通夜はいつ行う? 通夜の流れとその作法について
仏教の葬儀のときに行われることが多い「通夜」。今回はこの「通夜」に参列するときのマナーについて見ていきましょう。
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通夜と宗教
「通夜」は、基本的には仏教の考え方に基づいたものです。もともとは夜通し起きていて故人との最後を見守るためのものでした。
現在でこそ、「通夜は夜の18時くらいから行い、1~3時間程度で終わるもの」と解釈されていますが、かつてこれは「半通夜(はんつや)」と呼ばれ「通夜」とは区別されていました。
この「見守るための通夜」ですが、昔は亡くなったかどうかの確認が難しかったため、たしかに亡くなっているかどうかを確かめるための時間でもあったという解釈もあります。
ここでは特筆しない限り、「通夜=仏教の葬式」を想定していますが、キリスト教や神道における考え方も少し触れておきましょう。
キリスト教の通夜について
キリスト教においては、元来は「通夜」という考え方は採用していません。しかし日本の風習になじむかたちで、日本で行われるキリスト教の式では通夜のような儀式を行うことが一般化してきたと考えられています。
キリスト教は、「プロテスタント」と「カトリック」に大きく分けられます。プロテスタントの場合は「前夜祭」と呼ばれるものが、カトリックの場合は「通夜の祈り」と呼ばれるものがこれに当たります。
行われるところは仏教における「会場」と変わりません。教会(仏教にとっては寺院にあたる)、葬儀式場や自宅で行われます。
キリスト教の特徴である聖歌や讃美歌の斉唱が行われるほか、宗教者(牧師または新婦)による聖書の朗読や説法が行われます。献花も行われます。
ただ、仏教での通夜につきものである「通夜ぶるまい」は、原則としてキリスト教では行いません。特に、「お酒が出ない」というのが大きな違いです。
神道の通夜について
神道は仏教とも共通する部分が多い宗教です。神式の葬儀では「通夜祭」という儀式を行います。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)や宗教者により祭詞の奏上などが行われます。また、神式の場合は、魂を霊璽(れいじ。仏教における「位牌(いはい)」に近い)にお移りいただく儀式を行います。
神道の通夜のもっとも大きな特徴は、「宗教施設を会場としない」ということでしょう。キリスト教でも仏教でも、「自宅や葬儀式場、あるいは宗教施設(教会や寺院)」を葬儀式場とするのに対し、神道の場合は神社では葬儀を行いません。
神社は神様の住まいとされているため、神道の式ではここは使わないのです。
自宅で行う場合は入ることのできる人数に制限があるため、一般葬の場合は葬儀式場を使うのが現実的でしょう。
通夜を行うのはいつ?
通夜が行われるタイミングについてみていきましょう。
通夜を行うタイミング
通夜が行われるタイミングは、基本的には、「葬式・告別式の前日」です。この通夜のあと、通夜ぶるまいが行われ、翌日に葬式・告別式を行うのが一般的です。ここでも特に記載しない限りは、このような流れを想定しておいてください。
ただ、一部の地域や、また特段の事情がある場合は、火葬をしてから通夜、そして翌日に葬式・告別式が行われることもあります。これは一般的に「骨葬」と呼ばれるものです。
ご遺体の損傷が激しい場合や、発見までに時間が経っていてご遺体の状態に障りがある場合、離れたところで葬儀を行う場合、このような「骨葬」が行われることがあります。
通夜を行う日付に明確な区分はない
通夜は、「亡くなってから○日以内に行うこと」というような法律的な区分があるわけではありません。
ただ、多くの場合、ご逝去の1日後に行われることになるでしょう。亡くなった時間やご遺族の希望によって亡くなった当日に通夜が営まれることや、また火葬場の対応不可日や葬儀式場の空き状況によって2~3日後に行われることもあります。
特に都心部の場合、葬儀式場の確保が難しいため、通夜を行うタイミングが後ろ倒しになりやすい傾向にあります。
なお、現在は「通夜を特に設けない」というスタイルもあります。ただこの場合でも、死後24時間を経過しない限りは火葬を行えません。このため、「通夜というかたちではなくても、一晩を故人とともに過ごす」というかたちがとられることが非常に多いことでしょう。
通夜と友引の関係
「葬式・告別式は友引の日に行ってはいけない」という意見を耳にしたことのある人もいるのではないでしょうか。
友引は中国で生まれた考え方で、暦を6つに分けてそれぞれに意味づけをするものです。仏教との関わりはないとされていますが、「仏滅」などのように「仏」をイメージさせる単語も使われていることから、この考え方を葬儀に関係するものととらえる人もいます。
現在ではかなり少数派ではありますが、「友引(友を引いていく、をイメージさせる)」の日は避けたいとする考える人もいます。
通夜の場合は、葬式・告別式ほどはこの「友引」について考慮することはないでしょう。ただ、葬式・告別式を友引の日にしたくないから、という理由で、通夜の日付を考慮することはあるかもしれません。
なお、「友引の日に葬式・告別式を行うことになったがどうしても気になる……」というご家庭は、友引人形(人のかわりにこの人形を連れていくように、とする人形)を入れることになるでしょう。友引人形は3,000円程度で買えます。
通夜の流れ
通夜の流れについてみていきましょう。
まず前段階として、通夜を行う前にさまざまなことを決めなければなりません。まずは、故人を安置する場所を考えます。
故人をどこにお連れするか、というのはご遺族の意向によって異なります。
たとえば、「一度自宅に連れ帰りたい」ということであれば自宅にお連れします。
また、「亡くなった当日の通夜を希望する(あるいは特段の事情があって、亡くなった当日でなければ通夜ができない)」という場合以外は、自宅で通夜が行われるまでの間お過ごしいただくことになります。
逆に、「自宅には安置するだけのスペースがない」「エレベーターなどの都合でご遺体を搬送できない」「亡くなった当日に通夜を行う」「葬儀式場に直接連れて行ってほしい」などの希望があれば、基本的にはその意向に添うことができます。
ご遺体を安置したら、本格的に葬儀会社との打ち合わせに入ることになります。この打ち合わせで、葬儀プランを決定します。
現在では、故人の年齢や交友関係、ご遺族の立場などから、適当なプランを案内してくれるはずです。また、予算の都合を伝えれば、それに配慮したプランを案内してくれることでしょう。
このときに決めなければならないことは、実に多くあります。
葬儀プランで決めなければならないこと
- 供花や供物の手配
- 寺院への連絡
- 遺影などの選定
- BGMなどにこだわるのであればその音源(CDやテープなど)の選定
- 葬儀用のムービーを作るのであればその素材(写真など)の選定
- 翌日に行われることが多い精進落としや通夜当日の通夜ぶるまいの内容
- 引き出物や香典返しの中身など、やらなければならないこと、決めなければならないことは非常にたくさんあります。
またこれと平行して、親戚や知人などに対して故人が亡くなったことを伝えなければならないという作業もあります。
現在の葬式は透明化やシステム化してきたとはいえ、とにかくやらなければならないことがとても多いので、分業していきましょう。また、故人が終活をしており、エンディングノートに連絡先や葬儀形態の希望を記していた場合、この過程が非常にスムーズになります。
さまざまな決め事のなかに、「通夜をいつから行うか」というものがあります。
かつては「半通夜」と呼ばれたかたち(弔問客が訪れ、宗教者の説法などを行う儀式。1~3時間程度で終わる)が今では一般的になり、こちらが「通夜」と呼ばれるようになりました。
この儀式は夕方~夜にかけて行われます。17時台~21時台にかけて行われることが多いのです。
葬儀の流れとしては
- 受付開始
- 着席
- 僧侶入場
- 読経と焼香
- 説法
- 僧侶退場
- 喪主挨拶
- 通夜ぶるまい
- その後
の流れで進んでいきます。詳しく見ていきましょう。
1.受付開始
受付が開始されます。受付を任された人は、儀式の1時間ほど前に集まり受付机に立つことが多いことでしょう。原則として、受付は遺族の会社の人や近所の人が行います。親族が行うこともありますが、「遺族」がこの役割を担うことはまれです。
いただいた香典の半額程度をお返しするのが「香典返し」のもともとのかたちでした。しかし現在では、「即日返し」ということで、受付で香典を受け取り、金額の多寡に関わらず同じ香典返しをお返しするかたちも増えています。
なおこの場合、多額の香典には後日で改めてお返しをすることが一般的です。
受付では、弔問客に氏名と住所を芳名帳に記載してもらうことになります。現在は個人情報保護の観点から、独立した芳名カードに記載してもらうことも多くなってきました。
2.着席
受付を済ませた弔問客は、
- 遺族へのあいさつをする
- 早めに葬儀式場の中に入り、着席をする
- ロビーで飲み物などを飲み、開始の案内までの時間を過ごす(コーヒーサービスがあることもあります)
などの行動をとることになります。
葬儀式場への着席を案内されるタイミングについては、葬儀会社ごとに違いがあります。ただ、10~15分ほど前に案内するところが多いでしょう。
着席する位置ですが、基本的には故人・遺族と親しかった人あるいは親族が前の方に詰めて座ることになります。
ただ、葬儀会社のスタッフから「前に詰めてお座りください」との案内があったのなら、それに従うとよいでしょう。この案内がされる時点で、すでに「故人・遺族と親しかった人」「親族」は着席していることも多いからです。
3.僧侶入場
開会したら、僧侶が入場してきます。
このときの迎え方はさまざまです。起立して迎える場合、合掌して迎える場合などがありますが、葬儀式場のスタッフのアナウンスに従えばよいでしょう。
4.読経と焼香
僧侶による読経が開始されます。
仏教のお式の場合、「焼香」が行われます。この焼香のタイミングですが、これは葬儀会社ごとによって異なります。
読経と説法が終わってから初めて焼香を開始するというパターンもありますし、読経している最中に焼香を行うというパターンもあります。
このあたりは「どれが正しい」と言えるものではありませんから、葬儀会社のスタッフのアナウンスに従いましょう。また、どちらの場合であっても、焼香の順番は「喪主→遺族→親族→弔問客」です。
焼香台の数は、葬式の規模によって異なります。複数台ある場合は、空いた焼香台に焼香するように案内があるでしょう。
焼香の後は遺族にあいさつをすることになりますが、実際には言葉を交わせるような時間的な余裕はあまりありません。お辞儀をして席に戻る、というくらいでよいでしょう。
なお、焼香のやり方は宗旨ごとによって異なります。
たとえば、真言宗ならば額におしいただき3回、浄土真宗ならばおしいただかずに1回、浄土宗ならば特に決まりはない……などです。(おしいただきとは、抹香をつまんで額に近づけ、目よりも高い位置まで掲げる焼香の行為)
ただ、相手の宗旨を理解し、それに合った焼香のやり方を事前に学んでおくというのはなかなか大変なもの。弔問客の立場であるなら、喪主のやり方をまねるとよいでしょう。
なお、厳密にはお数珠にも決まりがありますが、これが問われることはまったくと言ってよいほどありません。
5.説法
僧侶からの説法が行われます。
仏教の死生観や遺された人の生き方、死の受け取り方などを説くものです。しかし難しいものではなく、特に知識のない人であってもわかるようにかみ砕いて話されます。
「読経の最中に焼香は行わない」としている葬儀式場の場合は、この説法の後に焼香を行うことになります。
6.僧侶退場
僧侶が退場します。
このときの見送り方もケースバイケースですが、基本的には入場時と同じかたちでのお見送りです。
7.喪主あいさつ
喪主によるあいさつで、通夜が終わります。このときに喪主もしくは葬儀会社のスタッフから、翌日の葬式・告別式の案内が行われることもあります。また、通夜ぶるまいが行われる場合は、その案内が行われることになります。
8.通夜ぶるまい
別室に用意された部屋に行き、通夜ぶるまいに参加します。誘われた場合は断らないようにしましょう。
通夜ぶるまいでは、料理やお酒が振る舞われます。故人の思い出話をし、故人を悼みましょう。
9.その後
弔問客の立場の場合、通夜ぶるまいに参加した後は遺族に強く引き留められたとき以外はほどほどのところで退席します。
遺族の場合は、その葬儀式場が宿泊施設を備えているところであるならばそのままそこで宿泊することになるでしょう。
ろうそくをともして一晩を過ごすことになりますが、現在は電気式のろうそくも出ているため、ろうそくの番をする必要性は極めて薄くなっています。故人と過ごす最後の晩ということで眠らずに過ごす場合もありますが、翌日に疲れを残さないために就寝する場合もあります。
このような流れを経て、翌日の葬式・告別式に至ります。
通夜ぶるまいについて
通夜ぶるまいとは、お通夜の後に行われるものです。
控え室などに弔問客や遺族・親族が集い、飲食をします。
通夜ぶるまいは、故人を偲ぶために設けられるものですが、その考え方や作法は、地域や遺族の考え方によって大きく異なります。
通夜ぶるまいをするとき~遺族側
通夜ぶるまいの飲食物は、基本的には遺族が用意します。かつては近所の人に手伝ってもらって用意するケースが多かったようですが、現在は葬儀会社に頼んで手配してもらうケースが多いでしょう。
通夜ぶるまいの料理も、葬式・告別式をした後の精進落としの料理も、葬儀会社から委託された飲食業者(仕出しに対応している和食屋など)が用意する、としているところもあります。
「特定の業者に頼みたい」ということであれば、葬儀会社に相談するとよいでしょう。
通夜ぶるまいでは、いわゆる「生臭(寿司など)」が出される場合と出されない場合があります。このあたりは地域差が強く出ます。
また、故人や遺族の意向によって、生臭を出す・出さないを決めることができるので、こだわりがあるのであれば、その旨を葬儀会社に伝えるようにしてください。
キリスト教での通夜ぶるまいの場合、お酒は出しません。しかし仏教の場合は「清めの酒」という考え方があるため、通夜ぶるまいの席でもお酒を出します。また、神式の場合もお酒を用意します。
通夜ぶるまいに誘われたときの対応~弔問客側
通夜ぶるまいに誘われたのならば、原則としてこれを受けるべきです。控え室で大皿などに料理が用意されていることが多いため、少しだけでもよいので口をつけるようにします。お酒も少し飲むとよいでしょう。
特にご遺族からすすめられた場合は受けるようにします。ただ、飲酒運転はしてはいけないものです。このため、「自分で車を運転してきたので飲めない」という場合は、「車ですので」とお断りするようにします。
代行運転を頼む方法もありますが、このような事情でお酒を断るのは失礼にはあたりません。
通夜ぶるまいは、原則として、1時間程度でお暇するようにします。ただ、ご遺族から「どうしても」「もっと滞在していてほしい」と言われた場合は、この限りではありません。
通夜ぶるまいの席では、主に故人の話をしめやかに行います。ただ、故人やご遺族が、「賑やかに、笑顔で送ってほしい」という希望を特に出している場合は、笑い声や笑顔が出る通夜ぶるまいになることもあります。
覚えておきたい!通夜に参列するときの作法
通夜に、「弔問客(参列者)」として参加する場合の作法を紹介していきます。
通夜に参列するときの服装
かつて通夜は、「近しい人が急いで駆けつける」という性格を持っているものでした。しかし現在では、「葬式・告別式(多くの場合、平日の昼間に行われる)に参加できない人が、親密度に関わらずに参加するもの」という認識が広まっています。
通夜は、17時台以降に行われるものであるため、会社帰りなどの人も駆けつけやすいのです。
ただ、「急いで駆けつける」という意味はそのままですから、葬式・告別式ほどの改まった格好は必要ありません。むしろ、喪服などで出てしまうと「不幸事を待ち構えていた」という意味になってしまうので注意が必要です。
男性の場合はダークスーツを着用します。ネクタイは、地味な色のものを選ぶようにしてください。柄などが入ったものは相応しくありませんが、目立たない程度の柄ならば許容されます。靴や靴下は黒色を選びます。
カフスボタンやネクタイピンはつけません。黒真珠ならば可とする説もありますが、つけない方が無難です。結婚指輪は問題ありませんが、気になるようならば外しておくとよいでしょう。
女性の場合も、紺色などの地味な色合いのスーツを選びます。ストッキングは、肌色もしくは黒色のものを選びます。タイツは原則として使いません。
アクセサリーは、真珠の一連のネックレスやイヤリングならば許容されます。ただこれも、「つけなければいけない」というものではありません。結婚指輪の扱いは男性と同じで、つけていてもかまいません。
髪の毛は、長ければ黒いリボンなどでまとめます。
化粧は控えめにします。口紅はつけるべきと考える意見とつけないでおくべきとする意見があります。つけるのであればおとなしい色のものを選ぶようにします。
また、ラメの入ったメイク道具は使いません。チークは原則として避けるべきですが、非常に顔色が悪い人などの場合は周りの人に心配をかけないことを目的として、薄く入れる分にはそれほど問題にはならないでしょう。
ちなみに、地域によっては、「準備していたものではないということを示すために、あえて日常使いのもの(男性ならばネクタイなど)を取り入れる」というところもあります。
しかしこれはかなりイレギュラーな作法です。この作法にのっとって用意する場合は、一般的なマナー(ネクタイならば黒ネクタイ)も用意しておき、周りの人の装いを見て切り替えられるようにしておくとよいでしょう。
通夜に参列するときの持ち物
通夜の持ち物は、まず鞄。黒いものを選びます。金具がついていないものが正式です。
靴・バッグ・数珠といった持ち物は、ネット通販でも探すことができます。
【フォーマル専門店B-GALLERY】
は、フォーマルアクセサリーの取り扱いが豊富です。
持ち物の準備が整っていない、使っているものが古くなり買い替えを検討している、という方は参考にしてみるとよいでしょう。
香典は袱紗(ふくさ)に包んで持っていきます。ふくさは、弔事の場合は寒色系の色を選びます。ただ、紫色ならば慶弔どちらでも使えますから、紫色のものを一つ持っておくとよいでしょう。
香典に包むお金は、新札ではなく旧札を使います。ただ、あまりにもくしゃくしゃなお札は逆に失礼に当たりますから、このような場合は一度お札に折り目をつけて入れるようにします。
なお、旧札を使うのは「前から用意をしていたわけではない」ということを示すためだと言われています。
香典の表書きは、仏教の場合は「御香典」とするとよいでしょう。キリスト教か神式か仏教か分からない、という場合は「御霊前」とします。厳密には「御霊前という書き方はしない」としている宗教・宗旨もありますが、ここまで深く問われることはほぼありません。
水引は、原則として黒白のものを選びます。結び切りになっているものにしましょう。
ハンカチは、原則として無地のものを選びます。黒色か白色のものが望ましいとされていますが、原色系のように派手すぎるものでなければ許容されます。
数珠は、キリスト教や神式の場合は持っていきません。これを使うのは仏教の通夜の場合のみです。なお、数珠は、実は宗旨ごとによって使うべきものが異なります。しかしこれを遵守するのは宗教者くらいです。
遺族であっても細かく問われることはありませんから、弔問客もあまりこだわる必要はないでしょう。急場の話で手元にない! という場合は、100円ショップなどで購入することもできます。
通夜の受付での振る舞い
受付で香典を渡し、芳名帳や芳名カードに記載します。受付に香典を渡すときにふくさを開きましょう。また、香典は受付の方から見やすいようにして渡します。
一言「この度は……」などのようにあいさつをすることもありますが、受付を務める人はご遺族ではないケースが大半です。また、次の人が待っていることもあるので、それほど長い言葉はかけません。
ご遺族の方が受付の側にいる場合もあるので、その場合は一度受付から離れてからお悔みを申し上げるとよいでしょう。
焼香の手順について
焼香は、喪主→遺族→親族→弔問客の順番に行います。
座礼焼香(ざれいしょうこう。座って行う焼香)や回し焼香(まわししょうこう。焼香炉とお香が乗った盆が回ってきて、それを使って行う焼香)もありますが、現在一般的なのは立礼焼香(りつれいしょうこう。立って行う焼香)でしょう。ここでも、立礼焼香のやり方を紹介します。
- 祭壇の前まで進み、ご遺族と僧侶に向かって一礼(宗教者が、祭壇と焼香台の間にいる場合は宗教者への礼が省略されることもあります)
- 祭壇・焼香台の前で合掌
- 宗旨に合わせたやり方で、焼香をする
- 祭壇に向かっていちれいする
- 2歩ほど下がり、ご遺族と僧侶に向かって一例
- 席に戻る
数珠の持ち方について
数珠は、「片手数珠(略式数珠、一重数珠とも。小さなサイズの数珠)」と「本式数珠(二重数珠・本連数珠とも。長い数珠であり、基本的には108個の玉からなる)」に分けられます。
また、宗旨ごとによって細分化されていますが、これが問われることはほとんどありません。手持ちの数珠を使えばよいでしょう。
片手数珠は、左手に通します。その状態で手を合わせましょう。ただ、両手に数珠をかけて合掌するのも正式な作法です。
本式数珠も同じように行いますが、これは宗派によって持ち方が違いますので、寺院に使用方法を尋ねてみましょう。
お悔やみの言葉について
葬儀の場というのは、だれもが非常に敏感になっているものです。そのため、使う言葉にも注意を払いたいものです。特に、「言ってはいけない言葉」はしっかりと把握しておきましょう。
葬儀の場で言ってはいけない言葉
- 不幸が重なることを連想させる言葉
「くれぐれも」「重ね重ね」といった、重ね言葉は避けましょう。実はこれは、注意していないと何気なく使ってしまいがちな言葉なのです。
「くれぐれもお体にお気を付けください」
「(故人)さまには重ね重ねお世話になりました」
などのような言い回しをしてしまいがちなので、注意すべきです。 - 死に関する直接的な言葉
「死んだ」「死亡」などはもとより、「死去」なども使わないように注意したいものです。「亡くなる」という言葉も避けた方がよい、という考え方もあります。
「亡くなる前は大変お世話になりました」は「ご生前は大変お世話になりました」などに替えましょう。 - 踏み込んだ表現
死因について聞いたり、ご遺族の今後について聞いたりすることは避けます。
また、「がんばって」「気を落とさないで」という励ましの言葉も、場合によっては重荷になるので避けます。
なお、これ以外にも、宗教ごとによって使うべきではない言葉もあります。たとえば、「御冥福をお祈りします」などのような表現は、仏教以外では使いません。また、仏教でも浄土真宗ではこれを使いません。
この記事のまとめ
通夜は、多くの場合、息を引き取った翌日あたりに行われます。友引については原則として考慮する必要はありませんが、葬儀・告別式が友引にかからないように調整することもあります。
通夜にいたるまでには決めなければならないことがたくさんあります。
儀式が始まった後は、僧侶の入場→読経→焼香→説法→僧侶退場→喪主あいさつ……という流れをとりますが、焼香のタイミングは葬儀会社ごとで違いがあります。
通夜の際には、「通夜ぶるまい」が設けられることが多いといえます。遺族側の場合は、生臭物を出すか出さないかを判断しなければなりませんから、話し合いをしておきましょう。キリスト教の通夜以外の場合は、お酒も出します。
参加する側で誘われたのならば、参加するようにしてください。お酒や食べ物に口をつけるのが作法ですが、飲酒運転になってしまう場合は断っても構いません。
通夜に参加する場合は、ダークスーツを基本とします。化粧は控えめにして、アクセサリーは外します。仏教の式の場合は数珠を持っていきますが、数珠は片手数珠でも本式数珠でも構いません。
数珠のかたちは宗旨ごとで異なりますが、参列者の立場ではそこまで言及されないでしょう。
受付では、紫や寒色系のふくさに包んだ香典をお渡しします。「御霊前」「黒白で結び切りの水引」をつけた香典袋を用意するとよいでしょう。
焼香は、喪主→遺族→親族→弔問客の順番に行われます。やり方は宗旨ごとで違うので、喪主のやり方を真似するとよいでしょう。
お悔みの言葉を述べる場合は、重ね言葉や直接的な表現、踏み込んだ表現は使わないように注意したいものです。
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監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
通夜、葬儀・告別式では、遺族に何と言ったら良いのか戸惑うことでしょう。
結論からいえば、無理に気の利いた言葉をかける必要はありません。話を聞くという姿勢が家族にとっては有難いものです。
NGワードとして忌み言葉が挙げられますが、これもあまり気にする必要はないでしょう。
それよりも「残された〇〇さんのためにも頑張って」「あなたがしっかりしないと」という励ましの言葉はかえって傷つきます。
「私の時もつらかった」「あなたはまだ良いほう」と他人の不幸と比較するのもNGです。
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