納骨堂の「場所」を考える~本当にお参りしやすい場所はどこ?
納骨堂の場所について徹底解説
- 納骨堂は便利な場所にあり、天候に左右されない。
- 宗教や費用を考慮し、アクセスや管理をチェックして納骨堂を選ぶ。
- 料金は施設や位置により異なる。
- 納骨堂選びは情報収集から契約、納骨までのステップで行う。
ご遺骨を納めることができ、いつでもお参りにいける全天候型の施設である納骨堂は、現在は多くの人に愛される終の住処となりました。
納骨堂を選ぶ人にはさまざまな理由があると思われますが、「地理的条件を考えたときに、足を運びやすい場所にあること」を理由とする人も多いことでしょう。
今回は、この『納骨堂』を、特に「通いやすさ」「場所」「立地」の観点から解説していきます。
また、納骨堂についてより詳しく知りたい方は、「【納骨堂の基本情報】費用・種類・仕組みを分かりやすく解説」の記事をご覧ください。
あなたにあったお墓を見てみる
お墓に関する4つの質問に答えるだけで、あなたにあったお墓を調べられます。
4つの質問で見つかる!
Q. お墓は代々継いでいきたいですか?
近くの納骨堂を見てみる
納骨堂の購入を検討されている方は、以下より希望エリアの霊園・墓地情報を検索することができます。
納骨堂を探す
この記事の目次
納骨堂の立地に関する特徴
納骨堂は、屋根のある場所にご遺骨を納めることができるようになっている施設をいいます。従来のお墓とは異なり、全天候対応型で、天候に左右されないのが特徴です。またこのような特性を持つ納骨堂は、多くの場合、「通いやすいこと」を重視して建てられています。
新しくできた新しい納骨堂は駅に近いものが多い
全てではありませんが、一般的に、新しく作られている新しい納骨堂は、駅の近くにあるものが多いといえます。
いわゆる「エキチカ物件」とでも言うべきものであり、交通アクセスに配慮して作られていることが非常に多いのが特徴です。
都心部にある納骨堂であっても、便利な駅から徒歩5分圏内にあるということも多く、非常に通いやすくなっています。
「納骨堂」という選択をする場合、このような「駅の近くにあるかどうか」は非常に重要な観点になってきます。特に、「車は持っていない。すべて公共交通機関を使って移動している」という都心部住まいの人にとっては、これはほとんど必須条件ともいえるものです。
地方都市住まいで車を持っているという人でも、いつかは車を運転するのが難しくなる日がきます。免許を返上する人もいるでしょう。この「いつか来る日」のためにも、駅の近くにある新しい納骨堂を選ぶのが一つの手だといえます。
ただ、現在は、「駅の近くにこそないが、大きな駅から納骨堂にいくためのバスが出ている(あるいはバス亭のほど近くである)」という納骨堂もあります。このような納骨堂ならば、それほど不便は感じないでしょう。
さまざまな条件を考えて一番良いのは、「駅の近く、あるいは駅からバスが出ており、かつ納骨堂自体が無料の駐車場を持っている(駐車場が広ければなお良い)」という納骨堂でしょう。
都心部に増えている納骨堂はビルタイプで敷地が狭い
かつて納骨堂といえば、お寺のような屋根が取り付けられている和風の建物であることが基本でした。もちろん現在でも、このようなかたちの納骨堂はたくさんあります。
特にお寺が管理する納骨堂の場合は、お寺の敷地内にお寺の施設の一部として建てられていることが多いため、このようなかたちをよくとります。
しかし、駅の近くに建てられるような「新しい納骨堂」は、必ずしもこのようなかたちではありません。
駅の近くに建てられるような新しい納骨堂の場合、一見しただけでは、納骨堂と分からないことが多いものもよくありますマンションのようなかたちをしており、ビルタイプになっている納骨堂が非常に多く見られるのです。複数階にわたって展開しているものもあります。
駅の近くという地価相場の高いなかで、より効率的に、多くの人のご遺骨を納められるようにと考えられているのかもしれません。一般住宅でも、このような「縦に長い建築物」は、土地の値段が高いところによくみられます。
都心部の駅付近にある納骨堂は、外見だけでなく、敷地面積も異なります。すべてがそうとはいえませんが、一般的に駅の近くにある納骨堂は敷地面積が狭い傾向にあります。駅の近くということで、公共の交通機関で来ることができるだろうと考えているため駐車場がないところもあります。
このような「敷地面積の狭さ」は、「公共交通機関で行くし、便利にお参りできることが最優先」という人にとっては、それほど問題にはなりません。
ただ、「足が悪いので公共交通機関での移動はつらい。車での移動を考えている」という人にとってはお参りをするのが厳しくなることもあります。駅の近くの納骨堂というとメリットばかりが取り上げられますが、「どのようなかたちでお参りをしていきたいか」を考えることもまた、納骨堂選びの重要なポイントとなります。
運営団体の違いによる立地の特徴
納骨堂の開発・販売する団体は、大きく分けて、「民間団体」「地方自治体」「お寺などの宗教法人」があります。一般的に、民間団体が建てる納骨堂は、駅の近くなどでビル型にされることも多く、選択肢も広い傾向にあります。
地方自治体が運営する納骨堂の場合、立地もケースバイケースです。ただ、住民サービスの一環としても機能しているので、費用は安く抑えられている傾向にあります。なお、地方自治体の運営する納骨堂は、公営墓地のなかに存在しているケースが多いといえます(ただし、「すべての地方自治体が、納骨堂を持っている」というわけではありません)。
お寺などの宗教法人が運営する納骨堂は、お寺の持っている敷地内に設けられることが比較的多いといえます。お寺の多くは広い敷地面積を有するため、駅の近くなどで展開するのが少し難しいこともあります。
ただ、これもあくまで「傾向」にすぎません。お寺や地方自治体が運営する納骨堂であっても便利なところにあることも多いといえますし、民間団体が開発・販売に携わる納骨堂であっても不便な場所にあることはあります。
このため「民間の納骨堂だから、絶対にアクセスが良いはず」と決めつけたり、「公営の納骨堂だからアクセスが悪いはず」と切り捨てたりするのはもったいないといえます。
必ずその納骨堂が紹介している地図とアクセス方法をしっかり確認しなければいけませんし、気になったのならば実際に足を運ばなければなりません。
納骨堂を選ぶ前に確認しておきたい重要ポイント8つ
納骨堂を選ぶ際には、
- 宗教
- 費用
- 通いやすい場所にあるかどうか
- 納骨する際に支払う費用が明確になっているかどうか
- 設備管理が整っているかどうか
- 運営母体がしっかりしているかどうか
- 何人のご遺骨を収めることができるのか
- 何年後に合葬されるのか
の8つに気を付ける必要があります。
特に1と2は重要です。
これの折り合いがつかなければ、どれほど立地がよいところであっても利用することはできないからです。
1.【宗教】受け入れ先が限定されることもある
「宗教」は、ほかのあらゆるポイントのなかで、もっとも重要なポイントです。
信仰度合いによって考え方も変わる
宗教をどれほどの強さで信仰しているかにもよりますが、ご遺骨を収蔵する納骨堂と故人の宗教・宗派が違っていたときは、大きな問題となります。
「無宗教だったが、確固たる信念があって無宗教だったわけではない。宗教に関心がなく、自分がどの宗教・宗派に所属していたかもわかっていなかったようだ。また、遺された私たちも特段のこだわりはない」
というような場合は、その家が元々信仰していたであろう宗教・宗派の納骨堂を使っても構いませんし、無宗教というかたちで弔っても構わないでしょう。
しかし、「新興宗教を信じており、そのかたちで葬ってほしいと言っていた」などの場合は、状況は大きく異なります。
納骨堂の4つの宗教タイプ
現在の納骨堂は、大きく分けて以下の4つが挙げられます。
- 特定の宗教のみ利用可能(例:神式限定)
- ある程度幅を持たせているが、特定の宗教・宗派限定(例:在来仏教徒のみ利用可能)
- 生前の宗教・宗派は問わないが、それ以降のお祀りは施設側の宗派にのっとって行う(例:寺院の持っている納骨堂で、そこに納められたご遺骨はその宗派の供養のやり方で見送られる)
- 宗教宗派ともに一切不問
日本において珍しい宗教(イスラム教やヒンドゥー教、あるいは新興宗教など)の場合は、「故人の宗教観はどのようなものだったか」「その納骨堂はどのような考えをとっているのか」の2つの点から、納骨堂を選んでいかなければなりません。
特に非常に強いこだわりがある人の場合は、「まずは宗教観に合致するところを選び、その後で費用や立地を選ぶ」ということになるでしょう。
2.【費用】プランや形式で金額差はさまざま
「費用」も非常に重要な部分です。
納骨堂は一般的に、お墓を一から建設するよりは安いとされています。納骨のやり方にもよりますが、50万円程度がひとつの目安となってきます。お墓を建てるために必要な費用は150万円~200万円程度と非常に高額です。納骨堂はそれに比べれば、はるかに安い金額でご遺骨を納められる選択肢だといえるでしょう。
ただ、これはあくまで「お墓を一から組み立てた時との対比」です。「すでに先祖代々のお墓があり、そこに納めるつもりだ」という場合は、当然納骨堂に入れるよりも安く上がります。
また、納骨堂の費用もそれぞれの施設・それぞれのプランによって大きく異なります。たとえば、同じ愛知県名古屋市大須の納骨堂であっても、ある納骨堂のプランは30万円からとなっていますが、ほかのところでは82万円となっています。
これはごく単純な「数字だけの比較」ですが、このような「費用の違い」はよく出てくるものです。また、安いと思って申し込んだ納骨堂が、実は管理費用や一時金などに支えられていて、意外と出ていく金額が多い……ということもありえます。
3.通いやすい場所にあるかどうか
「通いやすい場所にあるかどうか」は非常に重要なポイントです。特に、いつでも何度でも納骨堂にお参りに行きたい人ならば、この点はとても重要です。
公共交通機関からのアクセスが良い場所を選びましょう。車で移動する場合は駐車場があることが必須です。ただ、免許の返納をする可能性もありますから、「駐車場がある納骨堂でありながら、公共交通機関からのアクセスがよい場所」がもっとも理想的です。
4.納骨する際に支払う費用が明確になっているかどうか
納骨堂の料金システムは、それぞれの施設によって異なります。恐らく多くの納骨堂は、最初にお金を支払ってスペースを確保するかたちをとるでしょう。
その後の年間管理費用などに関しては、納骨堂ごとによって違いがあります。なかには、「一度初期費用としてお金を払ってくれれば、それ以降のお金は一切必要ない」としているところもあります。
年間管理費用が発生する場合であっても、それがきちんと説明されるのであれば、それほど大きな問題にはならないでしょう。
5.設備・管理が整っているかどうか
一般的に、納骨堂は設備・管理がかなり整っていることが多いと思われます。そもそも屋内施設ですから、雨風にさらされることもなく、荒れる可能性はそれほど高くはないでしょう。
ただ、きちんと掃除されているか、館内は明るいかどうかなどをチェックしておくことは重要です。
また、納骨堂に限ったことではありませんが、「ご遺骨を納める場所」は長く通い続けることを前提としています。そのため、バリアフリー設備がしっかり整っているかなどを確認することも重要です。また、「法事も納骨堂で行っていくつもりだ」という場合は、エアコンのあるなし、スペースの広さなどについても確認しておきたいものです。
納骨堂の設備は、施設ごとによって大きな違いがあります。写真だけではわからない部分もありますから、必ず自分の目で確かめましょう。
6.運営母体がしっかりしているかどうか
運営母体がしっかりしているかどうかも確認しましょう。もっとも安心なのが地方自治体の納骨堂(公営納骨堂)です。これの場合は倒産の可能性はほぼないといってもよく、安心して預けることができます。寺院系の納骨堂の場合、たとえその寺院が破産したとしても、その寺院と同じ宗派の別の寺が弔いを続けてくれることが期待できます。
実際に、寺院経営の納骨堂が破産したという事件もありました。この場合、ご遺骨がいったん返還されるなどの可能性もあるので、この点も注意しておくことが必要です。
7.何人のご遺骨を収めることができるのか
「納骨堂」というと、「1人用」をイメージする人もいるかもしれません。しかし実際には、複数名のご遺骨が納められるようになっているところもあります。また、2人~4人など、家族で入ることを想定している納骨堂もあります。それほど多くはありませんが、10人以上のご遺骨を収容できるようになっているところもあります。
「自分より後に祭祀を行ってくれる者はいない。お墓も処分して、納骨堂に入れてもらう」と考えるか、「遠くてお墓には通えないが、納骨堂を一般的なお墓のように使いたい」と考えるかによって、何人用の納骨堂を選ぶかに違いが出てきます。
自分のライフスタイルや環境はもちろん、家族とも話し合って決めていきましょう。
8.何年後に合葬されるのか
「合葬」とは、ほかのご遺骨と一緒に埋葬することをいいます。一部の特例を除き、基本的にはご遺骨を骨壺から出してほかのご遺骨と混ぜて埋葬するため、一度合葬してしまうと二度と取り出せません。
納骨堂における合葬の考え方は、以下の3つです。
- 最初から合葬を選択する
- 何年後かに合葬となる
- 最後まで合葬されない
1の場合は、ほかの方法に比べて安く埋葬できるというメリットがあります。3の場合はご遺骨が混ざり合うことがなく、ずっと独立した状態でお参りを続けることができます。
問題は、2のケースです。
「どのタイミングで合葬となるか」は施設ごとによって異なります。遺族の方としては3のケースだと思って申し込んだのに、実際には2のやり方をとるところだった……となれば、大きな問題になりかねません。
納骨堂を選ぶ場合は、「合葬がされるかどうか」「されるとしたらどのタイミングか」を確認することが重要です。
納骨堂を探す
棚型は上にあるスペースほど人気!?納骨するスペースの良し悪し
納骨堂の料金は、その施設ごと・プランごとによって異なります。ただ、「同じ施設・同じ大きさ」のスペースであっても、金額が異なる場合もあります。
一般的に、同じ施設・同じ大きさで、かつ棚型(ロッカー型)の場合、上段の方が値段を高く設定されている傾向にあります。中段は上段より安く、最下段はもう少し値段が抑えめに設定されることが多いといえます。
「明るい雰囲気のなかでお参りしたい。足元からの距離が近いところは嫌だ。お墓を建てるよりも安く上がるのだから、納骨堂のなかでは高めのプランで構わない」ということであれば、上段を選ぶのがよいでしょう。
「地面から近いところにあるのは、なんとなく感覚的に抵抗がある。でも費用も気になる」と感じるのであれば、中段を選ぶことをおすすめします。
「立地と価格、宗教で選んだ。できるだけ金額を抑えたい」と考えるのであれば、下段が使いやすいでしょう。
もっとも、すべての納骨堂がこの例に当てはまるわけではありません。どのような納骨堂であっても事前に「場所によって金額が変わるのか」を確認することは重要です。
次の段落からは、「納骨堂の情報を集めてから、納骨を行うまでの流れ」について解説していきます。
納骨堂の場所探しから納骨までの流れ
納骨堂の場所探しから、納骨までの流れを見ていきます。
納骨堂の情報をネットやチラシで収集する
まず納骨堂に関する情報を集めます。情報収集の手段としては「チラシ」も有用ですが、多くの納骨堂の情報を一度に集めたいのであればインターネットを使うのもおすすめです。現在は、場所をはじめとする「条件」でソートをかけて、それに合致する納骨堂の情報を一度に取り寄せることのできるサービスなども取り扱われています。
ただ、電話連絡などが行われる可能性もあるので、この点には注意してください。
資料をもとにして、候補となる納骨堂を選定していきます。この段階である程度絞り込んでおくと、次以降のステップが楽になります。
気になる納骨堂には直接見学に行く
「百聞は一見に如かず」とよく言われますが、それは納骨堂でも同じことです。インターネットやチラシでの情報収集は有効ですが、実際に足を運んでみないとわからないこともあります。特にその納骨堂の雰囲気やアクセスなどについては、この傾向が顕著です。
写真ではきれいに見えたけれど言ってみたらちょっと壁などがくすんでいるように感じることもあるでしょうし、「徒歩3分」と書かれていたけれど実際には10分ほどかかった……などの場合もあるでしょう。
契約に至るまでには、必ず自分の足で直接見学に行くべきです。また、生前契約を考えている場合などは、可能ならば家族(祭祀継承者)とともに行くことができればなお良いでしょう。
契約~納骨まで
直接見に行って「この場所ならば通えそうだ」「予算もちょうどよい」ということで、契約することに決めたのならば、最後に「疑問点」を洗い出してください。年間管理費用はかかるのか、合葬はどのタイミングで行われるのか、お経などはあげてもらえるのか、法要(仏教の場合)をするときにはスペースを借りられるのか……などです。
一度契約をすると覆すのはなかなか面倒なものです。この時点で、わからない点はしっかりと確認しておきましょう。
納骨に関しては、「●月●日までに行わなければならない」という決まりは特にありません。ただ、仏教などでは四十九日法要をひとつのタイミングとみることが多いようです。もっとも、「納骨堂を一から選び、直接足を運び、疑問点を洗い出し、契約する」という手順を踏むのであれば、四十九日には間に合わないかもしれません。
このような場合は、一周忌などに合わせるとよいでしょう。もちろん、家族のタイミングがあえばその前に行っても良いですし、気持ちの整理がつかなければ1年以上経ってから行っても構いません。
納骨の場合、宗教者に立ち会ってもらうこともよくあります。しかし特に宗教にこだわりがない、あるいは無宗教または宗教的に納骨のときに宗教者の立ち合いを必要としないなどの場合は、家族だけで行っても構いません。
「お墓を生前に建てる」「葬儀を生前に予約する」などのやり方が、現在では徐々に広まっていっています。終活の一環として、「自分が死んだ後のこと」を考える人も出てきているのです。
納骨堂の生前契約について
納骨堂のなかにも、生前契約を受け付けているところは見られます。また、「生前契約」を大きく取り扱っていなくても、問い合わせればなんらかの応対をしてもらえることが多いと思われます。気になっている納骨堂があるのであれば、生前に一度足を運ぶのもよいでしょう。
生前に納骨堂を決めておくことには、さまざまなメリットがあります。
まず、自分好みの納骨堂を選ぶことができるという点です。エンディングノートにしたためておくこともできますが、エンディングノートには法的拘束力はありません。また、家族がそれを見落とす可能性もあります。
納骨堂を自分である程度決めておくことで、お金の算段をつけやすいというメリットもあります。人が亡くなったときにかかる金額は決して少なくはありません。家族に負担をかけないという意味でも、生前契約はメリットの多いものです。
ただ、「死のための準備」を嫌う人も当然います。ご家族が反対するのであれば、そのご家族の気持ちを尊重することも重要です。
さまざまな納骨堂のかたち
弔いのかたちが多様化してきた現在、納骨堂のかたちも施設ごとによって違いがみられます。個性的なプランを打ち出している納骨堂も見られるようになりました。
たとえば、ペットと一緒に入ることのできる納骨堂が挙げられます。ペットも大切な家族……と考える人にとって、これは非常にありがたいものでしょう。
基本的にペットは「獣」なので人間と一緒の墓所に入れることはNGとされていますが、納骨堂や樹木葬などの場合は融通をきかせてもらえることもあります。ただ、選択肢は多くはありません。
納骨堂というとロッカー形式のものがよくイメージされますが、墓石タイプを選べる納骨堂もあります。納骨堂はどうしても「集合住宅」のようなイメージがあるため苦手意識を持つ人もいますが、墓石タイプならば違和感なくお参りができるでしょう。また、仏壇タイプを選べる納骨堂もあります。
納骨堂のなかには、「折々のタイミングでお経をあげて管理する」としているところもあります。寺院系の納骨堂の場合は、このようなやり方がとられることが多いと思われます。
毎日お経をあげて、さらに33回忌までは節目節目で読経をしてくれるというもので、「入れっぱなしになるのが怖い」と考える人におすすめです。
納骨堂は、それぞれがそれぞれの特徴を持っています。このような特徴も、しっかり内容を確認することで把握できます。わからないところは臆せずに聞きましょう。
改葬と納骨堂
納骨堂は、「場所」と非常に密接に関わっている弔い方法です。「先祖代々のお墓が田舎にあるが、とにかくアクセスが悪い。もう地元に帰ることもないから、お参りしやすいところにご遺骨を移したい」と考えている人にとって、納骨堂は第一の選択肢となりうるからです。
納骨したご遺骨を移動させることを、「改葬」と呼びます。
お墓に埋まっているご遺骨を取り出し、納骨堂に移すのです。もとのお墓は閉眼供養(仏教の場合)を行い、処分します。アクセスのよい、そして自宅とそれほど離れてはいないところで弔い続けることができるのは、地元を出てきた人にとって非常に大きなメリットとなるでしょう。
なお、「お墓に入れていたご遺骨を出す」としましたが、すでに合葬にされている人のご遺骨は取り出すことができません。また、お墓を処分するためにはそれなりに費用も必要です。改葬の手続きもいろいろと煩雑ですから、行う際はよく考えてから踏み切りましょう。
なお、「古いご先祖様のご遺骨は、この機会に納骨堂の合葬墓に入れる。比較的新しいご遺骨だけを、個別のスペースに納める」などのようにしても構いません。
まとめ
納骨堂は、ご遺骨を納めることのできる全天候型の施設です。新しくできたもの、民間が経営するものなどは、駅からほど近い距離にあるなど、アクセスの良さによく配慮されている傾向にあります。
納骨堂を選ぶ際には、まずは「宗教」と「費用」を確認しましょう。この2つに折り合いがつかなければ、また別の納骨堂を探さなければなりません。その2つの条件を満たしたなかで、
- 通いやすい場所にあるかどうか
- 納骨する際に支払う費用が明確になっているかどうか
- 設備・管理が整っているかどうか
- 運営母体がしっかりしているかどうか
- 何人の遺骨を収めることができるのか
- 何年後に合葬されるのか
の6点を確認しましょう。
納骨堂の金額は、施設やプランによって異なります。ただ同じプランでも、棚型の場合は上部にある方が費用は高い傾向にあります。この点も注意しましょう。
納骨堂を選ぶ際は、情報収集→直接足を運ぶ→不明点の確認→契約→納骨 の順番をとります。特に、「直接足を運ぶ」の工程は重要です。これによって、その納骨堂が本当に通いやすい場所にあるかどうか、中はどのようになっているかなどがわかります。
現在は、生前予約ができる納骨堂も増えています。また、ペットと一緒に眠ることができる納骨堂など、個性的な納骨堂も出てきています。しっかり選んで、自分(や家族)にぴったりの納骨堂を選びましょう。
都道府県一覧から納骨堂を探す
実際に希望エリアの納骨堂を調べてみたい方は、こちらから検索できます。
納骨堂を探す
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
納骨堂は近年注目されている納骨場所です。墓石を建てるより安価で、天候に左右されず、セキュリティー完備等のメリットを感じて選ぶ人が多いようです。かつては、「墓地に納骨するまでの一時預かり」という意味で利用していた人が多かった納骨堂ですが、「○○家として使用したい」」「夫婦のみ」「個人で使用」といったニーズに応える形のシステムを導入しています。
納骨堂の中には、寺院内にあっても「宗教・宗旨・宗派不問」としているところもありますが、檀家墓地が隣接していたり、本堂が併設されていることもありますので、基本的にはその宗教・宗旨・宗派の教義と異なる信条・信仰がある場合は避けるべきです。