納骨堂の永代供養について!メリットや費用相場などを分かりやすくご紹介
納骨堂の永代供養とは?徹底解説
- 永代供養は寺などが供養を引き受ける制度。
- 納骨堂は遺骨を室内で保管する施設、多様なタイプあり。
- 納骨堂の永代供養は管理不要で室内参拝可、個別供養の場所喪失が欠点。
- 納骨堂の永代供養費用は平均50万円、プランにより変動。
永代供養とは、「永代にわたって死者の遺骨を供養・管理してくれるシステム」のこと。その遺骨の納め先として用いられるものの一つとして納骨堂があります。
屋内型の礼拝施設のため人気が高く、日本中のさまざまなお寺が境内に納骨堂を設置しています。
納骨堂はお墓と同じように子孫が代々に渡って受け継ぐこともできますが、一代限りの供養として将来的に永代供養に切り替えることもできます。
この記事では、納骨堂の永代供養を選ぶ際のポイント、注意点、メリットとデメリット、費用相場等を分かりやすくご紹介いたします。
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この記事の目次
納骨堂での永代供養なら管理をお寺に任せられる
納骨堂とは屋内に設けられた納骨施設です。
仏壇型やロッカー型など形状はさまざまですが、屋内にお参りしているという点で共通しています。
さらにはほとんどの納骨堂は、あととりの人がいなくなったあとに、お寺にそのまま永代供養してもらえます。その安心感が納骨堂が人気の理由でしょう。
ただ、以上のことから分かるように「納骨堂」とは施設の名称で、「永代供養」とは供養の方法のことをさします。この2つの言葉をごちゃまぜに解釈している人が多いので注意しましょう。
納骨堂は屋内に設けられた遺骨の管理施設
「納骨堂」とは寺院や霊園などが設置した屋内に設けられた遺骨の管理施設のことです。
主にお寺が境内に納骨堂を作っています。
その他にも東京都立霊園のように公営霊園で納骨堂を運営しているところもあります。
納骨堂は屋内に設けられたお墓のことなので、お参りの人が絶えない限り、永代に渡って使用できます。
また、一部使用期間を設けているものもあります。
都立霊園の場合は、永代使用できる納骨堂と、最長5年という期限を設けた一時預かり的な意味合いの強い納骨堂があります。
永代供養はご先祖様の供養を任せること
「永代供養」とは、自分たちでできなくなった死者や先祖の供養を寺院などに任せることです。
遺骨や位牌を寺院に預けて永代に渡って供養してもらいます。
単身者の人やあととりのいない人たちが永代供養という方法を選んでいます。
永代供養として受け入れた遺骨の扱いはお寺によって異なります。
納骨堂で安置する、樹木葬のお墓に埋葬する、永代供養墓と呼ばれる複数の遺骨を収蔵するタイプの石塔の中で保管するなど、お寺が所有する施設によってさまざまです。
納骨堂の種類とそれぞれの特徴
納骨堂の中には「納骨壇」と呼ばれる祭壇がずらっと並び、その中に遺骨を納めます。
この納骨壇には仏壇型とロッカー型があります。
さらには納骨壇を使わずに建物全体を納骨堂とした自動搬送型や位牌を並べるだけの位牌壇などもあります。
ひとことに「納骨堂」と言っても、その種類はさまざまなのです。
ここではその種類別の特徴についてご紹介いたします。
仏壇型
仏壇型とは、仏壇の形状をした納骨壇のことで、1基を1家族に割り当てられます。
上段には、その宗派のご本尊や位牌や灯籠等の仏具が並び、お花やお線香等のお供えができます。
文字通り、仏壇のように手を合わせられます。
下段が遺骨の収蔵スペースとなっており、複数の骨壺を納められます。
費用の相場はおよそ100万円前後でしょう。
ロッカー型
ロッカー型とは、コインロッカーのような形状をした納骨壇のことで、一基を複数の区画に分けて割り当てられます。
中の作りはさまざまですが、主な使用目的は遺骨の収蔵になります。ご本尊や位牌のお祀り、お花やお供え物などはできなくはないのですが、スペースに限りがあるため極めて窮屈でしょう。
収蔵は納骨壇、手を合わせれる場所は共同祭壇と分けているお寺もあります。
費用の相場はおよそ50万円前後でしょう。
自動搬送型
自動搬送型とはビル一棟をすべて納骨堂としたもので、「ビル型」「マンション型」などとも呼ばれています。
なぜ「自動搬送型」と呼ばれるのか。それは完全機械制御のシステムで遺骨が参拝ブースまで自動で搬送されてくるからです。
自動搬送型の最大の特徴は、参拝場所と遺骨の保管場所が完全に分けられていることです。
館内はホテルのロビーを思わせる内装で、新しく、モダンなタイプの納骨堂です。
費用の相場はおよそ100万円前後でしょう。
位牌型
位牌型とは、位牌を並べて供養するタイプの納骨堂です。
遺骨は別の場所にまとめて保管されています。
場所や特別な施設を必要としないため、もっとも安価に抑えられる納骨堂タイプと言えるでしょう。
費用相場はおよそ20万円〜50万円くらいでしょう。
永代供養にすると遺骨は合祀される
納骨堂の利用がすぐさま永代供養になるわけではありません。
家族が続くうち、元気なうちは、永代供養にはせずに自分たちでお参りして手を合わすのがよいでしょう。
しかし、どうしてもこれ以上のお参りが困難となった場合には、お寺に永代供養を申し出ましょう。
永代供養となると遺骨は最終的には合祀されます。
つまり、他の人と同じ場所に埋葬されるということです。
合祀まではどれくらいの期間が設けられるかは、寺院によって異なるので確認が必要です。
また個別の供養の期間を必要とせず、はじめから合祀をお願いすることもできます。
その場合は費用はかなり安く抑えられ、10万円前後が相場でしょう。
納骨堂で永代供養にするメリット・デメリット
納骨堂で永代供養にすることにはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
メリット
まずは納骨堂で永代供養することのメリットについてまとめました。
メリット
- 維持・管理の負担がない
- 屋内でお参りができる
維持・管理の負担がないこと
個別にお墓を持つわけではないため、維持や管理の負担がありません。
お墓があると子孫が承継して維持していかなければなりませんし、最終的に永代供養するにしても墓じまいをしなければなりません。
墓じまいは、改葬手続きや寺院への相談など、さまざまな方面への対応が求められますし、石材撤去の費用もかかります。
それに比べて納骨堂の永代供養であれば、そのままそのお寺に永代供養をお願いできますし、施設の撤去も不要です。
屋内でお参りができる
納骨堂は屋内施設ですから天候に左右されることなく落ち着いてお参りができます。
また野外に置かれたお墓のように汚れることもないため、草抜きや墓石の拭き取りのようなお墓掃除の負担も軽減されます。
建物の中なのでバリアフリーが完備され、霊園特有の階段や坂道に悩まされることもないでしょう。
デメリット
次に納骨堂で永代供養することのデメリットについてまとめました。
デメリット
- 個別に手を合わせる場所がない
- 合祀後は遺骨を取り出せない
個別に手を合わせる場所がない
永代供養にしてしまうと遺骨は合祀されるため、個別に手を合わせる場所がなくなってしまいます。
人によっては他の人と同じ場所に遺骨を埋葬することに抵抗を持つ人もいるため、その場合は他の方法を検討しましょう。
合祀後は遺骨を取り出せないこと
合祀したあとは遺骨を取り出すことができません。
将来的に事情が変わり、遺骨を他の場所に移したい、個別のお墓に埋葬したいとなっても取り返しがつきません。
本当に永代供養にして合祀するべきなのか慎重に考えましょう。
納骨堂を利用する前に供養プランを必ず事前チェック
納骨堂を利用する前には必ずどのように供養がなされるのかを確認しましょう。
供養には2つの意味があり、1つは寺院としてどのように死者の霊魂を供養するのか。
もう1つは預けた遺骨はどのように扱われのかということです。
自分たちが元気なうちは、いきなり永代供養をせずに自分たちでお参りに行けるようにしましょう。
やむを得ず永代供養を選ぶ時に、寺院による読経や供養はどのようにしてもらえるのか、遺骨はどれくらいの期間が経ったら合祀にされるのかを確認した上で、永代供養をするか決めることをおすすめします。
納骨堂での永代供養に必要となる費用まとめ
納骨堂での永代供養にはどれくらいの費用がかかるのか費用についてまとめました。
納骨堂の永代供養にかかる相場は50万円
一般的な納骨堂の費用相場は50万円前後でしょう。
ただし、これはまず納骨堂の使用料を購入した場合で、はじめから合祀でいいというのであれば10万円程度で済みます。
納骨堂のタイプやプランによって価格が変わる
納骨堂はタイプやプランによって費用が異なります。
仏壇型 | 100万円前後 |
---|---|
ロッカー型 | 50万円前後 |
自動搬送型 | 100万円前後 |
位牌型 | 20万円〜50万円 |
これはあくまで施設の永代使用料金の相場ですが、ここから永代供養にする時の供養料が含まれているケースと、別途用意しなければならないケースとがあります。必ず事前に寺院に確認しておきましょう。
永代供養でも管理費が必要になる
通常、納骨堂をはじめとするお墓は、施設の使用料としての「永代使用料」と施設全体の管理に充てられる「年間管理料」を支払います。
永代供養にすることで「永代管理料」を合わせて求められるケースもあるようです。事前に確認をしておきましょう。
支払いタイミングは一括と分割がある
納骨堂の使用料や永代供養料は原則として一括の支払いです。
しかし、最近では分割払いに応じてくれるところもあるようなので事前に確認しておくのが良いでしょう。
納骨堂で永代供養を利用するときの手続きの流れ
納骨堂で永代供養するにはどのような流れで進めていけばよいのでしょうか。
一連の流れをまとめました。
1.納骨堂を探す
まずは自分たちがどんな納骨堂を利用したいのかを考えましょう。
そのためには、どんな種類の納骨堂がどこにあるのかなど納骨堂の情報を入手しなければなりません。
インターネット検索でさまざまな納骨堂のサイトにアクセスできると思うので、まずはそこから絞り込みをかけていきましょう。
ただ漠然と探すのではなく、以下のチェックポイントを参考しながら決めていくとよいでしょう。
- 宗旨や宗派
- 収蔵可能な遺骨の数
- 合祀までの期間
- 供養の方法(寺院による読経がどのくらいの頻度で行われるかなど)
- お参りのしやすさ
- アクセス(自宅からの距離、交通の利便性)
- 費用
2.納骨堂の見学
事前の検索や情報収集で候補が絞り込まれたら実際に見学に訪れてみましょう。
納骨堂の雰囲気を感じながら実際にお参りしてみる時のことを頭の中に思い描きましょう。
また、お寺の住職や職員などと話をしてみた印象です。
「あ、この納骨堂にお参りに来たいな」と直感的に思えるかどうかを大切にしましょう。
以下の点をチェックポイントにして現地見学をします。
- 自宅から納骨堂まで実際に移動してみての印象
- 館内の雰囲気
- 参拝スペースや収蔵スペースの印象
- バリアフリーの充実度
- 住職や職員の人柄や印象
3.申込・契約
気に入った納骨堂が見つかれば申込をして契約します。
契約書の内容は一字一句、きちんと確認しましょう。
遺骨の取り扱い、寺院としての供養の方法、そして永代供養にしたあとの合祀についてなど後悔がない選択が望まれます。
契約と同時に永代使用料や供養料など支払いを済ませます。
4.納骨
納骨法要を執り行います。
遺骨を持参して寺院による読経を済ませて納骨堂に遺骨を納めます。
家族だけで行うこともあれば親戚を招くこともできます。
寺院や霊園によっては、法要後の会食に場所を提供してくれるところもあるでしょう。
5.永代供養への切り替え
納骨堂は、はじめは家族がお参りに行って手を合わすことができます。
しかし時間が経過するごとにお参りする人も高齢となり、満足にお参りが着なくなるでしょう。
どの段階で永代供養に切り替えるかは契約の中に盛り込まれていますが、実際にはその状況に合わせて対応してくれる寺院が多いようです。
万が一の時は永代供養をしてほしい旨は、元気なうちから伝えておきましょう。
お墓を持たなくても永代供養なら安心して供養できる
お墓がないことで、自身の死後に自分の遺骨や先祖の遺骨がどうなるか不安かもしれませんが心配いりません。
永代供養であれば万が一あととりがいなくなって途絶えてしまったとしても、お寺が責任もって永代供養をしてくれるので安心です。
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納骨堂での永代供養と比較しておきたい供養法
将来的に永代供養につながる供養方法は納骨堂以外にもあります。
種類別にそれぞれの特徴をご紹介します。
期限付き墓石
期限付き墓石は、お墓の利用に期限を設けたものです。
通常、お墓の建立の場合は、まずは墓地の永代使用権を購入します。
「永代使用」と言うくらいですから先祖が代々墓地や墓石を守ることが前提として考えられています。
しかし、昨今の社会状況では先祖が世代を超えて1つの石塔を守り抜くというのは困難です。
従来のように墓石を用いて供養したい、されたいと願う人に選ばれているのが期限付き墓石なのです。別の呼び方で「レンタル墓」とも言われています。
費用相場は50万円前後ですが利用期間によって異なります。
参考までに利用期間が5年で20万円から30万円、10年で50万円前後、30年で50万円から100万円くらいです。
また、有料ではありますが契約は更新できるので、一代限りのお墓とするか、代々つながるお墓とするかは柔軟に決められます。
永代供養墓への納骨
永代供養墓とは、合葬地に建立された複数の人をまとめて供養するためのお墓のことです。
別の呼び方に「合祀墓」「合葬墓」「集合墓」などがあります。
永代供養にされた遺骨は最終的に合祀という形で埋葬されます。
合祀されたも者に手を合わす場所として、永代供養墓が共同墓石として用いられます。
形状はさまざまですが、躯体の中には人が入れるようになっているのが最もポピュラーでしょう。
躯体内部が棚状になっており、骨壺を並べて安置できます。
床の部分には地下に通じる扉が設置されており、合祀の際はこの扉を開けて埋葬します。
費用相場は、一定期間の個別供養を望むのであれば20万円から50万円くらいでしょう。
この中には寺院による供養料や故人の戒名の刻印代なども含まれています。
一方、すぐに合祀して永代供養を希望する場合は5万円から10万円が相場でしょう。
樹木葬での永代供養
樹木葬とは樹木を墓標とした新しいタイプのお墓です。
これまでお墓と言えば石材が当たり前でしたが、樹木葬では礼拝の対象に樹木や草花を用いています。
明るく華やかで自然にも優しいということで人気を集めています。
「樹木葬=永代供養」というわけではありませんが、永代供養墓に樹木葬を用いている寺院や霊園もちらほら見られるようになりました。
樹木葬の費用相場は50万円から100万円でしょう。
あくまでも石から木への転換はありますが、役割は従来のお墓と変わりません。埋葬地に墓石を立てたように草木を植えるのです。
ただし、石材を用意するのと草木を用意するのでは、費用の負担が大きく異なります。
樹木葬だと墓石の据え付け工事も不要ですし、墓じまいの際も大がかりな撤去工事をしなくても済みます。
石から木に変えただけで、ここまで費用が安くなるのです。
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自身での供養感を残すなら手元供養
手元供養とは自身の手元に遺骨を遺しておく供養法です。
あくまで本骨はお墓などに埋葬、あるいは永代供養にして遺骨のほんの一部を手元に持っておくという人がほとんどです。
骨壺など生活空間に飾れるもの、あるいはペンダントなど肌身に離さずつけていられるものなど、その種類は多岐に渡ります。
手元供養アイテムを購入するための費用はかかりますが、特別な墓石や寺院の供養などは不要なので安価にお祀りできるでしょう。
まとめ
では最後にこの記事のポイントを箇条書きでまとめます。
- 納骨堂での永代供養なら管理をお寺に任せられる
- 納骨堂と永代供養はごちゃまぜにして考えてはいけない
- 「納骨堂」とは寺院や霊園などが設置した、屋内に設けられた遺骨の管理施設のこと
- 「永代供養」とは、自分たちでできなくなった死者や先祖の供養を、寺院などに任せること
- 納骨堂には、仏壇型、ロッカー型、自動搬送型、位牌型などがある
- 永代供養にすると遺骨は合祀(ごうし:他の人と同じ場所に埋葬)される
- 納骨堂の永代供養のメリットは、維持管理の負担がなく、屋内でお参りできる点
- 納骨堂の永代供養のデメリットは、個別に手を合わせる場所がなく、合祀後は遺骨を取り出せないこと
- 納骨堂での永代供養の費用相場は50万円くらい。ただし、プランやタイプによって異なる。
- 永代供養でも管理料を求められることもある
- 納骨堂以外にも、永代供養を前提とした供養法に、期限付き墓石、永代供養墓、樹木葬、手元供養などがある
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
近年、住居から近い場所にお墓を求めたいという人が増えています。しかし都市部でお墓を建てるとなると、200~300万円はあたりまえ。庶民が気軽に購入できる金額ではありません。そこで注目されているのが納骨堂です。納骨堂といっても棚型、ロッカー型、仏壇型、自動搬送式タイプなどがあり、立地や予算、好みによって選ぶことができます。特に開発が目立つのは自動搬送式の納骨堂でしょうか。東京都内では、計画中を含めて30カ所近くあり、ひとつの納骨堂に対して数千区画が用意されていますから、供給過多だという説もあります。
納骨堂については、一般墓と違い、必ずメンテナンス時期があります。建物のメンテナンスだけではなく、機械が入っている場合は機会のメンテナンスも関係してきますので、護持会費(管理費)等が変わってこともあります。