想送式で納得がいくお別れ『お坊さんのいないお葬式』のご紹介
エンディングジャーナル第4弾。今回は、宗教者を呼ばないお葬式「想送式(そうそうしき)」を提供する『お坊さんのいないお葬式』をご紹介します。
『お坊さんのいないお葬式』とは
NINE&PARTNERS株式会社が提供する、宗教者を呼ばずに故人を送る新たな形の式「想送式(そうそうしき)」のポータルサイト。全国の提携葬儀場で、無宗教式のプロデュースを行う。従来の葬儀にあるような読経などの宗教儀式を行わず、ご遺族の方が希望する内容を葬儀のなかで行うことが可能。お布施などの宗教者への礼金や宗教儀式で使用する備品・設備などが不要なため、式にかかる費用を抑えることができる。
インタビューに応えてくださるのは、『お坊さんのいないお葬式』運営元・NINE&PARTNERS株式会社の代表 大森嗣隆氏。23年以上の葬儀業界を経てサービスを立ち上げた経緯や、サービスを通じて伝えていきたいメッセージをお伺いいたしました。
大森 嗣隆氏 プロフィール
NINE&PARTNERS株式会社 代表取締役社長。愛知県出身。葬儀業界歴23年、これまでに1,000件以上の葬儀を担当してきた。葬祭ディレクター一級を保有。著書に、「無宗教なのにどうしてお葬式にお坊さんを呼ぶの?」がある。
この記事の目次
年々増えていく無宗教式への希望者
大森さんは、葬祭ディレクターとして20年以上のご経歴があると伺いました。長いご経歴のなかで、『無宗教の式』に対するニーズの変化はどのように変わってきたのでしょう?
大森さん:きちんとデータを取ったということではなく肌感にはなりますが…、年々無宗教で行うお式を希望される方が結構な割合で増えているなって感じていました。昔はお坊さんをお式に呼ぶことが当たり前で、葬儀社の人たちもお坊さんをご紹介するのが自然な流れでした。
最近の方って、お葬式が終わった後にお坊さんとのお付き合いを希望しない方が多いんですよ。お坊さんとのお付き合いはお葬式だけで良いです、と。恐らくお坊さんとお付き合いをスタートすると、いろいろと大変だという認識があるのかなって思います。
こういった感じで、お葬式にお坊さんを呼ぶことについて疑問を持たれる方が少しずつ増えているなという印象です。
なぜ、疑問に持たれる方がいらっしゃるのでしょう?
大森さん:一昔前と違って、お坊さんとの付き合いが少なくなったのが一番大きいのではないでしょうか。信仰心が希薄になっているのも関係していると思います。
また、お坊さんとのお付き合いは、仏事や寄付(布施)などの金銭的負担もありますので、そうした負担を減らしたいという希望も多く聞かれました。
時代はどんどん変わっています。お葬式が発生するまで、お坊さんとのお付き合いが一切ない方がものすごく増えてきました。そもそも、仏教徒でない方は、その形式(仏教形式)のお葬式をしなければならないということはありませんので、「自分は無宗教(特定の宗教に信心していない)なのに、なぜお葬式にはお坊さんを呼ぶのか?」という事に疑問を持たれる方が増えているのだと思います。
サービス立ち上げのきっかけは友人とのお別れ
無宗教で行う式へのニーズが増えているんですね。大森さんが『お坊さんのいないお葬式』を立ち上げたきっかけもこのニーズの変化によるものでしょうか?
大森さん:ニーズが増えているということもありますが、一番大きなきっかけというのが近所に住んでいる家族ぐるみでお付き合いのあった友人とのお別れが大きいです。
私の子どもたちと同い年くらいの子どもがいる家族と仲良くしていました。一緒にご飯を食べたり、旅行に行ったりとか。
しかしある日、そのご家族の奥さんが癌にかかり余命宣告を受けられまして…。しばらくして入院先の病室に私は呼ばれ、葬儀の相談を受けることになりました。
そのときにご夫婦が希望されたお式が「無宗教」だったのです。私が汲み取った奥さんの希望としては、まだ幼い子どもたちが葬儀で「辛いとか悲しいとかっていう記憶を残す」のではなく、式を区切りに前向きになれる式にしたいという理由からでした。
でもその時に私は特にそれに対して話を深めるわけではなく…、軽く同調はしましたが、無宗教で式を執り行うときに発生する実家とお付き合いがあるお寺との関係、お墓の納骨に関するデメリットをお伝えして慎重に考えたほうがいいかもねと言ったんです。
無宗教で式を行うときには、考えなければいけないデメリットもありますもんね・・・。
大森さん:そうなんですよ…。でもこうやって伝えるのは、すごく普通の事なんですよ。実際にお寺や親せき間でのトラブルもありますし、葬儀社側の立場で言うと進行などが大変ですからね。動画を作らなければならないし、お別れの手紙を読む方の準備もしなければならないし…。
それと、葬儀社が用意しているプランは仏式を想定したものが多いんですよ。流れはこうで、祭壇はこういったもので…と。それらを望まない無宗教の式を希望される方に対して、現場単位で対応するのがとても難しいですし。
話を戻して…、実際にその奥さんが亡くなり、病院からご自宅へ連れて帰り、それぞれのご両親が揃われた所で葬儀をどうするかの相談になりました。
旦那さんは「本人も希望していたので、無宗教形式のお葬式がしたい」と希望されました。しかし、旦那さんのお父様が、お付き合いのある地元のお坊さんにご相談されてきたり、お墓についてもアドバイスをくださり、いわゆる一般的なお葬式のカタチをご提案されました。もちろん、若い喪主に対する心配からのアドバイスであったことは言うまでもありません。
しかし、本人たちの希望を聞いていた私は「読経は後からできます。お墓についても、今すぐ決めないといけないわけではないです。でもお葬式は、今決めないといけないし、やり直せない。そして…お葬式で僕が一番いけないと思うのが、悔いが残ることだと思うので、ご本人が希望される形式でしてあげましょう。」と、お話をさせていただきました。
式をどのようにするかは、ご本人も含めた家族との話し合いが本当に重要だとわかりますね。実際に、そのお式はどうだったのですか?
大森さん:とても感動の…という表現が正しいかはわかりませんが、来てくれた人たちが感動に包まれたお式でしたよ。参列された人のなかには、「故人の人生とか人となりが分かる良いお式だった。」とおっしゃられる方もいらっしゃいました。
僕自身も、長い間葬祭ディレクターとして現場に携わってきたのですが「今日の式は、彼女のために全ての時間を使い切れた」と初めて思えたんですよ。葬儀の時間を使い切ったっていう感覚をそれまで思ったことがなくて…。何でかっていうと、通常のお式だとただ流れに任しているだけなんですよ。当然時間配分などはしますけど、式自体は宗教儀式なので宗教者の方の流れに合わせて行うという感覚で…。
でも彼女のお式では最初から最後まで、彼女と彼女のために会いに来てくれた人たちとのお別れの時間に使うことができました。そして、これこそが「お葬式の理想の形」だと強く思ったのです。
故人様とのお別れの式で、故人様のために時間を使い切ったと思えるって素敵ですね。
理想のお葬式とは「後悔のないお葬式」
それでは、大森さんが考える「理想のお葬式」とはどのようなものでしょうか?
大森さん:残された人がお葬式に納得できることですね。故人としてはきっと、家族には1日でも早く前を向いて歩いて欲しいと願っているはずです。そのためには、お葬式で納得のお別れができることが重要だと思います。
納得のお別れ・・・。お葬式を区切りとして前を向いて歩き出せる、というのは良い形ですね。
大森さん:だからこそ、納得のできないお式にするのは良くないと思ったんです。お寺さんとのお付き合いを希望していないのに、お葬式に呼んだことからお付き合いをしなければならない、お金を負担をしなければならない。。。
そのようなことを希望しない人には、宗教者の方を呼ばないという選択肢があるということを伝えたくてサービスを形にすることにしました。
本当は希望していないのに宗教者の方を呼ばなければいけないんだ、と思っている人は結構いらっしゃいそうですもんね。
大森さん:仏式でのお式を希望される方は、お坊さんを呼んでお葬式をしていただけばよくて、希望しない人はそうでないお葬式をすれば良いだけなんです。ただ、呼ばないといけないと思い込んでいる人たちに、別の選択肢があるんだよと知ってほしいんです。
『お坊さんのいないお葬式』が手掛ける『想送式』について
では、実際に提供されているサービスについて詳しく聞かせてください。『想送式』の式次第に登場する「想送証明書」にはどのような意味や役割があるのでしょうか?
大森さん:お坊さんのいないお葬式では、現在『想送式』で5つのプランと直送プランのトータルで6つのプランを提供しています。そして『想送式』のどのプランにも、「想送証明書」が含まれています。
この「想送証明書」なのですが、私が考える葬儀3原則の一つに基づいたものです。従来4原則で語られることが多いのですが、私は3つの原則がお葬式では大事だと思っています。
その3原則というのは、「① ご遺体の処理 ② 残された人が精神的な区切りをつける ③ 残された人が納得すること」です。
①はそのままの意味ですね。③は少し抽象的な表現ですが、私はこれを「命の重さに見合った送り方をすることで納得できる」と考えます。そして②の精神的な区切りをつける、という原則を叶えるためには、なにがしかの”儀式”が必要だと考えており、それを満たすものとして「想送証明書」を使った想送の儀というセレモニーを考えました。
「想送証明書」は、残された人が精神的に区切りをつけるために「みんなで(故人を)送ったよ」という証になります。
似たようなもので言うと、人前結婚式での誓約書のようなものです。宗教的な要素は含まないのですが、お式に参列した人たちの心に、儀式として行うことで区切りをつける。それが「想送証明書」が果たす役割です。
故人をみんなで見送った証。宗教的な要素がないお式だからこそ、とても重要な役割を果たすものなのですね…。
それでは、同じく全プランについている「レミニセンス」はどのように使うのでしょう?
大森さん:レミニセンスは、後飾り壇の役割です。仏教形式のお式を挙げると、納骨までご遺骨の安置を後飾り壇(中陰壇)で行います。しかし、想送式には後飾り壇は含んでいないためレミニセンスを同じように使用していただくことが可能です。
また、お墓への納骨後に手元供養として故人様のお写真や思い出の品などを置いていただいてもかまいません。
お式の後に使用する備品もついているのは、便利ですね。
式に関してですが、宗教者を呼ぶお式と比べて、ご遺族側での負担が大きくなることはあるのでしょうか?
大森さん:基本的に宗教者の方をお呼びするお式に比べると、ご遺族側の負担は減りますよ。
あくまで「お坊さんとのお付き合いがない方」という前提にはなりますが、例えば、宗教者の方へのお布施やお礼金が必要ないので金銭的な負担が減ります。葬儀のお布施は全国平均で47万円程と言われますからね。また、お坊さんとのコミュニケーションをとらなくて良いため、精神的な負担も減ると思います。身内を亡くされて精神的に辛いときに、慣れない仏教用語などを使用した会話をしなくて済みますからね。
あとは、お式の日程を比較的自由に決めることができるのも良い点です。通常の場合、葬儀場の空き状況とお坊さんがお越し可能な日時で調整するので、すぐにお式を挙げたいと思っても時間がかかってしまうこともあります。
でも、想送式の場合は葬儀場の空き状況だけで予定を組むことができるので1つ負担が減りますね。これは、葬儀社側のメリットでもあります。式場が空いているときにお式をするため、人材を効率的に充てることができます。
負担が減るばかりか、メリットもかなりありますね!
大森さん:そうですね。そして、何よりもご本人・ご遺族の要望をお式に反映しやすいです。宗教的な儀式に充てる時間が必要ないため、好きなことにその時間を使うことができるんです。
故人様の動画を流したり、お手紙を読む時間を長くとったりなど、自由にお式を構成できます。この点で言うと、葬儀社のディレクターにとっては大変なことでもありますがやりがいはありますよね。
好きな形で見送ることができて、負担も減る…良いことばかりですね。
では、『お坊さんのいないお葬式』を利用する際に、注意するべきことはありますでしょうか?
大森さん:お寺さんとのお付き合いがある人は、事前に必ずお寺さんに確認をしてください。特に、お式の後に寺院墓地(檀家専用の宗派問わずではない墓地)にあるお墓に納骨をしたい、と考えられていても納骨が出来なくなってしまうなどトラブルに繋がる可能性があります。
せっかくこれまでお付き合いがあったお寺さんなので、しっかりとお式について話し合いをして了承いただくのは重要です。そして、お寺さんだけではなく親戚の方への確認も同じです。
お寺様とのお付き合いや墓地のある場所によって、配慮が必要になるということですね。
後悔のないお葬式をするためのアドバイス
これまで、大森さんのご経歴や貴社のサービスについてお伺いいたしました。
次が最後の質問です。ご葬儀は皆さんに関わることですが、ご葬儀を決めるときに気をつけるべきことやアドバイスなどいただけますでしょうか。
大森さん:はい。私は、お葬式は”残された人のためのもの”と考えています。残された人が後悔のないお葬式にするために、「何をしてあげたいか」「どんなお葬式にしてあげられるか」をしっかり考えていただきたいです。
そのためには、見送られる側となる人が日頃からどうしてほしいかなどを伝えたり、ご家族で話し合っていただくのが大切です。なかなか話すきっかけを作るのは難しいですが、事前に少しでも話し合っておくことで後悔がない納得のいく式になると思います。
また、弊社は宗教者の方を呼ばないお式を提供しておりますが、決してお坊さんを否定しているわけではありません。故人様やご遺族が納得してお別れができる式ができるために、1つの選択肢として考えてもらえればと思います。
『お坊さんのいないお葬式』の概要
屋号 | お坊さんのいないお葬式 |
---|---|
運営会社 | NINE&PARTNERS株式会社 |
電話番号 | 0120-096-000 |
本社所在地 | 愛知県名古屋市中区錦3丁目15-15 CTV錦ビル8階 |
設立 | 令和元年8月7日 |
お坊さんのいないお葬式 サイトTOP | https://sousou-shiki.jp/ |
【PR】お坊さんのいないお葬式
編集後記
大森さん、ありがとうございました。故人様とお見送りされる人たちとのお別れの時間にたっぷりとお式の時間を使えることで、納得のいくお別れの場になるという部分に考えさせられました。ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。