お布施の意味や相場がわかる!基本知識やマナーを紹介

お布施と数珠

葬儀や法要の際には、僧侶へのお布施が必要になります。

お布施を渡す機会は頻繁にあるわけではないため、相場や作法がわからず慌てた経験のある人も多いことでしょう。

お布施の渡し方もさることながら、お寺とどんなふうに付き合っていけばいいのか、皆目見当がつかないという人もいると思います。

最近親が亡くなり、これからは自分が責任を持ってお墓や仏壇を管理したり、法事をしたりすることになった人は、とくに戸惑いが大きいでしょう。

お布施に関するこのような疑問を解消!

  • お布施の相場って、いったいどのくらい?どんなタイミングで、どうやって渡せばいい?
  • 「お布施」の意味って、そもそもどんなこと?
  • トラブルのないようお寺と付き合いたいけれど、どんなふうにしていけばいい?

この記事では、以上のような疑問を持つ人のために、お布施の意味から相場、マナー、そして要所でのお寺との付き合い方についてご案内します。

マナーさえ守れれば、お寺とのお付き合いはなんら難しいものではありません。
知識を持つことは、お付き合いに自信を持つことにつながりますよ。

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この記事の目次

  1. お布施の意味や歴史について
  2. お布施の相場は儀式や法要ごとに違う
  3. お布施のマナーは基本に従えば間違えることはない
  4. 葬儀や法要以外でお寺と付き合うなら、お墓参りのたびに訪れる
  5. まとめ
  6. 監修者コメント

お布施の意味や歴史について

この章では、お布施のそもそもの意味や歴史について解説します。
意味を知れば、お布施の大切な役割が理解でき、ぐっとその必要性を感じることができるでしょう。

「お布施って、お坊さんに支払うものでしょ?それ以上の意味があるの?」という方は、ぜひ読み進めてください。

お布施とは僧侶に示す感謝の気持ちを形にしたもの

お布施とは、葬儀や法要の際に僧侶へ納めるお礼のことをいいます。

今ではお礼といえばもちろん現金ですが、誰もが現金をたくさん持っているわけではないという時代には、 家に眠るお宝の反物や骨董品、農家の場合は米などをお布施として納めることもありました。

どんな形であれ、先祖に対して供養をしてくれた僧侶への感謝の気持ちが詰まっています。

元来、お布施は仏教への信仰心を形にしたものだった

本来、お布施は供養への感謝というよりも、仏教への信仰心をあらわすものです。

現代でこそ、お布施は葬儀や法要の際に僧侶へ渡しますが、 仏教信仰のあつい時代には、権力者などはとくに、葬儀法要に関わらず何かの折に金品でお布施をしたものです。

それは「仏教を支持します、信仰します」という気持ちの表れであり、 事実、お布施によってお寺は回ってきたのです。

お布施によって仏教を支持する人がいなくなってしまえば、仏教はたちどころに衰えてしまうでしょう。

気持ちを表すものなので「払う」のではなく「包む」

お布施はそもそも自分の気持ちを表すものであり、「お経や戒名を与えてもらったことによる対価」ではありません。
よって、「お布施を払う」ではなく、「お布施を包む」または「納める」といいます。

ここまで、お布施の意味や歴史について解説してきました。
「気持ちとはいっても、やはり基準があるものでしょう?」と疑問を持つ人のために 次章では、気になるお布施の相場について紹介します。

お布施の相場は儀式や法要ごとに違う

この章では、お布施の相場について解説していきます。
お布施の相場は儀式や法要ごとに違うため、種類別に説明します。

葬儀のお布施の相場は20万円から40万円

日本消費者協会が2014年に出した「第10回 葬儀についてのアンケート調査」によると、 葬儀のお布施の相場は、20万円から40万円です。

ただ、相場はあくまで相場であり、実際の金額には個人差があります。
1万円という人もいれば、100万円という人もいます。

法要のお布施の相場は3万円から5万円

葬儀以外の年忌法要、納骨式、お墓の開眼供養、亡くなって四十九日が過ぎてから初めてのお盆などの法要について、お布施の相場は3万円から5万円です。

ただし、四十九日法要と一周忌だけは、亡くなって間もないため、もう少し金額を多くするという考え方が主流です。
四十九日には、法要の他に納骨式、お墓の開眼供養などを抱き合わせで行うこともあるでしょう。

それぞれの儀式に対してお布施を用意するため、トータルで包む金額は多額になります。

墓じまいのお布施の相場は20万円

今あるお墓を更地にして管理者に返還する、いわゆる墓じまいを行うときには、 今までお世話になったお礼の意味も込めて、通常の法要よりも金額を多めにします。

相場は20万円ほどです。
これに合わせて、お寺側から離檀料を請求されるケースもあります。

葬儀や法要ごとに必要な「お車代」と「御膳料」

お寺で儀式法要を行わない場合、僧侶に会場まで足を運んでもらわなければなりません。
このため、5千円程度のお車代を包むのが一般的です。
遠方に住む僧侶の場合には、距離に応じた金額を包みます。

なお、法要の後に会食が催されるときには、僧侶にお膳料として5千円程度を包みます。
お弁当を包む場合もありますが、夏場や移動距離が長いときには差し控えます。

ここまで、お布施の相場についてお伝えしました。
次章では、お布施の包み方や渡し方といったマナーを解説します。

お布施のマナーは基本に従えば間違えることはない

この章では、お布施の渡し方、包み方、表書きの書き方といったマナーを解説します。
お布施のマナーは少し面倒ですが、一度覚えてしまえば簡単です。
面倒は初めのうちだけと割り切って、この機会にしっかり頭に入れてしまいましょう。

奉書紙か白封筒にお札を入れる

お札は、コンビニやスーパーで売られているお布施のための奉書紙か、白い封筒に入れます。
葬儀のときのお布施は厚みが出るため、白封筒よりも奉書紙に包んだほうがいいでしょう。

一方、年忌法要などであれば、一般に売られている白封筒でも十分です。
郵便番号の枠がないシンプルなものを選びます。

表書きは「御布施」とする

お布施の表書きは、「御布施」です。
黒の筆ペンやマジックペンで袋上部の中心に書き入れましょう。
袋の下部には自分の名前を書き入れます。

袱紗に包んだお布施を取り出し黒盆にのせて渡す

お布施は、袱紗(ふくさ)に包んで持参します。
袱紗は、お布施の袋と一緒にコンビニなどで売られているため、紫や黒といった仏事用のものを選びましょう。

僧侶にお布施を渡すときは、袱紗のまま手渡してはいけません。
バッグから袱紗を出したら、袱紗からお布施を取り出し手渡します。

「手渡すまでは、裸のままで持ち運ぶのではなく、きちんと包んでおく」
「手渡すときは、包みから取り出して渡す」
という動作を覚えましょう。仏事に限らず、訪問先に手みやげを渡すときにも使えるマナーです。

袱紗から出したお布施は、黒いお盆が用意されていれば、お盆に乗せてそのまま僧侶へ差し出します。

お布施を渡すタイミングは僧侶の都合に合わせる

お布施を渡すタイミングは、法要の前のほうが丁寧とされていますが、僧侶の都合に合わせるのがベストです。
お寺で法要を営むなら、法要前にお布施を渡しても構いません。

しかし他の場所で法要を営む場合、法要前にお布施を手渡すと、 僧侶は法要が終わるまで現金を管理しなければならなくなってしまいます。

法要前にご挨拶したときに、 「お布施のお渡しは、法要の前と後、どちらがよろしいですか?」と尋ねましょう。

以上、お布施のマナーについてご案内しました。

お布施一つのことに限らず、
「お寺とどう付き合っていくのかがわからない」
「大人としてきちんとしたお付き合いをしたい」
という人のために、次章では、お寺とのお付き合いの作法についてご紹介します。

葬儀や法要以外でお寺と付き合うなら、お墓参りのたびに訪れる

お寺のご住職ときちんとコミュニケーションを取っていきたいと考えているなら、 お墓参りのたびなど、以前よりも頻繁にお寺を訪れるようにしましょう。

檀家としてのお寺の付き合いは、大人のたしなみであることはもちろんですが、 今後、葬儀やお墓に関して悩みや迷いが生じたときに、相談にのってもらえる関係性を築くためにも大事です。

盆や正月、彼岸、命日にお墓参りをしてあいさつ

お盆やお彼岸など、お墓参りをしたときには、お寺のほうにも顔を出してみましょう。
お盆、お彼岸などのタイミングは、本堂が開放されていることが多いので、お参りに伺うのです。

忙しい時期なのでご住職がいない可能性も高いですが、そのときにはお寺にいる人誰にでも、あいさつをしておきます。

また、故人の命日にお墓参りをするようなときにも、ちょっとお寺を訪ねてみましょう。

「ご本尊にお参りしたいのですが」と申し出れば、その日に法要などがなければ開けてくれる可能性はあります。
日頃気になっていることなどを質問できるきっかけとなるでしょう。

合同供養祭や法話に出かけてみる

お寺の檀家になっていれば、お盆やお彼岸の合同供養祭、施餓鬼会、法話などの告知が届くことがあるでしょう。

最近では、お寺でヨガ会をしたり、終活の専門家を招いて講演をしたりといったイベントに取り組んでいるお寺もみられます。出かけてみれば、ためになる知識を得たり、思いがけない出会いがあったりすることでしょう。

密なコミュニケーションで円滑な関係が築ける

お寺と密なコミュニケーションができていれば、悩みが生じたときにいちだんと相談しやすくなります。

「なかなかお墓参りに行けないから、今の墓地は返還して新しく近くにお墓をつくりたい」
「自分の葬儀のときは、無宗教葬にしたいと思っているけれど、そうしたらお寺のお墓には入れないのだろうか」
将来、このような悩みを持つことがないとも限りません。

葬儀や法要の際にお布施を渡すだけにとどめず、お寺とはぜひ日常的に円満な関係性を築いていきましょう。

まとめ

以上、お布施の意味や相場、マナーについて、そしてお寺とのおつき合いについてお伝えしました。
葬儀や法事のときにしか僧侶をみることがないと、いざというときお布施のマナーに慌ててしまいます。

お寺に触れる機会を徐々に増やして、仏事のマナーをだんだん身につけていきましょう。

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監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

お布施は「布を施す」と書きますが、サンスクリット語ではダーナといい、「ドナー」や「旦那」と同じ語源を持ち、相手い対して施すこと、つまり与えることを意味します。布施という字が充てられたのは、かつてインドでは出家者へ布を施したことからきているとか。

私たちは布施というと金銭のことをイメージし、これを「財施」といいますが、僧侶からは「法施」といわれる仏教の教えを与えられています。布施は労働の対価ではないと言われるのもこういった理由からです。 キリスト教の場合も、お布施とは言いませんが、献金や謝儀といった形で教会を支えるために日常的に金銭と包みます。年収の4~5%程度が目安と言われています。

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