「焼骨」とは火葬後に残る遺骨のこと!意味と特徴、納め方を解説
世界各地で、「死者の弔い方」はまったく違います。 日本においては火葬を経て、骨壺にご遺骨を入れ、そしてその骨壷をお墓などに入れることが多いです。
今回はこの工程と深い関わりを持つ「焼骨」というキーワードを中心として、「焼骨とは何のことか」「現在の日本の弔い方の実情」「火葬のために必要なこと」「焼骨の特徴」「ご遺骨の納め方」などについて解説していきます。
この記事の目次
焼骨とは火葬した際に残る死者の骨(遺骨)
「焼骨(しょうこつ)」という単語を耳にしたことのある人もいるかもしれません。まずはこの言葉から解説していきます。
「焼骨」という言葉には、大きく分けて2つの意味があります。
- 火葬をした後に残る故人のご遺骨
- 火葬そのもの
日本では、特段の事情がない限り、人が亡くなると火葬をして弔うことになります。この火葬の後に残るご遺骨を、「焼骨」と言うことがあります。
文字通り「焼き上げた骨」を意味する単語です。ただ、「焼く」という文字が入っている「焼骨」は、かなり字面が衝撃的であるためか、積極的には使用していない葬儀会社もあります。
一般的には「火葬」とされる、「亡くなった方を火葬炉で焼き上げて、お骨にする工程そのもの」をもって「焼骨」と呼ぶこともあります。
1つめの「焼骨」は火葬が終わった後のご遺骨を指すのに対し、こちらは火葬そのものを指す言葉です。 この2つの違いは、文脈で判断されることが多いかと思われます。
火葬と焼骨の歴史
日本における焼骨の文化の始まりは、西暦600年前後だとされています。陶器を作っていた幸甚が火葬に伏されていた墓が昭和31年に見つかり、これが起源だと考えられていました。
また、701年の段階ですでに火葬を推奨する大宝律令が出され、703年には皇族が火葬を選んでいます。
日本で火葬がごく一般的になったのは、明治から昭和にかけてです。
時代が近代に近づくにつれ、火葬炉の整備や使われる燃料の転換などが行われました。
鯖田豊之『火葬の文化』(新潮選書)によると、日本の火葬率は、1900年(明治33年)は29.2%でしたが、1980年(昭和55年)に91.1%にまで高まっています。その後、「火葬」という弔い方法自体は廃れることなくずっと続いています。
なお、ヨーロッパなどではあまり火葬はとられません。「火葬が行われた形跡」が発見されることもありますが、それほどメジャーではありません。これは、ヨーロッパで広く信仰されているキリスト教の影響があるのだと考えられています。
キリスト教の場合、「亡くなった人は最後の審判を経て、善き者は永遠の命を授かる」という復活思想があるからです。よって、最後の審判が行われるときに肉体がないと困るわけです。 このような観点から、キリスト教ではしばしば「火葬」は刑罰的な意味を持ちます。また、イスラム教でも同様の考え方を持ちます。
もっとも、「日本に住むキリスト教やイスラム教」の場合、亡くなった後は火葬で弔われるのが一般的かと思われます。日本において「土葬をする」という選択肢は、極めて選びにくいものであり、非常に難しいものだからです。
日本では99%以上が火葬を行う
日本に古くからある火葬の文化ですが、日本で亡くなった方の99パーセント以上は火葬を経て弔われることになります。
火葬することによって骨壺に納めることができるようになり、一つのお墓で先に旅立った家族とずっと一緒に居続けることもできるようになります。
国土の狭い日本においては、「火葬」という選択肢は、物理的にも精神的にも受け入れられやすいものだったと推測されます。ただ、一部の例外として「土葬」「水葬」があります。
土葬について
意外に思われる人もいるかと思いますが、実は日本の法律は「火葬をしていない状態での埋葬」自体は禁じていません。 ただ、墓地を運営していくときには都道府県知事からの許可をもらわなければなりません。
「土葬ができる墓地にしたい」と考えた場合でも、都道府県知事からの許可が下りる可能性は極めて低いといえるでしょう。このような事情もあり、日本では「亡くなること」と「焼骨に伏すこと」がほとんどイコールで語られているのが現状です。
またこの記事でも、特段の注釈がないかぎりはこの状況を想定しています。 もっとも、「絶対に土葬ができないか」と言われると、そうでもありません。非常に数も選択肢も少なくはありますが、日本でも土葬ができる墓地はあります。
たとえば、山梨県の甲州にある「文殊院」。
ここは曹洞宗のお寺ですが、異教であるイスラム教を対象とした霊園も運営しています。弔える場所が少ないイスラム教徒に対して、「信仰する姿の尊さに、宗教の別はない」として住職が霊園を整備したということです。
ただ、やはり選択肢は非常に狭くなります。もし「どうしても土葬にしてほしい」「宗教上、土葬以外の弔い方法は受け入れられない」ということであれば、生前から情報収集に努め、墓地の確保を行っておかなければなりません。
水葬について
特定の条件を満たす場合は水葬をしてもよいとする法律もあります。これは、国土交通省が出している「船員法施行規則」の第4条に記載されています。
船長は、次のすべての条件を備えなければ死体を水葬に付することができない。
国土交通省「船員法施行規則第四条から引用
一 船舶が公海にあること。
二 死亡後二十四時間を経過したこと。ただし、伝染病によつて死亡したときは、この限りでない。
三 衛生上死体を船内に保存することができないこと。ただし、船舶が死体を載せて入港することを禁止された港に入港しようとするときその他正当の事由があるときは、この限りでない。
四 医師の乗り組む船舶にあつては、医師が死亡診断書を作成したこと。
五 伝染病によつて死亡したときは、十分な消毒を行つたこと。
法律文なので少し分かりにくいのですが、簡単にいえば、
- 公海を航海しているときに亡くなった
- 死亡後24時間以上経っている。ただし、伝染病で亡くなった場合は感染を防ぐために24時間以内であってもよい
- 衛生上、ご遺体を保存することができない状態にある
- 医師がいる場合は、死亡診断書を作成してもらう必要がある
- 伝染病の場合は、きちんと消毒を行うこと
を条件として、水葬が認められるというものです。
ちなみに、この後には「ご遺体が浮き上がってこないように処理をすること、遺影を撮影すること、遺品を取っておくこと」も条件だと書かれています。
このような特定の条件下で命を引き取る人は極めて少数です。ドラマや映画などでご遺体を海に沈めるというシーンを見たことのある人もいるかもしれませんが、現状の日本においてはこのようなかたちがとられることは原則としてありません。
このように、土葬にしろ水葬にしろ、非常に難易度が高いのが現状です。
また、火葬についても制限があります。それが、「死亡24時間以内の火葬は禁止する」という法律です。
死亡判定後24時間以内に火葬を行うのは禁止
火葬は、いつでも行えるものではありません。
火葬を行うためには、死亡判定後24時間以上の時間を置くことが必要です(ただし、伝染病などの場合はこの限りではありません)。
現在は医学も発達しており、「生きているか、それとも亡くなっているか」の判断が容易に、そして正確に判断できるようになりました。
ただ、昔はこのような技術が未発達であったため、仮死状態を本当の死亡状態と間違えて診断することがあったといわれています。
このようなことを踏まえて、「死亡後24時間以上経たないと火葬にすることができない」とされたのだと考えられています。
亡くなった当日に通夜を行うことはできても、葬式・告別式(これの後に火葬が行われるのが基本)は翌日以降にまわされるのは、このような事情もあると推測されます。
葬儀のかたちのひとつとして「直葬(通夜や葬式・告別式をせずに、火葬だけを行うやり方)」がありますが、このかたちを選ぶ場合でも、24時間以上の時間が必要です。
もっとも、人が亡くなった後には行わなければならないことがたくさん出てきます。このため、24時間などあっという間に過ぎてしまうでしょう。
火葬には火葬許可証が必要
火葬を行うときに必要なのは、時間だけではありません。「火葬許可証」という書類も必要になります。
これは「埋葬許可証」と一緒に論じられることが多いもので、「火葬(埋葬)許可証」などのように書かれることもあります。
この2つは、多くの場合1枚の紙にまとめられています。「埋・火葬許可証」のように銘打たれていることが多いかと思います。 火葬許可証は厳密には「火葬をするために必要な書類」であり、「埋葬許可証」は埋葬するために必要なものですが、分けて語られることはあまりありません。
火葬許可証をもらうためには、死亡診断書を受け取る必要があります。これは医師から出されるものです。これと死亡届、そして火葬許可の申請書を自治体の役所などに提出すると、火葬許可証が発行されます。
これがなければ火葬を行うことができませんから、葬式・告別式に先立って提出する必要があります。 火葬許可証については、「実際に火葬を行う人間でなければ届けられない」としているところもありますが、葬儀会社の人間が代行して申請を行える自治体もあります。
このような場合は、葬儀会社の方から「代行します」として進めてくれることが多いかと思われます。その場合は、求められる書類を渡せば、万事良いように手配をしてくれるはずです。 なお、火葬をした後は、火葬許可証と一体になっている「埋葬許可証」が手元に戻って来ることになります。これは埋葬を行うときに必要になるため、手元にきちんと保管しておかなければなりません。
なお、埋葬許可証は骨壺と一緒に保管しておくと紛失の心配もなく、安心です。骨壺は多くの場合骨壺を入れる袋とともに渡されますから、その袋の中にいれておくとよいでしょう。
埋葬許可証を万が一失くしてしまった場合は、自治体の役所で再発行してもらうことが可能です(火葬許可証については、発行→利用までの期間が極めて短いため、紛失する心配はないかと思われます)。
ちなみに、火葬許可証は絶対必要なものですが、埋葬許可証の方は「使わない」という選択肢をすることは可能です。たとえば、手元でずっと供養していきどこにも納骨しない……といった弔い方法を選んだ場合は、埋葬許可証を使うタイミングが生まれません。
もっともこのような場合も、「手元供養をしていた人が亡くなったら一緒に納骨する」とされることもありますから、きちんと保管しておいた方が安心です。
焼骨にはピンクや緑など色がつくことがある
火葬した後のご遺骨(焼骨)には、ときどきピンクや緑の色がつくことがあります。
これは時々見られるものでありご遺族を驚かせることもありますが、「なぜ色がつくのか」の原因はわかっていません。 考えられる原因として、
- 副葬品(花など)の色が焼骨に移った
- ペースメーカーなどの色が出た
- 体内にある銅や鉄などの影響
- 生前に服用していた薬
- 生前、特定の病気にかかっているとそれが色になって出てくる
などが挙げられています。 ただ、これのなかのどれが正しいと言い切ることはできません。専門家の間でも見解が分かれていて、結論を見ていないのが実情です。
現状としては、「このような理由によるものかもしれない」という程度の推測に留まっています。 焼骨に色が残ると遺族としては気になるものですが、答えが出ない議論でもあります。「そのようなことが起こり得る」という程度に考えておくほかはないでしょう。
葬儀後から遺骨を引き取るまでの流れ
焼骨後のご遺骨は、非常に重要なものです。ここでは、「葬儀の後にどのような手順を経てご遺骨が手元に来るのか」を見ていきましょう。
- 葬式・告別式で棺に花などを入れる
- 出棺~火葬場への移動
- 火葬場に到着、炉の前で読経
- 焼骨が終わるのを待つ
- 収骨
- 会場に戻り繰り上げ初七日法要を行う
- 精進落としの席で食事をとる
- ご遺骨を持って自宅に帰る
それぞれの工程を詳しく説明していきます。なお、ここでは仏式の葬儀を想定しています。
1.葬式・告別式で棺に花などを入れる
葬式・告別式のお別れの儀式で、お花などを入れます。通夜になる前に副葬品を入れることもできますが(大きめの副葬品は、このときに入れておくとよいかと思います)、お花や手紙などはこのときに入れます。
なお、昔は「写真を入れてはいけない、写真に写っている人が連れていかれてしまうから」とされていましたが、現在では「あの世にもみんなの思い出を連れて行ってほしい」ということで入れる場合もあります。
ただし、アルバムは焼け残る可能性があるので、写真を入れるのであればバラした状態で入れるようにしてください。 お花は、家族や親族が中心となって入れます。葬儀会社によっては、参列者にも積極的に入れてもらうというスタンスを取っているケースもあります。
2.出棺~火葬場への移動
出棺します。霊柩車に棺を入れて、遺族も乗り込みます。ただし霊柩車には定員がありますから、人乗り切れない場合はマイクロバス(親族が乗り込むことが多い)に分乗します。また、自家用車で移動する場合もあります。
3.火葬場に到着、炉の前で読経
火葬場に到着すると、最後のお別れが炉の前で行われます。読経が行われるケースもあります。これが「肉体をとどめた故人との最後のお別れ」の場面です。悔いのないようにお別れを告げましょう。
炉に入れられたのち、火葬のスイッチを入れます。このスイッチを入れるのは火葬場の職員であるのが基本ですが、まれに喪主が務める場合もあるようです。
4.焼骨が終わるのを待つ
焼骨が終わるまで待合室で待ちます。焼骨にかける時間は45分程度~2時間程度です。一個人の経験によるものですが、1時間~1時間半ほどで焼骨が終わるケースが一番多かったように思われます。
この間は、待合室で軽食などをとりながら待ちます。軽食はおにぎりなどの少しボリュームがあるものが出されることもありますが、お菓子やお茶などのもっと軽いものが振る舞われることが多いかと思われます。
また、このときに振る舞われるお菓子には、供物で出されたお菓子をばらしたものが選ばれることもあります。
5.収骨
焼骨が終わると、火葬場のスタッフが声をかけてきます。収骨室に移動して、収骨(しゅうこつ。ご遺骨を集めて骨壺に入れること)を行います。収骨は「骨上げ」とも呼ばれます。
2人で箸を持って遺骨をつまみ、骨壺に納めていきます。また、収骨の際は、足から納めていき最後に頭蓋骨で蓋をするのが一般的です。骨を納めているときに、骨の簡単な説明(特にのどぼとけ)が行われることもあります。
ただやり方はそれぞれの火葬場で違いが見られますから、火葬場のスタッフの案内に従うようにしてください。
6.会場に戻り繰り上げ初七日法要を行う
収骨が終わった後骨壺に蓋をして、骨壺袋に包みます。多くの場合、この後に再び葬儀会場に戻ることになります。葬儀会場では繰り上げ初七日法要の準備が整えられていますから、そこで繰り上げ初七日法要を行います。
本来初七日法要は7日目に行う法要でしたが、現在では
- 遠方に住んでいる人も多くなった
- 1週間後に休みを再度とるのが難しい
などの事情で、火葬を行った後に繰り上げて行われるケースが増えています。
なお、「繰り込み初七日法要」と呼ばれるものもあります。こちらは告別式の後に初七日法要を済ませてしまうもので、再度葬儀会場に戻って来る手間を省くことができるものです。
ただ、繰り上げ初七日法要と比べてこちらの方はそれほどメジャーではありません。繰り上げ初七日法要とは異なり、「焼骨後のご遺骨もない状態で初七日法要まで行うこと」に対する抵抗感があるからだと思われます。
7.精進落としの席で食事をとる
繰り上げ初七日法要が終わったら、精進落としの席で食事をとります。精進料理から通常の料理への切り替えも、かつては四十九日の忌明けに行われるものでした。
しかし現在はこれも火葬を行った日に行われるものに変わりつつあります。葬儀会場の別部屋(同じ部屋のときもあります)に精進落としの席が用意されることが多いかと思われますが、場所を移し、ほかのレストランなどでとることもあります。
ある程度のタイミングを見計らって、喪主が挨拶をします。それをもって、精進落としの席がしまわれます。
8.ご遺骨を持って自宅に帰る
精進落としの席が終わったら解散です。ご遺族は、遺影と骨壺、位牌を持って家に帰ります。葬儀会社のスタッフによって後飾りが設けられますから、そこに、持ち帰った遺影・骨壺・位牌を置きます。
これは
- 仏教の葬儀で
- 通夜と葬式・告別式を行うもので
- 一般葬
を想定した工程です。家族葬の場合はほかの参列者による花入れは当然ありません。
また、直葬(火葬式)の場合は葬儀も挙げませんし、読経も行われないケースが多いかと思われます。加えて初七日法要や精進料理の提供も省かれることが多いでしょう。
焼骨をお墓などに収めることを納骨という
持ち帰ったご遺骨(焼骨)の供養の方法は、ご家庭ごとで異なります。焼骨の供養方法は、大きく分けて以下のように分けられます。
- 納骨堂やお墓に納める
- 樹木葬などにする
- 海などに散骨する
- 手元供養をする
もっともメジャーなやり方は、おそらく1でしょう。
納骨堂やお墓に納める
一般的に、これを指して「納骨」と呼ぶことが多いかと思われます。納骨堂やお墓にご遺骨を納めるものであり、その後は仏壇や納骨堂・お墓に手を合わせていくことになります。
納骨を行う際には「納骨式」という宗教的儀式がとられることも多いといえます。 納骨は、「○日までに行わなければならない」というものではありません。
四十九日法要に合わせて行うケースがよく取り上げられますが、「お墓がないので、墓地も墓石も買わなければならないし仏壇もない」という場合、四十九日ですべての工程を終わらせるのはなかなか大変なものです。
また、心情的なしがらみもあり、四十九日をずっと過ぎてから(一周忌など)を行う場合もあります。 納骨堂にしろお墓にしろ、一から購入するのであれば決して少ない出費ではありません。金額の面も考慮して、どのような弔い方・どのような施設を選ぶかを検討していかなければならないでしょう。
樹木葬
②は、山~公園の墓地に、木をシンボルとしてご遺骨を埋葬する方法をいいます。骨壺ごと入れるケースと、骨壺から出して埋葬する方法があります。前者の場合は骨壺を取り出して改葬したり合葬したりすることができますが、後者の場合はできません。樹木葬を選ぶ場合は、特にここの選び分けが重要です。
海などに散骨
③の方法を取る場合、焼骨後のご遺骨を細かく砕く必要があります。パウダー状になったご遺骨を海に撒いて弔いとします。この場合、当然ご遺骨はもう取り出すことはできません。また、散骨をする場合はクルーザーなどを使う必要があります(業者にすべてお任せすることもできます)。
手元供養をする
④の場合は、納骨や散骨をせずにずっと手元で供養していくことになります。
分骨とは
分骨は、焼骨後のご遺骨を2か所以上に分けて供養していく方法をいいます。
たとえば、半分を実家に渡して残りを配偶者が持っているというかたちであったり、3分の1をお寺に3分の1を手元に3分の1をお墓に納めたり……といったかたちをいいます(分量に関しては、必ずしも等分にしなければならないということはありません)。
分骨は、「亡くなった人の体を2つに分ける」「魂と体が別たれてしまう」という考え方から忌避する人もいます。しかしながら実際にはこのようなことはないと考えられています。また、お釈迦さまのお骨も分骨されて納められています。
ただ分骨は、するにせよしないにせよ、遺族や親族でしっかり話し合ってやっていかなければならないものでもあります。特に、「半分をA墓地に、半分をB寺に納骨する」という場合は、分骨用の火葬証明書が必要になります。
最初から分骨をすると決めているのであれば、葬儀会社のスタッフに相談するとよいでしょう。 なお、「半分をA墓地に納めるが、残り半分は手元で供養する」という場合は、分骨証明書は必要ありません。ただし、手元で供養していたご遺骨を将来的にどこかに納める場合は、分骨証明書が必要となります。
手元に骨壺を置いておく人もいる
意外に思われるかもしれませんが、納骨は「○年以内に行わなければならないもの」ではありませんし、そもそも「絶対に行わなければならないもの」でもありません。
納骨をせずに手元にずっと置いておくこともできます。 「遺骨をお墓に納めてしまうと、本人がいなくなるようで寂しい」という場合は、このような方法をとってもよいでしょう。
なお、「納骨をしないと死者が浮かばれない」などの意見も聞きますが、このようなことはないので安心してください。
現在は、ご遺骨をアクセサリーにしてずっと身に着けられるようにする商品も打ち出されています。遺骨を入れたペンダントもあれば、遺骨をダイヤモンドに加工したものもあります。
値段もデザインもさまざまですが、どれもぱっと見ただけではご遺骨だとわからないようになっています。そのため、日常的なアクセサリーとしても使いやすいでしょう。なお、加工段階で、焼骨を細かく砕く必要が出てくる場合もあります。
まとめ
焼骨とは、「焼き上がった後の骨(ご遺骨)」もしくは「故人を焼くこと(火葬)」のいずれかを指します。
日本では99パーセント以上の人が火葬を選び、焼骨を収骨しています(一部の例外はあります)。
火葬は、死後24時間以降に行われます。また、焼骨の際には火葬許可証が必要です。場所によっては自分自身で手配をする必要がありますが、葬儀会社に任せられるところも多く見られます。
葬儀後出棺し、火葬炉の前で最後のお別れをし、45分~2時間程度の時間をかけて焼骨されます。その最中は、控え室で軽食などをとりつつ待ちます。
その後収骨を行いますが、このときに骨に緑色などの色素沈着が見られる場合があります。なぜこのようなことが起こるかについては諸説あり、原因は断定できません。
収骨が終わったら、葬儀会場に戻ってきて繰り上げ初七日法要や精進落としの席に参列することになります。
解散後、ご遺骨と位牌、遺影は後飾りに飾られます。 収骨後骨壺に納めたご遺骨は、お墓などに納骨したり、海洋葬で散骨されたり、手元供養されたりというかたちで供養されていきます。
供養のかたちのひとつとして「分骨」がありますが、これはご遺骨を2か所以上に分ける方法をいいます。
片方を実家に片方を配偶者の手元に置いておいたり、片方をお墓に入れて片方を手元で供養していったり……と、さまざまな供養のかたちをとることが可能です。
焼骨~収骨までの過程は多くの日本人が辿る過程であるため、このときにもめる可能性はそれほど高くないと思われます。しかしその後の供養のかたちについてはそれぞれ考え方が異なる場合もあります。
家族・親族間の考えが一致しないのであれば、しっかり話し合って決めていきたいものです。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
日本は世界一を誇る火葬大国です。墓地、埋葬等に関する法律で、墓地や火葬について規定されていますが、実は土葬は法律で禁じられているわけではありません。しかし、環境や衛生面から多くの行政は火葬を推奨しているのが現状で、特に東京都(一部を除く)や大阪府などでは条例で土葬を禁止しています。
火葬した遺骨は、足から順に骨壺に納め、最後に喉仏と頭蓋骨を入れます。喉仏は首の前方にある突起のことですが、これは軟骨のため火葬するとカタチはなくなります。焼骨でいう喉仏は背骨を構成する首の骨で後ろ側に位置しています。喉仏は、結跏趺坐する形、つまり座禅をしているカタチにたとえられ、尊ばれています。