葬儀における親族のふるまい方を解説!香典の相場や服装について

葬儀会場の受付

年を重ねると、親族として葬儀に参列する機会が増えます。葬儀において、親族としてどうふるまえばよいのか、戸惑ったことはありませんか。

一般参列者ほど遠い関係ではなく、遺族ほど近くもない親族という立場は、ふるまい方に悩むものです。

この記事ではこのような疑問を解消!

  • 「ただ参列していればいいのだろうか、それともお手伝いをしたほうがいいのだろうか」
  • 「一般参列者と同じような服装や香典だとマナー違反?」
  • 「おせっかいはしたくないけれど、遺族のためにやれる事があったらできるだけしてあげたい」

この記事では、以上のような悩みを抱える人のために、葬儀における親族のマナーや考えられるお手伝いを解説します。

葬儀当日の親族の流れについても詳しく説明するので、遺族をさりげなく助けながら、スマートな大人の参列ができるようになりますよ。

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この記事の目次

  1. 親族ならではの葬儀参列マナー
  2. 親族が手伝えること
  3. 葬儀における親族の流れ
  4. まとめ
  5. 監修者コメント

親族ならではの葬儀参列マナー

まずは、親族ならではの葬儀参列マナーについて解説します。
服装や香典、供物などについて、一般参列者とも遺族とも違うマナーがあるため、注意しましょう。

「親族」の範囲

「親族」の範囲についておさらいしておきましょう。民法上、親族とは「6親等以内の血族、配偶者及び3親等内の姻族」を言います。

ただし、葬儀の場においては、それほど厳密に考える必要はありません。いわゆる「親戚づきあい」がある間柄なら、親族側とみなされます。一方で、友人や仕事関係、近所関係は、全て一般参列者となります。

また、「遺族」と「親族」の境界線に悩む人もいるでしょう。遺族とは、故人の家族であった人たちを指します。

亡くなるまで長く生計を共にしてきた配偶者、子世代が、遺族にあたります。一方で、子世代であっても独立して家庭を持っているなら、一般的な意味での遺族には当たりません。

ただ、故人が長く一人暮らしをしていたなどの事情で遺族席が空いてしまう場合は、血縁が最も濃い人、関係性が最も近い人が遺族代表となり、喪主になることが多いでしょう。親族代表の言葉も、喪主が務めます。

親族の服装

葬儀における親族の服装は、一般の参列者と同様の喪服です。
男性であればブラックスーツに黒のネクタイ、ベルト、靴を身につけます。

女性であればブラックフォーマルのワンピースとジャケット、黒いストッキングを身につけ、アクセサリーは一連の真珠のみとします。この服装は一般参列者と変わりません。

ただし、遺族にふさわしい服装を親族が身につけるのはタブーです。遺族にふさわしい服装とは、紋付の黒い着物です。

最近では、遺族も正式な着物を着ることが少なく、洋装で葬儀に臨むことが多いため、
親族が着物を着ているとさらに目立ちます。親族は着物を避け、洋装のブラックフォーマルを身につけましょう。

一般参列者に対する親族のふるまい

遠縁関係であっても親族席に座っているため、一般参列者側から「この度はご愁傷さまでした」と声をかけられることがあります。
葬儀後に「いいお式でした」と言われることもあります。

「私は遺族ではないのにな」「遠い関係なのに」と戸惑いがちですが、この場では「恐れ入ります」「本日はありがとうございます」とスマートに返しましょう。
一般参列者に対しては、あくまで親族の一人としてふるまいます。

親族の香典相場

親族の香典相場は、以下の通りです。

あなたと故人との関係

香典金額の相場

両親・義両親

5万円~10万円

兄弟姉妹・義理の兄弟姉妹

3万円~5万円

祖父母

1万円~3万円

おじ、おば、その他

1万円~2万円

一般参列者の香典相場は5,000円なので、これを下回らないようにしましょう。

親族が用意する供物

親族が用意する供物には、以下のようなものがあります。

  • 供花
  • 盛篭
  • 花輪
  • 小包でのお供え物

贈る供物そのものに、一般参列者との違いはありませんが、親族だからこそ気をつけたい点はあります。
予算や贈るべき立場などについて説明します。

供花

葬儀に贈られる供花の多くは、祭壇の脇に飾られる背の高いスタンド花です。
スタンドの脚の部分に「子供一同」「孫一同」といった名札が掲げられます。

個人名で贈ることもありますが、親族の場合は同じ立場の人たちで相談し、供花代を折半して贈るのが一般的です。

例えば、いとこ同士で相談して「従兄妹一同」のスタンド花を1対贈ります。
ただ、必ず贈らなければならないものではありません。

同じ立場の人たちと十分話し合いましょう。
スタンド花の相場は1本1万5000円~2万円です。

盛篭

果物や缶詰が詰まった篭に名札を付けた供物を盛篭といい、供花同様、祭壇の脇に飾られます。
供花と同じで、同じ立場の人と話し合い、贈るかどうか、予算はどうするかを決めましょう。
盛篭の相場は一つ1万円程度です。

花輪

葬儀式場の玄関先に飾られる、背が高く大きな造花が花輪です。
供花や盛篭同様、同じ立場の人たちで話し合い、贈るかどうかを決めます。

「孫一同は供花だから、親族一同で花輪を贈ろう」といった、分担制をとる決め方もあります。
花輪の相場は1本1万5000円~2万円です。

ただし、花輪は自宅葬儀の玄関先を華やかにするための風習だったので、
セレモニーホールでの葬儀が盛んな都市部ほど飾られない傾向があります。

小包でのお供え物

菓子折りなどにのしをつけ、お供えするという方法があります。親族に限らず、どのような立場の人でも贈れます。

とくに、「一同」名義で供花などを贈れるような立場の人が他におらず、個人名で高額な品を贈るのも気が引けるような遠い親戚の人には最適な方法です。

小包の中身はお菓子やジュース、ビールといった飲食物とし、葬儀用ののしをかけてもらいましょう。

のしは白黒の水引がプリントされたものか、地域によっては黄白の水引となります。
表書きは、浄土真宗以外なら「御霊前」、浄土真宗なら「御仏前」とします。相場は3,000円~5,000円程度です。

以上のように、葬儀に贈るべき供物は関係性によって変わってきますので、同じ立場の人がいる場合にはコミュニケーションが不可欠です。

次章では、「贈り物をするだけではなく、お手伝いをしてなんとか遺族の役に立ちたい」と願う人のために、親族ができるさまざまなお手伝いについて解説します。

親族が手伝えること

親族が手伝えることは、たくさんあります。葬儀社が仕事として行う場合もありますが、もしもできることがあれば、率先して動きましょう。

例えば、以下のようなお手伝いがあります。

  • 買い出し
  • 駐車場係
  • 運転手
  • 湯茶接待
  • 受付・帳場
  • 撮影

順に説明します。

買い出し

葬儀の場で意外に多く発生するのが、こまごまとした買い物です。
遺族控室のお菓子が足りない、お茶の葉が足りない、遺族がストッキングを忘れてしまったなど、小さなトラブルが多発します。

それなのに、遺族らは葬儀の準備や親族のもてなしに手いっぱいで、なかなか買い出しに行けません。
手が空いている時間帯があったら、「何か買ってくるものはありませんか」と遺族に声をかけてみましょう。

駐車場係

通夜会場などでの駐車場係は葬儀社側が行いますが、まれに誘導員がつかないことがあります。
そういった場合に親族が率先して駐車場係を引き受けられれば、混雑は避けられます。

また、自宅で通夜を行うときは、駐車場を他に借りるケースもあるでしょう。
通夜に訪れる車を誘導する係が必要です。

運転手

家から葬儀式場へ向かうときや、葬儀式場から火葬場へ向かうとき、
バスが出なければ自家用車などに乗り合わせて移動することになります。

また、バスに全ての親族が収まり切れない場合は、自家用車やタクシーを出すしかありません。
日ごろから運転に慣れている人は、「自分の車に乗り合わせませんか」と率先して提案しましょう。

湯茶接待

遺族控室に訪れる親族や一般会葬者を、遺族はお茶とお菓子ででもてなしますが
この役割を親族が担えば、遺族はだいぶ楽になります。

また、通夜を自宅で行う場合や、親族みんなで通夜までの時間を自宅で過ごすにあたっては、
湯茶接待をする人が必要不可欠です。
地域によっては、お手伝いをする人が白い割烹着や黒いエプロンを着る風習があるため、用意しておきましょう。

受付・帳場

通夜や葬式の受付を行ったり、会計係として帳場に入ったりするのも、親族の役割です。
受付係は、参列者から香典を受け取り、引き換えに香典返しを渡します。
帳場係は、受付から渡された香典袋の中身を改め、会計を行います。

ただ、受付と帳場はお金を扱うため、遺族側がとくに信頼できる人を指定することが多いものです。
率先して立候補するのではなく、指名されたら引き受けましょう。
最近ではお金を数える帳場係を立てないケースもあります。

撮影

一度しかない葬儀の場を写真に収める撮影係もまた、遺族にはできない大事な役割です。
ただ、葬儀のシーンを写真に残すことを「縁起が悪い」「不謹慎」と捉える人もいるため、遺族に依頼されたら引き受けるようにしましょう。

数えてみればけっこうあるのが、葬儀のお手伝いです。遺族が困っているときに支えるため、常に気を配り、式場内を観察しましょう。

次章では、葬儀における親族の流れについて確認します。

葬儀における親族の流れ

一般参列者の立場なら、ただ通夜や葬式に出席すればそれで済みますが、親族は少し違います。
全体の流れをとらえておくと、いざというとき慌てません。
通夜と葬式それぞれの流れについて、親族の立場から解説します。

通夜における親族の流れ

通夜における親族の流れは、時系列でみれば以下の通りです。
通夜に出て焼香をするだけ、とはいかないので、注意しましょう。

通夜の40分~1時間前までに集合し席の確認

親族側は一般参列者を迎える立場なので、通夜の40分から1時間ほど前までに会場へ到着します。
自分の座る席を確認し、司会者から焼香手順などの説明があればきちんと聞いておきましょう。

通夜よりずいぶん前に喪主宅へ到着し、納棺の儀式に立ち会うケースもあります。
時間に余裕があるなら、通夜会場へ直接行くのが良いか、それともいったん自宅へ寄るかを喪主に確認してみましょう。

各自持ち場につく

受付や駐車場係など、お手伝いを引き受けたときは持ち場につき、葬儀社員に仕事の説明をしてもらいます。
とくに受付はお金やお返し物を扱う立場なので、説明をよく聞いて案内に従いましょう。

通夜中は指示に従い焼香を行う

通夜が始まったら、参列者としての役割は、焼香を行うことしかありません。
順番に従って、心を込めて焼香しましょう。

通夜ぶるまいに参加し、おいとまする

通夜の後は、通夜ぶるまいに参加します。
通夜ぶるまいは親族と一般都に限らず、参列者全員が参加するのが一般的です。
少しでも箸をつけるのが礼儀とされます。

ただ、次の日も早いので、遺族の負担を減らすためにもなるべく早めにおいとましましょう。
席についてから1時間程度が目安です。

葬式における親族の流れ

葬式における親族の流れは、時系列でみれば以下の通りです。
葬式の後もやることがあるので、注意しましょう。

葬式の40分~1時間前までに集合し遺族に挨拶

通夜同様、親族は参列者を迎える側なので、40分から1時間前までに集合します。
遺族控室に立ち寄って挨拶したのち、自分の席を確認しておきましょう。

各自持ち場につく

受付や駐車場係を引き受けた人は、持ち場につきます。
葬式は親族中心であることが多いため参列者が少なく、通夜よりは仕事が少ないかもしれません。

式中は指示に従い焼香を行う

通夜同様、葬式の間は案内に従って焼香を行います。
焼香の順番は通夜と同じです。

お別れの儀に立ち会う

葬式が終わると出棺を行い、火葬場へ向かうことになりますが
出棺までの間にお別れの儀が行われるため、親族は立ち合います。
祭壇から棺が下ろされ、ふたが開けられるので、故人の顔周りに一輪ずつお花を捧げます。

出棺に立ち会う

いよいよ出棺となったら、親族らは会場の入り口まで出て霊柩車の周りに集まり、出棺に立ち会います。
このとき、会場から霊柩車へ棺を移動するのを手伝わなければならない可能性があります。

とくに子や孫など故人と血縁が近い男性は、率先して手伝いましょう。
遠縁の男性は、手が足りなければ手伝います。

場合に応じて火葬場へ向かう

霊柩車が閉まるのを合掌で見送ったら、親族らはバスなどで火葬場へ向かいます。
故人の子や孫、きょうだい、従兄妹など、比較的血縁の濃い人は一緒に火葬場へ向かう傾向にありますが
かなり遠い縁者の場合は、火葬の立ち合いをすべきかどうか迷いがちです。

火葬の後、精進落としに参加するよう言われていて、精進落としの会場が火葬場にあるなら、火葬場まで一緒に行かなければなりません。

ただ、火葬後、葬儀式場に戻ってきてから精進落としを行うなら、そのまま式場に残って待つという選択肢もあります。

「バスが満員なら、式場で待っていよう」など、自分なりに方針を決めておきましょう。
同じような立場の人と相談しておくのもいいでしょう。

精進落としに参加し、おいとまする

火葬が終わったら、精進落としに参加します。
2時間程度で喪主側から終了の合図がありますが、電車の時間が迫っているなど事情があれば、早めにおいとましてもかまいません。

何も言わずに退出するのではなく、必ず遺族に挨拶をしてから帰りましょう。

以上のように、通夜も葬式もかなりの長丁場になりますが、親族の務めをしっかり果たしましょう。

まとめ

葬儀での親族のふるまい方について、お分かりいただけたでしょうか。
服装や香典のマナーは、一般参列者として葬儀に出るのと基本的にあまりかわりません。

しかしやはり若干の違いがあるため、注意が必要です。
また、通夜や葬式の前には遺族の様子をよく観察し、必要に応じてお手伝いをしましょう。

あまり出しゃばることなく、そっと遺族を支えるのが、親族のふるまいとしては理想的です。

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監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

親族とは、民法では6親等以内の血族、配偶者及び3親等以内の姻族となっています。例えば、夫の従妹は同世代で比較的近い間柄だったとしても4親等なので親族には入らないのです。

本来は親戚というところを、実際の現場では親族という言葉を使っているところが多いようですが、遺族や参列者の中には法律の専門家もいることでしょうから、知識としては知っておきたいところです。

通夜、葬儀・告別式を通じて、親戚は喪主や家族のサポートをするシーンが多いと思いますが、本当に喪主が大変なのは葬儀後です。葬儀後は、手続きや届出に追われ、さらに法要準備等もありますので、息つく間もありません。連絡や事務的なサポートを少し気に掛けるだけで、随分と負担が軽減されるはずです。

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