家族葬における通夜ならではの特徴・マナーや注意点

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近年は葬儀のかたちも多様化しています。また、「小さな葬儀」を希望する人も多く、「家族葬」を選ぶ人も増えてきました。家族葬は、流れは通常の一般葬と大差ありませんが、参列者が喪主・ご家族に呼ばれた人のみで少ない傾向にあります。

今回はそんな家族葬のなかでも、特に通夜について注目します。

こんな方におすすめ

  • 家族葬の通夜にはどんな特徴がある
  • 家族葬に参列するときのマナーは
  • 家族葬の通夜に参加するのはどんな人

について、詳しく解説していきます。

記事を読んでいただくことで、マナーを守って家族葬の通夜に臨むことができるでしょう。

この記事の目次

  1. 家族葬でも通夜は基本的には行う
  2. 家族葬の通夜の流れと目安時間
  3. 家族葬の通夜は招かれた人が参加する
  4. 【参列者側】家族葬の通夜当日におけるマナー
  5. 【喪家側】家族葬の通夜に招待する時の注意点とマナー
  6. 【喪家側】家族葬の通夜当日におけるマナー
  7. まとめ
  8. 監修者コメント

家族葬でも通夜は基本的には行う

家族葬の場合、基本的には通夜を執り行います。

しかし場合によっては、通夜が省略されることもあります。これは、「家族葬を考える人は、そもそも『小さなお葬式』を希望しているから」という理由によるものです。

家族葬で通夜を省略する場合は、以下の2パターンのうちのどちらかです。

一日葬…通夜を省き、翌日の葬儀・告別式のみを行う方法です。多くの場合、僧侶がお経をあげます。

直葬…「火葬式」とも呼ばれます。もっとも簡潔な葬送形態であり、通夜も葬儀・告別式も行いません。火葬炉の前でお別れをし、そのまま火葬をします。

詳しい説明は下記をご参照ください。

一日葬について

直葬について

ただし、一般的に「家族葬」といった場合は、「通夜もあり、翌日には葬儀・告別式もある形態」を指すことになります。

これは一般葬とほとんど変わらないかたちであり、通夜や葬儀・告別式の流れも一般葬に準じます。違うのは、「家族葬の通夜の場合は、ご家族が声を掛けた人しか参列できない。そのため、総じて家族葬の場合は小さな葬儀になりやすい」「供物や供花、香典返しや返礼品について省略する傾向にある」などの点だけです。

今回は特筆しないかぎり、「通夜を行う家族葬」について取り上げていると考えてください。

家族葬の通夜の流れと目安時間

ここからは、家族葬の流れとかかる時間の目安を見ていきましょう。

    1. 一同着席・僧侶入場
    2. 読経
    3. 焼香
    4. 法話
    5. 僧侶退場
    6. 喪主挨拶
    7. 通夜振る舞い

通夜についてより詳しく知りたい人は「お通夜の全てがわかる!意味・流れ・マナーなどを紹介」をご覧ください。

家族葬の通夜にかかる時間は、1時間程度です。一般葬の場合は1時間半~2時間程度ですが、家族葬の場合は参列者も少ないため、所要時間も短くなります。

特に「焼香」にかかる時間が短いのが、この「所要時間の短さ」に関わってきます。

喪主の挨拶が終わった後は、通夜振る舞いの席に移動します。通夜振る舞いは、遺族・親族控室で行われることが多いといえます。

なお現在はいわゆる「寝ずの番」務める必要はなくなりました。ロウソクは電熱式のものが使われていますし、ご遺体も安全な状況で安置することができるからです。ただし、「寝ずの番をしてはいけない」ということでもないので、希望する場合は交代で番を務めるとよいでしょう。

家族葬の通夜は招かれた人が参加する

家族葬の通夜の場合、招かれていない人は一般的に参加しないのがマナーです。

そもそも家族葬では、大々的に周りの人に対して「葬式を行うこと」を告げることはありません。親族や家族などの、「来てほしい人」に対してだけお知らせがいくものです。そのため、「近所なので亡くなったことがわかった。お世話になったのでお伺いしたい。」と考えた場合でも、ご家族からの案内がなければ参加するべきではありません。

参列するかしないかの判断基準

「職場に『父が亡くなった』という通知が送られてきた(あるいは自分が上司の立場で、部下から相談された)」などのようなケースもあります。身内を失くした人は、職場や学校に忌引きの申請をしなければならないため、「亡くなったこと」は通知することになるのです。

この場合訃報に日時や場所の詳細が記載されていたり口頭で告げられたりすれば、参列しても良いと考えるのが妥当です。

逆に詳細がなければ参加してはいけません。

また、人づてに聞いた場合も参加しない方がよいでしょう。

「直接声を掛けられて、招かれている」という状況ではない限りは、参加は控えるのが一般的な常識です。どうしても迷ったのであれば、喪主に確認するようにしてください。なおこれは、通夜であれ葬儀・告別式であれ変わらないマナーです。

どうしても弔意を示したい場合は、弔電や、後日の弔問を検討します。

次の項目からは、親族が参加する場合の正しいマナーについて紹介していきます。

【参列者側】家族葬の通夜当日におけるマナー

家族葬の通夜であっても、基本的には一般葬の場合とマナーは変わりません。

ただ家族葬の場合は一般葬に比べて、より色濃く、「喪主・ご家族の意向」が反映される傾向にあります。たとえば一般葬では(特別な例を除き)「普段着で来てください」などと言われることはありません。しかし家族葬の場合は、「いつもの服装で」などのように言われることもあります。

一般葬でも家族葬でも最優先すべきは喪主・ご家族の意向ですから、これを一番重要視しましょう。

なお、あくまで「傾向」ですが、家族葬の場合は比較的「楽な服装で」と言われることが多いようです。

ただ、そうは言っても、これは「喪主・ご家族の意向が示されている場合」の話です。特段何も言われていない場合は、やはり「一般葬のマナー」を守るのが最善です。

服装のマナー

喪主・ご家族から特に指定がない場合は、略喪服で行くようにします。略喪服について解説していきます。

【男性】

 ダークグレーのスーツなどを選びます。シャツは白とし、ネクタイは黒無地を選びます。靴や靴下は黒色とします。金具のついていない、ひも付きの黒の靴を選ぶようにします。ネクタイピンやカフスボタンは使わないのが基本ですが、葬儀用の真珠のついているものならばつけても構いません。また、結婚指輪はしていても問題ありません

【女性】

グレーや紺色などのワンピース・アンサンブル・スーツを選びます。生地は無地のものがもっとも無難ですが、織り柄が入っているものや、目立たないチェックなどが入っているものも許容されます。

靴や鞄は、黒くて金具のついていないものを選びます。布製のものがベストでしょう。ストッキングの色は、透けすぎない黒いものを選びます。肌色もOKとされることもありますが、黒色が無難でしょう。

ヘアアクセサリーは、黒いリボンやバレッタなどを選びます。

【子ども】

制服にします。制服は、子どもにとってもっとも格の高い正装だからです。小さなお子さんは、黒や紺の服がベストですが、パステルカラーも許容されます。

不祝儀は念のため準備する

家族葬のときに迷うのが、「不祝儀を用意するか、それともしないか」でしょう。家族葬について調べたことのある人ならば、「家族葬では不祝儀は受け取らない」と見たことがあるかもしれません。

不祝儀辞退の場合は、挨拶状や案内状、あるいは口頭でそのような案内があります

「誠に勝手ながら、故人の遺志により、御香典は辞退させていただきます」などのような一文が添えられていることが多いといえます。

そのため、このような案内がなければ持っていくようにします。

金額・表書き・水引の種類などは一般葬の場合と変わりありません。渡し方も変わらず、受付で受付の人にお渡しするようにします。

もし受付で固辞されたのならば、無理に渡すことはせずに片付けるようにします。無理にお渡しすると、相手に「お返し」の気遣いをさせてしまうことになるからです(「香典辞退」は、香典返しの手間を省くためという理由もあります)。

不祝儀を直接渡せない場合

「家族葬ということなので通夜には出ないが、弔意は示したい」

「招かれていたけれど体調不良で参加できない」

というときには、後日弔問に伺ったり弔電を打ったりして対応することにします。

また不祝儀を郵送したり、代理の人に持っていってもらったりする場合もあります。

郵送の場合、現金書留で送るようにし、一筆添えます。なるべく早く送るようにしましょう。会場あてに送っても構いません。そのときは、「気付」として喪主名を添えるようにします。

※普通郵便で送ってはいけません。郵便法で決められています。

代理人に頼む場合、本人の名前を書いた不祝儀袋を用意します。託された人は、記帳のときに不祝儀袋に書かれた名前を書き、横に「(代)」として自分の名前を添えるようにします。

供花と供物は指示に従う

「供花と供物」は、一般葬同様、確認をしてから出す・出さないを決めます。家族葬の場合は、「供花・供物辞退」とするところも多いので特に注意が必要です。

また、「家族葬には呼ばれていないが弔意を伝えたい」「家族葬なので参列するつもりはないが、会社側として無視の姿勢を貫いていいものかどうか迷う」という人は多いといえます。

この場合は「供花や供物を出す」といった選択肢があります。供花とは祭壇周りに飾るお花であり、供物とは祭壇(故人)に捧げる物(乾物類や果物、缶詰などが多い)をいいます。

供花と供物をささげる場合は、葬儀社に相談するのが基本です。葬儀社側で一括して頼み、統一感を出すことが多いからです。10,000円~20,000円が相場です。

ただし家族葬の場合、「供花や供物を送っていいのか」も葬儀会社(極めて親しい間柄なら喪家でも良い)に確認してください。供花や供物は、頂いた場合お返しが必要となるものです。またスペースもとるため、小さな式場で行う家族葬の場合は供花や供物を受け取らないことも多いのです。

供花や供物を受け入れるかは挨拶状に書かれていることが多いため、まずはこれを確認するようにしてください。挨拶状に「供花や供物を辞退する」旨が書かれていたのなら、送ることはやめます。また、書かれていない場合でも勝手に送ることは避け、葬儀会社に問い合わせをして喪主・ご家族の意向を確認するようにしてください。

弔電は、基本的には送ってしまって構わない

供花や供物と似たものとして、「弔電」があります。これは電報を使って弔意を伝えるものです。多くの葬儀の場合、「頂いた弔電を読み上げる時間」が設けられています。

弔電はその性格は供花や供物と似ていますが、「送っていいかどうか」の判断が供花や供物とはまったく異なります。

弔電の場合、挨拶状に明確に「弔電も辞退する」という旨が記載されていない限りは送ってしまって構わないのです。

これは弔電の場合は供花や供物とは異なり、「お返しが必要のないものであること」が大きく関わっているといえます。弔電を頂いた方はお礼の挨拶状(ハガキ1枚)を送るだけでよく、お金をかけて物品を返す必要がないのです。また弔電は供花や供物とは違い、場所をとることもありません。そのためスペースに限りのある家族葬であっても送ることができるのです。

弔電の相場は、3,000円~5,000円です。現在は弔電にもバリエーションがあり、お香などをセットにしたり、台紙に凝ったり、オリジナルのメッセージを入れられるようになったりしているものもあります。弔電はできる限り早く届ける必要があります。通夜までに届くように手配するのが理想です。訃報を受けたらすぐに出しましょう。

【喪家側】家族葬の通夜に招待する時の注意点とマナー

ここからは、家族葬の通夜に参列するときの「喪家側のマナー」について紹介していきます。

「限られた人しか参列できない」という点は大きな違いですから、その旨をちゃんと伝え、訃報を受けた相手を戸惑わせないように配慮する必要があります。

参列してほしい人へはっきり伝える

まず、参列してほしい人には「家族葬を行うが、参列してほしい」旨をしっかりと伝えるようにします。

葬儀は特段の事情がない限りは、故人が旅立ってから日を置かずに行うものです。このため参列してほしい人に対しては、メールもしくは口頭(電話)、あるいはファックスなどで案内をすることになります。原則として手紙やハガキは使いません。

このときには

    • 家族葬を行う会場
    • 家族葬を行う日時
    • 喪主名
    • 電話番号
    • 家族葬でお見送りをする旨
    • 不祝儀や供物、供花に対する考え(必要があれば。特に辞退する場合ははっきりと明記する必要がある)

などを記載します。「詳細が書かれていなければ参列しない」という常識はあるものの、これだけでは「自分にお声が掛かっているかどうか判断できない」と悩む人も多いことでしょう。このため、参列してほしい人には「お時間お繰り合わせのうえ、御参列いただければ~」などのように案内を添えるようにします。

職場へは「家族葬であるため身内で行う」ことを伝える

近所の人などに対しては、「知らせない」という選択肢をとれば事足りることが多いといえるでしょう。ただし「町内会のつながりが非常に密であり、だれかが亡くなった場合は代表者が出席して不祝儀を持っていくことが慣習化している」などの場合は、町内会長などの代表者にだけは伝えておく必要があります。このあたりは、住んでいるところのしきたりや慣習に添って判断するとよいでしょう。

職場や学校に対しては、忌引きをとる都合もあり、まったく告知しないというわけにはいきません。

職場や学校に訃報を告げる場合は、「家族葬であるため、身内でお見送りをします」とします。また、「御参列はご辞退申し上げます」などのように言い添えるようにしてください。こうすることで相手も、「出ないなど不義理だろうか」と考えなくて済むようになります。また、訃報を伝える際には、日時や場所などの詳しい情報は伝えないようにします。

不祝儀や供物・供花の辞退ははっきり伝える

不祝儀や供物・供花の辞退の意向も、はっきりと伝えるようにしてください。これを伝えないと、参列者や弔意を伝えたい人はどのように対応したらいいかわからなくなってしまいます。

訃報に、「不祝儀や供物・供花は辞退する」という旨を添えるようにします。

弔電に関してはお返しは必要ありません。ハガキでお礼にかえることができます。このため基本的には受け取ってしまってもよいでしょう。弔電も断りたいという場合は、「不祝儀や供物・供花は辞退する」に合わせて「弔電辞退」の旨も書き添えておいた方がベターです。

新型コロナウイルスの影響で参列者は少なくなる傾向にある

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、私たちの生活を大きく変えました。

この新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、葬儀も参列者が少なくなっている傾向にあります。「今までの状況ならば一般葬で行っていたと思うが、新型コロナウイルス(COVID-19)下なので家族葬を選択する」というご家庭も増えています。家族葬は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染リスクを抑えられるでしょう。また周りの人にも家族葬で行うことの理解を求めやすいといえます。

ただ、「家族葬への参列をと促されても、ハイリスクの状態なので参列ができない」などのような事情を抱える人も出てきています。通夜振る舞いを含めて「会食」を行わないようにしているご家庭もありますし、オンラインで葬儀を行うことを選択するご家庭もあります。葬儀会社もできるかぎりの対策をとっていますが、個々の状況を踏まえて葬儀を行っていく必要があるといえるでしょう。

「喪主や家族にハイリスクの人がいる」という場合は、特に綿密な打ち合わせが必要です。新型コロナウイルス(COVID-19)下でもできる葬儀のかたちを模索していきましょう。

※詳細な対策は各葬儀社に確認してください。

【喪家側】家族葬の通夜当日におけるマナー

「家族葬における通夜のマナー」は、「通夜を行う前日までのマナーや行うべきこと」以外にもチェック事項があります。

それが、「家族葬の通夜当日におけるマナー」です。

家族葬は比較的狭い範囲の人を招いて行うものですが、それでも守るべきマナーはあります。

「同居する家族だけで見送る通夜」などの場合は、「あえて今までと同じような格好で送りたい」「いつもの日常のようなかたちで故人の旅立ちを見守りたい」などの意向で、まったくの普段着でお見送りすることもあります。

しかし今回は「親族を招いて行う家族葬の通夜」を想定しています。

服装のマナー

家族葬の場合、喪主や家族は一般的に準喪服を着用することになります。

【男性】

ブラックスーツに白いYシャツを合わせ、黒の靴と黒の靴下を合わせます。アクセサリーは、葬祭用のネクタイピンや結婚指輪なら可とされていますが、「着けない」を選んでも問題ありません。

【女性】

ブラックフォーマルを着用します。夏場でも七分丈程度以上のものが望ましいでしょう。ネイルは基本的に落とし、化粧は薄付きにします。ラメ入りの化粧などは避けるようにします。口紅は、塗るのならば薄い色にします(「片化粧」の考えもあるため、つけなくても問題ありません)。

アクセサリーは、着けるのであれば真珠の一連のネックレスにします。結婚指輪と真珠の耳飾りは着けていても構いません。黒いストッキングと黒い靴、黒い鞄を合わせます。

【子ども】

制服を着用します。着崩さないように注意してください。制服がない場合は、制服に似たデザインのものを選びます。


※なお、家族葬の通夜の場合は、喪主・家族であっても、準喪服ではなく略喪服を着用する場合もないわけではありません。ただし略喪服はもっとも格が低い装いですから、一般的には準喪服が選ばれるでしょう。

お布施の考え方と金額、渡し方について

家族葬でも、僧侶を招きお経をあげてもらうのならばお布施を包むことになります。今回は「通夜もあるし、葬儀・告別式も行う」という前提で話していますから、この場合のお布施の相場は30万円~60万円といったところです。これは、いわゆる「一般葬」と変わりません。なぜなら僧侶がお経をあげる回数は一般葬と変わらないからです。

もっとも、一般葬でも規模が大きいものになると、僧侶の数が増えることになります(最大で7人程度、比較的よく見るのは3人程度まで)。その場合はさらにお布施の金額もかさみます。家族葬の場合、僧侶が2人以上臨席するということはまずありませんから、その意味ではお布施の金額は抑えられるといえます。

お布施は繰り上げ初七日法要(火葬当日に行われる。多くの場合、火葬場から帰還~会食の前に行われる)の前後に渡すのが一般的です。ただこの「タイミング」は状況によって異なりますから、「絶対にこのタイミングで渡さなければならない」というものではありません。

白い封筒にお金を包み、お盆などにのせてお渡しします。また、車代や御膳代が必要になることもあります。

お布施は「葬儀費用」ではありません。このため必ず喪主から僧侶に手渡しするようにします。

不祝儀を受けとった・受け取っていないが出ないようにする

「不祝儀辞退」としていても、不祝儀を持参してくる人はいます。その場合は、受付でしっかりと断りましょう。「ある人から受け取って、ある人からのものは断る」としてしまった場合、後で大きなトラブルに発展する可能性があるからです。

少し解説をしていきます。

家族葬の場合、「不祝儀辞退」とするケースも多いかと思います。不祝儀を辞退することで、

  • 参列する人の金銭的負担を減らせる
  • 香典返しを用意する手間と費用をカットできる

というメリットがあるからです(ただし金銭面のことだけを言えば、不祝儀を受け取った方が良い場合もあります。香典返しはあくまで「頂いた金額の2分の13分の1程度」を返すものだからです)。

不祝儀を辞退する場合は、訃報を告げた時点で「不祝儀は辞退する」旨をしっかりと伝えるようにします。

また、受け取ってしまった場合は香典返しを用意する必要も出てきます。

ちなみに「通夜や葬儀・告別式のときに、香典不要と伝えておりまたそのスタンスを貫いた」という場合は、後日弔問を受けた場合も同じように対応するのが基本となります。逆に、「通夜や葬儀・告別式のときでも香典を受け取っていた」場合は、後日の弔問のときにも受け取って構いません。

家族葬と返礼品~返礼品は家族葬の場合省略されることもある

「返礼品(会葬御礼、粗供養とも)」とは、「香典返し」とはまた異なるものです。香典返しは不祝儀を渡してくれた人に対して渡すものですが、返礼品は通夜や葬儀・告別式に参列してくれた人すべてに渡すものです。

かつて、「通夜の返礼品」は「通夜振る舞いに参加しなかった人」に対して渡していたのですが、現在は通夜振る舞いに参加した人にも渡すようになりました。

家族葬における返礼品は、以下のいずれかのパターンをとります。

  1. 家族葬でも返礼品を渡す
  2. 家族葬ということなので返礼品は省略する
  3. そもそも返礼品は基本的に取り扱っていない

どれが良いか・悪いかは判断するものではありません。それぞれの考えの元で決めていくとよいでしょう。

なお香典返しに関しては、不祝儀を頂いた場合は(返礼品とは異なり)必ず用意します。しかし働き盛りの夫が亡くなったので、頂いた不祝儀は遺児の育成に使う」「故人の希望により寄付する」という場合は、「香典は受け取っても香典返しはしない」とすることもできます(ハガキでお礼を述べる必要があります)。

意図しない人が来てしまったときの対応方法とマナー

家族葬は、基本的には「喪主やご家族が招いた人しか参列しない葬儀」だといえます。また自分が参列者の立場の場合、声を掛けられなければ参加してはいけません。

ただ、なかには「家族葬であること」をあまり理解せず(あるいは理解していても)葬儀式場に足を運んでくる人もいます。

このような場合の対応ですが、足を運んでくれた人を追い返すようなことはしないのが普通です。弔意からくる訪問ですから、会場に招き入れ、一緒に手を合わせてもらうのが常識的な対応だといえます。

ご家族にとってはとまどいも大きいかと思われますが、善意での行動だと理解して受け入れるようにしましょう。なお不祝儀に関しては、受け取るにしても受け取らないにしても一貫した態度を貫くようにしてください。

ここまで、家族葬における通夜のルールとマナーについてみてきました。一般葬との違いもありますが、進め方や服装については共通する部分もあります。最後に家族葬の通夜についてまとめていきますので、要点の確認に使ってください。

まとめ

▽家族葬の通夜の流れ

  • 家族葬の通夜は省略されることもあるが(一日葬や直葬)、行われる場合は一般葬のやり方や流れと変わらない。
  • ただし参列者の数が少なくなることが基本なので、やや短めになる。

▽家族葬の通夜は招かれない限り基本的には参列しない

  • 家族葬の通夜(や葬儀・告別式)に参列できるのは、招かれた人だけである。
  • 訃報を受けても、詳細な日時が書かれていない限りは参列しない。また「家族葬なので」と言われた場合も原則遠慮する。どうしても判断がつかない場合は確認をする。
  • なお、自分が喪主側の立場のときに「声を掛けていない人」が来た場合は、断ることはせず受け入れる。

▽家族葬の通夜のマナー(参列者側)

  • 基本的には略喪服で参列する
  • 「不祝儀辞退」の意向が示されていない場合は、不祝儀を持っていく。固辞された場合は無理に押し付けない。
  • 「呼ばれているが体調の問題でどうしてもいけない」という場合は、郵送で不祝儀を送ったり代理人に託したりする。
  • 供物や供花を贈りたい場合は、受け入れているかどうかの確認をする。弔電は、断りがない限りは送っても構わない。

▽家族葬の通夜のマナー(喪家側)

  • 家族葬であることをしっかり告げ、参列してほしい人にははっきりと伝える。
  • 供物や供花、不祝儀を辞退する場合も、その意向をはっきりと示す。
  • 不祝儀を受け取らない場合は、「だれからのものであっても、例外なく受け取らない姿勢」を貫く。
  • 服装は準喪服が基本だが、略喪服が選ばれることもある。
  • お布施の金額は一般葬に準じる。

現在は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行もあり、「小規模な通夜や葬式・告別式」に注目が集まっています。しかし「守るべきマナー」はあるので、しっかり確認しておきましょう。

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監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

そもそも家族葬とはどれくらいの規模のことを言うのでしょうか。人によって異なり、家族だけをイメージする人もいれば、親戚を含めた10~20人程度をイメージする人もいます。家族葬でも50名規模の葬儀になったケースもあります。2019年に亡くなったジャニー喜多川さんの家族葬は、ジャニーズ所属のタレント150人が揃ったそうです。
ジャニーズの件は例外ですが、一般に「家族葬です」伝えられてたとき、まずは伺って良いのか直接たずねてみてはいかがでしょう。会場などを教えていただけるようでしたら伺っても大丈夫です。参列不可の場合は「十分なスペースがないので」「事情がある」等の理由で先方からお断りがあるはずです。