墓石の文字色にはさまざまな意味がある!定番の色は5つ
墓石の文字色とは?徹底解説
- 墓石の文字色には意味があり、主な色は白、黒、赤、青、黄です。
- 地域により文字色の好みが異なり、関東は黒、関西は白、九州は金色が人気です。
- 文字色の塗り替えは石材店かDIYで、費用は数千円〜1万円です。
- 生前のお墓は赤字で、亡くなった後は赤を抜くのが普通です。
個人でお墓を建てる場合は、必ず墓石に何かしらの文字を彫刻することが一般的です。
名前であったり、言葉であったり彫刻される文字はさまざまでしょう。また、刻字した文字の色なども決められます。
そこで、今回は、墓石に刻字した文字色の意味や、地域による傾向などについて解説します。墓石における文字色の意味をしっかりと把握して見栄えの良いお墓を建立しましょう。
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お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
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この記事の目次
仏教では五色(ごしき)が重要視される
仏教において五色(ごしき)とはお釈迦様の体や教えを象徴的に表すものです。インドにおける五大思想(地・水・火・風・空)や、中国の五行思想(木・火・土・金・水)に由来しているともいわれています。
ここでは、それぞれの色の意味や、文字色に使われている色について解説します。
五色の意味や墓石における文字色について
五色とは「白」「黒(紫)」「赤」「青(緑)」「黄」の5つです。そのため、墓石に文字色を入れる場合も基本はこの5つが基本とされています。
「白」は仏陀の歯
仏教で白は、仏陀の歯の色です。悪業や煩悩を浄める清浄(しょうじょう)を表現しています。墓石の文字色としてもポピュラーです。黒御影石や白御影石どちらでも文字が栄えるので使いやすい色でしょう。ただし、経年劣化でどうしても汚れが目立ってしまうことはデメリットです。
「黒(紫)」は仏陀の袈裟
仏教で「黒(紫)」は仏陀の袈裟の色です。侮辱などのさまざまな怒りをおさえて耐え忍ぶ忍辱(にんにく)を表しています。墓石の文字色としても黒色は選ばれやすい一つですが、黒御影石では色が栄えないため、使われる機会は少ないでしょう。後述いたしますが、地域性で多用される要素のある色です。
「黄」は仏陀の体
仏陀の体の色として表現されているのが「黄」です。確固としたゆるぎない姿の金剛(こんごう)を表しています。墓石の文字色としては、あまり見かけない色ですが、れっきとした五色の一つです。文字を特別に強調したいときなどに使ってみても良い色でしょう。
「赤」は仏陀の血液
仏教における「赤」は仏陀の血液の色です。あらゆる人を救済し、慈悲心がたえまない精進(しょうじん)を表しています。墓石において赤の文字色は、生前にいただいた戒名につける色とされている傾向です。
かつては、仏門に入った人が生前に戒名をいただいた名残です。つまり、墓石に赤字で書かれている人は生きているという意味で使われることが多いといえます。
「青(緑)」は仏陀の頭髪
仏教で「青(緑)」は仏陀の頭髪の色です。心を落ち着かせた状態の禅定(ぜんじょう)を表しています。また、青は静脈を指すともいわれているのです。
一般的な墓石では、あまり見られない文字色の青ですが、墓相墓に多いともいわれています。墓相墓とは、人相のように、お墓の色や位置、形などを意識して建てられたお墓です。
五色以外の文字色にするなら、この3つ
自然な色や金、グレーなどさまざまな文字色が使われている傾向です。仏教において基本は五色となっていますが、墓石の文字色は特別使ってはいけない色などの決まりはありません。
控えめに落ち着かせたいなら「グレー」
あまり文字色を目立たせたくなかったり、控えめにしたかったりする場合はグレーも良いでしょう。一般的に墓石はグレー系の白御影石を使用されることが多いため、その場合はグレーで文字色を入れても目立ちにくいです。黒御影石などのほうがしっくりした色合いをみせることができるでしょう。
あえて文字色をつけない!「自然な色」
墓石の刻字には文字色をつけないという選択肢もあります。文字色を入れない場合、白御影石なら、石目の状態ですので文字が見にくい傾向です。黒御影石の場合は、文字色を入れないと刻字した場所はグレー調の色合いになります。
きらびやかに自己主張する「金色」
豪華絢爛できらびやかなイメージを期待するなら「金色」です。一見派手すぎるのでは?と感じてしまうかもしれません。しかし、金色は想像以上に見慣れた色ともいえます。
なぜなら、仏壇の位牌には金色で戒名が書かれていることが多いからです。墓石でも黒御影に金色の文字色は非常に栄える組み合わせといえます。神々しくかつ、上品なお墓に仕上がるでしょう。
ここまでは、五色の意味や墓石に使われる文字色について解説しました。墓石の文字色はさまざまな意味合いが諸説あるかもしれません。しかし、NGの文字色というものがないため故人の供養になるようなイメージの文字色を選ぶと良いでしょう。
地域によって人気の色が違う!3つの地域から文字色を考察
墓石の文字色は地域性によっても人気の色が異なる傾向です。ここでは、「関東」「関西」「九州」における3地域の人気の文字色をご紹介します。
関東地方では「黒」の文字色が人気
関東地方の人気の文字色は「黒」です。黒い文字色は、白に比べて汚れが気になりません。シックで落ち着いた雰囲気をかもしだす文字色ですので、無難な色ともいえます。なかには、文字色をつけないというスタイルも珍しくありません。
関西地方では「白」の文字色が人気
関西地方の人気の文字色は「白」です。白御影石でも、黒御影石でも白の文字色は、目立ちやすいでしょう。汚れやすかったり、色がはげた場合は目立ったりするという点がデメリットですが、気軽に自分で塗り直すことを前提に考えればきれいなイメージのお墓を維持できるでしょう。
九州地方では「金色」の文字色が人気
九州地方の人気の文字色は「金色」です。九州地方の中でも出島のある長崎が多いといわれています。鎖国時代は出島が海外との貿易港となっており、当時は中国との貿易量が圧倒的に多かったそうです。中国のお盆には金を燃やす風習があったことから、それが名残となって九州地方に金色が定着していると考えられています。
文字色に悩む人のために4つのおすすめポイントを伝授
墓石の文字色に悩んでいる人は4つのおすすめポイントを確認しておきましょう。墓石の文字色は基本的にNGがないので、どの色にしようかと決められないという人もいるかもしれません。
しかし、大丈夫です。そんな人のために仕上がりやおすすめタイプをご紹介します。
1.文字色を入れない墓石の仕上がりと自然な色がおすすめの人
墓石の自然の色を活かすには文字色を入れないということがおすすめです。ここでは、自然な文字色がおすすめの4タイプをご紹介します。
自然な色の文字色の仕上がり
文字色を入れないと墓石そのものの味わいを楽しむことができます。墓石の表現は研磨しているためピカピカの状態ですが、彫刻面は墓石表面のような研磨はしないため、ざらざらとした手触りになります。
墓石の材質をそのまま活かしたい人
墓石の材質や石目をそのまま活かしたい人はおすすめできます。墓石によって石の種類や石目はさまざまです。石の本来もっている魅力が存分に味わえるでしょう。
控えめなお墓が良い人
「あまり目立たず控えめにしたい」という人にも自然な色の文字色はおすすめです。飾らないことで主張しすぎず、かつ上品な雰囲気をもった墓石になるでしょう。
メンテナンスを減らしたい人
墓石のメンテナンス作業を減らしたい人にもおすすめです。日ごろから太陽光や雨風にさらされるため、文字色を入れてもいつかは劣化していきます。そのため、汚れや色落ちなどした場合はメンテナンスが必要です。しかし、初めから文字色を入れなければその心配もなくなります。
2.白色で彫刻するときの仕上がりとおすすめの人
文字色に白色を選択したほうが良い2つのタイプを解説します。また、それぞれの仕上がり具合についてもご紹介いたします。
白色の文字色の仕上がり
代表的な石の種類の白御影石と黒御影石のどちらでもはっきりと文字を自己主張することができます。
文字をはっきりと目立たせたい人
文字色をはっきりさせたい人は白色がおすすめです。派手なのは嫌だけど、目立たせたいという人にもぴったりでしょう。
失敗のない文字色にしたい人
とりあえず失敗した色にしたくない人にも白色はおすすめ。最終的に失敗かどうかを判断するのは主観的な要素が強いですが、白色は無難な色のため失敗したくないようなタイプは選んでおきたい色です。
3.黒色で彫刻するときの仕上がりとおすすめの人
黒色を選んだほうが良い人の2つのタイプと、仕上がり具合について解説します。
黒色の文字色の仕上がり
白色の文字色と同様はっきりとした印象になります。
クールな印象に仕上げたい人
落ち着いたクールな印象のお墓に仕上げたい人には黒がおすすめです。白御影石との相性はばっちり。墓石と黒色のコントラストが美しく栄えます。
誰が見ても見やすい文字にしたい人
遠くからでも見やすい文字色は定番色の黒です。自然な色の文字色を選択すると遠目からは文字が判別しにくいという特徴があります。誰がお墓参りに来てもわかりやすくするには黒色がおすすめです。
4.金色で彫刻するときの仕上がりとおすすめの人
金色の文字色がおすすめの2つのタイプと仕上がり具合について解説します。
金色の文字色の仕上がり
言葉だけで金色と聞くと、派手すぎると感じるかもしれませんが、黒御影石や白御影石のどちらでも上品で神々しい墓石に仕上がります。
豪華な印象で派手なものが好きな人
派手な色が好きで豪華な墓石に仕上げたい人には金色がぴったりです。
文字を上品に目立たせたい人
単に明るく目立たせたいだけではなく、上品さが欲しい人にも金色はおすすめです。
ここまでは、墓石の文字色を何にしようかと悩む人に向けて、タイプ別におすすめの色をお伝えしました。これで迷ったとしても安心して文字色が選べますね。好きな色を選定するのが一番ですが、最終的にどんなお墓にしたいかという内容がはっきりしてくると選ぶ文字色も検討しやすいでしょう。
墓石の文字色 | 仕上がり | おすすめの人 |
---|---|---|
白色 |
・明るい印象にお墓が仕上がる
| ・文字をはっきり目立たせたい人 ・失敗したくない人 |
黒色 | ・はっきりと文字がみえる ・落ち着いた印象のお墓に仕上がる | ・クールな印象に仕上げたい人 ・誰が見ても見やすいお墓を作りたい人 |
自然な色(色をつけない) | ・石目の風合いを楽しめる ・控えめな印象のお墓に仕上がる | ・石の素材をそのまま活かしたい人 ・控えめなお墓にしたい人 ・メンテナンスを減らしたい人 |
金色 | ・目立つ中にも上品さが漂う ・豪華な印象のお墓に仕上がる | ・上品かつ、目立つお墓にしたい人 ・豪華で派手が好きな人 |
墓石の文字色が劣化した場合の2つの対処方法
墓石の文字色が劣化して、汚れたりはがれたりした場合は2つの対処方法でメンテナンスしましょう。どんなにきれいな文字色を施しても365日屋外で雨風にさらされているお墓は、20、30年と年月を重ねると経年劣化していきます。
メンテナンスする際は「石材店に依頼する」「自分で塗る」の2つから選択して対応します。
特に寺院墓地の場合は管理者へ告げる
先祖のお墓が寺院墓地の場合は、まず住職など管理者へ文字のメンテナンスをしたいということを告げておきましょう。話が通っていないと悪い印象を与えかねません。
公営墓地や民営墓地についても事前に通知しておくことは礼儀として良いでしょうが、寺院墓地ほど気にする必要はありません。
1.きれいにメンテナンスしたいなら!石材店に依頼する
経年劣化した文字色をきれいにメンテナンスしたいなら、石材店に依頼しましょう。専門業者が丁寧かつ状態にあわせて適切な対応をしてくれます。一緒に、墓石のクリーニングなども依頼しておくとお墓を全体的にメンテナンス可能です。文字色だけきれいにして、墓石は汚いままだと、台なしですので検討しましょう。
2.専用の道具を使ってDIY
専用の道具などを自分で用意して文字色を塗ることもできます。ムダな費用はできるだけかけたくない人はDIYがおすすめです。
専用のペンキや名入れ補修ペンは手に入れることができる
専用のペンキや名入れ補修ペンなどは市販されているのでホームセンターやネット通販などで簡単に手に入れることは可能です。それ以外にもビニローゼという塗料をうすめて彫刻面に筆で塗ることできれいに染められます。耐候性を求めたい場合はビニローゼを検討してみましょう。
文字色のメンテナンスをするための費用相場
文字色の劣化をメンテナンスするには当然費用が掛かります。石材店へ依頼する場合と自分で行う場合で費用感がどのぐらいになるのかを見ていきましょう。
石材店へ依頼する場合は数千円~1万円程度
石材店へ文字染めを依頼する場合の金額は石材店によって大きく異なります。一般的な相場感覚としてはメインの墓石一面で数千円~1万円程度です。
石材店によって1文字、1列でいくらなど異なりますので確認してみましょう。また、入れる色によっても金額は前後します。金箔入りの金色の塗り替えは1文字数千円ということもあります。
石材店からお墓の場所が遠いと費用が高くなりがちですので、先祖のお墓に近い石材店を選ぶのが賢明です。
お墓のクリーニングを頼む場合は3万円程度から
お墓のクリーニングを一緒に頼む場合の費用は3万円程度です。文字色だけきれいにすると他の箇所の汚れが際立ってしまいます。そのため、できれば文字色の塗り替えと一緒にお墓のクリーニングを頼むとすっきりきれいなお墓にできるでしょう。
自分で行う場合は数千円
自分で行う場合の費用は数千円ですむでしょう。簡単な補修なら名入れ補修ペンは1,000~2,000円程度で購入できます。ビニローゼや筆、スクレーパーなどをそろえても数千円です。お墓の文字の状態にあわせてそろえましょう。時間があればリーズナブルにメンテナンスができるのでおすすめです。
ここまでは、墓石の文字色が劣化した場合の対処方法や費用についてお伝えいたしました。費用はあくまでも目安です。建立時の石材店にお願いすれば安価で対応してくれることもあるでしょう。
石材店へ依頼する場合は、お墓の立地場所や文字の色、文字の大きさなどを伝えることで金額が把握できます。お墓に近い石材店なら現地で状態を見てから見積もりを出してくれるところもあるので、ぜひ活用しましょう。
生前に建てるお墓には赤で名入れする
生前に建立するお墓には「赤」で名入れすることが一般的です。一般的な人は亡くなった場合に戒名をつけてもらうことが多いですが、仏教の世界では、俗人から仏門へ入った場合に戒名を授かります。
その際に仮の弟子ということで訂正という意味の赤字を記したという風習があったそうです。その名残で現代でも赤字は「生前」を意味すると認識されています。
亡くなったら赤字を抜く
生前に赤字で俗名や戒名を記載した場合は、一般的に亡くなったあと赤字を抜きます。世間では「赤字」が生きているという認識が強いため、勘違いさせないために抜いておいたほうが無難です。
どうしても抜かなければいけないという性質の物ではありませんが、生前を赤字で示したかったわけですから、亡くなったあとは抜いてあげると故人もよろこぶのではないでしょうか。
建立者の赤字は抜かなくて良い
建立者に赤字で記載した場合は、特に赤字を抜かなくても問題ありません。そもそも建立者に記載するのは戒名ではありません。仏教的な意味合いで「戒名に赤字を入れる」という本質がわかっていれば、建立者に赤字で記載するという誤解もないでしょう。
そのため、特にそのまま赤字でも問題ないといえます。ただ、建立者が生前を示したくて赤字にしたのであれば、故人のために色抜きを行っても良いでしょう。
まとめ
墓石の文字色にはさまざまな意味合いがあって非常に興味深かったですね。文字色を決めていくには、想像以上にマナーや制限はありません。そのため、最終的には自分が「どのようなお墓をテーマにしたいか」を具現化したうえで、楽しみながら選んでいきたいものです。これまでの大切なポイントをおさらいしてみましょう。
- 仏教では五色(ごしき)が基本の色
- 五色とは白・黒(紫)・赤・青(緑)・黄の5つ
- 文字色に制限はないため、グレー・自然の色・金色なども選定可能
- 墓石の文字色には地域差があり、関東は「黒」、関西は「白」、九州は「金」が人気
- 墓石の文字色に迷う人は、おすすめのタイプから選ぶのもよい
墓石の文字色 | 仕上がり | おすすめの人 |
---|---|---|
白色 |
・明るい印象にお墓が仕上がる
| ・文字をはっきり目立たせたい人 ・失敗したくない人 |
黒色 | ・はっきりと文字が見える ・落ち着いた印象のお墓に仕上がる | ・クールな印象に仕上げたい人 ・誰が見ても見やすいお墓を作りたい人 |
自然な色(色をつけない) | ・石目の風合いを楽しめる ・控えめな印象のお墓に仕上がる | ・石の素材をそのまま活かしたい人 ・控えめなお墓にしたい人 ・メンテナンスを減らしたい人 |
金色 | ・目立つ中にも上品さが漂う ・豪華な印象のお墓に仕上がる | ・上品かつ、目立つお墓にしたい人 ・豪華で派手が好きな人 |
- 墓石の文字色が劣化した場合は、「石材店へ依頼する」もしくは「自分で塗る」
- 石材店へ文字色の塗り替えを依頼すると、費用は数千円~1万円程度
- 自分で文字色の補修をする場合の費用は数千円
- 墓石の赤い文字は「生前」を意味する
- 赤字で記載した人が亡くなった場合は赤字抜きをしてあげたほうが無難
- 建立者に記載された赤字は色を抜かなくてもよい
墓石は文字色が異なるだけで、大きく印象が変わるものです。せっかく立派なお墓を建てるのですから、文字色にもこだわって自分のテーマに合ったお墓が建てられると良いですね。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
墓石に彫刻をしたとき、そこに色を入れることがあります。和型の墓石に刻む文字に入れる色については、地域の慣習による違いが大きく、白、黒、金などがあります。洋型の墓石の場合は、墓石の色や形、文字や彫刻など、バランスを考えて入れていきます。生前にお墓を建てた場合、戒名の部分は朱を入れるのが一般的とされています。朱色は冠婚葬祭で特別な色として使われますが、これは「生」つまり「血」を表しているとか。災いを避ける霊力として、邪気祓いとして朱色は利用されてきました。