寿陵とは?生前に建てるお墓のこと!デメリットや注意点を解説
寿陵とは?徹底解説
- 寿陵は生前に自分のお墓を建てることで、運気向上につながる
- メリットは家族の負担軽減、自分好みのお墓、相続税対策に有効
- 注意点は子どもへの影響、将来性のある立地・デザイン選び、公営墓地の規制確認
- 建立プロセスは墓地選びから開眼供養までの一連の手続き
寿陵(じゅりょう)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「なるべく早くお墓を建てておきたい」と思い、調べ物をしているうちに「寿陵」という言葉にぶつかった人もいるでしょう。
寿陵とは生前に建てておくお墓のことで、寿陵を建てると縁起がいいと言われています。
生前に建てるお墓は、一般的に「生前墓」とも呼ばれます。
この記事では、寿陵という言葉が気になり、生前にお墓を建てることに興味を持っている人のために、寿陵という言葉の意味や起源、メリットやデメリット、寿陵を建てるときの流れについてご案内します。
寿陵の特徴を理解したうえで、自分や家族のお墓について考えられるようになりますよ。
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寿陵とは生前に建てておくお墓のこと
寿陵とは、そこへ入る人がまだ生きているうちに建てておくお墓のことです。
「陵」はお墓という意味です。そこにおめでたい「寿」がつけられるため、文字通りに読めば「おめでたいお墓」という意味になります。
なぜ生前に建てておくお墓がおめでたいのか、そして有名人の中に寿陵を選んだ人物がいるのかについて、詳しく解説します。
寿陵の起源は中国にある
寿陵の起源は、中国にあります。
中国では、生前にお墓を建てることが、そこに入る人の長寿や子孫繁栄を招くとして、縁起のいいこととされてきました。
縁起を担いで寿陵を作った君主は多いと言われています。
例えば、秦の始皇帝が有名です。
日本で寿陵を選んだ有名人
日本にも、寿陵を選んだ有名人がいます。
古くは聖徳太子も寿陵を築いたとされています。昭和天皇もその一人です。
最近では、フリーアナウンサーの久米宏さんが自分のためのお墓を建立済みと報道されています。
デヴィ夫人は、自分のお墓のデザインまで行っています。
2人ともテレビやラジオで元気に活躍されている姿を見ると、「寿陵は縁起がいい」というのも信ぴょう性が増してきますね。
寿陵の意味や起源、そして実際に寿陵を選んだ人をご紹介したので、寿陵についてイメージがつかめたのではないでしょうか。
次章では、寿陵の特徴について具体的にご案内します。
寿陵の特徴は彫刻した名前の色
寿陵の特徴は、生きている人の名前が赤で刻まれることです。
お墓の見た目としては、それ以外に特徴がないため「あれは寿陵だ!」と、目立ってしまうようなことはありません。
「生きているうちにお墓を建てることに抵抗のある人から、非難されたらどうしよう……」と、気をもむ人も安心ですね。
寿陵の名前の刻み方について、もっと詳しくご説明しましょう。
生きている人の名前は朱色で刻まれる
寿陵では、生きている人の名前は朱色で刻まれます。「先祖代々之墓」「南無阿弥陀仏」といった、お墓の表面に刻む文字は、朱色ではなく白や中抜きなど一般的なお墓と同じ色です。
一緒に新しいお墓に入れる先祖の遺骨があれば、先祖の名前も刻まれますが、やはり赤ではありません。
お墓を作るときに朱色で刻んだ存命者の名前は、没後、白などに塗り替えられることになります。また、戒名が決まれば、名前の上などに刻まれますが、生前に戒名を授与した場合は、やはり朱色の文字になります。
寿陵の特徴を一つご紹介したところで、次は寿陵のメリットをお伝えします。
寿陵のメリット3つ
寿陵のメリットは、以下の3つです。
メリットポイント
- 残される人の負担が軽くなる
- 好きな場所に好きなデザインのお墓を建てられる
- 相続税対策になる
それぞれ説明します。
残される人の負担が軽くなる
寿陵を選べば、残される人の負担が軽くなります。
人が亡くなると、その家族は「お墓をどこに建てよう」「お墓のための費用をどう捻出しよう」と悩みがちです。その点、自分が入るお墓を建てておけば、自分亡き後、家族はそのお墓に遺骨を入れればいいだけです。
好きな場所に好きなデザインのお墓を建てられる
寿陵を選べば、自分の好きな場所に、好きなデザインのお墓を建てられます。
自分亡き後、遺骨で入るお墓は、もしかしたら生きている間よりもずっと長く居ることになる「終の棲家」です。気に入った場所、好みのデザインを選べるに越したことはないですよね。
相続税対策になる
寿陵を選べば、相続税対策になります。
お墓は祭祀財産の一つであり、税金がかからない財産であるためです。
相続税がかかりそうだと気になっている人は、家族が支払う税金を少なくするためにも、寿陵を検討してみましょう。
寿陵には、以上のようにメリットがある代わりに、気をつけたいこともあります。
次章でご案内します。
寿陵で気をつけるべきこと4つ
寿陵で気をつけるべきことは、以下の4つです。
注意ポイント
- かえって子どもの負担が大きくならないか確認する
- お墓参りに訪れる人のことを考えて立地を決める
- 後に入る人のことも考えてデザインを決める
- 公営墓地を狙っている人は生前墓を建てられるか注意
それぞれ解説します。
かえって子どもの負担が大きくならないか確認する
寿陵を建てるときには、かえって子どもの負担が大きくならないか確認しましょう。
承継者の必要なお墓を建ててしまうと、子どもたちがそのお墓を継ぎたくないときには、かえって負担が大きくなってしまいます。
毎年、お墓の年間管理料が発生するためです。
なお、お墓を撤去するときにも、数十万円がかかってしまうおそれがあります。
寿陵を建てるときには、必ず子世代に「お墓を建てたら、それを継ぎたいかどうか」と確認しましょう。子世代が継ぎたくないと答えたら、承継者の必要がない永代供養墓などを検討する必要があります。
お墓参りに訪れる人のことを考えて立地を決める
寿陵は自分の好きな場所に建てられるといっても、お墓参りに訪れる人のことを考えて立地を決める必要があります。
家族が暮らす土地からのアクセスが悪いと、お墓参りがしづらく、お彼岸やお盆のお墓参りが負担になってしまうためです。
アクセスの良さを念頭に入れながら墓地探しを行いましょう。
後に入る人のことも考えてデザインを決める
寿陵は、のちに入る人のことも考えてデザインを決める必要があります。
自分一人だけのためのお墓であれば、どんな奇抜なデザインでもかまわないでしょう。
しかし、夫婦で入るお墓であれば、配偶者の意見も取り入れ、夫婦そろって納得のいくデザインにしましょう。
子世代、孫世代にも入ってもらいたいと考えているなら、なおさらのことです。
公営墓地を狙っている人は生前墓を建てられるか注意
市区町村が管理運営している公営墓地に自分のお墓を建てたいと考えている人は、生前墓を建てられるか注意が必要です。
多くの公営墓地は、入れるべき遺骨がすでにあることを応募条件にしているためです。
狙っている公営墓地の募集要項を確認してみましょう。
以上、寿陵のメリットや気をつけるべきことを踏まえたうえで、
「よし、寿陵を検討してみよう」と考えた人もいることでしょう。次章では、寿陵を建てるときの具体的な流れについてご紹介します。
寿陵を建てるときの流れ
寿陵を建てるときの流れは、以下の通りです。
- 墓地の情報集めと見学、予算の見積もり
- 墓地決定・契約
- デザイン決定
- 納期決定・施工開始
- 完成
詳しく説明します。
1.墓地の情報集めと見学、予算の見積もり
まずは寿陵を建てる墓地を決めましょう。
公営墓地以外であれば、寿陵は問題なく建てられます。
墓地の情報を集め、良さそうなところへ見学に行きます。
また、見積額を提示してもらい、自らの予算と照らし合わせます。
2.墓地決定・契約
墓地が決定したら、契約を行います。
お墓そのものの価格だけではなく、年間管理費が発生するかなどにも注意してから契約しましょう。契約書はしっかり確認し、不明点は契約前に解消しておくとトラブルがありません。
3.デザイン決定
墓石の詳細なデザインについて決定します。
お墓の形を検討するほか、刻む文字や飾りの彫刻についても打ち合わせしなければなりません。
デザインが決定すれば、最終的な価格も決定します。
4.納期決定・施工開始
石材店と納期について打ち合わせします。
生前に建てるお墓なので、納期はゆっくりでよいと考える人がほとんどでしょうが「建立式をこの日にしたい」など、自分の中で期限がある場合には相談してみましょう。
納期が決定すれば、お墓の施工が開始されます。
5.完成
いよいよ寿陵の完成です。
寿陵か否かに関わらず、新しいお墓には、白い布が巻かれています。
オーダー通りに仕上がっているかどうか、石材店立ち合いのもとで確認しましょう。
「寿陵を建てるときの流れはわかったけれど、完成後は建立式をやらなければならないの?」ふと疑問に思った人のために、次章では寿陵の建立式についてご案内します。
寿陵の建立式(開眼供養)の流れ
寿陵であるか否かに関わらず、お墓を新しく果てたときには、建立式を行うのが一般的です。
建立式の内容は、新しいお墓に魂を入れる「開眼供養」が主なので、
「建立式」と呼ばず、たんに「開眼供養」と呼ばれることもあります。
亡くなってからお墓を建てたのであれば、建立式と同時に納骨式を行うことが多いでしょう。
しかし、寿陵では遺骨がないため、建立式だけを行うことになります。
ただ、お墓を建てたからといって、すぐに建立式をしなければならないわけではありません。
寿陵を建てる人のなかには、「建立式は自分が亡くなった後、納骨と同時でよい」と、建立式を行わないままでいる人もいます。
お墓の建立式の流れは、寿陵であるか否かに関わらず、以下の通りです。
- 寺院本堂や墓前での読経
- お墓に巻かれてある白い布を取る
- 焼香
- 会食
それぞれ説明します。
1.寺院本堂や墓前での読経
新しいお墓に魂を入れる、開眼供養のための読経を行います。
墓前で行うのが一般的ですが、墓前で読経する前に、寺院本堂に集まって読経を行うケースもあります。
建立式を行ってくれる僧侶に詳細を確認しましょう。
2.お墓に巻かれてある白い布を取る
新しいお墓の目印である白い布を取ります。
このあとも読経が営まれます。
開眼供養後、お墓は「ただの石」ではなく、「供養の対象」となります。
3.焼香
施主から順番に焼香を行います。
ただ、焼香は「故人の供養のためのもの」と考える場合、寿陵の段階ではまだ遺骨がないため、焼香を行わないケースもあります。
詳しくは僧侶に確認しましょう。
4.会食
建立式に集まってくれた親族と会食を行います。
僧侶もお誘いするのがマナーですが、辞退された場合は、会食代程度の「御膳料」を包みましょう。
用意するお布施の金額や袋
建立式ではお布施を用意しましょう。
開眼供養のお布施の相場は、3万円から5万円ほどとされています。
仏事ではありますが、お墓の建立はお祝い事なので、紅白結び切りの水引がついた袋を使いましょう。
遺骨がある状態であっても、開眼供養の場合は紅白結び切りの水引がついた袋を使います。
関西など、地域によっては黄白結び切りを使うこともあります。
以上のように、建立式の流れは「お経」「焼香」「会食」となります。
一周忌や三回忌など、年忌法要と同じような流れです。
まとめ
この記事では、寿陵の意味や起源、生前にお墓を建てることのメリットや気をつけるべきことについて解説しました。
寿陵を建てる流れから建立式についてまでご案内したので、寿陵について一連の知識をつけることができたのではないでしょうか。
自分のお墓を寿陵とするか、はたまた次の世代に任せるか。よく考え、また必ず家族と相談したうえで、お墓をどうすべきか決めましょう。