お墓参りの基本や作法を紹介!ご先祖様に会いに行こう
お墓参りとは?徹底解説
- 故人に挨拶するためにお墓参りを行う
- 命日やお盆、お彼岸にお墓参りするのが一般的
- 日中に霊園の開園時間内でお墓参りをする
- 服装は控えめにし、お墓参りのマナーを守る
少しずつ寒さが緩み、春らしい日が続くようになってきました。
春といえば進学や引越し・転職などで環境が変わり、忙しくなる人が多いのではないでしょうか。
そんな多忙な時期でも、人生の節目を迎える人におすすめしたいのが「お墓参り」です。
ご先祖様へ挨拶することで、新しい環境でも見守ってくれているような安心感が得られるかもしれません。
この記事では、以上のような疑問をお持ちの人のために、
お墓参りの目的やふさわしい「時期」「持ち物」「作法」「服装」についてまとめました。
「持ち物」や「作法」などは、いつでも気になったときに読み返せる状態にしておくのをおすすめします。
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お墓参りの目的は、故人の家を訪問し挨拶すること
お墓参りの目的は、故人に挨拶をしに行くことです。
お墓は、いわば故人の家です。
お花やお供物という「手土産」を持って訪ねていくと考えれば、わかりやすいのではないでしょうか。
ただ、先祖へのお墓参りと、知人のお墓参りでは、若干目的が異なってきます。
それぞれ次の章で解説していきます。
先祖へのお墓参りは年長者への挨拶と感謝
お墓参りを、故人の家へ訪ねる行為ととらえると、 「顔も知らないご先祖の家に遊びに行くの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。先祖は、自分を土地へとつなげてくれた人たちです。尊敬すべき目上の人ととらえましょう。
お世話になっている年長者には、お中元やお歳暮を贈ったり、年始の挨拶に伺ったりしますよね。先祖へのお墓参りは、目上の人に対するのと同じように、節目の挨拶に行くということなのです。
また、私たちが日々平穏無事で生きていられるのは、先祖がいつも見守ってくれているからであるという考え方もあります。そんな先祖に対し、お墓参りで常日頃の感謝の気持ちを込め、お線香や花、お菓子などのお供え物をして、墓前で手を合わるのです。
その感謝の気持ちを込めて、お墓参りの際には、お墓の掃除をするように心がけましょう。墓石は屋外に建っており、長い間風雨にさらされています。御影石など硬くて丈夫な石で作られているとはいえ、経年劣化は避けられません。
すこしでも長持ちできるように、お墓参りをするたびに、簡単な汚れを落としたり、磨いてあげたりしてあげるだけでも、格段にその効果は違います。また足元の草むしりもマメに行います。
お墓がきれいになると、すっきりと自分の気持ちも軽くなるというものです。
知人のお墓参りは家への訪問
友人・知人のお墓参りは、「家へ訪ねていく」という表現がぴったりです。
生前、その人の家におじゃましていたのと同じような意味合いと考えていいのです。
友人宅にお邪魔するととらえれば、だいぶ気楽にお墓参りができるのではないでしょうか。
そういう意味では、お墓ならお留守になることはありませんし、いつでも会いにいくことができます。
そして歴史的な有名人などにも、気軽に会いにいくことができるのです。高野山や都立霊園などに行けば、大勢の有名人が眠っています。こうなると観光気分でお墓巡りができます。昨今では、有名人のお墓参りを目的としている人たちのことを「墓マイラー」と呼ぶこともあります。
それでも、その人の生きた時代や、作品などに思いを馳せながら、墓前に手を合わせて、自分の思いを伝えてみるのもいいものです。
以上、ここまではお墓参りの目的について解説しました。
お墓という「家」から出られない故人のために、出向いて挨拶しに行くのがお墓参りです。
次は、お墓参りにふさわしい時期について解説していきます。
お墓参りにふさわしい時期は命日・お盆・お彼岸など
お墓参りにふさわしい時期は、命日・お盆・お彼岸などです。
他、人生の節目などもふさわしいとされます。下記一覧にしてみました。
お墓参りにふさわしい時期 | 詳しい日にちなど |
---|---|
祥月命日 | 故人が亡くなった月日 |
お盆 | 8月13日~16日 (東京の一部は7月3日~16日) |
春のお彼岸 | 春分の日を中日とした1週間 |
秋のお彼岸 | 秋分の日を中日とした1週間 |
自分の人生の節目 (進学、成人、就職、結婚、出産など) | 入学式、成人式、入社式、結婚式などの前後 |
お正月 | 1月1日~3日 (神社への初詣の前は避ける。神道の神様は死の穢れを嫌うため。※諸説あります。) |
このように、お墓参りにふさわしい日はありますが、季節の行事や人生の節目などによってたくさんありますが、お墓参りをしてはいけない日というものはありません。ただしお正月には、新年のあいさつをしておきたいところですが、初詣の前には行かないというタブーがあります。それさえ守れば、いつでもお墓参りができるのです。
(※神道の考えに沿った場合です。その他、諸説あります。)
できれば大晦日までに行って、一年分の汚れを落とすためにしっかりと掃除をしておくことも大切でしょう。
つまり大げさに言えば、毎日お墓参りをしてもかまわないということです。しかし、基本的には、今住んでいる場所から遠いなどという、それぞれの事情によって、年間の行事に合わせて行うことが一般的となっています。
しかしできれば、お墓の手入れなども考えると、故人の月命日などの月参りをして、月に一度はお墓参りすることをおススメします。
お盆期間のお墓参りについて
お盆の正式名称は「盂蘭盆」(うらぼん)といいます。インドの古代語であるサンスクリット語では「ウラバンナ」といい、これを漢訳にすると「倒懸」(とうけん)といいます。これは「逆さに吊るされたような苦しみ」といった意味があり、その苦しみから救うために行われていた仏事が盂蘭盆の起源です。
日本では推古天皇が寺ごとに七月十五日に斎会(仏事の際に僧尼に食べ物を供養するための会)を設けたことが盂蘭盆会のはじまりとされています。中世以降、これに施餓鬼供養が加えられて、今の形に繋がっていきました。
現在は13日に迎え火を焚いて先祖の魂をお迎えし、精霊棚を設けてお祭りします。そして16日に送り火を焚いて先祖の魂を送り出します。
お彼岸期間のお墓参りについて
お彼岸には先祖のお墓参りをすることでよく知られた行事ですが、仏教の行事でありながら、インドや中国にはみられない、日本特有のものなのです。
仏教でいう「彼岸」というのは、煩悩から解放された悟りの境地のことを指していいます。この仏教の教えが日本古来より存在した祖先崇拝と結びついたものだと考えられています。
春のお彼岸の中日である春分の日はちょうど季節の変わり目にあたります。太陽が真西に沈むこの日に、日本人たちは西方のかなたにある極楽浄土にいる先祖の姿を思い偲んでいたのでしょうか。
ただ、お墓参りに向かない時間帯はあります。次章で詳しく説明します。
お墓参りの時間帯は日中がふさわしい
お墓参りは、なるべく日の出ている時間帯に行きましょう。
ただし、霊園によっては事情が異なります。順を追って解説しますので、確認してください。
霊園や納骨堂は開園時間をチェック
自由に出入りできる霊園と、そうではない霊園があります。
開園時間がはっきり定められている霊園は、時間外のお墓参りができません。
なお、納骨堂においては、開館時間が定められているところがほとんどです。
霊園や納骨堂へ直接問い合わせをするか、ホームページなどで詳しくチェックしましょう。
開園時間が決まっていなくとも夜は控えたい
開園時間が定められていない霊園には、暗くなってからのお墓参りは避けましょう。
照明が完備されている霊園が少なく、足元がおぼつかなくなってしまうためです。
また、お寺の裏などにある墓地へ、夜間に懐中電灯を持って出入りすると、 「不審者ではないだろうか?」などと、お寺の家族を不安にさせてしまう原因になります。
以上、お墓参りの時間帯について注意すべき点をお伝えしました。日中がベストと覚えておけば、間違いはありません。
また混雑すると思われる、お盆やお彼岸などには、朝早くお参りするのもおススメです。朝早くだと意外とお参りする人も少なく、駐車場を探してウロウロしなくても済みます。また空気のきれいな朝は、清々しく気持ちのいいものです。
さらに詳しくお墓参りへ行くタイミングについて知りたい人は、『お墓参りにはいつ行くの?疑問を解消する葬祭マナー』を参考にしてください。
次章では、お墓参りのときの服装や持ち物、作法についてお伝えします。
お墓参りの服装・持ち物・作法のマナー
この章では、お墓参りのマナーについて一挙にご紹介します。
リストアップ形式になっているので、思い立ったときにパッと確認するだけで、必要なものを準備できます。
ぜひ保存版として活用してください。
お墓参りの服装は控え目を心がける
お墓参りの服装は、控え目を心がけましょう。
法要のときのお墓参りであれば礼服ですが、それ以外だとどんな服装にするか迷いますよね。
上着から小物まで、ふさわしいものとタブーなものを表にしてまとめました。
服のアイテム | お墓参りにふさわしいもの | タブーなもの |
---|---|---|
ジャケット・コート | 黒・紺・グレー・茶など暗めの色 シンプルなデザイン 汚れに強い素材や丈の短いもの (お墓掃除のときしゃがみこんだりするため) | 赤や黄色など原色の派手な色 毛皮やヒョウ柄など、殺生を思い起こさせる素材やデザイン 汚したくない高級素材やロングコート |
帽子・マフラー・手袋 | 黒・紺・グレー・茶・白などの単色でシンプルなデザイン ※墓前では帽子をとること | 赤や黄色など原色の派手な色 毛皮やヒョウ柄など、殺生を思い起こさせる素材やデザイン |
バッグ | 黒・紺・グレー・茶などの単色でシンプルなデザイン 汚れに強い素材や、汚れても構わないビニールバッグなど | 派手な色味や個性の強いデザイン ファー、レザーなど殺生を思い起こさせる素材 |
靴 | 黒・紺・グレー・茶など暗めの色 シンプルなデザイン 汚れてもかまわないスニーカーなど 歩きやすいフラットシューズ | 派手な色味や個性の強いデザイン 汚したくないもの ヒールの高いパンプスやブーツ |
トップス | 黒・紺・グレー・茶など暗めの色 シンプルなデザイン 胸元の開きすぎていないもの 袖のあるもの (なるべく肌を見せない) | 派手な色味や個性の強いデザイン ヒョウ柄など殺生を思い起こさせるもの 胸元が大きく開いたもの ノースリーブ |
ボトムス | 黒・紺・グレー・茶など暗めの色 丈の長いズボン (なるべく肌を見せない) | 派手な色味のもの 革パンなど殺生を思い起こさせるもの ショートパンツ ミニスカート |
髪型 | 奇抜でなければそのままでOK 派手な髪色は帽子をかぶる ※墓前では帽子をとること |
ふさわしい服装にも、例外はあります。
例えば、「成人式の晴れ姿を、亡き親族に見せたい」と願うとき、 きらびやかな振り袖姿でお墓に出向くことは、何らタブーとなるものではありません。
ただ、服の汚れに気をつけたり、足元を草履から歩きやすい靴に履き替えたりなどの配慮が必要です。
お墓参りの服装については、『お墓参りの服装は節度が大切!押さえておきたいポイントを紹介』の記事でも詳しく紹介しています。
お墓参りの持ち物リスト
お墓参りの持ち物リストは以下の通りです。
★マークのものは、霊園に常備されているものもありますので、確認しておくと荷物を減らすことができます。
納骨堂の場合は掃除用品を持参する必要がありません。
また、消防上の理由で線香をあげられない納骨堂もあります。事前に確認しておきましょう。
お墓参りの持ち物 | 詳細 |
---|---|
線香★ | ひと束あれば大人数でも間に合う 湿気ていないか注意 |
ろうそく★ | ミニサイズを1~2本 湿気ていないか注意 |
マッチ、ライター、チャッカマンなど火気★ | 風の強い日でも楽につけられるチャッカマンが便利 |
仏花 | 菊などを中心とした細めの花束を1対(2束) 霊園近くに花屋があり、調達できる場合がある |
供物 | 果物・菓子など故人の好きだったもの 持ち帰りやすいものを選ぶ |
湯呑 | 水やお茶をお供えするためのもの |
茶葉を入れた急須 | 水ではなくお茶をあげたいときに |
ビニール袋 | 使い終わったろうそくや供物を入れて持ち帰るためのビニール袋 |
数珠 | お葬式や法事で使う数珠と同じもの あるいは簡素な一連の数珠 |
手桶★ | 掃除のため水を溜める桶 |
ひしゃく★ | 手桶から水を汲み、お墓などにかけるためのひしゃく |
ペットボトル | 手桶やひしゃくのかわりに水を携帯できて便利 |
雑巾かスポンジ | 墓石を拭き掃除する たわしは傷がつくのでNG |
歯ブラシ | 線香立ての掃除をするのに便利 |
ほうき★ | 墓前を掃き清める |
ちりとり★ | |
植木ばさみ | 素手での草抜きでは間に合わないとき用 |
軍手 | 素手での草抜きでは間に合わないとき用 |
植木ばさみ | 草抜き時に必要 |
ゴム手袋 | 拭き掃除にあると便利 |
虫よけスプレー | 夏場あると便利 |
ホッカイロ | 冬場は欠かせない |
掃除用品が意外にかさばることがおわかりでしょうか。
複数でお墓参りに出向くときには、持ち物を分担すると負担が軽減されますのでおすすめです。
お墓参りの作法
お墓参りの作法は、「掃除」「お供え」「お参り」の3つの流れで覚えておけば簡単です。
作法の流れを表にまとめました。
流れ | 作法 | 詳細 |
---|---|---|
ご挨拶 | 合掌 | 合掌しながら心の中で「お墓参りに来ましたよ」と挨拶する |
掃除 | 草抜き | お墓の周りに生えている草を抜く、剪定ばさみで手入れをする |
掃き掃除 | 敷地内の枯葉などをほうきで掃く | |
拭き掃除 | 墓石を雑巾やスポンジで水拭きする | |
付属品の手洗い | 花立てや線香立てなど、取り外しできる付属品を手洗いする | |
お供え | 仏花を供える | 花立てに水を入れ、仏花を供える |
水を供える | 湯呑に水やお茶を入れて供える | |
供物を供える | 供物台に供物を供える | |
お参り | 線香に火をつける | ひと束全てに一度に火をつけ、配ると早い |
線香を立てる | 血縁の濃い人から順に立てる | |
数珠を持って合掌する | やや頭を下げて祈る | |
帰り支度 | ろうそく、供物を下げる | ビニール袋に供物やろうそくなど持ち帰るものを入れる |
お墓参りをした後は、供物を持ち帰ることがマナーとされています。
霊園内をカラスや猫がうろつく原因になってしまうためです。
霊園を訪れる全ての人が気持ちよくお墓参りできるよう、供物は必ず持ち帰りましょう。
マナーについては、『お墓参りのマナーを詳細解説!時期や頻度などの疑問を解消』という記事でより詳しく紹介していますので、気になる人は読んでみてください。
まとめ
以上、お墓参りの目的やふさわしい時期、服装、持ち物、作法などのマナーについてお伝えしました。
安心してお墓参りを行うために、お役に立てたなら幸いです。
準備を万端にすれば、故人を想い、冥福を祈ることに集中できるのではないでしょうか。
故人を偲ぶ気持ちを一番大事にして、お墓参りに臨みましょう。
また、どうしてもお墓参りに行けない事情はあるけれど現在のお墓の状況が気になるという場合もあるかと思います。
その際は、最近増えつつある「お墓参り代行サービス」の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
お墓参りの代行については、『お墓参りの代行は業者にお願いできる!サービス内容やメリットを紹介』で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
あるデータによると、お墓参りに行く回数の平均はだいたい年に2回くらいだそうです。県民性としてお墓参りに行く回数が多いのは、鹿児島県だとか。鹿児島県は切り花の購入額が日本一で、たしかに鹿児島のお墓を見てみると、心なしか花が多いようにも感じます。
その鹿児島では墓前にお供えする花のひとつに、ミノハナ(ミバナ)と呼ばれる花があります。一般にはアオモジといわれ、九州でよくみられる樹木で、年末から2月ごろにかけてよく見かける花です。アオモジは長文字して、つぼみから開花まで長く楽しめ、芳香も豊かであることから、墓前にお供えする花として親しまれていたのでしょう。