「終活」とは人生を充実させる活動!4つの取り組みを紹介
「終活」という言葉が、あちらこちらで日常的に使われるようになりました。
「高齢者=終活」というようなイメージも広がっています。
その一方で、「終活って何をするのか、漠然としていてよくわからない」という声があるのも事実です。
また「まだまだ元気だから、そんな死ぬときのことは考えたくない」という高齢者の方の意見もあります。そう思われている方が大半ではないでしょうか。
だけど、終活をしている人たちからは、より自分の人生が充実してきたという声を聞くことが多いです。
この記事でわかること
- 終活とは何か
- 終活を行うことで得られる良いこと
- 終活として取り組まれていることのまとめ
この記事では、言葉の意味が先行してしまっている「終活」の真の姿を解き明かしていきます。
この記事の目次
終活とは~自分らしく生きる・輝く~
そもそも終活とは「自分の最期の時に向かって、もっと自己主張してもいいのではないか」という、新しい価値観の提唱だったのです。
このことに驚かれた人は、結構多いのではないでしょうか。
なぜなら昨今では、その説明を飛ばされることが増えているためです。「自分の死に備えて身辺整理をしましょう」という説明から入ることが、一般的になってしまっています。
それは専門家の方たちが、終活についてご自分の専門分野からの話をすることが多いからです。どうしても専門分野に絞った話し方になるので、すぐに身辺整理…となってしまうのです。
だからこそ、冒頭にご紹介したような「死ぬときのことは考えたくない」という思いが強くなって、終活に拒否反応を示す方がいらっしゃるようです。自分の死に備えた身辺整理というのは、確かに「終活」です。
そのこと自体は間違いではないのです。しかし、「死に備えた身辺整理」はあくまでも「終活」の一部分に過ぎません。
「終活」という言葉は雑誌の記事から生まれた
終活という言葉が生まれたとき、それは個性の輝きに対する驚きと称賛だったのです。「終活」という言葉が、雑誌の記事タイトルに初めて登場したのが2009年と言われています。
その雑誌の記事の内容は、個性的なお墓が増えているという話でした。画一的なお墓ではなく、自分が埋葬されるお墓を本人がプロデュースする時代が来たという記事です。
ですから、まずは「自分らしく生きる」ということが「終活」のスタートなのだと理解していただきたいと思います。自分らしく輝くことが、「終活」のスタートです。
日本で終活が浸透し始めている理由
終活とは、自分の死に備えた身辺整理という認識が多いなか、それでも日本中で終活が浸透しているのはなぜなのでしょうか。そこには、相続への不安と期待があるように思えます。
元気な高齢者だからできる終活
一昔前、「老い」と「死」は隣り合わせでした。それが医療の進歩と健康意識の高まりのなかで、「老い」と「死」は直結せず、その間の距離はずいぶんと遠くなったのです。
80歳になっても、元気にお仕事をされている方が増えてきました。見た目にも、高齢者の方々はカラフルです。そしてジーンズやロングスカートを見事に着こなし、服装だけでは世代判別できないほどです。
そのような高齢者の方々が、自分の亡くなった後のことを十分に考える時間を持てるようになったことが、「終活」の広がりにつながったように思えます。
遠くなった「死」に対して、十分な備えをする時間ができたということではないでしょうか。そこで、相続に対しての不安を解消させるための対策を考えるようになるのです。そのきっかけとして、「終活」という言葉はとても都合のよいものになります。
終活を行うメリット
終活にはメリットしかありません。どのようなことがメリットなのかをまとめてみると、次のようなことが挙げられます。
終活のメリット
- 目的意識を持ち、より長生きできる
- 生きがいを感じた生活で、より長く健康でいられる
- 人生の最期のときに、後悔しなくてすむ
- 活動する本人の周囲の人まで幸せになれる
- 残された家族が困惑することなく、本人の死に向き合える
元気な高齢者の方々が、自分の死に備えた身辺整理としての「終活」を上手に利用されていることは、それだけでも素晴らしいことだと思います。
しかし、「終活」の本質とは「自分らしく生きる・輝く」というところにあるのです。そこを本質として捉えなおすことで、「終活」はより意義深い活動になるのではないでしょうか。
一般的な身辺整理と考えると、どうしても後ろ向きの暗いイメージが付きまといます。
でも、自分らしく遺す方法だとか、自分らしく使う方法を考えるとしたらどうでしょう。楽しくなりますよね。親に終活を勧めたいと考えている子どもの立場からしても、楽しい会話のネタになるのではないでしょうか。
言われる親の立場としても、聞き入れやすい話です。「突然死んだら後で困るから、今のうちにちゃんと考えておいてくれよ」なんて息子に言われた母親は、「私はまだ死なない!」と頑なになるのも当然です。
「母さんらしく過ごすことを考えて、それをまとめておこうよ」と言われれば、「うん、そうだね」と二つ返事で受け入れてくれる可能性が高まります。
このように、本来の「終活」の意味を正しく理解して実行すれば、余生を楽しく充実させることができるのです。自分らしく輝くことができれば、認知症などの病気に患う確率も下がります。何かをするために外の世界との関わり合いが増えるために、人との接触が増えるからです。多くの刺激が脳と心を健康に保ってくれるのです。
つまり、終活にはデメリットがなく、本人だけでなく周囲の人間も幸せになれる活動だといえるのです。
終活をはじめる年齢
終活を始めるのに相応しい年齢というのは、ありません。
終活とは、本人だけでなく、その方の周囲の人間まで幸せにするものです。そのような終活を実際に始めてみようとされる方は、70歳代の方が多いように思えます。
「そろそろ考えておいた方が、子どもたちに迷惑をかけなくてすみそうなので…」とおっしゃられる方が多いです。いわゆる身辺整理をしておこうという考えで、終活のスタートを切られることになります。
しかし40代・50代の方でも、後々の相続問題まで考えて、どのような資産をどうしておくのがよいのかと考えられる方は多くいらっしゃいます。これも終活といえなくもないのです。
更に、終活の本質を「自分らしく生きる・輝く」とするならば、もはや適した年齢は意味のないことだとお分かりいただけるのではないでしょうか。自分らしく生きたいと思った瞬間に、既にあなたの終活が始まっているのです。
終活でおこなうとされていること
終活として、一般的に行われている内容をご紹介しましょう。これらを必ず実行しなければならないという決まりはありません。実行する順番も、こだわる必要はないのです。自分がやりたいと思ったことを、やりたい順番に行えばよいのです。
エンディングノートを書く
自分らしく生きるための終活ですから、エンディングノートを書くことも、当然その趣旨に基づく必要がります。そこを間違えると身辺整理の色合いが強くなり過ぎて、うんざりしてしまうことになりますから、注意してください。
エンディングノートとは
自分らしく生きるために終活を始めるとしても、まずは自分自身を棚卸しすることが大事になります。今までの人生を顧みることで、過去に置き忘れてきたことがないか探し出すのです。そのための材料としてよく使われるのが、エンディングノートです。
このエンディングノートを使って、生まれてきた時から今までの自分をおさらいしてみましょう。
そうすると、「20代の頃には画家になりたかった」とか、「フランスに行きたかったな、そういえば…」「カメラが欲しかったけど子どもが生まれたときだったから我慢したのだよ」などと、置き忘れてきた夢や希望が発掘されます。
そのなかから一つでも元気なうちに適えてみようと腰を上げることができれば、素晴らしい終活になるのではないでしょうか。そのきっかけがエンディングノートだと思ってください。
エンディングノートを書くポイント
実際に市販されているエンディングノートには、遺言書に書くような項目ばかりが並んでいるものもありますが、全ての項目を埋める必要は無いと割り切ってください。気が進まないものまで書く必要はありません。
項目のなかに、「もしものときに連絡して欲しい友人リスト」というものがあります。タイトルを見ただけでパスしたくなるかもしれませんが、少し見方を変えると、「自分らしく生きる」ために必要なものだと理解できます。
連絡を取って欲しい友人を考えていると、最近連絡を取り合っていない友人に気が付いたり、遠方に住む友人にどうしても会っておきたくなったりするはずです。
エンディングノートがなければ、そのような友人に再会できなかったかもしれませんし、声を聞くこともできずに旅立ってしまったかもしれません。
このように、エンディングノートは自分の人生の棚卸しのために、ぜひ利用して欲しいと思います。
遺言書を書く
遺言書を書くということも、あくまで「自分らしく生きる」ためなのだと確認しましょう。何を遺すのか、どうして欲しいのかという遺言の内容は、今のあなたの生き様が反映されるものです。
遺言書とは
あなたが遺す財産などを、どのように分け与えるのかを記録しておくものです。あなた自身の財産ですから、それをどのように分配するかはあなたの一存で決めることができます。
しかし、法律で決められた通りの形式で書いておかないと、ただのメモ書きとなり、誰もあなたの遺志を尊重しなくなってしまいますから、注意しましょう。
遺言書に書くこと
一般的に遺言書には、次のような内容を書き込みます。
遺言書に書くこと
- すべての財産(借金があれば、借金も)
- 誰にどのくらいの割合でどの財産を相続させるか
- 祭祀主宰者の指名(お墓の管理者)
- 付言(ふげん、相続人に対する想いなど)
エンディングノートに、多岐にわたって細かく記載する項目があるために、もうそれで十分ではないかと思いがちです。
しかし、終活におけるエンディングノートはただのメモに過ぎません。こうして欲しいというような願い事は、遺言書にしたためましょう。遺言書を書くために、エンディングノートを作っておくという考えでも構いません。
遺言書を用意する場合の留意点
遺言書を用意する場合に、二つ気を付けておくポイントがあります。
遺言書を用意する場合に気をつけること
- 付言(ふげん)には、相続人の心情に訴えかえる内容を書く
- 遺言書を用意したことを家族に伝えておく
せっかく遺言書を用意しても、相続人全員が話し合って、あなたの遺志とは異なる相続をすることがあっては、全てが水の泡となってしまいます。しかし、これは法律で認められていることなのです。
そこで、あなたの遺志をくんだ相続が行われるようにするために、付言といわれる内容は、相続人の心に訴えかける文言を並べる必要があるのです。
たとえば「次女の〇〇には、私の介護でとても辛い思いをさせてしまった。〇〇には感謝の気持ちでいっぱいだ。この私の感謝の気持ちとして、〇〇には少しばかり多くの遺産を分けてやりたいと思っている。長男や長女には申し訳ないと思うが、〇〇を労う意味で、承知して欲しい」というような書き方をしておきます。
そしてもう一つのポイントは、遺言書を残していることを家族に伝えることです。なぜなら家族が遺言書の存在を知らない場合、全てが終わってしまってから遺言書が見つかるという悲劇が起こる可能性が、あるからです。
葬儀の生前契約をする
大事なことは遺言書に書くのですが、これからお話しする葬儀については、遺言書に書かずに家族に直接伝えておきましょう。遺言書の発見が遅れてしまうと、葬儀が終わっていたということにもなりかねません。
最近では「自分らしく」という意味での終活において、自分で自分の葬儀をプロデュースすることが人気です。
費用をどのくらい使って、どのような場所・祭壇なのか、音楽や光の演出など事前に自分で決めておくのです。葬儀社と事前に納得がいくまで相談をし、契約をしておけば、いつ何があっても安心できますよね。
遺影を撮影する
葬儀の際に使用する遺影も、終活として自分で納得のできるものを希望する方が増えています。通常は残っている写真のなかから、家族がセレクトして葬儀社経由で遺影を作ります。
本人は、どんな遺影が飾られるかを通常のやり方では、知ることができません。そこで事前に納得のできる遺影を用意しておけば、自分でイメージできるので、安心できるのです。
お墓を決める
葬儀だけでなく、個性を反映させたお墓のプロデュースも人気です。そもそも終活という言葉が生まれるきっかけをつくったのが、お墓です。
しかし最近は、墓石の種類や墓石の加工デザインというよりも、埋葬場所や埋葬方法について、個性的になっているようです。たとえば樹木葬であったり、海洋散骨であったりと、従来の墓石の下に眠るという概念が崩れだしています。
樹木葬にしても、樹木を自分で選べたり、花であったり、皆で一本の大樹の下に眠ったりと様々です。「私は楓の木がいい」、「私は桜の木がいい」などと考えるのも楽しそうですよね。
綺麗な海を見るたびに思い出して欲しいという、海洋葬も素敵ですよね。
自分の希望に合ったお墓を探したい!と思った人は、下記記事を参考にしてください。
荷物の整理
終活における荷物の整理というのは、まさに棚卸しということです。
しかし、不用品を処分するという発想では、もったいなくて整理できないということになりかねません。
繰り返しますが、終活の本質とは「自分らしく生きる・輝く」です。そのための棚卸し、荷物の整理です。しまわれている品々についての思い出を整理し、これから自分が何をしたいのか、何が必要なのかを確かめるために取り組んでいただきたいと思います。
やり残して後悔することがないように、必要なものをしっかりと確認しましょう。それらを使いやすくするために、余計なものについては、再利用してもらえる先を探せばよいのです。
終活をおこなうときに気をつけること
「自分らしく生きる・輝く」ための終活ですから、誰にも遠慮せずに取り組んで欲しいと願います。
しかし「自分勝手」とは違うので、周囲の人に理解してもらえるような努力が必要です。また、無理をし過ぎて体調を崩してしまうのも、本末転倒となってしまいます。
自分の財産をどのように使ってもそれは自由ですが、多額の借財を抱えるような活動は控えないと、最終的に「輝く」ことができなくなります。
終活プランナーに相談する
この世に生まれてきた以上、後悔することなく一生を終えたいものです。そのために終活をぜひ生かしていただきたいと願います。
その際に、自分の願いを現実とする方法が思いつかなければ、終活プランナーに相談してみましょう。
健康状態等に配慮した計画づくりに協力してくれます。終活プランナーに相談する費用は、数千円から数万円までと幅広く、基準というものがありません。相談をする際には、事前に確認しておきましょう。
まとめ
終活と聞いて、マイナスイメージを抱く方も少なくはありません。しかし、本来の終活とは「自分らしく生きる・輝く」ための活動です。
主役は自分であり、自分が後悔しない生き方をするためのものです。周囲のことを考えることも、あくまでも自分のためでよいのです。そのためのゴールを見据えましょう。
どのようなゴールを理想として、そのために何をすればよいのかを考えてみることで、終活の具体的な内容がみえてくるはずです。もしも悩まれることがあったら、終活プランナーがお手伝いできます。ぜひ、終活で最後までキラキラと輝いていただきたいと願います。
今のうちから、家族で終活のことも考えませんか?
終活は、家族で相談しながら進めることが重要です。お墓・葬儀・相続・保険など、準備することはたくさんありますが、できることから一つずつ始めてみましょう。
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
「終活」に定義はありません。特に意識はしていなくても、「食べ物の気をつける」「怪我をしないように気をつける」「不慮の事故に備えて身元のわかるものを携帯するようになった」なども終活のひとつだと言えるでしょう。
元気なときからはじめる終活と、衰えを感じたときに考える終活と、死を覚悟したときの終活も違うでしょう。
ある人は「私は自分の老いや死と向き合うことが終活だと思う」といいます。
その人は以前脳梗塞を発症し懸命にリハビリに励んでいますが、それでもできることがひとつふたつと少しずつ減っていき、老いや死に向かっていく自分と葛藤をしているといいます。
終活のとらえ方は十人十色。死は避けては通れないものだからこそ、自分自身のことと受け止め向き合っていくことが終活なのだと思います。
今のうちから、家族で終活のことも考えませんか?
終活は、家族で相談しながら進めることが重要です。お墓・葬儀・相続・保険など、準備することはたくさんありますが、できることから一つずつ始めてみましょう。
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