法事の食事はどんなもの?メニューや金額目安・食事のマナーを解説
「法事」とは、法要と会食がセットとなった仏教行事のことを指します。
この記事ではこのような疑問の解消!
- 法事の食事って絶対に必要?
- 法事の食事はどんな内容のものを選べばいい?
- 法事の食事にかける金額はどれくらい?
- 法事の食事に僧侶を呼ぶときはどうしたらいい?
そこでこの記事では、「法事の食事」に注目して、上記のような疑問を解消します。 記事を読んでいただけたら、法事の食事内容・金額を迷いなく決められることでしょう。
なお「法事」は仏教用語です。そのため、ここでは原則として「仏教の追悼儀式」を取り上げます。
この記事の目次
法事の食事の目的
法事の際に食事をとる目的は、主に2つです。
- 参列者や僧侶に対する感謝
- 故人のことを悼み、思い出話をしながらゆっくりと故人のことを話すため
なお、没してから長い時間が経っている場合は、「めったに合わない親戚が集まってゆっくり話し合うための時間」としての性質を持つこともあります。
法事の食事には誰を招くか
法事の食事に招く相手は、
- 僧侶
- 親戚
です。特に葬儀のときに呼んだ親戚には、特段の事情がない限りは声を掛けるようにします。友人や知人が招かれることはあまりありませんが、一周忌~三回忌くらいまでの間は呼ぶこともあります。それ以降に声をかける場合は、「家族同様の付き合いをしていた」というケースに限られます。
僧侶は、原則として「菩提寺の住職」に声を掛けます。ただし、菩提寺の住職がどうしても都合がつかなかった場合は、菩提寺の住職からの紹介で別の僧侶を招いたり、葬儀の際に世話になった葬儀会社に相談したりすることになります。なお最近では、会食に僧侶を招かないケースもあります
法事後の食事をする・しないは自由
「法要の後は食事をとる」という考え方は非常に多いのですが、「必ず食事の席を設けなければならない」というものでもありません。実際、食事の席を設けない場合もあります。特に故人や施主(遺族)が、「小さな葬儀(法事)にしたい」と希望していたり、そもそも親族などがあまりいなかったり疎遠だったりする場合は、法事だけを行って解散とすることもあります。
また、改まった席を設けることはせずに、自宅で家族だけで食事をとることもあります。
葬儀のかたちに正解がないように、法事後の食事にも「正解」はありません。しかしここでは、「法事の後に食事の席を設ける」という前提で話をすすめていきます。
法事の食事は3,000円~10,000円/人 の和食が一般的
法事における料理は、1人当り3,000円~10,000円程度で選ぶのが基本です。そのなかでも、ボリュームゾーンとなるのは5,000円~7,000円です。3,000円~5,000円は家族だけで行う法事などでよくみられ、7,000円を超える金額のものは故人やご家族が料理にこだわりがあるケースなどで選ばれやすいことでしょう。
当然、料理のラインアップも値段によって異なります。ここでは、値段における料理のラインアップの違いと、それに関する解説を加えていきます。
①割烹店の和食会席料理(3,500円/人)の例
料理のバリエーションは、
- 前菜(1~2品が多い)
- おつくり
- 焼き物
- 揚げ物
- 蒸し物
- お寿司
- 椀
などになることが多いといえます。
3,500円のコースの場合、量は少なめに抑えられる傾向があります。しかしそれよりも顕著なのは、「使われている材料」でしょう。同じく「お寿司」を出してくるケースは5,000円以上の料理でも見られますが、卵やイカなど、比較的値段が安いもので構成されるのが一般的です。
比較的ライトに食べられるものが多く、素材へのこだわりというよりも「簡単に食べられる料理、好き嫌いの出にくい料理」で構成されます。
②ホテルの和食会席料理(5,000円/人)の例
- 小鉢
- 焼き物
- 絹環や野菜の皿
- 刺身
- 吸い物
- 洋皿
- 揚げ物
- 蒸し物
- 寿司
- デザート
おそらく、もっとも満足度が高く、品目のバランスもよくなるのが5,000円のコースです。ここは法要料理のボリュームゾーンでもあるため、多くのお店がかなり力を込めて構成しています。選択肢も非常に多く、選ぶ楽しみもあります。
なかには、料理を複数種類の中から選択することができるところもあります。
③料亭の精進料理(10,000円/人)の例
- 前菜(7品目など、品目が多く盛られることが多い)
- 季節のおつくり
- 焼き物
- 中華皿など
- 肉
- 蒸し物
- 寿司
- 吸い物
- デザート
10,000円台のもっとも大きな特徴は、「使われている材料が上質である」ということです。
国産牛や、高級魚が採用されます。カニや鮮度の良い刺身が選ばれることも多く、非常に豪華なコースになるのが特徴です。
また、法事の席では和懐石が選ばれる傾向にありますが、フレンチや中華なども選べるようになります。加えてこのコースをホテルで選んだ場合、法要に必要な花などがセットになってくることもあります。
意外に思われるかもしれませんが、「値段の違い」によって「品目の数」が変わってくることはあまりありません。変わってくるのは、「材料の良し悪し」などです。また、5,000円~となった場合、お店のグレードも上がってきます。格の高いホテルやミシュランの星付きのお店、また地方の名店なども選択肢に挙がってきます。
ちなみにここでは触れていませんが、「ご予算に応じて料理を作ります」としているところもあります。このようなところに相談してもよいでしょう。予算内で、「食事の系統(和食か中華か、あるいは洋食か)」「食材の指定」ができるところもあるので、そのあたりも聞いてみましょう。どこまで喪家側の希望を聞いてくれるかはお店によって異なりますが、多くのところではできるだけ要望を聞いてくれるはずです。
料理内容は自由に選ぶことができる
法要の料理は、多くの場合、「和食(和懐石)」が選ばれます。しかし、「和食(和懐石)でなければならない」というものではありません。フレンチや中華などを選んでも構いませんし、故人の好きなものを入れても構いません。
「お寿司」は定番の品目ですが、「故人が好きだったからエビチリを出したい」「ソバが好きだったのでメニューのなかにソバを組み込みたい」「ステーキが好きだったから、薄切り肉ではなく厚みのあるステーキ肉を入れたい」などのように自由に選ぶことができます。ただし、ステーキなどはやや食べにくさを感じる食材ではあるため、ご年配の方が多い席ならば食べやすいように少し工夫をすると良いかもしれません。
また、「故人が愛したお店で法要の食事を行う」という選択肢をとるのもひとつの手です。
もともと法要の仕出し料理を担当しているところならば自宅を会場とする場合でも持ってきてもらえますし、それが難しい場合でもレストランに足を運ぶことで食べることができます。ただ、法要の場合は「法要の食事に使いたい」ということはしっかり伝えておきたいものです。またそのときに、「故人がこのお店を愛していまして」と伝えると、レストラン側にも喜ばれます。故人が特に好きだった料理を組み込んでほしい旨を相談することも易しくなるでしょう。
精進料理はいつまで?
かつては、「四十九日をもって、日常の生活に戻るのだ」という考え方が強くありました。このため、四十九日の法要のときは、精進落としとして最後に精進料理を食べることが多かったとされています。
しかし現在では、四十九日の法要料理でも「肉」「魚」などを食べることも多くなっています。少しずつ法要における「食事の内容」が変わってきたことがうかがい知れます。
お酒は出してもよい
「お酒は、法事(法要)の場にはふさわしくないのではないか?」と思われる人もいるかもしれません。
しかし法事(法要)のときは、お酒は出して良いとされています。
仏教や神道においては、お酒は穢れ(けがれ)を遠ざける効果があると考えられています。また、古来、「亡くなった人を慰めるために酒宴を開く」という考え方をしていました。
現在では、お酒を振る舞うことは「お布施」に繋がるとされています。「お布施」は現在では「僧侶に渡すお金」という意味で使われることが多い単語ですが、もともとは「自分の身銭を切り、人に対して衣食を施すこと」といった意味を持っていました。お酒や食べ物を振る舞うことで、自分の欲が昇華されると考えられていたわけです。
また、「お酒や食事を振る舞うことで、故人の極楽往生を祈る意味」もあります。このような観点から、仏式の法事(法要)においては、お酒が積極的に採用されます。
お酒の種類ですが、ビールや日本酒がもっとも一般的です。お店によってはワインなどを選べる場合もあります。「故人が好んだお酒を出したい」ということであれば、もちろんそれを出しても構いません。ただ、レストランにお酒を持ち込む場合は、別途持ち込み料がかかる場合もあります。また法要会館などにおいても、できるだけ法要会館の出すお酒を選んだ方がありがたがられる現実もあります。このため、「家から持ち込みたい」ということであれば、必ず事前に相談するようにしてください。
なお、余談ですが、キリスト教の葬儀においてお酒は重要視されません。そもそも法要仏教の儀式でありキリスト教では行いません。また、初七日法要にあたる追悼ミサ(カトリックの場合。プロテスタントの場合は「記念式」)ではお茶が振る舞われます。
子どもの法事の食事はどうしたら良いか
さて、法事の席には大人だけでなく子どもも参加することになります。子どもにとって法事のためのお膳はどうにも退屈で、食べにくさを感じるものが多いのも事実です。このため、法事の席では子どものための「お子様膳」を用意することも検討したいものです。
お子様膳には、これといって明確な決まりがあるわけではありません。ただ、一般的には以下のようなものが好んで取り入れられます。
- ハンバーグ
- エビフライや唐揚げ
- フライドボテトなど
- ソーセージ
- お寿司(エビ・タマゴなど)
エビなどは慶事をイメージさせるものですが、お子様膳の場合は子どもの味覚に合わせてよく採用されます。また和懐石を基本とするお店であってもハンバーグやソーセージがよく出てきます。
なお、お子様膳は「〇歳まで」といった決まりがあるわけではありません。ただ、「12歳まで」を目安とするところが多いようです。また、あくまで個人的な経験によるものですが、小学校の低学年まではお子様膳でそれ以降は大人と同じもの(10歳程度~)で大人のお膳と同じものにする……というご家庭も多いように見受けられます。
まれに、好き嫌いが非常に多く大人のご膳では「食べられるものがない」という場合は中学生でもお子様膳を頼むこともありますが、これは一般的ではありません。
ちなみに、「お子様膳にするかどうかの微妙な年齢(主に8歳~12歳)」の場合は、レストランや法要会館側から、「お子様膳にするかどうか」の確認が行われることがあります。相談して決めていってもいいのですが、家庭によって差があるため、喪家側で決めておいた方が良いでしょう。
お子様膳は、内容や量によって値段に違いがみられます。2,000円程度で用意できるところもあれば、大人のご膳とほぼ変わらない値段(5,000円~7,000円程度)となることもあります。またお店によってはお子様膳でもいくつかのラインアップを用意しているところもあります。お祝いの席とは異なりますからお子様膳をメインに据えて選ぶ必要はありませんが、留意しておくとよいでしょう。
なお、乳幼児がいる際はミルクの用意をしていけば良いと考えられています。離乳食の年頃の場合は、離乳食を持参します。これくらいの月齢(年齢)の子どものために、「(月齢・年齢的に)食べられないお子様膳」を用意する必要はないでしょう。ただ、事前に、「ミルクを作るためのお湯はもらえるか」などをレストラン側に伝えておくとスムーズです。また、「〇才の子どもが〇人で、乳幼児は〇人。お子様膳は〇人分用意してほしい」などのように明確な人数や数字を伝えておくと混乱がありません。
次の項目では、「法事のときに出してはいけない食べ物」「法事のときに選ぶべきではない調理方法・飾り付け」について紹介していきます。
法事の食事で避けた方が良い料理
法事の食事において、一番優先されるのは「故人の遺志」であり「喪家側の意向」です。このため、厳密にいえば、「選んではいけない食材」「選んではいけない食事」はありません。しかし、「迷っているならばやめた方が良い食事」「特段の事情がなければ避けた方が良い料理」はあります。
それについてみていきましょう。
慶事の食材
慶事の食材は、原則として避けます。たとえば、タイやイセエビなどです。
タイは「メデタイ」につながる食材です。また、神様にお供えするための魚であり、美しい外見と滋味深い味わいからお祝いのための食べ物として慶事によく採用されています。
またエビも、「腰がまがるまで長生きするように」「(エビの)ヒゲのように、長くヒゲが伸びるまでに長生きするように」という願いといわれを込めて、おせち料理などに採用される料理です。
このため、これらの食材は弔事である法事にはふさわしくないと考えられているのです。
ただ、現在はこのような考え方も変わってきています。エビは法事の食事に非常によく利用される食材です。法事の料理にはよく「お寿司」が出てきますが、エビを使わないラインアップとなることはほとんどありません。このため、「エビを使ってはいけない」というよりは、「華やかすぎる食材を使ってはいけない」と考えるべきです。
このようなことから、「一般的なエビはOKだが、特に『慶事』を連想させる華やかなイセエビは使わない」とするところが多いといえます。
もっとも、イセエビの専門店でも「法事用の料理を提供する」としているところもあります。一般的な法事においてこれは避けるべきですが、
- 故人がイセエビを好んでいた
- 喪家側の要望による
- 没した後長い時間が経過しており、「語り合うための場所」としての性質も強い
などのケースならば、イセエビなどを使ったコースを選んでも良いでしょう。
なお、「ソバ(細く長く生きる)」「桜や梅の花」なども避けるべき食材とされることがあります。ただこのあたりに関しては比較的ゆるく考えている人が多く、厳密な「マナー違反」とまではいえるものではありません。特にソバの場合、弔事のお返し品としても選ばれることがあるため、ご家族やレストランの判断にゆだねられると考えるべきでしょう。
華やかな飾りつけがされた料理
華やかな飾り付けがされた料理は避けるべきです。
たとえば、以下のようなものです。
- 紅白を使ったもの
- 金箔などの使用
「紅白」は、「慶事」を強くイメージさせるものです。紅白なますや紅白卵などを盛り付けることは禁忌とされています。また、敷き紙も紅白になったものは使いません。
「金箔を使ったもの」は、盛り付けが華やかになりすぎるので原則として避けます。和懐石の料理にはしばしば金箔や金粉が使われますが、これらは「華美なもの」と判断されるため、弔事にはふさわしくないのです。
また、これ以外にも、
- 結びこんにゃくなど(「繋がること」を連想させるもの)
- 松竹梅をモチーフにした料理(松竹梅は「おめでたいこと」を表すための植物であるから)
- 祭り寿司(まつりずし。10種類近くの具材を使ったちらし寿司のこと。岡山の名物で、おめでたいときやお祭りのときに作る)
などは避けるべしとされることがあります。
ただ、「これらのすべての具材や料理を避けること」はなかなか困難なこともあります。このため、「どのようなものが良いか」「どんなものを避けるか」は、お店と話し合って決めていった方が良いでしょう。また、喪家側になったときは、「どんなものをお出ししたいか」を考えて選んでいく姿勢も大切です。
次の項目では、法事の食事を考える際に非常に重要になってくる「場所選びのポイント」について取り上げます。「どこで食事をとるか」によって、法事の食事の選択肢や便利さは大きく変わってきます。
法要のタイミングで遺骨のご納骨を
「法要」と「納骨式」を同じ日にされる人は多いです。
なぜなら「法要」はお寺さん・ご家族が一気に集まるタイミング。納骨式を同じ日におこなえば、後日「納骨式」を設定する負担を減らせます。
- 樹木葬・納骨堂・永代供養墓 の場合:最短2週間で納骨できる
- 一般墓 の場合:最短2~3か月で納骨できる
まずは気になる霊園を探してみましょう。お電話ではお客様の希望にそった霊園を提案させていただくこともできます。
法事の食事をする場所は?場所選びのポイントも紹介
法事の食事をする場所は、以下の4つに分けられます。
- 料理屋
- ホテルの宴会場
- 霊園に隣接した施設あるいは法要会館
- 自宅
また、場所選びをするときのポイントも以下の4つに分けられます。
- ポイント①:法事に適した料理を提供している
- ポイント②:法事・法要会館の近くのお店である
- ポイント③:個室がある
- ポイント④:参列者に気を配ったお店である
それぞれ詳しく解説していきましょう。
1:料理屋
料理屋は、法事のときの食事どころとして比較的よく選ばれます。
料理屋のメリット
- 総じて食事のレベルが高いことが多い
- 故人の愛したお店でといった工夫がしやすい
- 料理や食材の選択肢が豊富である
- オリジナリティのある注文も受け付けてくれやすい
- 片づけの手間を省くことができる
料理屋は「食事」をメインとして扱っているため料理のレベルが総じて高いといえるでしょう。また法事用のメニューを用意している料理屋も多く、準備がしやすい利点もあります。
また、「故人が最後まで通っていたお店で」「故人が好きだった料理を出してくれるお店で」などのように、故人の好みに寄り添ったお店選びができます。
さらに、料理屋は選択肢が多く、「フレンチにしたい」「中華料理で見送りたい」「イセエビや豆腐、ソバの名店を選びたい」などのようなときでも選択肢に事欠くことがありません。個性的でオリジナリティにあふれた選び方をできるのは、大きな魅力です。
料理屋のデメリット
- 時間が限られている
- 移動のための時間と手段が必要
料理屋では、「〇時間以内」などのように時間が決まっていたり、また明確な決まりはないもののおおよその時間が決まっていたりします。このため、ゆっくりと食事をすることが難しくなる場合があります。
また、料理屋で会食を行う場合、移動時間や移動手段を確保しなければなりません。
大きな料理屋の場合は駅からの無料送迎、あるいは家からの無料送迎を行ってくれるケースもありますが、小さな料理屋の場合はこの限りではありません。
なおデメリットとして「価格が高くなる傾向にある」を取り上げられることがありますが、一概にはそうとはいえません。料理屋によって、安く抑えることも、高くすることも可能です。
2:ホテルの宴会場
ホテルで食事をとるケースです。この場合ホテルで食事を行うだけでなく、法要(追悼行事のこと。お経を唱え、僧侶と家族・親族で故人を悼む)を行う場合もあります。また、ホテルで法事が終わった後に、遠方の人がホテルを利用して宿泊する場合もあります。
ホテル利用のメリット
- 移動が少なくて済む
- バリアフリー化がしっかりしていることが多い
- 料理もそつがないものが多い
ホテルで法要を行う場合は、駅からホテルに直行し、法要から食事・宿泊まで全て一か所で済ませることができます。もっとも移動の負担が少なく、喪家側も原則として移動手段を確保する必要がありません。
「移動が楽である」に加えて考えたいのは、「ホテルは完全バリアフリーが当たり前である」という点です。法事が行えるホテルは、エレベーターも完備で、フラットな床をしており、どんな人でも移動しやすい環境にあります。部屋がたくさんあるため、小さな子どもが泣き出しても部屋の移動がしやすいというメリットもあります。
車いすの人や乳幼児を連れたご家族がいる場合、ホテルは非常に優れた選択肢になるといえます。
ホテルの料理は、ホテルに入っている料理屋によってレベルが違ってきます。しかし一般的に、ホテルの料理はそつがないものであることが多く、安心して食べられる傾向にあります。当たりはずれが少ない傾向にあるのは、大きなメリットです。その反面、こだわればミシュラン星付きの店などを選べるといったうれしさもあります。
ホテル利用のデメリット
- 時間の制限がある場合が多い
- ホテルによっては「法要」を受け付けないところもある
- 慶事のお客さんとすれ違う可能性もある
時間の制限については、すでに述べた通りです。もっともホテル利用の場合は、「積もる話もあるので、遠方の参列者だけでなく近場の参列者も部屋をとる」などのやり方をすれば、部屋でゆっくり話すこともできます。
また法事(法要)に対する考え方は、ホテルによって異なります。遺骨の持ち込みや、法要をホテルで執り行うことへの可否、焼香台等、準備物の有無など、必ず事前の確認が必要です。
またホテルでは、慶事のお客さんとすれ違う可能性がゼロではありません。料理屋などでも同じことがいえますが、ホテルはもっと華やかな行事のための会場として選ばれることが多いものです。亡くなってから間もない人の法事(法要)であり、家族が悲しみを色濃く宿している……という場合は、少し気を付けた方がいいかもしれません。
3:霊園に隣接した施設あるいは法要会館
霊園に隣接した施設や、葬儀会社が用意する法要会館を利用する方も一定いらっしゃいます。
施設あるいは法要会館を利用するメリット
- 慶事のお客さんとすれ違う可能性が皆無
- スタッフに専門的な知識があり、安心して任せられる
- 料理を出す料理屋も決まっており、料理の価格帯を選ぶだけで良い
施設あるいは法要会館を利用する大きなメリットとして、「慶事のお客さんとすれ違う可能性が0である」という点が挙げられます。施設や法要会館に足を運ぶ人は、同じように法事を行う人(あるいは予定している人)やお墓参りの人、あるいは終活をしている人などであり、物見遊山や慶事で訪れる人はいません。
このため、喪家側も参列者も穏やかな気持ちで過ごせるでしょう。
またこの選択肢のもっとも大きなメリットは、「スタッフに専門的な知識があること」でしょう。法要会館を使う場合、「自分たちが葬儀を申し込んだ葬儀会社が持っている法要会館」を利用する場合が多いと思われます。この場合、葬儀会社はすでに故人や喪家側の情報を持っています。そのため話し合いはスムーズに進みますし、故人や喪家の嗜好もある程度把握しています。料理の提案(精進料理かそれ以外か)などもされやすく、安心して任せられるでしょう。
施設を利用する場合も同じです。また、たとえ「付き合いのなかった法要会館を利用する」といった場合でも、相手は葬儀全般に対する知識を持っているため、わからない点も安心して相談できます。
多くの施設や法要会館は、使い続けている料理屋があります。特段希望を出さない場合は、この料理屋によって料理が提供されます。料理屋の方も法事の食事に慣れており、スムーズな給仕が期待できます。
喪家側は料理の価格帯を選ぶだけでよく、料理屋の選定を行う必要がありません。
なお、施設の場合は移動時間と手間が少なくて済むというメリットがあります。墓参り~法要~食事まで、1か所で済ませられます。対して、法要会館の場合は法要~食事は1か所で済ませられますが、墓参りは別途行わなければなりません。
施設あるいは法要会館を利用するデメリット
- 自由度が低い
- 「持ち込み不可」とされているところもある
施設あるいは法要会館で法事の食事を行う場合、自由度の低さは覚悟すべきです。
料理屋は指定の仕出し屋を使うことが原則となります。ほかの料理屋を使おうと思った場合、事前の打ち合わせは必須となります。また、それに快く応じてくれるかどうかは施設あるいは法要会館次第となります。中には、料理の持ち込みは全て不可としているところもあります。
料理屋やホテルと比較をしても、「食べ物・飲み物の持ち込み」に関して、施設・法要会館決まりが厳しいと考えておくべきでしょう。
4:自宅
法事の食事を自宅でする方も見受けられます。
自宅で行う場合のメリット
- 気持ち的に楽である
- 総じて費用を抑えやすい
- 時間を気にせずに集まれる
自宅はもっともリラックスできる空間です。また、故人が息を引き取った場所が自宅である、あるいは故人が自宅を愛していた場合は、故人をしのぶための最上の空間となるでしょう。親族同士の仲が良ければ、みんなで話しながら料理の用意をしたり後片付けをしたりすることができます。
また自宅で行う場合、総じて費用が抑えやすいといえるでしょう。
自宅で法事の食事を行う場合、
- 自分たちで料理を作る
- 仕出し弁当を頼む
の2通りに分けられます。
自宅で料理を作れば、費用が抑えられることは容易に想像できるかと思います。
また仕出し弁当だとしても料理屋やホテル、施設や法要会館でとるよりも安い価格で抑えられるでしょう。1,000円台からありますし、3,000円も出せばかなり立派なものが届きます。
また、10,000円以上のお弁当を選んだとしても、料金は安くつくことが多いといえます。なぜなら「飲み物」の費用がなくなるからです。飲み物は自分たちで購入すれば、これはずっと安くなります。
自宅で行う場合のデメリット
- 事前準備と後片付けが大変
- 広い部屋と駐車場の確保が求められる
- 親族間の関係が良好ではない場合、気疲れが起きる
自宅で行う場合、事前準備と後片付けが必須です。部屋を掃除し、お茶の用意をし、仏壇を掃除し、ということをしなければなりません。また、後片付けも必要です。
また、核家族化が進んだ現在、「全員が集まれるだけの広い部屋」「自家用車で来る人のための駐車場」を用意することは非常に大変です。人数が少ない場合は気になりませんが、そうではない場合、部屋の許容人数と参列者の数をしっかり把握し、決行できるかどうかを判断しなければなりません。
「時間が限られていること」はデメリットではありますが、同時に、「切り上げ時がわかりやすい」ということにもつながります。親族間の仲がそれほど親密でない場合、接待の気疲れが出たり、長く一緒に時間を過ごすことが負担になったりすることがあります。
このように、「法事(法要)を行う場所」には一長一短があります。「どの選択肢だけが優れている」ということはありませんから、自分たちの葬送スタイルにあったものを選びましょう。
場所選びのポイント4点
「いろいろな選択肢を見たが、まだ決めかねている」という人は、以下の4つのポイントを押さえてください。また、「ここの料理屋が良い」と考えている場合であっても、以下の4つに当てはまらないときは、再考を検討しましょう。
なお、法要会館はこのすべてをクリアしています。
ポイント①:法事に適した料理を提供している
法事に適した料理を提供しているかどうかを、まず見てください。その料理屋のホームページに、「法事(法要)料理」の項目があれば、一番判断しやすいでしょう。それがない場合は、一度問い合わせをしてください。
ポイント②:法事を行う場所や、墓地の近くのお店である
絶対的な条件ではありませんが、法事を行う場所の近くのお店ならば行きやすいでしょう。ただ、「送迎バスを出す」としているところであったり、また「多少遠くても、ほかの要素を全部クリアしている」といったりする場合は、ここは妥協しても問題ありません。
ポイント③:個室がある
法事は、非常にプライベートでデリケートなものです。そのため、個室があるところを選ぶのが原則です。これは、法事を行う側にとっても重要ですし、ほかのお客さんに対する配慮でもあります。
個室の許容人数は、しっかり確認しておいてください。
ポイント④:参列者に気を配ったお店である
車いすの人や足が悪い人がいる場合は、バリアフリー化されている開催場所かどうかも気にしてください。特に、「故人がひいきしていた小さな料理屋」などの場合は、これをクリアできないこともあります。
非常に重要なポイントですから、必ず確認しましょう。
場所選びにおいてもっともおすすめなのは、「候補となるお店に一度施主(と家族)が足を運んで、店の内装や料理、接客態度を確かめること」です。こうすることで、はずれを引く確率はぐっと低くなります。
次の章では、仕出し弁当を使う場合のポイントについてみていきましょう。
仕出し弁当を利用する場合~食事の準備・注意点~
仕出し弁当は、多くは「自宅で行う食事」のときに用いられますが、一部施設や法要会館でも使われます。
仕出し弁当にする場合、温かいものを入れにくい欠点はあるものの、費用が抑えられるというメリットがあります。
食事を手配する場合
仕出し弁当を扱っている料理屋に連絡をし、用意してもらうのが一般的です。
法事・法要弁当の例(3,500円/人)
- おつくり
- 焼き物
- 木の実や貝の和え物
- 魚の細工物
- 天ぷら
- 煮物
- 豆腐
- フルーツなど
ここでは3,500円のものを取り上げていますが、1,000円~2,000円程度でも仕出し弁当は選ぶことができます。
「家族しか来ないので、食事に重きを置かない」ということであれば、これらを利用してもよいでしょう。
【自宅】食事を手配する場合の注意点
自宅で食べる食事の手配をする場合、仕出し業者は自由に選べます。故人が好きだった料理屋が、仕出し弁当に対応しているのであればここに頼むとよいでしょう。
【自宅以外の施設】食事を手配する場合の注意点
あまりないケースではありますが、「法要会館で仕出し弁当をとる」というやり方もあります。
「故人が愛したお店の仕出し弁当を使いたい。しかし自宅では許容人数が少なすぎる。法要会館の広いスペースを利用したい」などのケースです。
ただ、法要会館の場合、取引している料理屋があります。このため、仕出し弁当を頼む場合は法要会館との話し合いが必須です。
ここまで、「法事を行う場所と食事」について取り上げてきました。次の項目からは、法事の食事の具体的な手配手順などについてみていきましょう。
食事の手配は法事の1か月半~2週間前にはしておくと安心
法事のときの食事の手配をいつまでに行うかは、「法事の案内状にどこまで書くか」によって異なります。
- 法事の案内状に、食事をする場所も記す(日時と集合場所、食事処まで記す)
- 法事の案内状には、食事をする場所は記さない(日時と集合場所のみを書き、「粗宴をご用意する」と記すにとどめる)
法事の案内状を出すのは、法事の1か月ほど前が目安とされています。そのため、食事をする場所を記す場合であれば、当然1か月半ほど前には決めておかなければなりません。
対して、後から食事の開催場所を決める場合法事の2週間前程度に手配すれば問題ない、ということになります。
ただ、「ここにしたい」と考えている場所があるならば、早めに手配した方が良いでしょう。特に法要会館などは、お盆の時期は混み合います。
食事にかかる費用は施主が出すことが一般的
法事の費用は、「誰が負担しなければならない」という明確な決まりがあるわけではありません。
ただ、施主が負担するのが一般的です。
法事のときには、参列者から香典が渡されることになります。だいたい10,000円~50,000円が相場ですが、ここには食事代も含まれているからです。
宿泊代に関してはケースバイケースですが、私が見てきた限りでは、施主側が負担するケースが比較的多かったように思われます。
法事の食事に僧侶は招くべきか?招く場合の動き方
法事の際には、お経を唱えてくれる僧侶を呼ぶことが多いといえます。「法事」は仏教の追悼儀式を指す言葉だからです。ただ、「故人の思い出話などだけを目的とし、宗教的な意味を含まないで行う食事会」の場合は、僧侶を呼ばないこともあります。
僧侶を呼ぶか呼ばないかは、地域性やご家族によって左右されます。「僧侶を呼ばないで、家族だけで食事を行うのが基本」とする地域やご家族もあれば、「僧侶も基本的には同席をする。同席しないのは理由があるときのみ」とする地域やご家族もあります。
最近では僧侶とともに食事をしないことも多い
現在では、僧侶は、法要儀式が終わった後や、お墓参りが終わった後の段階で帰るケースも多くなっています。つまり、会食には参加しないかたちです。
ただこれも絶対的なものではありません。地域制や、または菩提寺との付き合いが深い場合などはお墓参り~会食の終わりまで付き合う場合もあります。なおこの場合、僧侶のお気持ちとして、お墓で読経を行ってもらえることもあります。
僧侶を招く場合の声のかけ方
僧侶に対しては、食事の席に臨席していただくことを前提として声掛けを行います。「粗宴を用意しておりますが……」などのように切り出せばよいでしょう。辞退される場合は、料理とほぼ同額(ただしキリの良い数字。5,000円や10,000円など)を入れて、御膳料(おぜんりょう)としてお渡しします。
なお、御膳料とお布施は別物です。御膳料を用意した場合でも、お布施はきちんと用意しなければなりません。
僧侶に対しての声掛けは、当日に行うこともあります。
しかし当日だと食事の数などに影響が出てくるため、事前に確認をしておいた方が無駄がありません。
次の項目からは、招く側と招かれる側、それぞれの「法事の食事のときのマナー」について述べていきます。
法事の食事マナーについて
法事の食事のときに気になることのひとつに、「席順」があります。
これについてみていきましょう。
法事の食事の席配置
「法事」と一口にいっても、「四十九日法要(現在は火葬した当日に行われることが多い。精進落とし)」と「四十九日法要以外の法事」では、席順が異なってきます。
特に気を付けたいのは、施主の席です。
四十九日法要の場合、施主は一番末席(出入口の近く)に座ります。対して、四十九日法要以外の法事の場合、施主は僧侶の隣に座ることになります。
僧侶は常に一番上座に座すため、四十九日法要では施主の席は僧侶からもっとも遠く、ほかの法要では僧侶にもっとも近い位置に座ることになります。
ただ、これも地域や葬儀会社、家族によって少し違いがみられることもあります。「僧侶以外は自由に席を詰めてください」としている法事も実際に見たことがありますし、これとは異なる席順を基本としているところもあります。このため、スタッフなどと話し合って決めていくとよいでしょう。ただし、僧侶の席は一番上座と決まっています。
現在はそれほどこだわる人がいなくなったとはいえ、席順でもめるケースはまだあります。慎重に決めていきたいものです。
また、これ以外にも、施主は「挨拶」の文面を考えなければなりません。
法事の食事前後の挨拶・例文
法事の食事の前後で、施主から挨拶を行うことになります。
例文を紹介します。
食事前の挨拶例文
「本日は御足労いただき誠にありがとうございました。おかげさまで、〇周忌(〇回忌)の法要を滞りなく済ませることができました。粗宴ではございますが、亡き〇〇を偲び、思い出話をしながらお召し上がりいただけると幸いです。どうぞ、お時間の許すまで、ごゆっくりとお過ごしください」
故人が好きだった食べ物や料理屋を使う場合は、それを挨拶に盛り込むとなお良いでしょう。ほかの人から一言を頂く際は、その人の簡単な紹介も行います。
食事後の挨拶例文
「皆様、本日は御多忙の中、最後までお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。亡き〇〇にとっても善き供養となったことと思います。お名残惜しいところではございますが、お時間が来ましたので、これにてお開きとさせていただきます。これからも変わらぬご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました」
と締めると良いでしょう。この後は、参列者のお見送りをすることもお忘れなく。
席について解散するまでの時間は2時間程度
一般的に、法事の食事にかける時間は2時間程度とされています。料理屋やホテル、施設や会館の場合は次の予約が入っていることもあるので、特に注意しましょう。
ただし、「自宅での法事であり、親族間の仲が非常に良い。泊まっていってもらうつもりだ」という場合は、この限りではありません。
服は基本的にそのままだが着替えることもある
服装については、基本的には法要に出たときのままの格好とします(三回忌までは喪服)。ただし、ご遺族のご意向や、また「亡くなってから随分経っている」というような場合は、途中で楽な格好に着替えることもあります。
着替える場合は平服で構いませんが、黒やグレーのワインピース、あるいは白いシャツにパンツといった装いを選ぶようにしてください。Tシャツやジーンズ、短いスカートなどの、ラフすぎる格好は避けます。
法事の食事中のマナー
最後に、法事の食事中のマナーについて考えていきましょう。
会話の内容に気を付ける
法事の席は、「好き勝手に歓談して良い場所」ではありません。基本的には故人の思い出話を中心としましょう。その際も、故人の失敗談などをあげつらうのではなく、ほほえましかったエピソードや故人への感謝を表す話題を選びます。
ただ、法事の席は「親族同士が集まる席」でもあります。このため、ごく一般的な日常会話ならば問題はありません。また、「たびたび」「再三」などのような重ね言葉は避けるべきとされていますが、亡くなってからしばらく経っている人の葬儀の場合はそれほど神経質になる必要もないでしょう。
飲みすぎには注意をしたい
法事の食事の席では、お酒が振る舞われます。しかし飲みすぎには重々注意してください。弔事での飲みすぎは、慶事の飲みすぎ以上に嫌われる傾向にあります。場と舌をほがらかにするためであったり故人を悼むためであったりする程度の飲酒量にとどめましょう。正体や理性を失くすような飲み方は、厳に慎むべきです。
まとめ
法事における「食事」について取り上げてきました。最後におさらいをしましょう。
- 法事の食事の目的
- 故人を偲ぶ
- 参列者や僧侶への感謝の気持ちを表す
- 親族同士で顔を合わせる(特に没してから長い時間が経っている場合)
- 法事の食事は3,000円~10,000円/1人の和食が一般的
- 3,000円~3,500円はかなり簡素
- 5,000円~7,000円がボリュームゾーン
- 7,000円~10,000円だと食材が豪華になる。また、格の高いお店や、バリエーションのある食事を選べるようになる
- 料理内容・お酒・お子様膳について
- 料理内容は自由に選べる。和食だけでなく、フレンチや中華でも良い。故人が好きなものを入れるのも良い
- 仏教や神道においては、お酒はよく使われる
- お子様膳は、子どもの食べやすいもので構成するのが基本。周りが和懐石であっても、ハンバーグなどの入ったものを選んで構わない
- 避けるべき食材・盛り付け
- タイやイセエビなど、慶事の食材は避ける
- 金箔や紅白など、慶事の盛り付けは避ける
- 会場の特徴
- 料理屋は料理の質が総じて高い傾向にあるが、バリアフリー化がされていないことも多い
- ホテルはバリアフリー化がしっかりしているが、ホテルによって対応可能範囲が違うので綿密な打ち合わせが必須
- 墓地に隣接した施設や葬儀会社の法要会館は慣れたスタッフがいて頼りになるが、自由度は低い
- 自宅は気が楽だが、掃除などの手間がいる
- 場所選びのポイント
- 法事に適した料理を提供している
- 法事を行う場所や、墓地の近くのお店である
- 個室がある
- 参列者に気を配ったお店である
- 仕出しについて
- 仕出し弁当は3000円台でも比較的豪華
- 温かいものが食べにくい傾向にある
- 家で行う場合は自由に選べる。施設や法要会館の場合は施設側と打ち合わせが必須
- 準備とマナー
- 食事をする場所は、法事の1か月半~2週間前に決めておく(案内状の記載方法によって異なる
- 費用は施主が負担する
- 僧侶には声を掛けるのが基本。食事への参加はしないと言われた場合はお膳料を包む
- 席順は、僧侶が一番上座で施主がその隣。しかし四十九日法要とそれ以降の法事では席順が異なる
- 挨拶は、食事の前後に行う
- 原則として法要に参加したときの服装のままで食事をとるが、場合によっては着替えることもある
- 話題は、故人の思い出話を中心とする。飲みすぎには気を付けること。
故人を悼み、親族と顔を合わせられる法事の食事の席は、非常に大切なものです。きちんと知識をつけて、失敗なく取り組みたいものですね。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
死者の追善供養のために行う法要や、仏教各宗派や寺院のイベントに関する法要、それに伴う一連の食事なども含めて法事といいます。庶民が死者追善、先祖祭祀の法事をどのようにいつから行ってきたかは明らかにされていませんが、幕末にかけて一部の家で行われていたようです。
初七日や四十九日法要の料理は、「精進落とし」「精進上げ」ともいわれます。これは忌み籠っている状態から、日常生活に戻るための区切りとなる食事という意味で、それまで忌避していた肉や魚などの食物をとることにより、日常の状態へ戻ることを確認することになります。また、疫病と死が一体だった昔は、死穢の感染が極度に恐れられていましたから、死者を出した家族とは同じ竈を使わない「別火(べっか)」という習慣がありました。四十九日間の忌み籠りを経て、同じ食事をすることで、死穢の恐怖から解放されるという意味もあるのかもしれません。