有名寺院の敷地を活用!『京都の樹木葬』についてご紹介
「寺院巡り」と聞くと、京都を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。実際に京都には、いくつかの宗派の本山をはじめ、多くの寺院が存在します。
今回のライフドットジャーナル第27弾では、京都にある有名な寺院『東福寺』『建仁寺』『大徳寺』の境内墓所に樹木葬をプロデュースする『京都の樹木葬』をご紹介します。
プロデュースを務める有限会社カン綜合計画の代表は、前回ご紹介した『NPO手元供養協会』の代表も務める山崎氏。
なぜ京都の寺院に樹木葬区画をプロデュースされたのか、今後の供養に対する価値観はどのように変化するのかも聞きました!
『京都の樹木葬』とは
『京都の樹木葬』とは、京都でも有数の寺院『東福寺』『建仁寺』『大徳寺』が運営・管理する樹木葬のことです。
また、同名のサイトを運営し、サイト上では樹木葬の区画紹介や「おんらいん見学」についての案内が掲載されています。
京都の樹木葬は、生きた樹木がシンボルツリーで、自然に還る埋葬方法を採用。ご家族に代わって寺院が管理してくれる「永代供養」付です。
2011年に東福寺の荘厳院に最初の樹木葬ができ、現在は東福寺に3カ所、建仁寺に1カ所、大徳寺に1カ所と計5カ所あります。
次の章では、その樹木葬の特徴を紹介します。
『京都の樹木葬』の6つの特徴
京都の樹木葬には6つの特徴があります。
<京都の樹木葬6つの特徴>
- 1.全国からの契約を受付
- 2.費用負担の少ないお墓
- 3.管理の負担のない永代供養(えいたいくよう)
- 4.大本山の塔頭(たっちゅう)寺院のため安心
- 5.自然に還ることができる埋葬方法
- 6.宗旨・宗派は不問
具体的には、どのようなところがポイントなのでしょうか。詳細を紹介します。
1.全国からの契約を受付
京都の樹木葬へお申し込みできる方の居住地に制限はありません。現在、関東から約21%、京都以外の近畿圏で約35%と半数以上が他府県在住の方が契約しています。また、海外勤務の人や日本の文化に憧れを持った外国籍の方からの契約申し込みもあります。
2.費用負担の少ないお墓
従来型の石のお墓のように墓石(石材)を使用しないため、墓石代はかかりません。また、寺院内の墓所ではありますが「檀家になる必要がない」ため、費用の負担が少なくて済みます。
3.管理の負担のない永代供養
ご家族に代わって住職が責任を持って供養してくださいます。よって、お墓参りに行けない、後継ぎがいなくて無縁仏になってしまう、という心配がいらないため安心して預けることができます。
4.大本山の塔頭(たっちゅう)寺院のため安心
京都の樹木葬を運営・管理する寺院は、どちらも歴史のある大本山の塔頭寺院です。よって、廃寺の心配もいりません。
5.自然に還ることができる埋葬方法
京都の樹木葬では、土に還る素材のさらし木綿にご遺骨を移し替えて直接土に埋葬します。長い時間を掛けて土に還る方法です。
樹木葬と言っても、シンボルツリーの下に骨壷を収納するタイプもありますが、京都の樹木葬は自然に還ることができるこの方法を取り入れています。
京都の樹木葬では1区画【20cm×20cm(正覚庵・即宗院は25cm×25cm)】に2霊まで納めることができます。
縦に50cm掘り下げた穴に木綿ごと遺骨を入れ、ケイ砂をかぶせたのち真土をかぶせます。穴に木綿ごと埋め真土をかぶせ、苔、または小隈笹を戻し埋葬完了となります。
6.宗旨・宗派は不問
歴史ある寺院内の樹木葬墓地ですが、宗旨・宗派は問われません。そのため、仏教ではなくキリスト教や神道といった他宗教でも、問題なく受付けています。
しかし、納骨時の法要や年忌法要、また年2回ある合同供養祭に関しては、臨済宗の教義に則った儀礼で執り行われます。
ここまでは、京都の樹木葬の特徴を紹介しました。すこしでも『京都の樹木葬』に興味を持った人は、実際に見学へ行きたいと思われたのではないでしょうか。
次の章では、京都の樹木葬が対応している見学サービスを紹介します。
『京都の樹木葬』が行う樹木葬見学の対応内容
京都の樹木葬では、「個別での現地見学」と無料アプリを使用した「おんらいん見学」に対応しています。
個別での現地見学
京都の樹木葬の5カ寺のうち、希望する寺院の見学に行くことができます。希望される人は、京都の樹木葬のサイトから「希望日」「希望する樹木葬墓地」をフォームから入力し、申し込むことができます。
また、寺院の駐車場を利用することができるため、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点でも安心です。
おんらいん見学
おんらいん見学は、無料アプリ『LINE』のビデオ通話機能を使って、現地の様子を見ることができるサービスです。
忙しくて見学へ行く時間がなかなか取れない人や、海外や地方などの遠方に住んでいて契約を希望される人には便利です。また、ご契約や納骨についても、無料アプリを介して相談することができます。
ここまでは特徴や見学の流れをご紹介しました。それでは実際の樹木葬墓所はどのような雰囲気なのでしょうか。それぞれをご紹介します。
『京都の樹木葬』は5カ所!プロデュースする寺院一覧
『京都の樹木葬』で案内している5つの寺院を紹介します。
それぞれ臨済宗の本山にある塔頭(たっちゅう)寺院で、著名な人物のお墓が同じ墓苑内にあったり、重要文化財があったりと重厚な歴史を感じることができます。
いずれも非公開の寺院ではありますが、9時~16時頃までは開門しているため、お墓参り目的であれば自由に出入りすることができます。
東福寺の樹木葬(3カ所)
京都駅からわずか一駅というアクセス便利な東福寺には、25カ寺もの塔頭寺院があります。そのなかの3つの寺院に、京都の樹木葬が取り扱う樹木葬区画があります。
東福寺 正覚庵(しょうがくあん)【法洲苑(ほうしゅうえん)】
東福寺の六波羅門(通称:南門)を出てすぐにある正覚庵には、多くの木が建ち並ぶ広い樹木葬墓地があります。区画の周りをぐるりと一周できる特徴的な形となっており、墓苑の周りには東山から流れ出る地下水で育った草花が彩ります。
正覚庵 法洲苑の概要
墓所使用料 | 1人利用・・・50万円/2人利用・・・70万円 |
納骨料 | 3万円/1霊につき |
年会費(法洲会) | 5千円/年 |
石碑彫刻費用(希望者のみ) | 1万5千円/銘 |
所在地 | 〒605-0981 京都府京都市東山区本町15丁目 808番地 |
東福寺 即宗院(そくしゅういん)【自然苑(じねんえん)】
東福寺の三大名橋のひとつ偃月橋を渡ってすぐにある即宗院は、西郷隆盛縁の史跡も残っています。自然苑はその名の通り自然の景観を大切にした樹木葬地で、山の斜面を利用した区画となっています。埋葬された区画まで行くことができるよう飛び石を設けられており、近くで手を合わせることができます。
即宗院 自然苑の概要
墓所使用料 | 1人利用・・・50万円/2人利用・・・70万円 |
納骨料 | 3万円/1霊につき |
年会費(即宗会) | 5千円/年 |
石碑彫刻費用(希望者のみ) | 1万5千円/銘 |
所在地 | 〒605-0981 京都府京都市東山区本町15丁目 813番地 |
東福寺 荘厳院(しょうごんいん)【樹木葬】
東
荘厳院 樹木葬の概要
墓所使用料 | 1人利用・・・50万円/2人利用・・・70万円/代々利用・・・80万円 |
納骨料 | 3万円/1霊につき |
年会費(荘厳会) | 5千円/年 |
石碑彫刻費用(希望者のみ) | 1万5千円/銘 |
所在地 | 〒605-0981 京都府京都市東山区本町15丁目 806番地 |
建仁寺 両足院(りょうそくいん)【緑雲苑(りょくうんえん)】
建仁寺には、京都の町中である祇園四条駅から徒歩約10分で行くことができます。そのなかに存在する両足院は、建仁寺の開山・明庵栄西禅師の意志を受け継ぐ龍山徳見禅師を開山とする臨済宗建仁寺派の塔頭寺院です。墓苑はコの字型になっており、杉苔に覆われているため緑が鮮やかです。シンボルツリーとして樹齢数百年の大欅や、銀杏の木が植えられており、墓参りに来られた方々を迫力ある木々が堂々と迎えてくれます。
両足院 緑雲苑の概要
墓所使用料 | 1人利用・・・70万円/2人利用・・・90万円 |
納骨料 | 3万円/1霊につき |
年会費(緑雲会) | 5千円/年 |
石碑彫刻費用(希望者のみ) | 1万5千円/銘 |
所在地 | 〒605-0811 京都府京都市東山区小松町591番地 |
大徳寺 正受院(しょうじゅいん)【茈林壇(しりんだん)】
京都駅からバスで1本で行くことのできる大徳寺。その敷地内にある非公開の寺院『正受院』に、京都の樹木葬がプロデュースする樹木葬墓地があります。墓苑は生垣に囲まれ、別空間のような空気と広い空に囲まれています。春には枝垂桜、秋は紅葉、冬には椿と四季の彩を感じることができます。
正受院 茈林壇の概要
墓所使用料 | 1人利用・・・50万円/2人利用・・・70万円 |
納骨料 | 3万円/1霊につき |
年会費(茈林会) | 5千円/年 |
石碑彫刻費用 | 1万5千円/銘 |
所在地 | 〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺町78-1 |
ここまで、『京都の樹木葬』全般を紹介してきました。
各寺院の墓所について、より詳細を知りたい場合は下記のページをご覧ください。
- 所在地
- 京都府京都市東山区本町15-808
- アクセス
- 鳥羽街道駅から661m地図を見る
- 霊園種別
- 寺院墓地 /
- 宗旨宗派
- 宗教不問
- 区画種別
- 樹木葬
- 参考価格
- 50万円~
次の章では、実際にプロデュースを担当された有限会社カン綜合計画の山崎様にお話をお聞きしました。
代表者インタビュー
今回もよろしくお願いいたします。まず初めに、有名寺院の樹木葬区画という『京都の樹木葬』が誕生した背景を教えていただけますでしょうか。
山崎さん:これまでに私は、手元供養協会の活動などで4,000人以上の方の葬儀やお墓に関する相談を乗ってきました。そのなかでよく挙がってきた悩みとしては、「これまでの習慣によるしがらみ」や「関係性が薄くなってきた寺院との付き合い」によるものです。
そのような悩みの解決として、「何となく昔からの流れで決まっていたものではなく、個人に合った葬送を選ぶこと」で縛りから解放されるのではと思ったのがきっかけです。
個人に合った葬送ですか…。最近では、葬送方法も多様化していますもんね。
山崎さん:そうです。納骨方法1つとっても、いろいろな方法があります。従来型のお墓という形に縛られなくてもいいんですよ。
そういう話をしているときに、知り合い経由で「寺院が管理する樹木葬を京都でもできないか」という話があり、以前勤めていた会社での事業企画という経験を活かし、プロデュースするまでに至りました。
そうだったのですね。歴史ある寺院側が、わりと新しい形である樹木葬を受け入れることになった背景にはどういうものがあるのでしょうか?
山崎さん:最近では「寺離れ」という言葉をよく聞くようになりましたが、一般の方々が檀家として寺院との付き合いを続けることが負担になってきています。
それは金銭的な面もありますし、時間的な制約も多くなったことがあります。 こういった背景から、寺院側も経営に関する課題を持つようになったことが樹木葬を取り入れる理由です。
そういうことだったのですね。それでは、実際に寺院内の樹木葬を始めてから反響はいかがですか?
山崎さん:『京都の樹木葬』を始めて9年が経ちましたが、その間に1,000区画以上の契約がありました。この数は、大反響があったと言ってもいいかもしれないですね。
今後はどのような展開を予定されているのでしょうか?
山崎さん:寺院と一般の方々とのご縁をつくる機会を増やしていきたいです。宗教や宗旨・宗派を問わないということもそうですが、例えば国籍を限定しないというように、一般の人たちが寺院との付き合いにおけるハードルを下げてご縁がうまれるお手伝いをしたいと思っています。
ご縁を作るお手伝い、素敵ですね。ライフドットもそのようなメディアになっていきたいです。本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございます。
『京都の樹木葬』概要
運営企業名 | 有限会社カン綜合計画 |
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設立年月日 | 1995年7月7日 |
代表者 | 山崎 譲二(㈲博國屋 代表取締役) |
所在地 | 京都市中京区寺町通夷川上ル久遠院前町669 サンアートビル4F |
『京都の樹木葬』TOP | https://jumokusou.jp/ |
お問合せ | 075-257-7977 |
編集後記
京都の樹木葬をプロデュースする有限会社カン綜合計画の代表を務めるのは、手元供養協会の山崎様。手元供養の商品を手掛ける山崎様に、「なぜ樹木葬なのですか?」と聞いたところ、「樹木葬は手元供養と従来のお墓の中間に位置し、多様な供養方法を提案するために広めていきたい」という回答をいただきました。この京都の樹木葬は、「自然に還りたい」という自然派志向の人たちの気持ちを叶える土中に還る供養方法です。昨今、樹木葬の種類は増えてきましたが、ほとんどの人がイメージされる自然に還る方法を採用しているところはほんの一部です。また、京都のなかでも有名な寺院内での収骨が叶えられるというのであれば、日本ならではの風景や京都がお好きな方にはぜひおすすめしたい墓苑だなと思います。ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。