葬儀の受付を依頼された!どのように対応をしたら良い? そのやり方と受け答え
葬儀は、一般の参列者として参加した場合にしろ遺族・親族側として参加した場合にしろ、とても緊張するものです。
しかし、受付などの業務を依頼された場合はさらに緊張することでしょう。今回は、この「葬儀の受付」について見ていきます。
通夜での受付について知りたいという方は、「お通夜の受付での挨拶や言葉遣い、マナーについて解説!」の記事も参考にしてください。
葬儀の受付を依頼されたときの返事の仕方
葬儀の受付を頼まれた場合、「引き受けるべきか引き受けないか」という問題が出てきます。両方の対応について紹介していきます。
受付を引き受けることができる場合
受付を引き受けることができる場合は、
「この度は大変なことでした。私でお手伝いできることがあれば、もちろん引き受けさせていただきます」
などと言ってお引き受けするとよいでしょう。
電話などで打診された場合、続いて葬儀会場の案内や日時の案内があることが多いでしょう。
必ずメモにとり、場所と日時を復唱して、間違いがないかを確認してください。
また、特に持って行かなければならないものを告げられたのならばそれも忘れずに持っていくようにします。
ただ、葬儀会社を介して行う葬儀の場合、受付をするのに必要最低限なものは葬儀会社の方で用意してあるのが普通です。
やむを得ず受付をすることができない場合
「受付をしてくれないかと打診される」という段階で、すでに「引き受けてもらえることを前提としている」と考えるべきです。
冠婚葬祭のなかでも葬儀はもっとも重要度の高いものです。
よって、参列にしろ受付にしろ、打診されたのならば引き受けるのが基本です。
特に会社関係の受付の場合は、「業務」としての性格が強いので、断ることは極めて難しいでしょう。
ただ、
「病院に入院している」
「病み上がりで、とてもではないが立っていられない」
「現在海外に出張中であり、たとえ今から飛行機を手配したとしても葬儀の日には絶対に間に合わない」
というような、やむを得ない事情でどうしても引き受けられないこともあるでしょう。
このような場合は、あいまいな返事をせずに、最初の連絡の段階で断るようにしてください。
早い段階で断りを入れれば、ご遺族の方でもほかの人を見つけるために動くことができます。
一般的に、葬儀の「参列」を断る場合は、理由を明確にせずに
「この度はご愁傷さまです。お伺いしたいのですが、やむを得ない事情がありまして、どうしてもお伺いすることができません。○○さまのご冥福をお祈りしております」のように一言告げるのと遺族の気持ちに寄り添うことになります。
受付を断る場合も基本的には同じだと考えてもよいでしょう。
ただ、「遠い親族ということで頼まれた。理由も話さずに断ると、親族づきあいに支障が出そう」という場合などは、簡単に理由を添えてもよいかもしれません。
また、もし代理のあてがあるのであれば、ご遺族に軽く提案してみるのも一つの選択肢です。
葬儀の受付でよく使うあいさつ・言葉
葬儀の受付は、ご遺族・ご親族の立場になって行います。
そのため、弔問に訪れる方に対しては、丁寧に対応することが求められます。
用例を見ていきましょう。
弔問客が受付に来たときのあいさつ
弔問客が受付に着いたら、「お忙しいなか、ご参列くださりありがとうございます」などのような言葉を返します。
雨や雪のなかでの葬儀になった場合は、「お足元の悪いなか、お越しくださりありがとうございます」のようにあいさつをしてもよいでしょう。
記帳をお願いするときの言葉
受付の仕事の一つとして、「芳名帳(芳名カード)への記帳をお願いする」という工程があります。
芳名帳の場合は、受付の前に広げられていることが比較的多いと思われます。
そのため
「こちらにご記帳をお願いいたします」「お名前とご住所を、ご記入いただけますでしょうか」
などのように案内すればよいでしょう。
「芳名カードに書くかたちになっていて、受付ではなくて別のところで記載してもらう」
という場合は、
「恐れ入りますが、あちらで芳名カードにお名前とご住所のご記入をお願いいたします」
と言いながら、場所を手で示すとよいでしょう。
香典(不祝儀)を受け取るときの言葉・香典返し(返礼品)を渡すときの言葉
香典(不祝儀)を受け取るときは、「お預かりします」と言ってください。
あくまで香典を受け取るのはご遺族・ご親族ですから、「頂戴いたします」よりも「お預かりします」が適当でしょう。
必ず両手で受け取るようにします。
なお、香典を受け取るときと記帳をいただくタイミングは、前後することもあります。
香典返し(返礼品)をお渡しするときは、香典(不祝儀)を受け取った流れでお渡しすることになるでしょう。
そのため、特にお声かけはせずにお渡しすることもあります。
もしお声かけをするとすれば、「こちら、香典返しです」などのようになるでしょうか。
なお、香典返しを受付で返す場合は、香典の金額に関わらず同じものをお返しします。
本来香典は、後日頂いた金額の2分の1~3分の1くらいの品物を返すものでしたが、現在は即日返しとして受付でお渡しするケースも増えています。
余談ですが、即日返しではお返しにはならないほどの金額であった場合、後日改めてお返しすることになります。
香典を辞退するときの言葉
「小さな葬儀」のかたちがよく取り上げられるようになった現在、「香典辞退」のご意向を示されるご遺族も決して珍しくありません。この場合、受付ではどう対応すればよいのでしょうか。
ご遺族が「香典辞退」のご意向を示されている場合、受付の人間は香典(不祝儀)を受け取ってはいけません。
ご遺族が「香典は辞退する」としていても、弔問に訪れる方のなかには、香典(不祝儀)持参の人もいます。
受付で出された場合、とても心苦しく思うでしょうが、「申し訳ありません、故人(ご遺族)の遺志(意志)により、ご香典は辞退申し上げております」と丁寧に告げ、お辞儀をしましょう。
「○○さんからは受け取って、××さんからは受け取らなかった」
ということになれば、後々までもめる原因になりかねません。
また、「参列者の香典は断るが、親族の香典は受け取る」というようなかたちにしているのであれば、その点についても配慮が必要です。
ご親族が受付に来た場合は、「この度はお悔み申し上げます」などのように応じるようにしてください。
受付は、「ご遺族・ご親族側の立場」ではあるものの、「ご遺族・ご親族そのもの」ではないため、ある程度相手によって対応を変える必要もあります。
なお、葬儀会社によっては、受付の前に「香典・供物・供花は辞退申し上げます」と書いた看板を掲げてくれていることもあります。
葬儀の受付を行うときの服装について
葬儀の場は、特別な場です。
一般弔問客にも当然きちんとした格好が求められますが、受付を務める場合はなおさらです。
ただ、「受付だから」といって特別な格好をする必要はありません。
基本は、「一般の弔問客として参加するときの装い」をすればよいのです。
基本の服装
男性も女性も、ブラックスーツを着用しましょう。
男性の場合は、これに白いシャツと黒いネクタイを合わせます。
女性の場合は、黒のワンピースでも構いません。
夏場であっても半袖は避け、肌の露出を抑えるようにします。
靴下やストッキングは、黒色のものが望ましいでしょう。
女性の場合は肌色でも構いませんが、葬式・告別式の場合は「ストッキングの色は黒が基本」とされているので、黒を選んだ方が無難です。
鞄と靴、アクセサリー
靴や鞄も、黒色のものを選びます。金具がついていないものが正式です。
また、光沢が目立つエナメル素材や、「殺生」を強くイメージさせる動物の皮で作った鞄は使わないようにします。
受付は、基本的には立って行うことが多いものです(役割によっては、受付控え室で整理を行いますが)。そのため、かかとが低く、歩きやすい靴を選ぶようにします。しかし当然、運動靴などは履いてはいけません。大人ならば革靴が望ましいでしょう。
アクセサリーは、結婚指輪以外は原則として着けません。ただ、真珠だけは黒・白いずれも可とされています。これは真珠が「涙」を表す宝石だからです。
もっとも、真珠は「絶対に着けなければならないもの」ではないので、着けていかなくてもまったく問題はありません。
それ以外に着けてもよいアクセサリーとしては、「時計」が挙げられます。受付の場合、時間を管理する必要も出てくるため、着けたくなる人も多いことでしょう。
ただ、この場合も、落ち着いたデザインの時計を選ぶことが重要です。白い文字盤のものを選び、ベルトは革(黒)もしくはスチール製が望ましいとされています。
特に女性の時計の場合、ブレスレット代わりにもなるファッショナブルなものがよく販売されています。プライベートの場ならばおしゃれの一つとして活用させることができるものですが、葬儀の場では使わないようにしてください。
髪型と化粧
男性の場合は、髪色は基本的には黒色にします。また、短く整えるのが一般的です。女性の場合は少し茶色くても構いませんし、長くても問題ありません。
しかし髪の毛が邪魔にならないように、リボンなどでまとめる工夫がほしいものです。
現在は、葬儀用のバレッタやリボンなども通販で買うことができるため、一つ手元においておくと安心です。
女性の場合、「どこまで化粧をするか」という問題も出てきます。大人の女性であるならば、ノーメイクよりも軽くメイクをしておいた方がよいでしょう。
葬儀には片化粧(かたげしょう)の文化がありますから、「口紅は引かないのが正式」と考える向きもあります。
しかし口紅は化粧の基本であるため引くべきだ、と考える人もいます。
どちらの説をとるかは悩ましい問題ですが、薄い色の口紅を引くのが落としどころでしょう。なお、グロスはテカってしまい場にふさわしくないため着けません。
ファンデーションは薄く入れます。アイシャドウを使う場合は、ブラウン系がもっとも望ましいのですが、落ち着いたピンクでも構いません。また、特に入れなくても問題ありません。
チークは血色がよくなりすぎるので、原則として避けます。しかし「元々顔色が悪く、チークを入れないと人に顔色の悪さを指摘されるレベルだ」という場合は入れてもよいでしょう。また、それ以外の人であっても、頬に薄くのせる程度ならば問題はありません。
メイクアイテムはすべて、マットなものを選びます。特にラメ入りのものは避けるようにしてください。また、マスカラやつけまつげ、アイライナーなども、葬儀の場ではふさわしいアイテムとはいえません。
しかし細かいことではなく、弔事の場として派手になりすぎすぎないように、全体のバランスを考えて控えめにする意識が大切です。
葬儀の受付が行う一連の流れ
葬儀で受付を頼まれた人がやるべき仕事の流れについて見ていきましょう。通夜を基本としていますが、葬式・告別式の場合もほとんど同じ流れをとります。
1.一般の弔問客に先んじて、焼香を済ませる
受付係は、遅くても葬儀受付開始時刻の30分前、可能ならば1時間前に会場に入るようにします。
受付係は葬儀が開始した後もしばらく受付に留まることになります。
そのため、焼香のタイミングがつかめなくなってしまう場合もあります。
このようなことを考慮して、ほかの弔問客がだれもいない間に焼香を済ませることもできます。
ただこれはご遺族の了承がなければ行えませんし、葬儀会社によっては「開始してからしばらくしたら、会場の後ろの方から入ってください。
そして、ほかの参列者の方々に続いてご焼香ください」と案内しているところもあります。
事前に確認しておきましょう。
2.館内を把握して、役割を決める
受付を務めていると、トイレの場所などを聞かれることがよくあります。
また、葬儀会場によっては、「1階で××家の葬儀を行い、2階で▼▼家の葬儀を行う」という場合もあります。
参列者の人が迷うと受付の方に聞くことが多いため、館内を把握しておくことは重要です。
また、受付は複数人で行うことが基本なので、役割も決めておきましょう。
3.香典(不祝儀)やそのお返しについて確認しておく
香典(不祝儀)は受け取るのか、受け取らない場合は「どうしても」と言われたらどうすればいいのかなどを確認しておきましょう。
また、「連名で書かれた香典(不祝儀)を受け取った場合はどうするべきか」「お返しは不要と言われた場合はどうするべきか」も確認しておきましょう。
葬儀会社のスタッフに聞けば、一般的な対応を教えてくれます(ただし、あくまでそれぞれの葬儀会社の見解によるものですから、葬儀会社ごとによって見解が異なるケースはあります。また、ご遺族の意向があればそれが優先されます)。
4.訪れた弔問客の対応をする
弔問客が訪れ始めるので、香典(不祝儀)を受け取り、芳名帳に記載していただき、香典返しをお渡しします。香典(不祝儀)も香典返しも、両手で受け渡しをしましょう。
5.必要に応じて会場などへ案内する
弔問客が足を運んでくるタイミングというのは、人それぞれ異なります。
30分ほども前に来る人もいますし、時間ギリギリになってやってくる人もいます。
葬儀会社の場合はロビーが設けられていることが多いので、早めに来た人はロビーに案内するとよいでしょう。
また、すでに会場が開かれているのであれば、会場で席に着くように促しても構いません。
タイミングがわからないということであれば、葬儀会社のスタッフの案内を見て判断するとよいでしょう。
6.通夜開始
僧侶が入場し、通夜が開始されます。
受付係は開始後もしばらく受付に留まり、遅れてやってくるかもしれない弔問客を待ちます。
しばらく経つと、葬儀会社のスタッフから「中にどうぞ」などの指示があるでしょう。
それに従います。葬儀会社のスタッフからのアクションがない場合は、自分たちで聞きにいっても構いません。
葬式・告別式の場合も、通夜と同じ流れをとります。
ただ、
- 受付のカウンターがすでに用意されているため、作業に入る時間を短縮できる
- 通夜で香典(不祝儀)を出した人からは、葬式・告別式のときには受け取らないのが通例であるが、芳名帳への記載は必要と考える向きもあるので、事前にどうするかを確認しておく必要がある
などの違いはあります。
葬儀の受付で重要なこと
葬儀の受付を行ううえで、下記に挙げる4点が重要です。
- 複数人で行うこと
- 受付を担当している人間全員が、同じ対応をすること
- 遅刻は厳禁
- スケジュールなどを事前に把握しておくこと
それぞれについて見ていきましょう。
複数人で行うこと
特別な例を除き、たとえ小規模な葬儀であったとしても、受付は複数人で行うことになります。
受付は「香典(不祝儀)」という「お金」を扱う仕事だからです。
葬儀会社によって多少異なりますが、「受付控え室」が用意されていることがあります。
この受付控え室で香典(不祝儀)や芳名帳の管理も行いますが、場合によっては受付控え室で受付の人間が香典(不祝儀)をほどき、中のお金を数えることもあります。
そして、「○○さんの香典(不祝儀)は××円」というように記載していくわけです。
こうすることによって、ご遺族が、後から香典(不祝儀)をほどき金額を確認する手間を省くことができます。
「香典(不祝儀)の袋を開け、中身を出す」という工程は、やってみればわかりますが、意外なほどに時間がかかるもの。
多くの香典(不祝儀)をいただいた場合、遺族ですべてやるのは大きな負担です。
受付係がこれをやることでご遺族の負担はかるくなります。
また、即日の香典返しでは対応しきれない金額をもらった人には後日別途お返しをすることになりますが、その作業もやりやすくなります。
大きな葬儀の場合、香典(不祝儀)だけでも100万円を超えるケースも珍しくありません。
これを1人で保管・管理をするのは大変ですし、また疑惑を招きかねません。
そのため、必ず複数人で行うようにします。
大きな葬儀であればそれだけ受付の人数も増えますから、それぞれの役割分担を明確にして仕事に取り組んでいくようにします。
なお、香典(不祝儀)の中身を確認する場合でも、当然参列者の前では香典(不祝儀)は開けません。受付控え室の扉を閉めて、そこで行うことにします。
また、ある程度規模が大きい葬儀であっても、「香典(不祝儀)は一切開封せず、そのままご遺族に渡す」というやり方をとる場合もあります。
この場合でも、必ず複数人で香典(不祝儀)を管理し、盗難や窃盗に合わないようにしてください。
受付を担当している人間全員が、同じ対応をすること
葬儀の受付でしばしば問題になるのが、「受付の人間によって対応が異なったため、後々で大きな問題になってしまった」ということです。
「香典辞退」「香典返しの数」は、特に注意が必要です。
「香典辞退」というのがご遺族の意向であっても、
- 親族からは受け取る
- いかなる相手からであっても、断る
- 「どうしても」と言われた場合は受け取る
などのように、葬儀や考え方によって対応が異なってくる場合があります。
ご遺族の意向が一番に優先されますが、「受付係の××さんは香典(不祝儀)を受け取っていたが、△△さんは同じシチュエーションでも香典(不祝儀)を受け取っていなかった」ということになれば、大きな問題です。
また、香典(不祝儀)は、複数人の名義で渡されることもあります。
これは「○○一同と書かれていた場合は、1つしか返さない」「複数人の個人名が書かれていた場合には、複数人分の香典返しをお渡しする」など、葬儀会社やご遺族によって考え方が異なる部分でもあります。
この場合、「返し方そのもの」はあまり問題にはなりません。
ただこれも、「××さんはこうやって返していて、△△さんは別の返し方をしていた」となってしまうと、もめ事の原因になります。
このようなことを避けるために、受付を担当する全員が同じ認識を持つことが大切です。
また、わからないことは、必ず事前に葬儀会社のスタッフに聞いてください。
葬儀会社のスタッフは葬儀に関する知識を持っていますし、ご遺族の意向も当然把握しています(即答しかねることもありますが、その場合は上役やご遺族に確認に伺います)。
また、葬儀会社のスタッフからの返事も、全員で共有するようにしてください。
特に、「通夜と葬式・告別式では、受付の顔ぶれが違う」という場合は、通夜でも受付を担当していた人が葬式・告別式の受付を担当する新しいメンバーに、通夜のときの返し方を伝えることが大切です。
遅刻は厳禁
冠婚葬祭は非常に大きな意味を持ちます。
特に葬儀は、「故人との最後の別れ」であるため、多くの人が真摯(しんし)にとらえ、遅刻をしないようにやってきます。
人によっては、開式の30分以上前に足を運ぶ人も珍しくはありません。
受付係は、そんな弔問客を迎える立場にあります。
このため、遅刻は厳禁です。
特に会社関係の人から依頼される場合は、「仕事の延長線上」ととらえられることも多く、遅刻することによって会社での評判を落としてしまいかねません。時間に余裕を持って出かけるようにしてください。
もっとも、受付は複数人で行うのが基本です。
また、「時間に余裕を持って出てきたが、途中で事故があり、う回路を探したとしてもどうしても遅刻しそうだ」などのようなやむを得ない事情で遅れてしまうこともあるでしょう。
この場合は、連絡を入れるようにしてください。
ほかの受付のメンバー(やその電話番号)を知らなかった場合は、葬儀会社に直接電話をすれば問題ありません。
スケジュールなどを事前に把握しておく
受付を務めていると、トイレの場所などをよく聞かれることになります。
また、何時に開式するのかなどを聞かれることもあります。
このため、事前に館内図やスケジュールを把握しておくようにしたいものです。
特に、「1階と2階で、違う家が葬儀を行っている」というような場合は、参列者の人も混乱しやすくなるのでしっかりと確認しておきましょう。
早めについて、一度館内全体を見回る余裕がほしいところです。
スケジュールの把握は、「細かいところまで知りたい」ということであれば、葬儀会社のスタッフに確認をしてください。
この際に、「受付係だが、焼香はいつ行えばよいのか」「複数人の名前で香典をいただいた場合は、香典返しはどのようにしたらいいのか」を合わせて聞いておくとよいでしょう。
なお、事前の確認は大切ではありますが、葬儀会社のスタッフは開式をしても会場やロビーにいることが多いものです。
わからないことが発生したら、その都度質問するようにしてくださいどうしても見当たらない場合は、事務室の扉をノックしたり、インターフォンで呼び出したりしても構いません。
葬儀の受付の方が気をつけたいマナーについて
受付の方が気をつけたほうが良いマナーについて、下記の記事でまとめています。最後に確認し、おさらいしておくと落ち着いて振る舞えるのではないでしょうか。
この記事のまとめ
受付を頼まれた場合、引き受けるのが原則です。
「この度はご愁傷さまでございました。お手伝いできることがあれば、何なりとお申し付けください」
などのように受けるとよいでしょう。
やむを得ない事情で断る場合は、打診の段階で断ります。
葬儀への参列を断る際は原則として理由の説明はしません。
しかし受付を頼まれるということは、親しい相手であったり、会社関係のつながりであったりするものです。
そのため、状況に応じて、軽く事情を説明するのも一つの方法かもしれません。
受付係は、「遺族側の立場」に立つことになります。
そのため、受け答えにも「来ていただく側」の言葉遣いが求められます。
- 受付に弔問客が来た場合・・・「お忙しいなか(天気の悪いときは「お足元の悪いなか」お越しいただきありがとうございました)
- 記帳をお願いする場合・・・「恐れ入りますが、こちらにご記帳をお願いします」「お手数ですが、あちらの机でご芳名カードへのご記入をお願いいたします」
- 香典を受け取るとき、返すとき・・・「お預かりいたします」。香典返しを渡す際は特に言葉を挟まないこともありますが、言うのであれば「こちらは香典返しです」などでしょうか。
- 香典を辞退するとき・・・「申し訳ありませんが、故人の遺志により、お香典は辞退申し上げております(一礼)」
などがよく使われる言葉です。
受付を行う際は、身なりをきちんと整えることが重要です。
男性も女性も黒のスーツを選び、鞄や靴は金具のついていないもの・光沢のないもの・動物の皮が使われていないものを選びます。
受付係ということで時計をつけていくこともあるかと思いますが、葬儀の場に相応しいものを選んでください。
それ以外で身に着けていて良いのは、結婚指輪かパールを使ったものだけです。
葬儀の受付を行う場合は、葬儀受付開始の30分~1時間前にはついておきたいものです。
受付係は通夜(葬式・告別式)が始まってからもしばらく受付に留まる必要があるため、焼香を行うタイミングについては葬儀会社のスタッフに確認しておきましょう。
また、香典返しのやり方などについても尋ね、受付のメンバー全員が同じ認識のもとで動けるようにしておくことが重要です。
金銭の管理は複数人で行うようにしてください。また、館内やスケジュールについても把握しておくと、とまどいが少なくなります。
葬儀の受付というのは、「弔問客を最初にお迎えする立場」です。
受付の対応に失礼があると、ご遺族の印象まで悪くなってしまいかねません。
その点を自覚し、きちんと務め上げるようにしたいものです。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
親戚や親しい間柄の知人が亡くなった場合、また会社関係の方が亡くなった場合、受付など手伝いを依頼されることがあります。少し規模が大きくなると「葬儀委員」として裏方として来賓の接待や事務的な作業を担うこともあります。そうはいっても、難しい作業ではありません。参列者をお迎えし、着席を促したり、控室へご案内します。香典を受け取ったら、遺族に代わって管理します。
「家族葬の場合は受付は必要ですか?」という問い合わせもありますが、参列者が親戚を含めて10名を超えるような場合なら受付と香典管理のお手伝いを依頼した方が良いでしょう。近親者は開式前は式の打ち合わせや供花の確認等であわただしくなります。お手伝いできることがあれば、積極的にフォローしていきたいものですね。