【お墓の承継】お墓を継ぐのは誰か?相続の流れと注意点を紹介
お墓の継承者とは?徹底解説
- お墓の継承者は故人指定や裁判所決定で誰でも可能。
- 継承には墓の管理や法要の義務があり、管理費は分割払いも可。
- 血縁関係なく、姓が変わった娘やLGBTカップルも継承者になれる。
- 墓じまい時は専門家に相談し、手続きや遺骨の供養サポートを受けるべき。
親や先祖から受け継いだお墓を、自分の子ども(親戚を含む)に承継したいと望んでいる人は多いです。
しかし、戦前の家督制度の時代と異なり、現在の民法では、お墓の承継は誰でなければならないという決まりはありません。
法律上は、承継者に血縁でないものを含め、誰を指定してもよいことになっています。
また、裁判をしてお墓を継ぐ人を決めることもできますが、現在の墓守(=お墓の面倒を見る人)が指定した人の方が効力としては強いです。
それでは、どのような人がお墓を継ぐのか、お墓を継ぐ(相続)と何をしなければならないのかをこの記事では紹介します。
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この記事の目次
お墓の承継とは維持するための管理を引き継ぐこと
墓地、墓石や仏壇、仏具、家系図など先祖を祀るための財産を祭祀財産(さいしざいさん)と言います。そして、祭祀財産を受け継ぐ人を祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)と呼びます。
祭祀財産は、祭祀承継者が単独で受け継ぐもので、家や土地、預金などの分割できるものとは異なり、相続財産とはなりません。
また、お墓を継ぐとは、管理費の負担や物理的な維持をするために努める責任が発生します。ただし、金銭的な負担は兄弟などで分割することもできるので、家族で取り決めをしておきましょう。
相続財産と祭祀財産
家、土地の不動産や預貯金などの相続財産に対して、墓地、そこに建つ墓石は、仏壇、仏具とともに祭祀財産と言います。
相続財産との違い
まず、祭祀財産は相続税がかかりません。次に、祭祀財産は何人かで分割してというわけにはいかず、承継者は1人となります。
そして、承継することで、お墓や遺骨についての決定を下す権利を持つ一方で、お墓を維持する管理料の支払いなど、先祖を祀る義務も負います。
祭祀財産を受け継ぐ承継者は祭祀主宰者とも言い、相続財産の相続人とは別の人でも構いません。
お墓を承継することで引き継ぐ務め
お墓などを承継すれば権利とともに、管理費を支払ったり、法要などの費用を負担する義務なども追うことになります。
そのことを含めて承継者を決定する必要があります。
お墓を承継することは、次のような務めを引き継ぐことになります。
- 墓地・墓石の管理、維持、墓地の管理料の支払いなど
- 仏壇の管理、自宅に仏壇をおいての毎日のお勤め、僧侶の月参りを受ける
- 先祖の法要を営む
- 寺院墓地の場合、檀家の務め(寺院の行事への参加、寺院維持のための寄進)
お墓を承継したらきちんと管理料を支払う
承継の手続きをすれば、お墓の管理費の請求は承継人に来ることになります。
この管理費はきちんと納めなければなりません。
これを納めなければ、何年か経つと、お墓は無縁墓として使用権が取り消されて、整理されてしまうことになります。
寺院墓地の場合は檀家の務めも果たす
お墓がもし寺院墓地である場合には、檀家としてお墓を所有していることになるのが一般的です。
したがって、お墓の使用権を承継するだけでなく、檀家としての立場も引き継ぐことになります。
ただし、檀家というのは必ずしも法律上、必要な制度ではありませんので、それをやめることは自由です。
お墓は誰が承継するのか?
民法による規定 民法第897条「祭祀供用物の承継」
承継に関しては、民法で次のように規定されています。
第897条系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
このように被相続人の指定があれば、これに従って、その指定された人が承継することになります。
これらで決まらない場合は、最後に、家庭裁判所が承継者を決めることになります。このように、条文では、お墓だけでなく仏壇や位牌なども、同じ人が承継することになります。
承継者は誰でなくてはならないという決まりはない
このように承継者は、誰でなくてはいけないという特別な決まりはありません。
亡くなった人が、お墓を承継する人を指定していた場合、指定された人が承継者となります。
承継者に家族や親族以外の人を指定することもできます。
この指定は、遺言書のようにきちんとした書面でなくてもよく、口頭でも構わないとされています。
祭祀財産を守る祭祀の主宰者にふさわしい人が承継者となり、相続人とは違う人が受け継ぐことも可能です。
ただし、承継者が家族や親族以外の人となる場合には、あらかじめ、自分の家族や承継者に指定される人、承継者に指定される人の家族など周囲の人に了承を得るようにしましょう。
家墓の権利を引き継げるのは誰?
お墓は誰でも引き継ぐことができます。ただし、お墓を代々承継していくことを考えれば、子どもがいる夫婦世帯が望ましいと言えます。
また、長男が独身の場合には、次男夫婦が菩提寺の檀家になることもあります。さらに、女性が承継者になってお墓を守ることも可能です。
親族間でトラブルにならない限りは、誰が承継人、檀家となってお墓を守っても問題ありません。内縁の妻でもお墓の承継は可能です。
今後は、LGBT(レズ・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)のカップルが一緒にお墓に入りたいという人も増えてくるでしょう。こちらに関しても、法的に縛るものはありません。
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お墓を継ぐ人を決める手順
お墓を継ぐ人(承継者)を決めるときは、下記の順番で決めていくとスムーズに進むでしょう。
- 亡くなった人の指定により決める…墓守をしている人が生前に承継者に指定する(口頭でも構いません)、遺言で指定する。
- 指定がない場合は慣習に従って決める…墓守をしていた故人の希望がない場合は、家族や地域の慣習で決める。
- 家庭裁判所の調整・審判で決める…慣習でも決まらない場合は、家庭裁判所の調整や審判で決める。
承継者の指定がない場合は慣習と話し合いで決める
遺言などで特に指示がない場合には、通常、慣習に従って決められます。長男や配偶者が承継するのが一般的です。次男が家を継ぐといった場合などは、家族や親族の話し合いによって、長男や配偶者以外でも承継者になることができます。
娘でも承継できます。
ただし、墓地によっては、男子でなければ承継できないと規定しているところもあります。また、子どものいない家や子どもがあまりに幼い家では、親族が承継する場合もあります。
慣習や話し合いで、承継者が決まらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて決めることになります。調停でも話し合いがつかない場合には、審判に移行します。
墓を継ぐ人に困る場合は、次の順に継承者を考えてみる
家の長男が墓守として承継者になるのが、長年の慣習でした。しかし、現在は少子化の影響もあり、墓を継ぐ人に困るケースもあります。
そんなときは、次の準備に承継者を考えましょう。
①長男以外の子ども、改姓した子ども
長男が遠方にいるなどの場合には、実家近くに住む次男などが継ぐことケースはよくあります。
また、姓の異なる血縁者が墓を承継することも問題ありません。
長男以外の子どもや、結婚して改姓した子どもが継ぐケースは近年非常に増えています。
②兄弟、姉妹、甥、姪など
近くに住んでいて信仰があるなら、子ども以外の親族に生前から墓の管理を依頼しておくのもよいでしょう。
しかし、相手に負担をかけることになるので、相応の御礼は必要でしょう。
③血縁者以外の人
祭祀財産は、血縁関係がなくても承継できます。ただし、のちのちのトラブルに備えて、あらかじめ相手と自分の周囲の了解を得ておきましょう。
また、相手を承継者に指名する旨を、遺言などの書面に残しておきましょう。ただし、墓地によっては、承継者は原則として使用者の親族であることを条件に指定している場合もあります。
墓地による承継者の決まり、使用規則に注意!
法律上は、お墓を受け継ぐのは結婚して姓が違う娘でも、三親等どころかまるっきり赤の他人でも、誰が承継しても構わないお墓ですが、墓地によっては、承継者は血縁者と規定しているところもあります。
また、墓地や霊園の規則で、承継者が親族でない場合には、霊園側の同意を必要とするというような定めがある場合もあります。
これらのような定めは、法的な承継者がある者に対して、その墓地使用の承継を拒絶することは、法的にはできないことになっています。
しかし、墓地側が定めた規則で制限がある場合には、トラブルにならないようにできれば従いたいところです。承継で墓地の規定に引っかかりそうなときには、墓地所有者と話し合って解決策を前もって求めておくことが賢明と言えます。
檀家として寺院墓地を使用している場合、承継者は、檀家としての義務も引き継ぐことになります。そのため、他宗派の人が承継者になることは難しいです。
墓地の使用規定を確認して、疑問点は早めに解決しておくことが大切です。
お墓は結婚・改姓した娘でも承継可能
結婚した娘でも、実家のお墓の承継は可能です。
ただ、姓の違いや宗派の違い、菩提寺との関係などが問題になることもあります。墓地の管理者に確認しましょう。
実家の墓を承継した場合、改葬して、姓が2つ刻まれた両家墓を建立するのも一つの方法です。名号や題目、好きな言葉などを刻む方法もあります。また、敷地に2基の墓石を並べて立てるというかたちもあります。
お墓の承継を放棄することはできる?
お墓を承継したからといって、これを維持する責任があるわけではなく、放棄をすることもできます。その場合、縁故者の中に承継者を求めて、関係者の話し合いで承継してもらうようにしましょう。
話し合いで承継者を決めることは、法律の条文にはないことですが、これも慣習で認められたことにして、合法的な承継者とできるでしょう。
他の身内に承継させることはできる?
お墓の承継者は、被相続人の指定が最優先となります。また、慣習上、承継人であることが明らかな場合や、家庭裁判所が承継人に指定した場合などは、本人が承諾するしないに関係なく、その人が承継人となります。
しかし、承継者になった人が、そのお墓をさらに誰かに承継させることは自由です。
祭祀財産を分割して承継することはできる?
民法では、祖先の祭祀の主宰者はお墓だけでなく、系譜や祭具も承継することになっています。
ただ、これを分割して承継してはいけないというわけではありません。
仏壇や位牌をAさんが承継し、お墓のほうはBさんが承継するということができます。
このことは、法律の条文にあるわけではありませんが、解釈として問題ないとされています。
お墓や祭具を承継したとしても、何の負担も伴わないというのが法律の考え方です。
しかし、実際には、お墓を承継すれば、慣習に従って法要を営むことになります。
寺院墓地の場合には、お墓の承継者は、お寺の檀家となり、お寺を維持するための負担も生じます。
また、位牌や仏壇を承継すれば、慣習に従って、法要を営むことになります。
お墓の相続に関する詳しい内容は、 「お墓の相続でもめないために知っておきたい7つのポイント」の記事でもご覧いただけます。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
祭祀財産は、単独で承継されことを原則としています。法律上、祭祀主宰者の人数を制限する定めはありませんが、祭祀財産を複数人で分けてしまうと、誰が責任を持つか明確でなくなりトラブルになるからです。ただし、お墓の権利の分割承継や共同承継がすべて認められないわけではありません。過去に家庭裁判所の判断により、分割承継や共同承継が認められた判例もありすが、あくまで例外と考えた方が良いでしょう。祭祀主宰者として指定された人は、承諾するしないにかかわらず、法律上は当然に祭祀財産を承継します。しかしどのように承継するかは自由です。「自分の代で墓じまいをする」という決断も承継者の判断で可能になってくるわけです。
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