納骨もできて手も合わせられる 仏壇型の納骨堂をご紹介します
仏壇型納骨堂とは?徹底解説
- 納骨堂には多様なタイプがあり、仏壇型は個別に敬うことができる。
- 仏壇型納骨堂は上が礼拝所、下が納骨場で、家族で共有可能。
- 仏壇型の利点は個別礼拝スペースの存在と家族継承、豪華な造り。
- 仏壇型の欠点はコストが高く、宗派によっては使えないこと。
- 仏壇型納骨堂は個別供養を重んじる伝統派に適している。
納骨堂にはさまざまな種類があります。
仏壇型の納骨堂では、遺骨を預けながら個別に手を合わせることもできます。
中には宗派のご本尊が祀られ、位牌やお供え物を置くこともできます。
わが家固有の仏壇の形をした納骨堂だからこそ、心を込めてご先祖様に手を合わせられるのかもしれません。
この記事では仏壇型の納骨堂について詳しくご紹介いたします。
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この記事の目次
仏壇型の納骨堂タイプの特徴
納骨堂とは納骨施設を持った建物のことです。
納骨の方法は納骨堂の種類によってさまざまです。
仏壇型もそのうちのひとつですが、そのほかにもロッカー型、位牌型、マンション型(自動搬送型)などがあります。
仏壇型は文字通り仏壇のような形状をしている
仏壇型とは、文字通り仏壇のような形状をした納骨堂です。
仏壇は上下が分かれる構造をしていて、上段が礼拝部分で下段が収納部分として用いられています。
仏壇型の納骨堂も同じで上段を礼拝部分として使用します。
扉を開くと最奥中央に宗派の本尊(信仰の対象となる仏様)を祀り、その脇に先祖や故人の位牌を祀ります。
その他、線香やローソク、お供え物などを置いて、その家だけの納骨檀として個別に手を合わすことができます。
下段は納骨スペースで家族や先祖の骨壺を並べて安置します。
このように仏壇型の納骨堂は、上段下段含めて1列全てをひとつの家族が個別に利用できます。
ロッカー型の場合は一列を複数に分割するため、上段と下段で両者が異なります。
しかし仏壇型の納骨堂ではそうした気兼ねが不要です。
他の納骨堂タイプとの違い
納骨堂には仏壇型以外にもさまざまなタイプのものがあります。
仏壇型と比較しながら1つずつ見ていきます。
ロッカー型
ロッカー型の納骨堂とは、ロッカー状の棚の中に骨壺を安置します。
扉を開けると中は骨壺を並べるための空間があるだけで礼拝の対象物はありません。
そのため、ロッカー型の場合は仏壇型と違って本尊にではなく遺骨に対して手を合わせます。
1つ1つのロッカーの中に本尊が祀られてない代わりに1つの部屋の中に大きな仏像などが祀られ、参拝者の誰もが手を合わせられる共有の礼拝スペースとして設けてあります。
仏壇型と比べると区画が狭いために費用は安く設定されているでしょう。
位牌型
位牌型とは故人の位牌を並べて安置して、遺骨は別の場所に収蔵しておくタイプの納骨堂です。
位牌は位牌棚に並べて安置し、寺院によって供養されます。
複数の位牌が並ぶために大きさや種類などを統一することもあり、その場合は新たに位牌を作らなければなりません。
また、個別のロッカーなどがあるわけでないため遺骨は一カ所でまとめて保管されます。
仏壇型やロッカー型のように場所を取りませんし、納骨壇の用意も不要のため、費用はさらに安く設定されているでしょう。
マンション型(自動搬送型)
マンション型とはビル一棟全体が納骨堂で、遺骨が自動搬送されるという特徴があります。
仏壇型や位牌型では個別に納骨されていますが、マンション型では遺骨はバックヤードに保管されています。
館内には複数の参拝ブースがあり、お参りの人が来たらそのブースまで遺骨が自動搬送される仕組みになっています。
利用者にはICカードが渡されているために機械制御で遺骨を識別して搬送します。
新しいタイプの納骨堂として土地不足が深刻な都市部で普及しつつあります。
費用は仏壇型よりもマンション型の方が高く設定されているでしょう。
仏壇型以外の納骨堂の仕組みや費用感については「【納骨堂の基本情報】費用・種類・仕組みを分かりやすく解説」の記事でもご紹介していますので、気になるかたはご覧ください。
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仏壇型の納骨堂を選ぶメリット・デメリット
いくつかの種類に分けられる納骨堂の中で仏壇型は他と比べてどんな特徴があるのでしょうか。
メリットとデメリットを取り上げながら考えてみましょう。
仏壇型の納骨堂を利用するメリット
仏壇型の納骨堂は、しっかりとした供養ができる点がポイントになるでしょう。
1.個別に手を合わせる場所がある
仏壇型の納骨堂は1列を1家族が使用します。
1列を縦に分割して複数の利用者に区画割りするロッカー型や1つの場所で遺骨を安置する位牌型などと比べると、仏壇型は自分たちだけのものです。
仏壇には本尊や位牌を祀り、お供え物をして手を合わせる。
このような当たり前のお参りが、実はロッカー型や位牌型ではできないのです。
2.家族で継承できる
仏壇型の納骨堂は納骨スペースが大きく、複数の人の遺骨を安置できます。
そのため次の世代やその次の世代も継承して利用できるでしょう。
仏壇やお墓は、世代を超えて使われることで先祖や子孫とつながることができる場になります。
納骨堂は一時預けや永代供養のイメージが強いのですが、仏壇型にして、きちんとお参りを途絶えさせなければ次代に続く立派な仏壇になるのです。
3.充分な広さと立派な造り
仏壇型はロッカー型や位牌型など、他のどの納骨堂よりも多くの遺骨を納められるでしょう。
また上段は限られたスペースの中で寺院の本堂さながらの荘厳がなされています。
ご本尊をお祀りする周りには宮殿や須弥壇などを設え、天井から吊るされた灯篭の中で光が灯されます。
広さに十分余裕があるため、手前には遺影や位牌やお供え物も置けるでしょう。
仏壇と同じような飾りとお供え物ができるからこそ、きちんと供養をしているという満足感が得られるでしょう。
仏壇型の納骨堂を利用するデメリット
仏壇型の納骨堂のデメリットにはどういったものが挙げられるでしょうか?
1.費用が高い
仏壇型は他の納骨堂と比較すると費用が高く設定されています。
見栄えが立派であるためにどうしても費用がかさんでしまうのです。
たとえばロッカー型と比較してみても、ロッカー型は扉を開けると四角の空間がそこにあるだけですが、仏壇型では内部にさまざまな様式に沿った装飾が施されています。
2.宗派を問われることがある
寺院によっては納骨堂利用の際に宗派の確認を求められることもあります。
一部の宗派では利用できないケースや、檀家や門徒向けに納骨堂を用意しているところでは、その寺院の宗派にあわさなければならないこともあります。
仏壇型の納骨堂と比較したい他の供養タイプ
仏壇式の納骨堂以外にもさまざまな供養の方法があります。
それぞれの特徴を比較してみます。
墓石との比較
墓石は長らく日本で用いられてきた供養の方法です。
昔から日本人は遺骨や遺体を墓地に埋葬して、その上に墓石を建立し、お墓参りをして死者や先祖を供養してきたのです。
仏壇型の納骨堂と墓石にはどのような違いがあるのでしょうか?
納骨堂は屋内 墓石は屋外
納骨堂と墓石の一番の違いは屋内と屋外の違いでしょう。
墓石に比べて納骨堂は建物の中にあるために、天候の悪い日でもお参りに困ることがありません。
また、墓石のようにすみずみまできれいに拭いたり、雑草の手入れなども不要です。
こうしたお参りの負担の軽減は、納骨堂の大きなメリットのうちの1つです。
しかし、野外でのお墓参りこそに風情を感じる人にとっては屋内の納骨堂へのお参りは窮屈かもしれません。
墓石は費用が高い
墓石の建立には高い費用がかかります。
土地の確保、墓石の加工、墓地での工事などをいちからしなければならないため、どうしても高額になってしまうのです。
一方、仏壇型の納骨堂は、納骨堂の中でこそ高額な方ですが、墓石に比べるとはるかに安価です。
墓石を建立しようとすると墓地と墓石の費用を合わせて200万円から300万円はかかると言われていますが、仏壇型の納骨堂は100万円前後が相場でしょう。
納骨堂自体はすでに寺院が用意しているもので、利用者はその使用権を買うだけで済むからです。
納骨堂は遺骨を土に還せない
遺骨を土に還したい人は、屋内の納骨堂よりも屋外の墓石を選択する方がいいかもしれません。
仏壇型の納骨堂は上段が手を合わせる場所としての仏壇、下段が遺骨を並べるロッカーになっているため、継承され続ける限りはずっとその中で保管されることになります。
遺骨を土に還してきちんとお墓参りしたい場合は墓石を建立しましょう。
納骨堂以外でお墓を建てない供養法
日本人は長らくお墓を建てて亡くなった人を供養してきました。
しかし最近ではお墓を建てない人が増えています。
納骨堂もそのうちのひとつですが、では納骨堂以外にもどのような方法があるのでしょうか。
特徴も含めてまとめました。
樹木葬と納骨堂の比較
樹木葬とは樹木を墓標としたお墓の形です。
樹木葬は、自然の里山全体を墓地として石碑やカロートなどの人工の構造物を使用しない「里山型」と都市型霊園の中で行われる「霊園型」に分けられます。
仏壇型の納骨堂と樹木葬にはどのような違いがあるのでしょうか?
納骨堂は屋内 樹木葬は野外
樹木葬は墓石と同様で野外に作られます。
屋内へのお参りとなる仏壇型の納骨堂とはこの点が大きく異なります。
里山型では遺骨を土の中に埋葬し、霊園型ではカロートの中に骨壺を納めるのが一般的です。
これは樹木葬を選ぶ人の多くが、やがて永代供養になることを前提にしているからです。
お参りに来る人がいなくなった時に遺骨を合祀できるよう骨壺で納骨しておくのです。
樹木に手を合わすという新しい方法
従来の供養では自宅の仏壇に手を合わせ、遺骨はお墓に埋葬していました。
仏壇型の納骨堂は、いわば仏壇とお墓を合体させたような施設です。
比較的新しい形の供養法ですが、仏壇もお墓も従来からあるものの組み合わせのため、さほど違和感なく人々に受け入れられている感があります。
一方、同じく新しい供養法といえる樹木葬は徐々に普及しているとはいえ、まだまだ一般的に普及しているとまでは言えません。
墓石ほど費用がかからないだけでなく、エコや自然保護の観点からも徐々に注目は集めています。
しかしいざ樹木葬に踏み切ろうとすると、なじみのない供養法のため親戚などから苦言を呈されることもあるでしょう。
手元供養と納骨堂の比較
手元供養とは自宅などの身近な場所で骨を供養の対象とすることです。
おしゃれな骨壺や遺骨や遺灰が納められるペンダントなど、さまざまな手元供養アイテムが販売されています。
分骨してお骨の一部を手元供養にする
手元供養とは分骨したお骨の一部を手元に置いておくことです。
ですから、納骨堂と手元供養とは相反するものではありません。
お骨を納骨堂に納めて一部を手元供養するのです。
もちろん納骨堂に限らず、お墓でも樹木葬でも永代供養でも一部を手元供養のために分骨できます。
手元供養は個人的な納得感が大事
手元供養は、納骨堂やお墓のように特に寺院にお参りに来てもらうわけではありません。
骨壺にせよ、ペンダントにせよ、自分たちが望むスタイルで亡くなった人をそばに感じて偲ぶのが手元供養です。
亡くなった人のために遺骨を自然に還してあげたい半面、自分の心を満たすためにも少しだけの遺骨は側に置いておきたい。
手元供養は、そんなアンビバレンスな想いに寄り添うために行われています。
ですから、寺院の読経や宗派の作法などとは別に個人的に納得できる方法で供養ができればよいのと思われます。
永代供養と納骨堂の比較
永代供養とは死者や先祖の供養を寺院に委ねることです。
跡取りがいない世帯や墓守ができない人たちが永代供養にします。
永代供養とは供養を寺院に任せること
永代供養は、家族や子孫が絶えてしまうなどのなんらかの事情で自分たちでは困難になってしまった先祖供養を寺院に任せるというものです。
ここでポイントなのは永代供養とは「どこにお骨を納めるか」の問題ではなく「誰が供養をするか」という問題に関わることだということです。
これまでとりあげてきた納骨堂、墓石、樹木葬、手元供養はすべてお骨を納める“場所”の問題でした。
納骨堂であれ、墓石であれ、樹木葬であれ、手元供養であれ、どこに納骨しようとも供養の主体は家族や子孫です。
はじめから永代供養にする人もいますが、まずはお墓や納骨堂などで家族が責任持って供養する人が大半です。
しかし、こうした人たちでもやがて跡取りが絶えてしまうという事態に陥ってしまったら永代供養にせざるを得ないのです。
つまり永代供養とは供養の最後の受け皿と言えるでしょう。
遺骨は合祀として葬られ、永代に渡ってその寺院で供養されます。
お参りできるうちは永代供養しない方がいい
供養とは、あくまでも自分自身のルーツである親、祖父母、先祖と向き合う行為です。
お墓であれ、納骨堂であれ、自分が元気でお参りができるうちは丁寧に供養してあげましょう。
ご先祖様にとっても、どこかの寺院に供養されるよりも自分の子や孫や子孫に供養される方が嬉しいことでしょう。
散骨との比較
散骨とは山や川や海などに遺骨を撒く葬法です。
遺骨をあとにのこさない、手を合わせる個別の場所を設けないという新しい形の供養法です。
遺骨があとに残らない
散骨は遺骨をパウダー状にして山や川や海に撒きます。
そのため遺骨があとに残らないために、その後の供養の負担が軽減されます。
費用を安く抑えられる
散骨にかかる費用は、さまざまな供養法の中でも相当安い部類に入るでしょう。
墓地の購入や墓石の加工も不要ですし、納骨堂のような施設も不要です。
あとから手を合わせる場所がない
「自分の遺骨は海に撒いてほしい」と希望する人は多いのですが、残された人たちが後々になって戸惑ってしまうという声もよく耳にします。
故人を偲ぶたくても偲ぶ場所がない。
手を合わせたくてもどこに合わせていいのか分からない。
やはり人は亡くなったあとの人ともつながりたいと生き物なのかもしれません。
どこに遺骨が埋葬されているかという場所が特定できれば安心して手を合わせられるのです。
仏壇型の納骨堂に決める前に見学は必須
納骨堂の使用を契約する前には必ず現地を見学しましょう。
仏壇のカタチを実際に確認する
仏壇型の納骨堂の一番の特徴は、個別の納骨壇を持てる点です。
これから自分たちが心を込めて手を合わすことになる場所です。
まずは納骨壇のカタチを実際に確認しておきましょう。
どのような仏様が祀られているのか、位牌やお供え物をどのように置けばいいのかをシミュレーションしましょう。
一区画の幅・広さを知っておく
一区画の幅や広さなどの寸法をきちんと把握しておきましょう。
特に納骨部分は大切です。
遺骨が全部でいくつ入るかは、後々のことを考えるととても重要な事柄です。
いま現在の家族構成を考えて、そのうちの何人がその納骨堂の中に入る可能性があるか。
ひとつ当たりの骨壺の寸法と実際の納骨部分の内部の寸法とをきちんと確認しておきましょう。
納骨堂タイプで仏壇型が向いている人
納骨堂には仏壇型以外にも、ロッカー型や位牌型、マンション型などさまざまな種類があります。
その中でも仏壇型が向いている人の特徴を挙げてみました。
仏壇型が向いている人の特徴
- 手を合わせる場所は個別にあった方がいい
- 納骨する場所も個別にあった方がいい
- 神社やお寺など伝統的な宗教観が好きだ
- 多少お金はかかっても伝統に則ったお祀りの仕方を大切にしたい
まとめ
いかがでしたでしょうか?
では最後にこの記事のポイントを箇条書きにします。
- 仏壇型の納骨堂とは、上段が仏壇で、下段が納骨スペースとなっている
- 納骨堂には、仏壇型以外にも、ロッカー型、位牌型、マンション型などがある
- ロッカー型は、遺骨の収蔵スペースしかない分、仏壇型よりも安い
- 位牌型は、位牌を並べて、遺骨を別の場所にまとめて安置するため、さらに安い
- マンション型は、ビル一棟を使った納骨堂で、機械制御で遺骨が自動搬送される
- 仏壇型の納骨堂のメリット
- 個別に手を合わせる場所がある
- 家族で継承できる
- 充分な広さと立派な作り
- 仏壇型の納骨堂のデメリット
- 他の納骨堂に比べて費用が高め
- 宗派を問われるケースがある
- 墓石に比べて、お参りや掃除の手間がかからず、費用も安く済む。ただし遺骨を土に還せない。
- 仏壇型の納骨堂は、仏壇とお墓を合体させたような納骨施設
- 樹木葬とは、樹木を墓標としたお墓。新しいスタイルのため、苦言を呈されることもあるかもしれない
- 手元供養とは、遺骨の一部を手元において供養すること
- 永代供養とは、自分たちでは困難になってしまった先祖供養を寺院に任せること
- 散骨とは、遺骨を海などに撒くこと。あとに何も残らない分、負担は軽減されるが、遺族が手を合わせる場所がない
- 納骨堂を決める前は必ず現地見学をする
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
納骨堂は、都市部を中心に広く建設されるようになっています。仏壇型の納骨堂は自動搬送式と比べると、少し古いタイプになりますが、それでも最近は自動搬送式が飽和状態になり、ロッカー型や仏壇型など据え置きタイプの納骨堂が再注目されています。
納骨堂はスペースに限りがありますので、中に入る骨壺の数も限度はありますが、増えてしまったから不可ということではありません。骨壺を小さめのものに変えたり、遺骨を粉骨する等することで、数名分は増やすことができます。それでも納まりきらない場合は、古い先祖の遺骨、例えば没後50年以上の遺骨だけを取り出して合葬墓に納める形にすることもできます。