納骨堂とは?お墓との違い・費用・デメリットを解説!永代供養墓や樹木葬と比較したメリットも紹介
納骨堂とは?徹底解説
- 納骨堂は遺骨を屋内に安置し、価格は10~150万円。
- 利用期間選択可で少人数向けの納骨堂。
- 納骨堂は安価で管理不要のメリットあり。
- スペース限られ、お線香焚けず合祀の可能性も。
納骨堂とは、故人の遺骨を安置するための建造物または収蔵スペースです。
納骨堂への注目が年々高まっています。どのような特徴のお墓なのか、しっかりと理解して選ぶことが大切です。駅近の好立地に建てられているケースが数多くあり、また、地元のお寺の境内にも、意外と納骨堂が設けられていたりします。
まずは、ご自宅近くにどのような納骨堂があるのか探してみましょう。
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Q. お墓は代々継いでいきたいですか?
地域ごとの納骨堂の相場を見てみる
都道府県ごとに、納骨堂の相場を調べることができます。
実際にお墓の購入を検討されている方は、以下より希望エリアの霊園・墓地情報を検索することができます。
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納骨堂とは
納骨堂とは、故人の遺骨を納めるための収蔵スペースを備えた建物です。納骨堂の費用相場は10万~150万円です。
「お墓」といって想像するのは、遺骨を納骨するための野外施設や墓石かと思いますが、納骨堂も遺骨を納骨するための屋内施設ですので、お墓の一種です。
納骨堂はお一人様、ご夫婦、ご家族など、家族形態ごとの利用プランを選べる点が特徴です。そのため少子高齢化、核家族が進んでいる現代人のライフスタイルに適したお墓として、雑誌や新聞記事などのマスメディアに取り上げられる機会が増えています。
広告の印象から、高級感のあるきれいな内装の建物の中で、スタイリッシュなお墓参りをイメージされる方も多いのではないでしょうか?
納骨堂の運営は、自治体などの公営、民間、寺院による3種類があります。
納骨堂は、元々は「預骨(よこつ)」のための設備だったもので、墓石へ納骨をするまでの間に寺院などで骨壺を一時的に預かるためのものでした。
しかし今ではお墓の代わりとして利用したいというニーズが多く、大規模な納骨堂が増えてきました。
納骨堂はお墓の種類の一つ
「お墓」といえば、屋外に立ち並んだ墓石や墓地を想像するかと思いますが、お墓の種類はそれだけではありません。
納骨堂は、大きく分けて4種類に大別されるお墓の一種です。
【お墓の種類別の特徴】
お墓の種類 | 納骨堂 | 一般墓 | 永代供養墓 | 樹木葬 |
---|---|---|---|---|
イメージ | ||||
特徴 | 建物の中に遺骨を収蔵する棚などが並んだ施設。 | 屋外に石でできた墓石を建立する、いわゆる墓地や霊園。 | 寺院が永代にわたって遺骨を管理し、供養(宗教儀礼)を伴う仕組みの墓。外観や納骨方法はさまざま。 | 墓石の代わりに樹木を墓標としたお墓。 |
お墓の場所 | 屋内 | 屋外 | 屋外・屋内 | 屋外 |
購入価格 | 利用期間に応じた使用料 | 永代使用料+墓石工事代 | 永代使用料+永代供養料 | 利用期間に応じた使用料+墓標などの付属品がつく場合はオプション代 |
利用期間 | 3年・13年・33年など、プランに応じた期間を選ぶ | 管理料を支払い、お墓の継承者が続く限り永年 | 個別区画の使用は期限あり。供養は永年 | 樹木葬ごとに様々 |
※上記は一般的な特徴です。それぞれの墓所によって特徴は異なる場合があります。
納骨堂の特徴は利用期間が選べること
納骨堂は、使用申込みをする際に利用期間を選択する場合がほとんどです。
よくある納骨堂の利用期間
- 3年
- 13年
- 33年
三回忌、十三回忌、三十三回忌など、法要の節目に合わせた利用プランが用意されている納骨堂が多くみられます。
回忌法要までは故人ごとの個別の納骨堂でしっかりと供養を行い、その後は永代供養墓など他人と共同のお墓へ遺骨をまとめて合葬(がっそう)するという流れが一般的です。
※なお「永代供養」についてより詳しく知りたい方は「永代供養とは?メリット・デメリットも解説」をご覧ください。
なお利用期間は後から延長できる場合もあります。
納骨堂はお墓の代わりとしても利用できる
元々は一時的な利用が中心であった納骨堂ですが、今では代々のお墓として利用する方も増えています。
稀に、一般的なお墓と同様に長年使用し続けることができる納骨堂もあります。
ただし管理料の支払いが滞ると、当然ですが利用することができなくなり、納骨していたご遺骨を合祀(他人の遺骨と一緒に埋蔵される)されることになります。
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Q. お墓は代々継いでいきたいですか?
納骨堂とはどんなものかが大まかに分かったところで、次は詳しい特徴を見てみましょう。
納骨堂を利用するメリット・デメリット
納骨堂の特徴を、メリットとデメリットに分けてまとめました。それぞれを確認して、じっくり検討しましょう。
納骨堂の5つのメリット
納骨堂には、お墓とは違った良い点があります。それぞれ、具体的にどういった点がメリットなのか見ていきましょう。
【メリット】納骨堂のおすすめポイント
メリット1. 購入費用が安く済む
一般的なお墓を建てるためには墓地と墓石を購入しなければなりません。
納骨堂の費用は墓石を建てる費用がかからないため、少人数で利用する場合など、基本的にはお墓よりも安く済みます。
施設によって費用感は様々ですが、はじめから合葬するタイプともなると費用はさらに安くおさめることができます。
メリット2. アクセスがよくお参りしやすい
墓地を購入しようとすると、都心部では価格が上昇して購入費用がかさみます。
かといってあまりに郊外や自宅から遠い場所に墓地を購入してしまうとお墓参りそのものが大変になってしまいます。
納骨堂は階層のある屋内施設ですので、墓地や霊園のように広大な土地は必要なく、都市部に建てられるケースが多く見られます。そのため、自分たちがお参りしやすい場所に購入することができるでしょう。
駅が近くて徒歩で通えるなど、生活圏内の範囲に位置するところが多く、大変便利です。
メリット3. お墓掃除や管理の手間がかからない
納骨堂は建物の中の施設です。
一般的なお墓のように野外で雨や風にさらされることがないため、墓石磨きや雑草抜きのような、労力を要する掃除の必要がありません。
お墓参りの際に掃除用具の持参もいらず、手ぶらで参拝することも可能です。
メリット4. 空調の効いた屋内で快適にお墓参りできる
納骨堂は屋内なので、季節や天候に関わらず屋根がある場所でゆっくりとお墓参りをすることができます。
メリット5. 永代供養をしてくれるため、承継者や無縁仏の心配が不要
通常のお墓では、もしお墓を承継してくれる人がいなくなって無縁仏となってしまった場合、墓石が汚れ、雑草が伸び放題という悲惨な状態になってしまいます。
一方、納骨堂ではそのような心配はなく、利用期間が満了したらご遺骨を合祀墓へ移して、永代供養をしてもらえます。
そのため承継者や無縁仏などの心配はありません。
納骨堂の5つのデメリット
一方、納骨堂を選ぶときにきちんと考えるべきデメリットもまとめました。
【デメリット】納骨堂で注意すべきこと
デメリット1. 納骨するスペースに制限がある
納骨堂では、基本的には骨壺のまま遺骨を納骨します。
土に還るわけではないのでずっとそこに残ったままです。
スペースにも限りがあるために、遺骨が多い場合は収まりきらないということも起こる可能性があります。
デメリット2. お墓参りの時にお線香を焚けない
屋内納骨堂では、火災の危険性に配慮して、お線香に火をつけてくべることが禁止されている場合がほとんどです。
代りに火を使わないお香をあげたり、電子式のロウソクを使うこともあります。
デメリット3. 個別にお墓参りできず、共同スペースで参拝する場合がある
納骨スペースは個別に区切られていますが、すぐ隣に他の人のご遺骨が納骨されていて、一般的な墓地でのお墓参りに慣れている人にとっては窮屈に感じられるかもしれません。
また、納骨堂によっては、お参りをする場所が共用になっていることもありますので、どのようにお墓参りができるのかも考えて納骨堂を選びましょう。
デメリット4. 最終的に遺骨は合祀される
納骨堂は最終的には他の人の遺骨と一緒に合祀されることがほとんどです。
多くは骨壺から遺骨をあけて供養塔へ納骨する方法をとるため、合祀されると、他の遺骨と混じってしまいます。
「新しくお墓を買ったから、そちらへ遺骨を移したい」と考えても、合祀後はそれが不可能になりますので、利用期間と照らし合わせて考えるようにしましょう。
デメリット5. 地震や災害、建物の老朽化への不安
納骨堂の場合、万が一地震が起きた際に、納骨しているご遺骨がそのまま無事である保証は得られません。
また、建築物である以上、年月と共に段々と老朽化していくことは避けられません。
建物の補修や改築についてきちんと考えられているのか、納骨堂の管理者に尋ねておきましょう。
以上、納骨堂のメリットとデメリットについて解説しました。疑問は解消されましたでしょうか。
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また【初心者向け】お墓のかしこい探し方!図解で要点をわかりやすく紹介 の記事では、お墓の選び方について丁寧に解説していますから、自分にはどんなお墓が合っているんだろう?と迷っている人は参考にしてください。
次の章では納骨堂の4つのタイプ別に価格相場・特徴について見ていきましょう。
【4つのタイプ別】納骨堂の価格相場・特徴
納骨堂には様々な種類があり、大きく分けると4つのタイプがあります。
それぞれの納骨堂タイプについて、特徴や価格相場を詳しく解説します。
1. ロッカー型の納骨堂
手前に花などを供える簡易のスペースを設けているタイプもあれば、遺骨を取り出して共有の礼拝スペースで手を合わすタイプもあります。
ロッカー型納骨堂の価格相場:20万~80万円程度
ロッカー型の納骨堂は、1体~数体分の骨壺が入るくらいの大きさが主流で、納骨堂の中では比較的安価な部類となります。 使用するスペースの広さ、利用年数などによって価格は変わってきます。
ロッカー型納骨堂のメリット
- 費用が安い
- 遺骨と一緒に想いでの品を入れられる
- 個別の納骨ができる
ロッカー型納骨堂のデメリット
- スペースが狭い
- 下段への納骨に違和感や不快感を感じることがある
2. 仏壇型の納骨堂
よくある仏壇型納骨堂の形状は扉が二段に分かれていて、上段が仏壇スペース、下段が納骨スペースになっています。上段の扉を開くと宮殿(くうでん:仏さまが納まる場所)があり、本尊や位牌に向かってその場で礼拝することができます。
仏壇型の納骨堂については「納骨もできて手も合わせられる 仏壇型の納骨堂をご紹介します」という記事でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
仏壇型納骨堂の価格相場:50万~150万円程度
仏壇型は、遺骨の納骨と礼拝スペースを兼ねた施設です。
1人用、2人用、家族用などと様々なタイプがあります。
納骨壇全体のスペースの広さ、上段の仏壇スペースのしつらえの豪華さなどによって価格が異なります。
地域によって価格帯は異なりますが、コンパクトで安い納骨壇で約50万円。一般的な相場が約100万円。高いものだと約150~200万円くらいが価格の目安となるでしょう。
仏壇型納骨堂のメリット
- 家族代々の遺骨を納骨できる
- 仏壇とお墓の両方の役割を果たす
- 位牌やお供え物など自分が希望するものを置ける
仏壇型納骨堂のデメリット
- 費用が高い
- 宗教性を帯びている
3. 自動搬送型の納骨堂
近年、この自動搬送型の納骨堂が増えてきています。自動搬送型納骨堂は、ビル全体が納骨堂になっていて、普段はバックヤード保管されている骨壺を、お墓参りの度にコンピューター制御によって参拝スペースへと運ばれるシムテムです。
お参りを行う参拝スペースには共用の墓碑が据え付けられており、一般的な墓石に向かってお墓参りをしているような感覚で参拝することができるのが特徴です。
ICカードをかざすことで、該当するご家族の遺骨が自動で参拝スペースの墓碑まで運搬されてセットされます。 土地不足の都心部において、お墓不足を解消させるためにできたもので、「ビル型納骨堂」「マンション型納骨堂」「自動搬送式納骨堂」などとも呼ばれています。
自動搬送型納骨堂の価格相場:80万~150万円程度
自動搬送型の納骨堂は、近年急増している先進的なお墓で、コンピューターによる制御システムと、スタイリッシュな内装や外観、充実した設備が特徴的です。
1人用や2人用だと80万円前後、複数人で利用できるご家族用だと100万~150万円近くするでしょう。
自動搬送式納骨堂のメリット
- 立地やアクセスが優れている
- 天候に関係なくゆっくりお参りができる
- セキュリティ面で安心できるところが多い
自動搬送式納骨堂のデメリット
- 費用が比較的高い
- 故障・停電が起きてしまうとお参りができない
- 数が限られているので盆や彼岸に混雑する可能性がある
4. 位牌型の納骨堂
ひな壇状になっている棚に、ご遺骨や位牌を並べるかたちの納骨堂です。お参りは共用の礼拝スペースやご本尊に向かって行います。
ロッカー型や仏壇型と比べて個別の占有スペースがとても少ないため、納骨堂としては最も安価なタイプでしょう。
位牌型納骨堂の価格相場:10万~20万円程度
位牌型の納骨堂は、本堂や納骨堂のひな壇に位牌や骨壺が並んでいるだけのシンプルなつくりです。
安価なものだと、骨壺ではなくご遺骨の一部のみを納骨し、一つ一つのこじんまりとした位牌がずらっと並びます。
位牌ではなく、小さな仏像の中に遺骨を収蔵するものもあります。
このように、納骨堂には数多くのバリエーションがあることが分かります。
ここでご紹介した納骨堂タイプの他にも、ニーズに応えるかたちで様々な供養スタイルの納骨堂が次々と増え続けています。
位牌型納骨堂のメリット
- 費用を安く抑えられる傾向にある
- 寺院が多いため手厚い供養をしてもらえる
位牌型納骨堂のデメリット
- 寺によっては新たに位牌を用意しなければいけない
- 堂内中央にまつられた本尊に向かって礼拝するため、個別に手を合わせる場所がない
経営母体による納骨堂の違い
納骨堂の経営母体は、以下の3種類に分類することができます。
- 寺院が運営や管理を行っている寺院納骨堂
- 自治体などが運営・管理を行っている公営納骨堂
- 宗教法人などが経営母体となっている民間納骨堂
宗教法人が運営する寺院納骨堂
寺院つまり宗教法人が経営する納骨堂で、運営や管理もお寺が行っています。
寺院であれば、普段の供養だけでなく、法要、永代供養なども一任することができます。
寺院が運営する納骨堂では、お寺の檀家になる必要がある場合もあります。お寺の宗派の信徒だけが利用できる納骨堂なのか、他の宗派や無宗教の人でも利用できるのか、確認することをおすすめします。
寺院にある納骨堂の特徴
- お寺に本堂があり、法要を執り行える
- 住職がいるので安心して供養を任せられるところが多い
- 檀家になる必要がある寺院納骨堂もある
自治体が運営する公営納骨堂
都道府県や市町村などの自治体が経営母体となって運営や管理を行っているのが、公営納骨堂です。
公営納骨堂は、寺院納骨堂や民間納骨堂に比べると、比較的リーズナブルな点が魅力です。
ただし、公営納骨堂は誰もが利用できるわけではないので注意が必要です。
それぞれの自治体が定めた条件を満たした人しか利用することができません。
自治体によって利用条件は様々ですが、その自治体の地域内に住んでいることや居住年数が利用条件となるケースが多くあります。
また公営納骨堂を考えられている人は「一時収骨施設」でないか?を確認しましょう。一時収骨施設とは、決められた期間のみ一時的に遺骨を預かってくれる施設のことです。永年納骨はできませんし、永代供養もできません。公営霊園には、一時収骨施設がよく見られますから、注意してください。
公営納骨堂の特徴
- 使用料が比較的安い
- 自治体によっては公営納骨堂がそもそもない地域もある
- 利用条件を満たしていないと申し込みができない場合もある
- 人気の納骨堂は抽選で利用者が選ばれる
民間企業が開発・販売に関わる民間納骨堂
宗教法人や社団法人、財団法人などが運営母体で、民間企業が開発・販売に参画しているのが民間納骨堂です。
民間納骨堂は寺院などの宗教法人が主な経営主体となっているため、公営に対して民営ではなく民間納骨堂としているのはそのためです。民間納骨堂の利用に際しては、宗教や宗派を問われることはほとんどありません。
公営納骨堂に比べると使用料は少し高めではありますが、内装や設備が充実していたり、プランのバリエーションが豊富に取り揃えてあったりと、個性的なサービスも多く見られます。
民間納骨堂の特徴
- 申し込んだらすぐに利用できる
- 形状や利用プランのバリエーションが豊富
- 設備、サービスが充実している
納骨堂が選ばれている背景
近年、納骨堂の数が選ばれている背景には、少子高齢化・核家族化、都会への人口集中などの社会問題の変化によって人々の供養に対する考え方が少しずつ変化してきたことがあります。
家単位のお墓の維持が難しくなっているご家庭が増え、個人や少人数単位でのお墓がどんどん増えてきていることは事実です。
ご家族の人数や状況、供養にかける費用、お墓の継承問題への意識は変化しており、手間がかからず安価な納骨堂は、人気が高まっていると考えられます。
納骨堂が選ばれている理由
- お墓の承継者がいないご家庭が増えた
- 都市へ人口が集中し、人口密度の高い地域のお墓にニーズが増えた
- 核家族化により、小規模なお墓へのニーズが増えた
現在は、仕事での転勤・転職や、家庭などの事情によって、昔のように同じ場所にいつまでも住み続ける人の割合は減少している傾向にあります。
そのため、お墓を建てても近所で管理や掃除などの面倒を見ることのできる人がいない、という事態が起こってきています。お墓を継いでいく人のいないご家庭にとっては、切実な問題となっているでしょう。
そんな人たちにとって、承継者が不要な納骨堂はありがたい存在といえます。
納骨堂はこんな人が購入!
納骨堂は、現代人のニーズやライフスタイルに合っていることから人気が高まっている供養方法です。
納骨堂の特徴を踏まえて、終の住処として納骨堂が合う人の特徴を紹介します。
こんな人は納骨堂がおすすめ
子供がいない、お墓の跡継ぎがいない方
お子様や親戚などお墓の承継者となる方がいない場合、自分のお墓を持つことにためらいを感じられると思います。
しかし、利用期間を定めて申し込みができる納骨堂であれば、一般的なお墓と違って永年利用を前提としていないので、お墓の承継者がいなくても利用可能です。
後の世代に迷惑をかけたくない方
お墓を継いでくれるお子様はいるけれど、未婚であったり、孫がいなかったり、将来的な継承に不安を感じているご家庭が近年増えています。
そういったお悩みがあるご家庭でも、納骨堂であれば期限を区切って利用できるため、供養の場として選ばれています。
また、お子様がいらっしゃっても「子供に自分達のお墓の面倒をかけたくない」という親御様の声が増えています。結婚して実家を離れた娘さんであったり、お子様のお仕事に転勤の可能性があるとか、遠方に住んでいらっしゃるといった理由から、お墓の管理をさせることに気が引けてしまうというお悩みがよく聞かれます。
お墓や供養は、本人だけのものでなく、遺されるご家族にとっても大切なことです。
親の立場や気持ちだけでお墓を選ばず、親子で一度話をしてみて、お子様自体はご両親のお墓や供養についてどう考えているのかをぜひ聞いてみてください。
自分一人だけ、または夫婦だけのお墓に入りたい方
自分一人が眠れるお墓を探している方、またはご夫婦二人だけが入れれば十分、という方に納骨堂はぴったりです。
納骨堂は、ひと区画単位の価格ではなく、利用人数ごとの価格設定になります。
お墓にあまりお金をかけたくない方
お墓にあまりお金をかけたくないけれど、他人の遺骨と一緒にされてしまう合葬墓ではちょっと味気ない…と考える方にとって、納骨堂はよい選択肢と言えます。
回忌法要までは納骨堂で供養を行うことで、故人にとっても、供養を行うご家族にとってもある程度の納得感を得られることができます。
また、近しい親戚ではなく、縁遠い親戚の方が独り身でお亡くなりになり、他の身寄りのあてがなく遺骨を引き取ることになって供養先を探している…、といったケースもあるようです。
合葬墓に入れてしまうのは何となく忍びないと感じ、かと言って立派なお墓を用意してあげるほどの義理もなく…といったご事情にも納骨堂は合っているでしょう。
今あるお墓を墓じまいしたい方
将来の承継者問題への不安や、掃除や管理が行き届かないといった理由から、先祖代々のお墓を撤去する「墓じまい」を検討される方が年々増えています。
先祖代々の墓石を撤去した後、お墓の中に納骨されていたご遺骨の再供養先として、お墓の掃除や管理の手間がかからない納骨堂は選択肢の一つとなります。
もし自分に当てはまるものがあれば、納骨堂についてさらに詳しい検討を進めてみましょう。
納骨堂と永代供養墓や樹木葬との違いとは【お墓を持たない供養】
納骨堂を検討されている方がよく比較検討されるものとして「永代供養(えいたいくよう)」と「樹木葬(じゅもくそう)」があります。
それぞれの特徴を理解して、どのお墓タイプが自分にとって適しているか、納骨堂がベストな選択肢なのか、じっくりと考えてみましょう。
納骨堂は「屋内施設」、永代供養は承継を前提としない「仕組み」
納骨堂は遺骨を屋内で預かる「施設」のことを指し、個別、合葬といった納骨方法は問いません。
永代供養墓は承継を前提とせず、寺院が永代にわたって遺骨を管理し、供養(宗教儀礼)をする仕組みのお墓全般のことで、比較する基準が異なります。
なお、供養という言葉は仏教用語のため、自治体が管理をする場合は「永年墓」「永代管理墓」または「永」という言葉は使わず単に「合葬墓」といった表現を用いる傾向があります。
自治体管理のお墓では「祀」も避ける傾向があるため、「合祀墓」という言葉もあまり使いません。
下記の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
納骨堂と樹木葬との主な違いは「遺骨の埋蔵方法」
納骨堂も樹木葬も、個人や夫婦向けの供養プランが豊富にあり、少人数でお墓を利用したい方にとっては比較対象になります。
納骨堂は屋内に骨壺などを安置しますが、樹木葬は野外の地中に遺骨を納骨します。
お墓の見た目や印象、お墓参りする時の環境がずいぶん異なりますので、実際に見学をして気に入るほうを選ぶとよいでしょう。
納骨堂探しから契約、納骨するまでの流れ
納骨堂が「自分や家族のお墓に良さそう」と思った方は、次に、どこの納骨堂にするか情報収集を始めましょう。
納骨堂は大事な遺骨を預ける施設です。
どの納骨堂を利用するかどうか、広告やネットの情報だけを見て決めてしまうには、ちょっと大き過ぎるお買い物と言えます。
どんなお墓を選ぶかは、自分自身のためだけではなく、ご家族や親族にとっても大切なことですから、慎重に選ばないといけません。
納骨堂を購入するまでの流れは下記の通りです。
一つひとつじっくりと確実にこなしていきましょう。
- 1. 納骨堂の情報を探す
- 2. 問い合わせる・資料請求をする
- 3. 現地見学へ行く
- 4. 利用申し込み・契約
- 5. 納骨を行う
それぞれ順を追ってみて詳しくみていきましょう。
1. 納骨堂の情報を探す
まずはインターネットなどで納骨堂の情報を調べてみましょう。
自分たちが望むエリアにどのような納骨堂があるのかを確認し、気になるところをピックアップします。
- インターネットで検索
- 地域のフリーペーパーや情報誌を見る
- チラシ、電車やバスなどの広告
納骨堂を探す
2. 問い合わせ・資料請求をする
気になる納骨堂が見つかったら、資料請求や見学予約をしましょう。
数多くの納骨堂を比較する場合はまず気になった納骨堂の資料請求を行い、資料をみながら検討をしましょう。
その中からまたいくつかの絞り込みを行い、見学予約を行います。
この段階で「納骨堂に支払う予算」や「納骨堂の種類」はある程度決めておくと良いでしょう。
3. 現地見学へ行く
気になる納骨堂を3~4か所ほどに絞り込むことができたら、実際に現地に出向きましょう。
境内の雰囲気、住職や管理スタッフの人柄など、現地でしか確認できないことがあります。
見学のポイントは、まず自宅からのアクセスがスムーズであるか、どのくらいの時間がかかるか、などを実際に体験しながら自分の目でしっかりと確認をしていきます。
設備や、環境、納骨の方法や管理、また仕組みなど、どのように行い、どのくらいの費用がかかるのかなどの確認を行います。
分からないことはメモなどにとり、案内を行ってくれる担当者に質問をして、疑問やモヤモヤが残らないよう、その場で全て解決するようにしておきましょう。
そして実際に見学をして分かったことを元に、家族とよく相談して決めるようにしましょう。
時間がかかっても焦らずじっくりと、誰もが納得の答えを出すことが肝心です。
納骨堂でのお墓参り方法もチェックしてください!
納骨堂ではどのようにお墓参りをするのか気になりませんか?
一般的な墓地と同じように予約などしなくてもいつでも自由に参拝するところがほとんどで、屋内なので、日が落ちて暗くなってからでも安心してお墓参りをすることができます。
ただし夜間など受付時間外には建物自体が施錠されてしまいますので、受付時間の確認をしておくようにしましょう。
4. 利用申し込み・契約
実際に見学をして気に入った納骨堂があれば申し込みを行い、利用契約をしましょう。
納骨堂の場合、現地見学をした日にそのまま申し込みまで済ませる方も多くいらっしゃいます。
契約書を取り交わすには、判子や提出書類などが必要になってきますので、利用規約や契約書の内容をしっかりと確認してください。
特に以下の2点は注意しておきましょう。
- 万一経営が破綻するようなことが起きた時、どのような対応をしてくれるのか。
- 供養の期間を設けている場合、その期間を過ぎた後の遺骨の取り扱いをどうするのか。
5. 納骨を行う
納骨堂の申し込みを行ったら、納骨ができる状態になります。
納骨堂の種類にもよりますが、骨壺のままで納骨をするのが一般的です。
利用スペースの狭い納骨堂の場合は、少量の分骨ご遺骨を分骨用の小さな骨壺に移し替えて納骨をします。
なお、「納骨堂でも開眼供養はするの? 意味や流れをわかりやすく解説」でも解説していますが、納骨堂ができたときや納骨時に開眼供養をすることがあります。
利用する納骨堂が決まったら、納骨前に管理者に開眼供養をすべきか確認するようにしましょう。
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納骨堂についてよくある質問
納骨堂に関するよくある質問をまとめています。納骨堂を検討する際の参考にしてみてください。
- 納骨堂と合葬墓はどちらがいいですか?
- 承継者や子供がいなくても納骨堂を利用できますか?
- 納骨堂では、どのようにお墓参りできますか?
- 生前申込をした場合、使用期限はいつからいつまで?
納骨堂と合葬墓はどちらがいいですか?
価格や管理方法が異なるので、一概にどちらがいいとは言えません。最も大きな違いはご遺骨の埋蔵方法です。 納骨堂は個人やご家族ごとの占有スペースにご遺骨を納骨します。
合葬墓は、他人の遺骨と一緒に納骨されるお墓です。
詳しくは「永代供養と納骨堂の違いは?メリット・デメリットと相場で比較」のページもご覧ください。
承継者や子供がいなくても納骨堂を利用できますか?
納骨堂は、お申込みプランごとに使用期限が定められている場合がほとんどです。無期限のものや、永代供養がセットになったプランであれば、お墓を継承者する人がいなくても利用できます。
納骨堂では、どのようにお墓参りできますか?
共有の参拝スペースでお参りするのが基本です。個別の扉を開け、ご遺骨に向かって直接お参りできる納骨堂も一部あります。
火気厳禁の屋内納骨堂では、お線香の代わりの焼香や電気式ロウソクが用意されていることもあります。
掃除用具の持参は不要です。
納骨堂に生前申込をした場合、使用期限はいつからいつまで?
お申込みプランごとに、3年、13年、33年など使用期間があります。夫婦やご家族など複数人で利用する場合は、最後にお亡くなりになられた方のご遺骨が埋蔵された時点から使用期間がカウントされます。
※納骨堂によって異なりますので、ご契約時にご確認ください。
関東エリア一押し!おすすめ納骨堂ピックアップ5選!
納骨堂は日本各地にありますが、この章では関東エリアでおすすめしたい納骨堂をご紹介いたします。
では一つずつ詳しく見ていきましょう。
伝燈院麻布浄苑(東京都港区)
伝燈院は港区麻布にある曹洞宗のお寺。納骨堂や永代供養を積極的に受け入れているお寺です。屋内納骨堂は漆塗りの納骨段が並び、屋外納骨堂は御影石で作られた納骨棚。
中心には阿弥陀如来の石造が据えられ礼拝することができます。永代供養墓もあり、都心でありながら、閑静な空気の中で、自分たちにあった供養の方法が見つかることでしょう。
ゆめみどう(東京都港区)
ゆめみどうは、自動搬送式の納骨堂です。2017年に開園し、納骨堂には珍しいペットと一緒に埋葬可能なタイプも存在します。
- 所在地
- 東京都港区元麻布3-10-4
- アクセス
- 麻布十番駅から447m地図を見る
- 霊園種別
- 寺院墓地 /
- 宗旨宗派
- 宗教不問
- 区画種別
- 納骨堂
- 参考価格
- 48万円
應慶寺 目黒御廟(東京都品川区)
應慶寺 目黒御廟は、東京都品川区にある自動搬送式納骨堂です。目黒駅から徒歩3分という抜群のアクセスの良さが魅力です。
妙遠寺室内納骨堂「妙泉殿」(神奈川県川崎市)
妙遠寺室内納骨堂「妙泉殿」は川崎駅から徒歩9分、好立地の室内納骨堂です。近年では珍しいロッカー型の納骨堂で、全館バリアフリーなので車椅子の方でも安心してご利用いただけます。運営は約400年の歴史ある妙遠寺です。
- 所在地
- 神奈川県川崎市川崎区宮前町5-9
- アクセス
- 京急川崎駅から1.1km地図を見る
- 霊園種別
- 寺院墓地 /
- 宗旨宗派
- 宗教不問
- 区画種別
- 納骨堂/永代供養墓
- 参考価格
- 60万円〜
乗願寺 浄華台(神奈川県横浜市)
乗願寺 浄華台は、近年では珍しい位牌タイプの納骨堂です。横浜市営地下鉄ブルーライン「港南中央駅」から徒歩8分という好アクセスで、費用を抑えたい方におすすめです。
以上、関東エリアでおすすめの納骨堂をご紹介しました。
個性的な納骨堂をご紹介
最後に、全国を見ても個性的な納骨堂を2つご紹介します。
個性的な納骨堂2選
万松寺納骨堂(愛知県名古屋市)
万松寺は名古屋市中心部にある由緒ある寺院です。織田信長の父である信秀が開いた織田家の菩提寺です。
万松寺が運営する永代供養の納骨堂は屋内施設となっており、いくつかのタイプから個性的な形状の納骨堂を選ぶことができます。
納骨堂のタイプは、お墓参りをすることにこだわって造られた、スタイリッシュな室内墓としての「白龍館彩蓮」、遺骨を収めた位牌を壇に並べてあるモダンな「阿弥陀堂」、和にこだわったロッカータイプの小さな仏壇を収めた「逢恩閣」。
そして、LEDライトで浮かび上がる諸仏によって幻想的な空間が広がる「水晶殿」。部屋全体が水晶に包まれているような透明な輝きの幻想的な空間は、特に話題となっています。また7段納骨壇を備えた「天聚閣」など、多様化した人々のニーズに応えるために、あらゆるタイプの納骨堂が用意されています。
- 所在地
- 愛知県名古屋市中区大須三丁目29-12
- アクセス
- 上前津駅から399m地図を見る
- 霊園種別
- 寺院墓地 /
- 宗旨宗派
- 宗教不問
- 区画種別
- 納骨堂/永代供養墓
- 参考価格
- 8万円~
龍雲寺 光の納骨堂(静岡県浜松市)
浜松駅からほど近い佐鳴湖湖畔に広がる境内の龍雲寺は、今から約7百年前に開基した歴史のある寺院です。自然が豊で広い境内を誇り、桜の木を植樹する樹木葬「桜樹下墓地」が知られています。
永代供養を申し込んだ人の専用の墓地となっており、継承者の代わりにお寺で供養を行ってくれます。永代供養は個人だけでなく夫婦や家族の利用も可能です。
龍雲寺はまた「光の納骨堂」も話題となっています。書家として有名な金澤翔子さんが奉納した般若心経は背景にして、納骨の区画は般若心境の字数である266区画が用意されています。
ガラス壺に分骨の遺骨を収め、納骨すると下からライトアップされて、内側から光を吸収し反射して透明に輝いて見えます。266体が並んだガラス壺は圧倒的な迫力あり、そして幻想的でとても美しい納骨堂となっています。
まとめ
いかがでしたか?
納骨堂にもさまざまなものがあるということを理解していただけましたでしょうか?
多種多様な納骨堂や供養プランがあることを知り、自分たちが納得の納骨堂を見つけることが大切です。
まずはご自宅近くの納骨堂の情報収集を始めてみましょう。
納骨堂を探す
また、東京・神奈川の納骨堂を探したい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
近年都市部で急速に建てられているのが納骨堂です。
かつては墓地に遺骨を納めるまでの仮安置場所として預ける人が多かったのですが、「〇〇家の墓」として一般墓所のように使用したいというニーズが増え、納骨堂のカタチも多様化しています。
納骨堂の費用は、数万円から200万円程度までさまざまですが、一般墓所と異なり、1人分に対しての値段なのか、1区画に対しての値段なのか、納骨堂によって異なりますので注意が必要です。
納骨堂の場合、セキュリティーが完備されているので安心度は高まりますが、鍵(カードキーを含む)を持っていない親戚や友人・知人がふらっと立ち寄って、気軽にお参りしにくいのが難点です。
立地や利便性だけでなく、誰がどのようにお参りするのか、想定しながら選ぶと良いでしょう。