納骨堂とは~納骨堂と一般墓の違い~
納骨堂とは?徹底解説
- 納骨堂は管理が楽で人気。一般墓より手軽に遺骨を保管できる
- 納骨堂のメリットは安価でメンテナンス不要なこと
- 納骨堂は納骨できる遺骨数に限りがある
- 納骨堂の費用は50~100万円
- 納骨堂選びは立地や契約期間、建物状態が大事
「納骨堂」という言葉を聞いたことがありますか?
「納骨堂」はお墓の種類の一つです。最近ではお墓を新しく購入する際に「納骨堂」を選ぶ人が増えています。
その理由として、一般のお墓では管理が大変だからとあえて納骨堂を選ぶ人が増えているからです。
この記事では、納骨堂の基本的な情報や、一般墓との比較、納骨堂の選び方などをまとめています。
より多くの方の疑問を解消できると幸いです。
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この記事の目次
納骨堂とは屋内で遺骨を保管してくれる場所
納骨堂とは、建物の中で遺骨を保管してくれる場所のことを指します。
ロッカーや小型の仏壇など、決められたスペースに骨壺を納骨します。
スペースは2~4個分の骨壺が入る程度のものが多く、夫婦や2世代だけのためのものとされるケースが大半です。
納骨堂は、雨が降っても傘を差さずにお参りができ、都心でも駅近で安価な場所が見つかることなどから、最近注目を浴びています。
また屋内でたくさんの遺骨を保管するため、「一般のお墓が一戸建てなら、納骨堂は集合住宅」とよく比喩されます。
では「納骨堂」と「一般墓」の違いには、他にどんな所があるのか、詳しく説明していきます。
納骨堂の仕組みや費用感など、納骨堂全般については「【納骨堂の基本情報】費用・種類・仕組みを分かりやすく解説」の記事でもご紹介していますので、気になる方はそちらもご覧ください。
「納骨堂」と「一般墓」5つの違い
納骨堂と一般墓の違いは、大きく分けて以下の5つです。
- 安置期間(遺骨を扱う期間)
- 遺骨をおさめる場所
- 墓石建立費が必要か否か
- メンテナンスが必要か否か
- お参りの仕方とお参りが可能な時間帯
それぞれ、具体的に説明していきます。
1.安置期間(遺骨を扱う期間)が異なる
一般的なお墓では、納骨したらそのまま半永久的に、お墓の中へ遺骨が納められています。
一方で、納骨堂は契約期間が過ぎれば納骨スペースから取り出され、他の人の遺骨と一緒に供養されるケースがほとんどです。
契約期間は納骨堂によって違いますが、33年を目安とすることが多いでしょう。 これは、仏教の考え方では「人が仏になるのに33年かかる」とされていることから来ています。
また、33年経った後はお墓の継承者に代わって寺院や霊園の管理者が供養をしてくれます。このことを永代供養と呼びます。
2.遺骨をおさめる場所が違う
一般のお墓は、遺骨をお墓の下の「カロート」と呼ばれるスペースに納めます。
一方で、納骨堂では、ロッカーに納められたり、仏壇形式になっている納骨堂の仏壇下部に納められたりなどさまざまです。
また、一般的なお墓のカロートは地下部分に接しているため湿気がこもりやすく、長期間保存をするうちに遺骨が濡れてしまうという難点があります。
反対に納骨堂は、室温で管理されることが多いため、遺骨が濡れることがなく安心して預けることができます。
3.納骨堂は墓石建立費がかからない
一般のお墓は、当然のことながら墓石を立てるための費用がかかります。墓石建立のための平均費用は、およそ125万円ほどです。
一方、納骨堂は、墓石を立てるための費用は必要ありません。よって費用はぐっと安価になります。
4.メンテナンスが必要かどうかの違い
一般のお墓は屋外にあるため、草むしりをしたり、墓石を磨いたりといったメンテナンスが欠かせません。
一方で納骨堂の場合は、屋内なので掃除をする必要はありません。
また、建物自体のメンテナンスを管理者が行ってくれるため、いつも清潔で安心です。
5.お参りの仕方とお墓参りが可能な時間帯が違う
一般墓の場合、お参りには線香、ろうそく、ライターを持参し、お線香をあげてお参りします。
一方、納骨堂の多くでは、ろうそく型のライトをつけてお参りします。 屋内のため、お線香をあげることが禁止されている場合が少なくないのです。
ただし、参拝室があれば一般のお墓と同じようにお墓参りができます。
また、納骨堂は各館の定める時間帯でないと、お参りすることができません。時間外では鍵がかかってしまいます。 一方で、屋外にある一般的なお墓なら、いつでもお参りができます。
ただ、照明が整備されていないお墓へ夜に出向くときは、ご近所への配慮と足元に危険がないよう気をつけましょう。
ここまで、一般のお墓と納骨堂の違いについてお伝えしました。では、納骨堂を利用するメリットはどこにあるのでしょうか。 次章ではそれをお伝えします。
納骨堂を利用するメリット
納骨堂を利用するメリットには、以下のようなものがあります。
- 一般墓よりも安価
- 清掃や線香をあげる必要がないため、お参りがラク
- 契約期間の後は自動的に合祀となるため、後継者の必要がない
- 駅近のことが多いため、高齢になっても気軽に通える
- 屋内のため、雨が降っても衣服を濡らさずお参りできる
一般墓に比べて、いいところ尽くしのように思えてしまいますね。
しかし、やはりデメリットもあります。次章では、納骨堂を利用するデメリットをお伝えしましょう。
納骨堂を利用するデメリット
納骨堂を利用するデメリットには、以下のようなものがあります。
- 多くの遺骨を納めることができない(たいていは夫婦2人分)
- 線香をあげられないとお参りの雰囲気が出ないという人もいる
- 契約期間の後は、個別にお参りすることができない
- 多くは契約期間後に合祀となるため、最終的には他の人の遺骨と一緒に埋葬されることになる
他にも、位牌に向かってお参りする位牌堂タイプの納骨堂では、遺骨は別のスペースに納められているため 遺骨を前にしてお参りができないというデメリットがあります。
「それでは、どんなタイプなら遺骨に向かってお参りができるの?」 と疑問に思った人もいるでしょう。
次の章にて、納骨堂のタイプについてみていきます。ここで、どのタイプであれば遺骨に向かってお参りができるかわかるでしょう。
また、納骨堂とは違う種類で納骨堂と似たような特徴を持つお墓に「樹木葬」「合葬墓(永代供養墓)」というお墓も存在します。
それぞれについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
多種多様な7つのタイプの納骨堂
納骨堂には、次のタイプがあります。
タイプ | 収蔵形式 |
---|---|
ロッカー型 | 鍵をかけられるロッカーの中に骨壺を納める |
神棚型 | 棚上にむき出しの骨壺が並ぶ |
仏壇型 | 屋内に並んだ小型仏壇の下部に骨壺を納める |
墓石型 | 屋内に並んだ墓石の下部に骨壺を納める |
合葬・合祀型 | 永代供養塔の中に骨壺を並べる |
自動搬送型 | 骨壺は一ヶ所に集められ、お参りスペースに自動搬送されてくる |
位牌型 | 骨壺は一ヶ所に集められ、お参りは位牌に向かって行う |
それぞれ詳しく解説しましょう。
よく知られたロッカー/神棚型
ロッカー型や神棚型は、昔ながらの形式としてよく知られています。 とくにロッカー型は、納骨堂といえば思い浮かぶ人が多い、最も一般的なものでしょう。
コインロッカーのようにずらっと並んだロッカーの一つを、納骨スペースとして使うものです。 ロッカー内には故人ゆかりの品を一緒に置いておくこともできます。
一方、神棚式は、シンプルな棚上に骨壺を並べてゆくもので、個別の仕切りはありません。 寺院に一時保管用として設けられていることもあるため、観たことのある人は多いでしょう。
ロッカー式も神棚式も、納骨堂のうちでは、比較的安価といえます。
1つあたりのスペースが広い仏壇型
仏壇型は、上部に仏壇が設けられていて、下部に骨壺を納めるかたちが主流です。
納骨スペースが広いことが特徴で、スペースの大きさによっては、夫婦のみならず子世代まで入ることができます。
また、位牌を置くこともでき、家に仏壇がないときに仏壇を兼ねられるため、一石二鳥といえるでしょう。 ただ、いうまでもなく、仏教以外の形で弔いたい人には向きません。
仏壇型は装飾が美麗なため、ロッカー型などと比べると、価格が高い傾向があります。
室内に建てる墓石型
墓石型は、一般的なお墓と同じか、やや小さめのお墓を室内に建てるタイプの納骨堂です。
「室内墓地」と呼ばれることもあります。 一般的なお墓と同じようにお参りできるのが、最大の特徴といえるでしょう。
墓石型に限っては、室内でもお線香をあげられるようにしてあるところが少なくありません。 その方がリアルにお墓参りをしてもらえるためです。
墓石型は、納骨堂の中では最も価格が高いといえるでしょう。 立地によっては、一般的なお墓と同じくらいの値段になることもあります。
永代供養塔の中にある合葬・合祀型
屋内外にある永代供養塔に骨壺を納めていくのが、合葬・合祀型です。
通常の永代供養塔であれば、骨壺から遺骨をあけて他の人と一緒に供養することとなりますが、 「納骨堂」とうたっている永代供養塔は、内部に棚を設け、骨壺のまま納めていくタイプが多いでしょう。
納骨堂の中でも、料金が最も安いのが特徴です。
お墓のマンション自動搬送型
自動搬送型は、最近になって現れた機械式の納骨堂です。
通常は、骨壺が一ヶ所に集められていますが、 お参りをする人が参列スペースに訪れ、メンバーズカードなどで操作すると、 自動で任意の骨壺がお参りスペースに搬送されてきます。
さらに、お参りスペースのスクリーンに遺影が投影される施設もあります。最新式なので、納骨堂の中では、費用がやや高めです。
収蔵スペースが別にある位牌型
お参りスペースに位牌がずらっと並んでいるのが、位牌型の納骨堂です。
位牌のほうをメインとし、「納骨もできる位牌堂」と表現される場合もあります。位牌型は、先に述べたように、遺骨の収蔵スペースが別にあるのが特徴です。費用は、ロッカー型と同等か、やや安価でしょう。
以上、納骨堂のタイプについてお伝えしました。タイプについて知ると、納骨堂の具体的な費用について、気になってきますよね。
次章では、納骨堂の費用相場についてお伝えします。
費用相場は約50万円~100万円
納骨堂の費用相場は、1人だけのタイプで50万円、家族用であれば100万円を目安にするとよいでしょう。
料金体系はさまざまで、「夫婦2人用で80万円」といったところもあれば、「契約金が50万円で、1人納骨するごとに追加料金が10万円」といったところもあります。
立地が都心である、建物が新しいといった付加価値があると、料金が高くなる傾向があるのが納骨堂です。
よって納得できる物件を見つけるには金額だけを見るのではなく、見学したうえで決めなければなりません。
※納骨堂の費用についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
納骨堂の懸念点3つ!~世間一般の人の声~
では次は、納骨堂を実際に検討しようとしたとき、世間一般の人はどのような懸念点を持つのかを見てみましょう。よくある質問を3点取り上げます。
懸念①遺骨は何霊(何体)まで収蔵できるの?
回答:一般的には2~8体入る納骨堂が多いでしょう。
納骨堂には3タイプあり、一人用・夫婦用・家族用とあるので、タイプによって収容数が異なります。ただ一番多いのは家族タイプで、2~8体入るものが多いでしょう。
また、骨壺だと3体までしか入らず、骨壺と骨袋だと6~8体入るといった例もあります。
遺骨の追加にともなう追加料金は、料金体系によって異なりますが、あらかじめ人数に応じた費用が決まっているパターンと、一体ずつ追加して費用がかかるパターンとがあります。
遺骨が何体収容できるかは、遺骨の追加にともなう料金体系とともに、納骨堂に確認をとるようにしましょう。
懸念②遺骨は何年預かってもらえるの?
回答:一般的には納骨から33年で合祀されることが多いです。
33年たった後は、個別の納骨スペースから合同のスペースに移動され、合祀すなわち他の人のご遺骨と一緒に埋葬する方法をとられます。
しかし一度合祀してしまうと取り戻せなくなるケースもあるため、いつ合祀をされるかは非常に重要です。
合祀に移るまでの期間や更新に関しては、しっかりと確認をするようにしましょう。
懸念③追加で檀家加入や寄付を求められることはない?
回答:納骨堂を運営する寺院によって異なります。しかし檀家にならなくてよい場合の方が多いです。
寺院の中には納骨堂であろうが、一般墓(墓石のお墓)であろうが、檀家加入が必須なお寺もあります。
そのため、寺院が経営する納骨堂を検討している場合は、必ず檀家といった追加料金が発生するかしないか、お寺さんに確認をするようにしましょう。
※檀家とは、特定のお寺に属する家のことを指します。檀家になると寄付やお布施などの費用が発生してしまうことが多いです。
納骨堂を購入した人の声!プラス意見もマイナス意見も
では、実際に納骨堂を購入した人は、どのような意見を持っているのでしょうか。
プラスの意見を持っている方が多いですが、中にはマイナスの意見を持っている方もいらっしゃいます。
プラスの意見
- お墓参りの準備(ろうそく・お線香・仏花など)が不要なので助かっている。(60代男性)
- 天候に左右されないので、いつでも気持ちよくお墓参りができる。(60代女性)
- 霊園最寄り駅で下車して徒歩5分着く。アクセスが良い。(40代女性)
- マンション型の納骨堂であり、いつでも美観が保たれている。(60代男性)
※ライフドット納骨堂の口コミより一部抜粋
マイナスの意見
- 一般的なお墓ではないところに不満がある。
- お盆やお彼岸の時期だと混雑することがある。
次章では納骨堂を選ぶときに確認したいことをお伝えします。
覚えておきたい!納骨堂を選ぶときに確認すること
納骨堂を選ぶときには、費用の他に、次について確認しましょう。
-
納骨堂を選ぶときに確認した方が良いポイント
- 立地…家から近く、お墓参りがしやすいところにあるか
- 契約期間…他の人と一緒に合祀されるまでに、十分な契約期間があるか
- 形…お参りのシーンをイメージして、しっくりくるか
- 建物…老朽化していないか、契約期間中に建て替えがある恐れはないか
費用面では納得できたとしても、お参りをするシーンをイメージしたときに「なんだか、お墓参りをしている気分になれない」と感じるようでは、「お墓を買った」ということにはならず、本末転倒です。
また、建物が古いときには、建て替えが発生したときに、いったん遺骨を引きとらなければならない可能性があります。 できれば、新しい施設のほうが無難です。
選ぶときに気をつけること(筆者の意見)
納骨堂を選ぶときにどんなことに気をつけたらよいか、個人的な意見を申し上げます。
一番気をつけたいのが、施設としての永続性です。
管理者が倒産したからといって、お墓がなくなってしまったら悲しいですよね。 遺骨を引き取って、またお墓を買わなければなりません。納骨堂を経営しているのは、基本的には宗教法人です。
「お寺なら安心」と思うかもしれませんが、納骨堂の経営が立ち行かず、倒産してしまったお寺もあります。
「将来の経営状態など、想定のしようがない」と思われるのももっともですが、 ほどよく納骨堂の契約が埋まっていること、これから人気が出そうな立地であることなどは、 長続きする納骨堂を見分ける一つの基準となります。
逆に、建設してから何年も経っているのに契約者があまりいないようなところは、将来立ち行かなくなる可能性が大きいでしょう。 避けた方が無難です。
筆者がおすすめする関東エリアの納骨堂2選!
最後に、筆者がおすすめする関東エリアの納骨堂を紹介します。
もし納骨堂を検討しているのであれば、ぜひ実際に足を運んでみることをおすすめします。そこで実際に設備をみて、通いたいなと思えるかどうか、故人が喜びそうかどうか、感じてきてはいかがでしょうか。
應慶寺 目黒御廟
「應慶寺 目黒御廟」についての詳細を以下の表にまとめました。
概要 | 目黒にある、宗教不問のだれでも利用できる納骨堂です。自動搬送型の大型納骨堂で、設備も充実しています。 |
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価格 | 納骨堂 86,500円~(購入初年度) |
特徴 |
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ひかり陵苑
ひかり陵苑についての詳細を以下の表にまとめました。
概要 | 閑静な山の手の住宅地に立つ、格調高い石造りの建物のひかり陵苑。目黒、五反田の賑わいとは一線を画す、花木に囲まれた安らかな時間が流れる場所です。閑静な山の手の住宅地に立つ、格調高い石造りの建物のひかり陵苑。目黒、五反田の賑わいとは一線を画す、花木に囲まれた安らかな時間が流れる場所です。 |
---|---|
価格 | 納骨堂85.0万円~ |
特徴 |
|
まとめ
以上、納骨堂について、一般墓との比較を中心に、特徴・費用・選び方のポイントなどを紹介しました。
納骨堂にするか、一般墓にするかと迷っている人の参考になれば幸いです。また納骨堂を選ぶときには、ぜひ子世代とも一緒に見学することをおすすめします。
納骨堂を実際に使うことになるのは、お参りをする子世代だからです。親子ともども、納得のできる納骨堂を見つけることが、将来の安心につながってくることでしょう。
また納骨堂について、より詳しく知りたい!と思った人は下記記事を参考にしてください。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
お墓も住宅と同じく都心回帰の傾向が見られます。1年に1~2回しかできない墓参より、行きたいときにいつでも墓参したいという考え方の人が増えているのでしょう。
しかし都市部では、立地や区画の大きさ、費用等の条件を満たしたお墓を購入するのは至難の業。
そこで一般墓より安価で墓参が便利な納骨堂に注目が集まっています。
特に数年前より急増しているのが自動搬送式の納骨堂です。
1納骨箱(厨子))に対しての費用は50万円~200万円とさまざま。
1つの納骨箱プランによっては2名から8名ほどが利用できるので、遠方にあった先祖代々の墓所を墓じまいして、先祖の遺骨を納めることを目的に購入する人もいます。
機械を動かしていますので管理費は若干高めです。