納骨堂でも開眼供養はするの? 意味や流れをわかりやすく解説
納骨堂の開眼供養とは?徹底解説
- 納骨堂で行う開眼供養は、仏像に魂を宿す儀式。
- 建物や納骨壇に対し、納骨と共に開眼供養が行われる。
- 開眼供養のお布施は約3万円、無宗派では省略されることも。
- 納骨堂の供養では喪服着用、数珠持参がマナー。
開眼供養とは、仏像や仏画や墓石などに仏の魂を迎え入れる儀式です。
お墓と同じように納骨の前には必ず開眼供養をして、故人や先祖を守ってくれる仏を迎え入れます。
開眼供養はどのように行われるのか。どのタイミングで行われるのか。
この記事では納骨堂と開眼供養について語ります。
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この記事の目次
開眼供養は仏を迎え入れるための大切な儀式
開眼とは仏像や仏画など、仏を表すものの中に仏の魂を迎え入れて供養することです。
仏壇やお墓などと同じように納骨堂でも開眼をすることで仏の魂が込められ、礼拝の対象となります。
開眼の儀式のことを開眼供養や開眼法要と呼びます。
納骨堂でも堂内や棚の中には仏様が祀られているので利用の際は開眼供養をします。
開眼供養を行う目的
仏画であれ、仏像であれ、そこに置いてあるだけでは、ただの「もの」に過ぎません。
寺院による開眼供養の読経により、はじめて魂が込められ、それらは「仏」となるのです。
眼を開くことがどうして魂を込めることになるのでしょうか。
これは開眼が「仏眼」を開くという意味から来ているようです。
開眼という言葉には、仏道の真理を悟ることという意味もあります。
開眼はほかにも「入仏」「性根入れ」「魂入れ」などとも言われます。
寺院タイプの納骨堂なら開眼供養が必須
仏教寺院が経営する納骨堂では必ず開眼供養をします。
ただ、いくつかの納骨堂を経営する寺院に問い合わせてみたところ、その方法はさまざまです。
納骨堂(という建物)の中には複数の納骨壇(遺骨を納めるための個別の壇)が並んでいて、利用者は好きな場所を選びます。
その納骨壇ひとつひとつに開眼供養をするという寺院もありますが、多くの場合は納骨堂という建物が出来上がった時に建物全体に対して開眼供養を行うようです。
個別の納骨壇への供養は「開眼供養」というよりは「納骨供養」の意味合いが強く、納骨をするたびに寺院に読経をいただきます。
少し分かりづらいと思うので次の項目で詳しくご説明します。
開眼供養と納骨供養の違いは?
開眼供養とは、仏像や仏画や墓石など仏を表すもの、あるいは仏の依代(よりしろ:そこに仏がいると信じられているもの)に魂を迎え入れて込めるための儀式です。
一方、納骨供養は故人の遺骨をお墓や納骨堂に納めるための儀式です。
供養の意味合いが全く異なることが分かるかと思います。
開眼供養は私たちを守ってくれる仏様を迎えるために、納骨法要は故人様のために、と思えばいいでしょう。
開眼供養は納骨するタイミングに行う
お墓であれ、納骨堂であれ、はじめて誰かの遺骨を納める時、つまりはじめてそのお墓や納骨堂を利用する時に開眼供養と納骨供養を一回にまとめて行うのが慣例です。
納骨堂を購入したとして、開眼供養だけ先にして仏を招き入れて後日納骨供養をするというのはあまり見かけません。
一連のお経の中で、まずは開眼のお経を読み、次に納骨のお経を読みます。
当然、2回目以降の納骨の時は、すでに開眼供養は済んでいるので納骨供養のお経だけを読みあげてもらいます。
また寺院によっては、納骨堂が建立された時に建物全体に対して開眼供養をしているため、個別の納骨壇への開眼供養を不要としているところもあります。
無宗派なら開眼供養しないケースもある
納骨堂は無宗教や無宗派の人でも利用できます。
寺院の経営する納骨堂も宗教不問で利用できるところもありますし、公営の納骨堂や民営霊園の納骨堂など、宗教性のない施設の場合は開眼供養をしないケースもあります。
納骨堂での開眼供養の流れ
納骨堂で開眼供養を行うまでにはどのような流れで行われるのでしょうか。
一般的な流れをまとめました。
納骨壇の購入と納骨日の決定
まずは納骨壇を購入します。
購入したその日に納骨するケースもあれば、後日改めて納骨するケースもあります。
火葬許可証あるいは改葬許可証の提出
火葬場から手渡された火葬許可証は必ず納骨堂の管理者に手渡しましょう。
また、お墓や他の埋葬地から遺骨を移す(改葬)場合は、改葬元の役所から入手した改葬許可証を必ず管理者に預けましょう。
開眼供養と納骨供養
開眼供養と納骨供養をしてから納骨壇に遺骨を納めます。
法要は、納骨堂で行われる場合と併設する本堂で行われる場合とがあります。
用意しなければならないものは事前に寺院に確認しておきましょう。
お花、お供え物、塔婆、遺骨、位牌など、用意しなければならないものやお供えできるものは納骨堂によって異なります。
開眼供養のお布施の相場は3万円程度
開眼供養のお布施の相場は3万円程度です。
ただし、まずは寺院に訊ねてみることをおすすめします。
お布施の相場は地域によっても違いますし、寺院の考え方によっても異なります。
1万円というお寺もあれば、5万円と答えるお寺もあるでしょう。
もしも「お気持ちで」を言われるのであれば、3万円を目安にすれば失礼には当たらないです。
また、納骨と開眼供養を行う場合は少し多めに包みましょう。
2つの法要を一度にまとめて行うことになるからです。
合わせて5万円くらいが妥当な金額でしょう。
納骨堂での開眼供養におけるマナーや服装
納骨堂での開眼供養は、基本的な考え方は一般的なお墓と同じように捉えましょう。
納骨堂の場合の注意点は、開眼供養が納骨と同じ日に行われる場合がほとんどであるということです。納骨堂を購入した場合、開眼供養だけを行うケースはあまりありません。
服装は納骨式のマナーに合わせる
納骨堂で開眼供養を行う場合は、開眼供養の後に納骨を行う流れになります。一般的な納骨式のマナーに則って、服装は喪服を着用します。
- 男性の場合:ブラックスーツに黒のネクタイや靴下や革靴を着用。
- 女性の場合:黒色のワンピース、スーツ、アンサンブルなど。
靴は黒いパンプスが基本。ハンドバックなどの小物も黒を基調に。 - 子供の場合:学校の制服を着用。もしも制服がない場合は落ち着いた色味の服を着るように。
本来の開眼供養は「お祝いごと」なので喪服は着ない
開眼供養は、生前にお墓を建てたことに対するお祝いごとですので、参列の際に必ずしも喪服を着用する訳ではありません。
ただし、開眼供養と合わせて「納骨式」が執り行われる場合が多いため、納骨が伴う場合には亡くなった方の遺骨を納骨する儀式に参列するにふさわしい服装として喪服を着用するのです。
お布施
お布施はお布施袋に入れて持参し、表書きは「御布施」と書きます。
水引は一般的には黒白や双銀を用います。関西地方では黄白の水引を使います。
お布施袋は袱紗に入れてかばんの中などに入れておきましょう。
寺院による開眼供養が済むと、お礼のあいさつを兼ねて手渡します。
数珠
数珠は、仏教における祈りの道具です。葬儀や法事の時には必ず持参しましょう。
開眼供養では、寺院による読経の中で家族が焼香をする場面があります。
数珠は左手に持ち、右手で御香をつまんで火種の上に落として香を焚きます。
その後は左手に数珠を持ったまま合掌して、故人の安寧を祈ります。
墓じまいや仏壇を処分する場合は閉眼供養を忘れない
新たに納骨堂を利用するにあたり、古い仏壇を処分したり、墓じまいをする場合には必ずそれらに対して閉眼供養をしてもらいましょう。
閉眼供養をしてもらうことで仏像や仏画や墓石などの中に込められている仏の魂が抜けるとされています。
閉眼供養をしなければ仏壇店や石材店は処分に応じてくれません。
もしも、ひとりの遺骨を取り出すだけで、お墓そのものを残しておくのであれば閉眼供養の必要はありません。
昔から行われてきた開眼供養
眼を入れて魂を込めるのが開眼です。
この開眼供養は昔からさまざまな場面で行われてきました。
その一例をご紹介します。
日本で最も古い開眼供養は奈良東大寺の大仏開眼供養会
開眼供養がどのように始まったのかは詳しく分かってはいません。
しかし、日本に仏教が伝来する前に、すでに中国やインドなどでは行われていたと推察されます。
それは、日本で最も古い開眼供養が、752年に行われた奈良の大仏の開眼供養で、導師を務めたのが菩提僊那(ぼだいせんな)というインド出身のバラモン僧だったからです。
当時の様子は『続日本記』や『東大寺要録』にも記録が残っています。
天皇や有力者たちだけでなく、国内外の高僧が一堂に会して執り行われた大仏開眼供養会は、1万数千にも及ぶ参列者が集めました。
大仏に目を描き入れる役は聖武天皇が務めるはずでしたが、体調不良によって、この法要の導師である菩提僊那が務めたのです。
だるまさんの開眼
江戸時代から始まったとされるのがだるまさんへの開眼です。
選挙で当選した時に、候補者がだるまの目に筆を入れるのをみなさんも見たことありますよね。
あれも立派な「開眼」なのです。
だるまさんとは、インドから中国にやってきた禅僧の達磨大師(だるまだいし)を模した置き物です。
だるまさんに手足がないのは、達磨大師が9年もの間、手足が腐っても座禅をし続けたという伝説に由来しています。
さらに、だるまの置き物には手足だけでなく、目もありません。
だるまの目は、購入者自身が筆を入れて開眼をします。
これは江戸時代に流行した疱瘡という病に由来すると言われています。
不治の病である疱瘡は疱瘡神という悪い神様によるものと信じられ、この疱瘡神が赤い色を嫌うと信じられていたそうです。
さらに疱瘡という病気にかかると視力が悪化するため、当時ダルマを売っていた商人たちは目なしのだるまを販売し、購入者自身に目を入れるようにしました。
以降、だるまさんは仏像と同じように礼拝の対象となり、願い事がある時に片目を入れ、願い事が叶ったらもう片方の目を入れるという風習が今でも行われるようになったと言われています。
まとめ
いかがでしたか?
では最後にこの記事のポイントを箇条書きでまとめます。
- 開眼とは、仏像や仏画など、仏を表すものの中に仏の魂を迎え入れて供養すること
- 開眼をすることで仏の魂が込められ、礼拝の対象となる
- 納骨堂の場合、納骨壇ひとつひとつに個別に開眼することもあるが、ほとんどは建物全体への開眼で済ます
- 開眼供養は納骨供養とあわせて行われることが多い
- 無宗派の場合、開眼をしないこともある
- 開眼供養のお布施の相場は3万円
- 納骨堂での開眼供養でも、服装やマナーは通常の法事と同じようにする
- 日本で最も古い開眼供養は、奈良東大寺の大仏開眼供養会
- だるまの目入れも立派な開眼
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
納骨堂へ納骨する際は、多くの場合「納骨法要」が行われます。納骨日時を寺院と相談して決め、当日は納骨壇等、納める厨子の前で法要が行われます。自動搬送式納骨堂など、業者が管理している場合は業者に立ち会ってもらいましょう。
はじめて納骨する遺骨の場合は、そのまま納めても大丈夫なのですが、古いお墓から移動する「改葬」の場合、遺骨が汚れていたり、骨壺の中に水が溜まっていることもあります。納骨前に一旦遺骨を取り出し、洗って乾燥させておくことをお勧めします。これを「洗骨」といいますが、自分たちで行うことが難しいようであれば、業者に依頼することもできます。