」という人もいることでしょう。
次章では、お墓を建てる手順について詳しく紹介します。
お墓を建てる手順は3ステップ
お墓を建てる手順は、以下の3ステップです。
- 霊園を決める
- 墓石を決める
- 墓碑の文字や家紋の有無など詳細を決める
それぞれ、どのように進めていくのか説明します。
1.霊園を決める
まずは、なにはともあれ、霊園を決めなければなりません。
霊園を決めるときには、以下のことをポイントにします。
宗派を決める
寺院が直接運営する霊園には、「多宗派は購入を認めない」とするところがけっこうあります。
お寺の檀家になるということは、今後の葬儀や法要など一切の供養をそのお寺にお任せするということです。
一緒にお墓に入る配偶者や子ども、また供養してくれる家族と話し合って、特定の宗派に入るか、宗教フリーのお墓を探すのかを決めておきましょう。
エリアを決める
お参りをする人がアクセスしづらいところにお墓を作るべきではありません。
こまめにお墓参りをしてもらえるよう、お墓のエリアを決めましょう。
駅からアクセスがよいところには、なかなかお墓がないかもしれません。
そんなときには、駅からバスが出ているか、気軽にタクシーを使える範囲かを検討してみましょう。
継承するか否かを決める
継承可能なお墓と、一代限りのお墓とでは、契約条件や価格が違います。
継承可能なお墓の相場は200万円から250万円程度、一代限りのお墓の相場は、形式にもよりますが、70万円から150万円程度とみていいでしょう。
お墓を受け継ぐ家族がいれば、継承可能なお墓のほうが長く使えて経済的ですが、一代限りのお墓は維持費の必要がないため、「子どもに迷惑をかけたくない」と考える人に人気です。
宗派、エリア、継承の要不要を決めれば、霊園の候補はぐっと絞られます。
気になったところへ見学に行き、予算とも照らし合わせて霊園を決めましょう。
墓石の形と種類を決める
霊園が決まったなら、石材業者と墓石の形や種類について打ち合わせを進めていきます。
墓石の形や種類にはさまざまなものがありますが、一番大事にしたいのは、自分の感性です。
直感で気に入ったものをピックアップし、あとは予算と照らし合わせながら家族と相談しましょう。
それぞれの形や種類を選んだときのメリットやデメリットを聞いておくと、後悔がありません。
墓石の形を選ぶとき、一般的なメリットやデメリットは、次のようなものが考えられます。
和型はスタンダードな形がメリットだが高価、倒壊の危険性がある
昔ながらの和型墓石は、多くの墓地にフィットするスタンダードな形です。
ただ、石を比較的多く使うので高価になりがちです。
背が高いので、災害があったときに倒壊するリスクもやや高めです。
洋型は安価で倒壊の危険がないことがメリットだが建てられない場合もある
横長の洋型墓石は、背が低いため倒壊の危険が低く、使う石の量が少ないので安価なのが特徴です。
しかしとくに伝統を重んじる寺院墓地にはなじまず、建てるのを拒否される場合もあります。
墓石の種類を選ぶとき、一般的なメリットやデメリットは、次のようなものが考えられます。
国産墓石は高価だが実績がありステイタスを得られる
国産の墓石は、外国産に比べて高価です。
ただし、長く使われてきた実績があり、その耐久性はお墨付きです。
また、高級墓石を使っているというステイタスを得られます。
外国産墓石はリーズナブルだが実績に乏しいものもある
外国産墓石は、国産に比べて安価な傾向にあります。
しかし、外国産墓石のなかには、近年採掘が始まったような日本での実績が少ないものも紛れています。
外国産墓石を使用するなら、長く日本で墓石として使われてきた経緯のあるものが安全といえるでしょう。
墓碑の文字や家紋の有無など彫刻の詳細を決める
墓石が確定したら、次は墓碑の文字や家紋の有無など、彫刻について打ち合わせを行います。
彫刻についての打ち合わせが終われば、いよいよお墓の工事が始まります。
「ありがとう」など、文字を決めるだけではなく、文体や彫刻方法、彫刻部分の色についても打ち合わせをしなければなりません。
どんな文体や彫刻方法が可能かは、石材業者によって違います。
リストを見せてもらいましょう。
また、文字部分の色については、墓石との相性や地域の風習によっても違ってきますから、石材業者のアドバイスをよく聞くのがいいでしょう。
彫刻を依頼するうえで大事なのが、校正です。
石に刻むのですから、修正は効きません。
全てお任せではなく、責任を持って校正に応じましょう。
以上、お墓を建てる手順についてお話ししました。
全体的な段取りをイメージできたでしょうか。
霊園のチラシなどを見ていると、墓石の種類や形が統一されているものがあります。
全体の統一性を重視している霊園では、墓石の種類や形を選べないことがあるので注意しましょう。
まとめ
この記事では、墓碑について解説しました。
墓碑と墓石の違いや墓碑に刻まれる言葉の種類について、理解を深めていただけたかと思います。
なお、お墓を建てるための段取りについても紹介したことで、お墓についての疑問が解消されお墓を買うイメージが具体的に湧いてきたなら幸いです。
墓碑はお墓の主役であり、建て主のメッセージを込められる唯一の場所です。
刻む言葉は、大切に選びたいものですね。
自分のためにも、また、お墓参りをしてくれる人のためにも、最高の言葉を選びましょう。