当てはまる人は要注意!老後破産が起こる5つの原因と対処法を紹介
老後破産は誰でも起こりうるもので、現在社会問題にもなっています。
老後破産は低所得者の人がなるわけではなく、現役時代に一定の年収があった人でも陥ってしまう問題です。老後破産は低所得者の人がなるわけではなく、一定の年収がある人でも陥ってしまう問題です。
年収が高い・貯蓄が多いからと楽観的な気持ちでいると老後破産のリスクが高まってしまいます。
実は老後破産に陥る原因に特徴があり、その多くは予測できるものばかりです。この記事では、老後破産に陥る5つの原因と解決方法をそれぞれ紹介します。
今から注意しよう!老後破産の5つの原因
老後破産の主な原因は5つあります。
- 生活水準を落とせない
- 住宅ローンが残っている
- 医療・介護費の増加
- 子供の教育費等の費用
- 年金額の不足
老後破産の5つの原因についてひとつずつ解説します。
生活水準を落とせない
老後破産に多い原因の1つ目は、「生活水準を落とせない」です。
定年退職を迎えると年金生活になり、収入が多い現役時代と違って一気に収入が減少してしまいます。
老後の生活のベースになっているものは、年金や退職金そして現役時代からの貯蓄です。多くの人が現役時代の年収から比べると少ない額となってしまうのではないでしょうか。お金がないにも関わらず、現役時代の生活水準を定年退職後も続けてしまえば、すぐに老後破産に陥ってしまいます。
そのため自分の生活水準を見つめ直す必要があります。
しかし、簡単に現役時代の生活水準は下げられるものではありません。それどころか我慢を強いられることによってストレスが溜まってしまう可能性もあります。徐々に無理のない範囲で生活水準を落としてそれを継続し習慣化していくことができれば、今度はその生活水準が自分達にとっての基準となります。
そのように徐々に生活水準を落として老後生活を迎えることができれば比較的ストレスも少なく老後を迎えることができます。
住宅ローンが残っている
老後破産に多い原因の2つ目は、「住宅ローンが残っている」ことです。
20代から30代にかけて住宅を購入し、35年等の長期住宅ローンを組んでいる場合です。
加えて、晩婚化によって住宅購入する年齢が上がっているため、定年退職を迎えた後に住宅ローンが残ってしまうことがあります。
その影響で、老後の生活費に充てようと考えていた退職金や老後の貯蓄を住宅ローンの返済に充てることになり、老後破産に陥ってしまいます。
住宅ローンは35年ローンが多いですが、借り換えを繰返して定年前に終わらせる場合や退職金を住宅ローンの残債に充てる場合もあります。住宅ローンを返済するために貯蓄を減らしてボーナス月に返済額を増やす方法を取ることがありますが、もしボーナスが安定しない場合に返済額だけが増えることになります。またボーナスを住宅ローンの返済に充てることで老後の貯蓄や子供の教育費等に充てることができなくなるためおすすめできるものではありません。
定年までに住宅ローンが残らないよう計画的に返済していきましょう。
住宅ローンの返済が終わっていたとしても、固定資産税やリフォーム代、マンションであれば管理費や修繕積立金等の費用が発生します。これは定年後も発生する費用ですので覚えておくと良いでしょう。
医療・介護費の増加
老後破産に多い原因の3つ目は、「医療・介護費の増加」です。
60代の医療費負担は現役時代と同じ3割負担です。70歳以降で2割負担そして後期高齢者と言われる75歳になると1割負担となります。医療費負担の割合は年齢を重ねていく毎に低くなるものの、病気になるリスクは高くなります。
とくに大きな病気になってしまった場合、公的保険だけでは補助しきれないこともあります。そのため自己負担する医療費が増加してしまいます。
また大病した後に介護状態になることもあり、その場合介護費用も発生します。介護保険は、介護状態に応じて給付限度額が異なります。介護状態には、要支援1、要支援2、要介護1~5まであり、介護度が高くなると給付限度額は高くなりますが、必要な介護費用も増えます。そのため介護保険だけで介護費用を補助することが難しく、年金や貯蓄から費用を出すことが多くなります。
このように医療費や介護費の増加によって老後破産に陥ってしまいます。
生命保険には、医療保険や介護保険がありますが、現役時代に加入してそこまで必要性を感じないこともあったと思います。しかし高齢になるとお世話になる機会も多くなるでしょう。
医療費や介護費をかけない方法は、何より健康でいることです。現役時代から健康に気を配ることができれば、医療にお世話となることも少なくなります。
子供の教育の費用
老後破産に多い原因の4つ目は、「子供の教育等の費用」です。
子供の教育費は、人生における三大費用の1つと言われ、住宅購入費に次いで2番目に費用がかかります。
幼稚園から大学までの平均的な費用は文部科学省の統計よれば1人あたり「公立:幼稚園から大学」約900万円、「私立:幼稚園から大学」約2,300万円です。
教育費を貯めるためには、貯蓄性のある金融商品で準備すると良いでしょう。代表的なものに学資保険があります。
2種類の学資保険
- 貯蓄型
- 保証型
学資保険の貯蓄型は、月々の払込保険料を貯めることで、支払った保険料よりも受け取ることができる金額が高いことが特徴です。
保障型は、月々の払込保険料を貯めていくことに加え死亡保障がついています。また商品によっては、医療保障がついているため受け取れる金額は払込保険料より低い場合もあります。
例として、大学の費用のうち入学費あるいは4年間の学費に充てる費用なのかをあらかじめ考えたうえで加入した方が良いでしょう。すでに加入しているとすれば学資保険は何に充てる費用なのかを把握することが大切です。
もし学資保険を入学費と1年間の学費に充てるとしたら、その後3年間の学費をどのように賄うのかを考える必要があります。
このように計画を立てるには貯蓄している費用は何に充てる費用なのか、学資保険であれば教育費のどこの部分に充てるのかを明確にすると良いでしょう。
「平成30年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
年金額の不足
老後破産に多い原因の5つ目は、「年金額の不足」です。
老後生活に関して金融庁から「老後の2,000万円問題」が報道されました。
これは老後の収入を年金のみとした場合で20~30年間の老後を生きるために必要な金額として算出されました。つまり年金額だけで生活することは難しいことを表します。
そのため老後を年金額だけを頼りに生活していくとすれば老後破産に陥ることになります。
また国民年金の受給金額は少なくなっており、厚生年金に加入しているかによって老後の受給額が変わります。
老後に最低限かかる生活費の月額平均は22.1万円かかるという統計情報があり、ゆとりある日常生活を送る場合は36.1万円かかるとされています。(*2)
これを1つの基準に今では「ねんきん定期便」で受給金額も算出することができるため、その足りない分を貯蓄やその他の方法で賄うことが必要となります。
*2:「令和元年度「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)」
老後資金について詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
実例!老後破産した人の原因
ここで老後破産した人の原因を見ていきましょう。
<1例目>
Aさん 年齢は79歳
家族構成は5年前に妻を亡くしており、息子はすでに結婚して別に所帯を持っているため一人暮らしとなります。
老後破産の原因は、介護保険に加入しておらず、医療費と介護費を年金だけで賄いきれなくなてしまったことです。
Aさんは月12万円の年金で生活しており、貯蓄は妻の医療費と介護費によって無くなりぎりぎりの生活をしています。息子は所帯を持っていて、子供もいるため迷惑をかけまいとお金がないと言えない状態です。
結果、老後破産に陥ってしまいした。
<2例目>
Bさん 年齢は73歳
妻は病気で3年前に亡くなった。息子が仕事によってうつ病になってしまい、現在同居しています。
Bさんが老後破産した原因は、住宅ローンの残債・体調不良による無職です。あまり知られていないことですが、住宅ローンを組んでいる状態では生活保護が受けることができません。
夫は60歳の定年退職後70歳まで再雇用や他のアルバイトをしていました。しかし3年前に妻が病気で亡くなったことで自分も病気になってしまい、アルバイトができなくなってしまいました。年金はもらっているもののアルバイトができなくなったことで住宅ローンの返済金額や息子の生活費を入れると常に赤字です。
結果、老後破産しました。
老後破産の原因や対処法について詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧ください。
今から準備!老後破産しないためにできること
老後破産しないためにできることを5つご紹介します。
- 家計の収入と支出を見直す
- 健康に気を付けて生活する
- 老後のために貯金を増やす
- 老後の働き方について考える
- 受給する年金額を増やす
これら5つの方法は、現役時代から準備しておくことが大切です。そしてその方法は、長期的に時間をかけて行うものが多いです。
また老後破産を解決する方法によっては家族で解決できないことも出てくると思います。その時は、自分達だけで考えるだけではなくお金のプロに相談することをおすすめします。
家計の収入と支出を見直す
現在の家計の収入と支出がどのような状態にあるのかを把握することが大切です。
同時に長期的な視野で家計の収支を見ることも必要となります。家計の収支を見る場合、実際に紙に記載してみると良いでしょう。そこでどのような項目があるのか無駄使いしているものがあるのかを把握できるようになります。
収入面では、現在の収入はどこからあるのかを全て洗い出し収入額を確認しましょう。支出面でいえば、家計の支出を固定費(住宅ローンなど)と流動費(食費・光熱費・冠婚葬祭費用など)で分けて算出すると良いでしょう。
固定費は年間を通してさほど上限するものではありませんが、流動費は上限することもあれば抑えることもできます。
この固定費と流動費はそれぞれ見直すことが可能です。
まず固定費でいえば、住宅ローンは金利が安いものに借り換えを行うことで住宅ローンの圧縮につながります。その他日々の光熱費はそれぞれ節約することや、通信費でいえば、加入しているプランの変更によって抑えることができます
流動費は、普段の無駄な出費を減らしたり、外食が多ければ回数を減らす等の方法があります。
長期的な視野で家計の収支を見るためには老後のライフプランを考えておくと良いでしょう。
例として、最低日常生活費として22.1万円をベースに計算をしてみます。(*2)
厚生年金と国民年金の受給者平均月額は平成30年度末現在それぞれ、約14.6万円と約5.6万円です。(*3)
例として、サラリーマンの夫65歳、専業主婦の妻65歳でライフプランの見直しを紹介します。
老後のライフプラン
収入
厚生年金(国民年金含む)で14.6万円、国民年金で5.6万円
14.6+5.6=20.2万円
これが老後に入る夫婦の年金収入です。
支出
22.1万円
これは日常生活費としての支出です。
収支
20.2万円-22.1万円=-1.9万円
ここで1.9万円が足りないことになります。
これをどのように準備するのか考える必要が出てきました。
仮に65歳から85歳までの20年間、月々に1.9万円の不足が続くと考えた場合
1.9万円×12ヶ月×20年=456万円
この456万円の準備方法として5つの方法を紹介します。
- 退職金
- 財形年金貯蓄
- 積立NISA
- 確定拠出年金
- 銀行預金
現在の家計の収支を見直して老後の生活費のために銀行などで貯蓄・投資で賄うようにします。
大切なのは今から家計の収支を見直して、老後のライフプランを立て、どのくらい必要なのかそして家族でどのくらいあれば楽しく生活できるのかを考えることが大切です。
生命保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)」
厚生労働省年金局「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
健康に気を付けて生活する
老後破産しないためには、何より健康でいることです。
健康でいるためには、運動や食事のバランスを整えることを習慣化することが重要となります。
例えば、毎朝走ったり、通勤方法を自転車屋徒歩に変えるといった方法があります。とくに運動や食事のバランスを習慣化することができれば健康でいられる可能性も高くなり、医療費や介護費を抑えることができます。
過度なストレスも病気になる原因です。ストレスを溜めないようにリラックスした環境に身を置いて無理せず休むことが大切となります。
老後のために貯金を増やす
老後のために貯金を増やすには、銀行に貯蓄する以外の方法もあります。ここでは財形貯蓄制度と積立NISAについて紹介します。
財形貯蓄制度は、勤務先の給与から毎月一定の金額を積立てる任意加入の貯蓄制度です。財形貯蓄制度には、住宅購入等の財形住宅貯蓄、年金準備のための財形年金貯蓄そして自由用途の一般財形貯蓄の3種類があります。
財形貯蓄制度の中で財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、その合計の元金550万円までの利子が非課税となります。もし目的外で利用すれば5年間に遡って利子が課税されます。
老後の貯蓄を目的として毎月給与天引きで貯蓄できるため、お金のやりくりがしやすいです。
積立NISAは、少額の長期・積立・分散投資を支援する少額投資非課税制度で、2018年1月から始まりました。
1年間の新規投資額のうち40万円分が非課税となり、最長期間は20年間です。つまり非課税投資枠が20年間で最大800万円となります。積立NISAは、NISAの中でも少額で投資できることと非課税枠を長期間利用することができます。
通常NISAの非課税枠期間は5年間であることから、これから投資を始める人におすすめといえます。またNISAは積立とはいえ投資となりますので、元本保証がありません。その点は注意が必要です。
財形貯蓄制度と積立NISAを紹介しました。
財形貯蓄制度は、目的に沿って貯蓄するものに対して元金550万円までの利子分が非課税として利用できるのが特徴です。
そして積立NISAは1年間の非課税投資枠が40万円そして最長期間が20年間となるため非課税として利用できる金額も高くなるのが特徴です。しかし元本保証がない点は注意です。
このように老後のための貯金を増やす方法があります。老後には年金だけではなく多くの貯蓄を組み合わせると良いでしょう。
老後の働き方について考える
現在、老後の働き方が変わりつつあります。これまでは、60歳を定年と規定した企業が多く、そこで定年退職を迎えることが当たり前でした。
しかし今では、定年退職後も働く人が増えています。それは高年齢者雇用安定法の改正によって、65歳までの安定した雇用を確保する措置から定年年齢が引上げられました。
定年退職後も働く人が増えた理由は、年金の受給が65歳になっているためです。今後、年金受給の年齢がさらに引上げられる可能性もあります。今までの60歳が定年という考え方が、さらに改められていくことになりそうです。
そして年金だけでは老後生活費が足りないことから年金受給後の65歳以上もパートタイムやアルバイト等で働く人が増えています。
年金受給するまでに働くことがなく老後生活を過ごすことができるだけの貯蓄があれば問題ありません。しかし今では65歳以上に働いている人もいれば企業としても雇用確保している企業もあるため働き方が変わってきているといえます。
受給する年金額を増やす
受給する年金額を増やす方法があります。
それは確定拠出年金です。それぞれ個人型と企業型に分かれます。
まず個人や個人事業主であれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)があります。
iDeCoは、個人型の確定拠出年金で、毎月の拠出する金額が確定している制度です。毎月の拠出できる金額が業種によって異なります。
拠出金額を決めたらその拠出した金額に応じて自身でどの商品で運用していくかを決める必要があります。そして給付は原則として60歳以降に受け取ることができます。
企業においては企業型確定拠出年金があります。毎月の拠出できる金額が異なります。
企業型確定拠出年金があり、厚生年金基金等がある場合、月額2.75万円
企業型確定拠出年金のみの場合、月額5.5万円
これは企業側が拠出する金額を負担しますが、実際の運用は自身で決めることができます。
どちらの確定拠出年金に対して言えることですが、運用によっては拠出した金額より下回ることもあれば上回ることもあります。その成果によって将来受け取ることができる年金額が変動します。
商品にはリスクを取って運用益が高いものやリスクが低く運用益も低い等あり、それらを組み合わせて運用していくことになります。拠出金のほか、運用手数料が毎月かかってきます。
確定拠出年金には、3つの税制優遇があります。
- 拠出した掛金の全額が所得控除の対象
- 運用益が全額非課税
- 年金として受け取る場合には、雑所得として公的年金等控除が受けられます。
そして一時金で受け取る場合には、退職所得控除を受けることができます。
このように税制優遇されるためメリットが高いです。
どうしても解決しない時はお金のプロへ相談
老後破産をどのように解決していけばいいかわからない場合、お金のプロへ相談することをおすすめします。
お金のプロとは、ファイナンシャルプランナーになりますが、家族のライフプランや老後のライフプラン等様々なお金のことに関して解決策を提示してくれます。
自身で調べてわからなかったことやそもそも何を調べていいのかがわからないといった場合、相談することで悩みの解決に繋がることや時間の短縮にもなります。
人は一人一人に個性があるのと同様に年齢や家族構成、どのような老後を送りたいかといったことも人それぞれです。そのためお金のプロも一人一人に親身になって相談してくれます。
ときには人に頼ることも大切です。
わからないことや悩みがあればぜひお金のプロへ相談してみて下さい。
まとめ
老後破産は放っておけば誰でも起こりうる可能性があり、今や社会問題になっています。
まず老後破産の原因として次の5つを一つずつ紹介しました。
- 生活水準を落とせない
- 住宅ローンが残っている
- 医療・介護費の増加
- 子供の教育費等の費用
- 年金額の不足
老後破産は単純に低所得者だからなるわけではありません。現役時代に一定の年収がある人達も陥ることがあります。
それは将来の老後に対して楽観的にいるからこそ起こりうることです。
その対処方法として5つを紹介しました。
- 家計の収入と支出を見直す
- 健康に気を付けて生活する
- 老後のために貯金を増やす
- 老後の働き方について考える
- 受給する年金額を増やす
しかしどうしても自分達家族だけで解決できないと思った時には、お金のプロに相談すると解決に繋がると思いますので、ぜひ考えてみてください。
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