葬儀の礼状はどんなものがある?その書き方や送る相手について
葬儀は、さまざまなしきたりやマナーが問われる場所です。
そのため、メール・電話、あるいはそれ以外のSNSツールが連絡手段となった今であっても、葬儀の世界では、より丁寧に思われる「礼状」という文化が生きています。
ここでは、「葬儀の礼状」に注目して解説していきます。
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葬儀の礼状を送る意味
葬儀の礼状は、弔意を示してくださったこと、また葬儀に尽力いただいたことなどに対するお礼として出すものです。
葬儀の礼状には、大きく分けて2つあります。
- 香典返しなどと一緒にお渡しするもの
- 特別お世話になった人に対して、後日送るもの
それぞれで少し性質が異なるので、まずは1について解説していきます。
香典返しなどと一緒にお渡しするもの
葬儀の場では、特に「香典(不祝儀)辞退」の意向を示さない限り、不祝儀が渡されることになります。
そして、遺族・親族はそれに対して、「香典返し」「会葬返礼品」を渡して返礼とします。
このとき、単純に「香典返し(会葬返礼品)の品物」だけを渡すことは原則としてありません。
必ず葬儀の礼状と一緒にお渡しすることになります。
この葬儀の礼状には、会葬をいただいたことのお礼や、ご厚志に対するお礼を記します。
2の場合は手書きで記す場合もありますが、1の場合は枚数が非常に多くなるため(小規模な葬儀であっても、100枚単位で必要になります。
また、香典返しの数よりも多くの葬儀の礼状が刷られることもよくあります)、印刷で作ります。
このときに使われる文面は、遺族や親族が自ら考えることもできます。
ただ、現在はテンプレートのようなものを利用して、一般的な言い回しで作り上げることの方が多いでしょう。
現在は、会葬返礼品だけでなく、香典返しも即日返しで返すやり方もよく見られるようになっています(非常に高額な金額をいただいた場合は、後日で改めてお返しする)。
このため、1のタイプの葬儀の礼状もまた、即日返しでお渡しすることも多くなっています。
この場合は、遺族・親族が1枚ずつ会葬者に手渡しをするのは現実的ではありません。
香典返しや会葬返礼品は受付で受け取ることになりますから、そのときに葬儀の礼状も一緒に受付の人がお渡しするかたちをとることになるでしょう。
また、現在では、「葬儀の礼状を香典返しに差し挟めるようになっている」という、香典返しも用意されています。
包み方などに工夫が施されていてすでにそこに葬儀の礼状が挟んであるため、受付でまごつくことなく、すぐにお渡しすることができます。
ちなみに、余った香典返しは後で返品することができますが、葬儀の礼状の場合は名前や日時が入るため、返品はできません。
ただ、値段はそれほど高くありません。
また、これは葬儀会社の見積もりのなかに組み込まれて見積もりとして出されることが多いと思われます。
※なお、「香典返し」とは厳密にいえば仏教用語にあたりますが、これに代わる言葉はなかなかなく、キリスト教や神式の葬儀の場であってもしばしば使われる言葉です。
このため、ここでは宗教の別なく、「香典返し」という表現を使っていきます。
お世話になった相手に送るもの
もう一つ、「特別にお世話になった相手に送る葬儀の礼状」もあります。
こちらの方は、「香典(不祝儀)をお渡ししてくださった方全員」に送るものではなく、特別にお礼を言わなければならない相手、言いたい相手などに対して送るものです。
付き合いの範囲が広い人の場合、この「特別お世話になった人」の数だけでも非常に多くなってしまうでしょう。
そのため、現在では、「香典返しに差し挟む葬儀の礼状同様、印刷であっても問題はない」というのが基本的な考え方です。
ただそれでも、「手書きの方がより気持ちが伝わる」とする意見もあるのは事実です。
このため、「印刷でも問題ないが、手書きの方がベターである」と考えておくべきでしょう。
特に、「生前、家族同様に付き合っていた相手。また、葬儀のときにもひとかたならぬご尽力をいただいた」というような人には、手書きで心を込めて葬儀の礼状を書くのが望ましいとされています。
また、枚数が多くない場合も、手書きにするとよいでしょう。印刷に回すとその分お金もかかってしまいます。
こちらの場合は、後日に郵送でお届けすることになります。
「してくださったこと」に対して格別のお礼を申し上げるために送るものですから、その人がやってくれた役職や弔意に対して感謝を示す文面を入れて送ります。
同じ「葬儀の礼状」と呼ばれるものであっても、「香典(不祝儀)をお渡ししてくださった方にお送りするもの」と「特別お世話になった人に後でお出しする葬儀の礼状」は、まったく性質と送り方が異なるものだと理解しておきましょう。
礼状を送る相手
「後日葬儀の礼状を送るべき相手」と、送るときの葬儀の礼状の文面について紹介していきます。
ここでは概要を示していますが、葬儀の礼状は「拝啓もしくは謹啓」から書き始めます。
どちらも「謹んで申し上げます」の意味を持ちますが、「謹啓」の方がよりかしこまった言い方です。「拝啓」で始めたのならば結びの言葉は「敬具」とし、「謹啓」で始めたのならば「謹白」と結びます。
最後には、自分の住所氏名(喪主の名前が基本)を記して文章を終わらせます。
なお、葬儀の礼状の場合は、ほかのあいさつ状につきものの「時候のあいさつ」は入れず、いきなり本文から始めるのが特徴です。基本的には、
- 来てくれたことへのお礼
- してくれたことへのお礼
- 故人との関わりに感謝している(軽い思い出話を入れることもある
- 今後のご指導をお願いするもしくは今後のご多幸やご健勝をお祈りする
という文面で作っていきますが、「してくれたこと」「相手の立場」によって文面を変えることができればよりよいでしょう。
葬儀委員長
葬儀委員長とは、葬儀が滞りなく行えるように目を配り、運営をしていく役目を言います。
現在は喪主や遺族が中心となって葬儀を行うため、一般的な葬儀においては、葬儀委員長は原則として立てません。
ただ、社葬や大規模な葬儀、また地域によっては葬儀委員長を立てて葬儀を進めていくことになります。
葬儀委員長は、葬儀全般に目を配る役目です。そのため、負担も大きいものです。
葬儀委員長を務めてくれた人には、必ず葬儀の礼状をお出ししたいものです。
その際は
- 故人の葬儀の折、葬儀委員長を引き受けてくれたことに対するお礼
- 時間を割いて対応してくれたことへのお礼
- 葬儀委員長がいてくれたおかげで、最後を立派に送ることができた(「面目が立った」などの表現をすることもある)
- あなたが人生経験豊かな方であるから、このような葬儀ができた
- 今後も遺された家族のご指導をお願いいたします
などのような文章をつづります。
故人が深くお世話になった人
故人が深くお世話になった人は、葬儀の礼状を出すべき相手のなかで、ある意味ではもっとも故人に近しかった人だといえるでしょう。
故人だけでなく、遺族の立場となった人たちとも面識があるケースも多いものです。
このような方に葬儀の礼状を出す場合は
- 足を運んでくれたことのお礼
- お気遣いをいただいたり、お声をおかけいただいたりしたことへのお礼
- 故人の口から、あなたのことを良く聞いていた
- 親しく付き合ってくれたことへのお礼
- 末永くご健康でいてほしいという願いをこめる
- これからも、遺された家族に対して、いろいろ指導してほしい
ということを書けばよいでしょう。
弔辞奉読者
弔辞の読み上げは、さまざまな葬儀で行われます。
弔事はたしかに大規模な葬儀のときに読まれるケースが多いのですが、小規模~中規模な葬儀でも読み上げられることがあります。
事前に原稿を用意し、場合によっては練習してから臨まれる人も多いうえ、大勢の人の前で弔辞を読み上げるというお手間と緊張をおかけした相手ですから、丁寧な葬儀の礼状をしたためる必要があります。
この場合は
- 丁重な弔辞を賜ったことに対するお礼
- 弔辞を読み上げていただけるほど、故人と親しく付き合ってくれて、理解してくれたことへの感謝
- お陰様で、遺族や親族も、生前の故人のことを思うことができた
- そのように支えてくれた人が、故人の人生にあったことに対する喜びとお礼
をつづるようにするのがよいでしょう。
葬儀委員長のときとは異なり、「故人を理解してくれたこと」「最後の席で、その気持ちを表明してくれたこと」への感謝を主軸に据えるのがポイントです。
喪主の上司や会社関係
葬儀の礼状を出すべき相手は、「故人と関わりのあった人」だけにとどまりません。
喪主を務めた人間の周囲に対しても、葬儀の礼状を送る必要が出てくる場合もあります。
特に、仕事が忙しいなかで長く休むことになるため、今後の会社生活のためにも、きちんとした葬儀の礼状を出しておきたいものです。
ほかの葬儀の礼状とは異なり、お礼を述べるだけでなく、失礼がなかったか、あったとしたらご寛恕いただけるようにというような文章をつづるようにしてください。
- 参列をくださったことへのお礼
- 私どものために、貴重な時間を割いてくれたことに対する感謝
- パートナーや親など、故人のことを気に掛けてくれたことがありがたかったこと
- いろいろといきわたらないところがあったかと思うが、お許しくださいという謝辞
- これからも指導をよろしくお願いいたします
と続けます。
また、葬儀の礼状は「来てくださった方の健康」を祈る文面で締めるのが基本です。
しかし会社関係の場合は会社を代表してきているわけですから、「ご清栄をお祈りする」などのように、これからの発展をお祈りする文章で締めてもよいでしょう。
遠方からの参列者
遠方からわざわざ参加してくださった方にも、葬儀の礼状をしたためるとよいでしょう。
特に、飛行機を使わなければ来ることができないような距離からわざわざ来てくださった方には、葬儀の礼状を送りたいものです。
移動費と時間の両方を都合して、足を運んでくださったからです。
また、葬儀の場では、そのように遠方からきていただいても、ゆっくりと話をする暇もないもの。
葬儀の礼状では、そのあたりのことも内容に組み込みます。
この場合は
- 遠方からお時間を使ってきてくれたことへのお礼
- そのようにして遠方から来てくださったのに、ゆっくりとお話をすることもできなかった
- また、行き届かないところがあったことに対しても、お詫びを申し上げたい
- またこちらにいらした際には、ぜひ立ち寄ってほしい
- 遠路からの会葬に対する、再度のお礼
で締めるようにします。
参列せずに香典を送ってくれた人
「葬儀に参加したかったけれど、さまざまな事情で参加できなかった」という人のなかには、香典をだれかに託したり(あるいは郵送したり)、弔電を送ってくれたり、供花や供物を手配してくれたりする人もいます。
このような弔意を示してくださっている方に対しての葬儀の礼状は、絶対に必要です。
直接葬儀の場でお礼を述べることもかないませんから、失礼のないように、またいただいた物品やお心に触れるようにして葬儀の礼状の文面を考える必要があります。
「香典を送っていただいた」「香典を人に預けて、預けられた人が香典を渡してくださった」という場合は、以下のような文章構成で葬儀の礼状を作ります。
- ご香料(香典)を、託してくださった(送ってくださった)ことに恐縮している
- いただいたご厚志は、霊前(仏前)に供えさせていただいた
- 葬儀は滞りなく終わった
- 今後も、今まで同様の交流を持ちたい
- 取り急ぎ、お礼までを述べさせていただいた
「仏前」という言い回しは、基本的には四十九日があけたあとにいただいた不祝儀に対してのお返しの言葉です。
また、不祝儀袋の表書きもこれに準じており、基本的には「御霊前」「御香料」「御香典」としますが、亡くなってからしばらくしてからご逝去を知った場合は「御仏前」としてお送りします。
ただ、浄土真宗の場合は、時期に関わらず、「御仏前」という言い方をとり、「御霊前」とはしません。
葬儀の礼状を送る際にも、この点を踏まえることができたらよりよいでしょう。
弔電を送ってくれた人
弔電をいただいた方に対しても、葬儀の礼状を送るとよいでしょう。
弔電はそれほど関係性が深くない方から受け取ることもあります。
ただそれでも、少し簡単にはなりますが、葬儀の礼状は送っておいた方がよいでしょう。
- 弔電をくれたことへのお礼
- 弔意を受け取った旨
- 霊前に供えさせていただいたこと
- これからもご指導をお願いします
と締めるようにします。
供花・供物を送ってくれた人
供花・供物は、葬儀の席に飾られるものです。
供花ならば白い花を中心としてまとめられたものが届くことが多いものですし、お供えならば乾物類やお菓子、果物などがよく届きます。
供花・供物は、弔電や香典とは異なる性質を持つものです。
これらはすべて「相手様の気持ちとして送られてくるもの」ではありますが、供花・供物は時として、「後で代金を請求する」というかたちになることがあるからです。
供花・供物の発注は葬儀会社が使っている取引先に一任されており、送り手側が自由に業者を選ぶことができない(あるいは非常に難しい)こともあります。
このような場合は、後で葬儀会社の方から代金の請求が来ることもあります。
「すでにお金を支払って、葬儀の席に送った場合」と、「後で代金の支払い用紙を送らなければならない場合」では、葬儀の礼状の書き方も変わってきます。
それぞれについて見ていきましょう。
【送り手がすでに支払っている場合】
- 故人の葬儀に際して、立派なお供えをくださったことへのお礼
- 御霊前に飾らせていただいた旨の報告
- 最後の席を飾っていただいたお気持ちに感謝している
- 葬儀が無事に終わったという報告
- 送り手の健康を祈る文面で締める
送り手が支払っている場合は、文章の展開は香典を託した(送っていただいた)場合とあまり変わりません。
【送り手に対して代金用紙を送らなければならない場合】
- 故人の葬儀に際して、立派なお供えをくださったことへのお礼
- 御霊前に飾らせていただいた旨の報告
- 最後の席を飾っていただいたお気持ちに感謝している
- 葬儀が無事に終わったという報告
- 葬儀会社の方から、代金の支払いの用紙が届いた
- これを同封するので、書かれている銀行口座の方に振り込みをお願いします
とします。
最後に振り込みの案内があるのが大きな違いです。
このあたりについては、過剰な装飾語などはつけず、簡素に記すと不自然さがないでしょう。
礼状は基本的に郵送で送る
葬儀の礼状は、即日の香典返しとともにその場でお渡しする場合以外では郵送で送るのが基本です。
そもそも葬儀の礼状とは、「略式のお礼」にあたるものです。本来は実際に顔を合わせてあいさつをすべきところを書面で失礼しますという意味があるものですから、顔を合わせてお礼を申し上げる場合は葬儀の礼状は必要がないということになります。
葬儀の礼状を郵送で送る際には、「どのようなかたちで送るべきか」を迷う人もいるかもしれません。
これにはさまざまな選択肢があります。
封筒に入れて送る方法もあれば、ハガキ1枚で送ることもできます。
どちらでもバッドマナーとはされません。
また、シングルカードで送っても構いませんし、ダブルカードにしたためても構いません。
こぢんまりとした葬儀であり、葬儀の礼状を出す人も限られているということであれば、自分でデザインなどを考えても構いません。
故人のお人柄を感じさせる封筒やハガキのデザインを選ぶのもまたよいものです。
なお、工夫をこらした葬儀の礼状をしたためた場合、重さやかたちの関係で郵便料金が変わってしまう可能性も0ではありません。
それほど可能性の高い話ではありませんが、お礼状なのに送料不足ということになってしまえば、本末転倒です。
念のため郵便局で送料を計ってから送るようにしてください。
葬儀の礼状を送る場合は、送るべき相手をまずはパソコンなどでリスト化することもおすすめします。
そして、ちゃんと全員分を用意したかを複数人で確認しましょう。
特に、葬儀委員長などを務めてくれた方への葬儀の礼状を送りそこなうと後々まで悪感情を抱かれかねません。
住所氏名の漢字が間違っていないかも確認をお忘れなく。
ちなみに、とても親しく付き合っている相手や、またコミュニティ全体で「礼状などは出しあわない」などの取り決めがある場合などは、メールなどで葬儀の礼状に代えることができます。
ただしこれはかなりイレギュラーなやり方ですから、特段の事情がない限りは、やはり郵送にした方がよいでしょう。
礼状を書くときに気をつけたい文体やマナー
葬儀の礼状には、葬儀の礼状だけの特別なルールもあります。
それについて見ていきましょう。
繰り返し言葉は使わない
「葬儀の場では、重ね言葉を使わない」ということは多くの人が知っていることです。
「くれぐれも」「重ね重ね」などのような言葉は、不幸が重なる言葉として避けなければならないとされており、あいさつのときにも注意することが求められます。
これは葬儀の礼状でも同じことです。葬儀の礼状でも、繰り返し言葉、重ね言葉は避けるべきです。
「重ね重ねお礼を申し上げます」などのような言い回しは使ってしまいがちな言葉なので、自分で文章を考えるときには注意をしたいものです。
ただ、葬儀の礼状の例文としては、「益々(ますます)のご頌栄をお祈りします」などで結ぶ例も紹介されています。
どれが正しいかということは断言しづらいものですが、無難に結びたいのであれば、「これからのご発展をお祈り申し上げます」のように、別の言い回しを選ぶとよいでしょう。
「ますます」などのような表現を使わなくても、葬儀の礼状をつくることは可能です。
当然のことですが、生き死にを直接表す言葉は避けます。
なお、「大往生だった」などのような表現は、遺族・親族側が使う分には問題はありません。
これは参列者側が使うと「まだ生きていてほしかったのに」「亡くなって良いタイミングなどない」と思われることもありますが、遺族・親族が故人に手向ける言葉として選ぶのならば咎められることはありません。
(もっとも、比較的硬質な文章をしたためることになる葬儀の礼状においては、「大往生」などのような表現はあまり用いることはないかもしれません)。
句読点は打たない?
「句読点」も、よく話題になるものです。
句読点は、「、」「。」などの記号であり、文章を読みやすくするために使われます。
この句読点は、葬儀に関わる文章と結婚に関わる文章では打たないのが基本とされています。
結婚の場合は、「句読点は句切りを示すものであるから、結婚式などの『これから先も続いていく幸せ』を祝う場では相応しくない」と考えられています。ただ、葬儀に関してはさまざまな解釈があります。
1.葬儀や法事が滞りなく行えるようにという願いを込める
結婚のときと似た解釈です。「葬儀や法事などの儀式が、区切りなく、滞りなく流れるように」という意図を持って、句読点を打たないとする説です。
2.昔の風習にのっとっている
現在葬儀は非常に多様化していますが、それでも、歴史の流れを受け継ぐ儀式であることはたしかです。
また、冠婚葬祭のなかでももっとも改まった場となります。
昔、毛筆が主流だった時代は、句読点は打ちませんでした。
葬儀は古来の流れを受け継ぐ厳粛な場であるため、それにのっとり、句読点は打たないとする考え方もあります。
3.句読点は補助記号だから打たない
私たち現代人にとって、「適度に句読点が打たれた文章」というのは非常に読みやすく、ストレスを感じさせないものです。
言い換えれば、句読点というのは、読みやすいようにするための「補助記号」なのです。
このため、相手が、句読点などなくても正しく文章を読み取れる力がある人だと考えた場合、句読点を打つのは失礼であるとする考え方もあります。
冠婚葬祭の場では特に「句読点を打たないことが敬意の現れ」と考える人もいます。
このような考え方が基本ではありますが、実は句読点に関する考え方は専門家の間・葬儀会社の間でも分かれています。
「句読点は絶対に打たない」「句読点は原則打たないが、打ったからといって間違いではない」という原則として打たない派もあれば、
「読みやすさを優先してつける。読んでもらうことがまず大事なので」「故人が接してきた書物や故人がしたためてきた文章は、すべて句読点が入っていた。だから故人に対して送られた弔意にも、故人の親しんできた文章同様、句読点を打つ」としているところもあります。
現在は句読点に関する部分も過渡期にあるため、考え方が分かれているのでしょう。
文章を葬儀会社や業者に依頼する場合で、「句読点を入れてほしい・入れてほしくない」という希望がある場合は、依頼の段階で伝えておくと安心です。
葬儀後になるべく早く礼状を送る
葬儀の礼状は、「この日までに絶対に出さなければならない」という明確な決まりがあるわけではありません。
香典返しとして出す葬儀の礼状の場合は別ですが、弔電などへの礼状の場合はすぐに手配した方がよいでしょう。
この方が、「出し忘れ」なども避けることができます。また、だれに出すべきかがわからなくなってしまったときでも、記憶が新しいので、周りの人に確認もしやすいものです。
まとめ
葬儀の礼状には、主に2つの種類があります。
1つは、即日の香典返しにつけるもの。
もう1つは、葬儀やお付き合いのうえで特別お世話になった人に送るものです。
前者の場合は香典返しに差し挟まれることも多く、テンプレートの文面をハガキに印刷するやり方が基本です。
後者の場合も印刷で対応できますが、手書きの方がより気持ちは伝わるかもしれません。
後日葬儀の礼状を出すべき相手としては、葬儀委員長や弔辞を読んでくれた人、供物や弔電、香典を(送付もしくは他の人に託して)くれた人、遠方からの参列者、喪主の上司、故人が特別お世話になった人などです。
基本的には
- 来てくれたことへのお礼
- してくれたことへのお礼
- 故人との関わりに感謝している
- 今後のご指導をお願いするもしくは相手の今後が良きものであるよう祈る
の構成をとりますが、立場によって書き方を変えるとより親しみやすい文章になります。
葬儀の礼状は、郵送で、できるだけ早く送るのが基本です。
また、繰り返し言葉は避けるようにしてください。
句読点は原則として打たないものですが、現在では打つやり方も増えてきました。
葬儀の礼状は、葬儀のときに、あるいは生前に賜った厚情に対してお礼を述べるためにしたためるものです。
丁寧にきちんと書いて送りたいものですね。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
メールやSNSを利用する連絡手段が主流になった現代でも、会葬礼状、香典返しに添える礼状など、一連の葬送儀礼に関してはお世話になった形には礼状を送ることが慣例となっています。礼状は葬儀会社に依頼するか、印刷会社へ直接依頼します。
有名人の場合、会葬礼状に工夫を凝らすケースも見られます。写真入りだったり、故人の書を入れた会葬礼状だったり、中には名刺サイズのコンパクトな会葬礼状もありました。
一般の方の場合、個性的な礼状を作るケースはさほど多くありませんが、画一的な文相よりも、エピソードを加えた内容にしたほうが、その人らしさが伝わります。
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